●強まる9条改憲の方向づけ
−衆院憲法調査会最終報告書 「改正手続き整備」盛る− |
衆院憲法調査会(中山太郎会長)は4月15日、発足以来5年間の調査内容をまとめた最終報告書を自民、民主、公明3党の賛成多数で決定しました。最終報告書は、「論点」ごとに意見の多数・少数を明記し、事実上改憲の方向づけをする内容になっています。これは「調査の経過と結果を記載」するだけとした調査会規定を逸脱するものです。
天皇制や集団的自衛権、国民の権利、義務など憲法の各条項ごとの改正「意見」を整理しています。焦点の9条に関しては、多数意見として「自衛権の行使として必要最小限度の武力の行使を認める」「非軍事の分野に限らず国連の集団安全保障活動に参加すべきである」などが盛り込まれました。また、「今後の憲法論議」の項目で、憲法調査会を常設化し、改憲のための国民投票法案の「起草及び審査権限」を与えるとの意見が追加されました。
◆改憲「多数」というけれど…マスコミは
衆院憲法調査会の最終報告が賛成多数で議決されたことに対し、「最近の世論調査では改正賛成が8割近くに達するが、自衛隊の海外派遣や集団的自衛権行使となると過半数が反対となる。世論も割れている。憲法改正の意味をつかみかねているというのが現状ではないか」(神戸新聞4月16日付)、「沖縄の問題を憲法に照射していくことは私たちの責務だ。一人ひとりが暮らしの中で憲法を見つめ直し、沖縄戦と戦後の歩みに立って『平和の人権』の大切さを沖縄の声として発信していきたい」(沖縄タイムス4月16日付)、「世界に誇れる憲法『9条』の精神を骨抜きにしてはならない」(琉球新報4月16日付)などのマスコミ主張も強まっています。
◆国民投票法案審議へ改定案
自民、公明両党は4月18日の国対委員長会談で、改憲の手続きを定めた国民投票法案を衆参両院の憲法調査会で審議できるようにする国会法改定案を今国会に提出し、連休明けの5月上旬に成立させる方針で一致しました。
◆多国籍軍で武力行使も
−民主党 憲法調査会の第5小委員会「論点整理」素案−
4月4日、自民党新憲法起草委員会は、「前文」、「天皇」など10の小委員会それぞれがまとめた「改憲要綱」を公表しました(詳細は国公労新聞4月21日号参照)が、その後、民主党の憲法調査会の第5小委員会・安保・国際問題の「論点整理」素案の内容が明らかになりました(3月25日付でまとめられたもの)。「自衛隊の憲法上での明記」をあげ9条2項を改変する立場を明確化。多国籍軍による武力行使への参加や、「抑制的自衛権」の名で集団的自衛権行使も可能とする方向です。この「論点整理」素案は、民主党憲法調査会が取りまとめる「憲法提言」の9条にかかわる部分のたたき台となるもの。民主党憲法調査会は5月3日までに民主党改憲案の基本となる考え方を示す「憲法提言」をまとめるとしています。
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● すべての職場で憲法遵守宣言を!
−4/18〜28は職場宣言旬間−
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国公労連は、5月3日の憲法記念日を前にした4月18日〜28日を憲法遵守旬間に設定し、この期間にすべての職場で「憲法遵守宣言決議」の採択運動を提起しています。行われた決議は、5月20日の中央行動で政府に提出します。国公労新聞4月21日付の『憲法改悪反対特集』などを活用して、憲法遵守職場宣言の決議とともに、改憲の動きや今の憲法の素晴らしさを確認しあいましょう。宣言決議を契機に、改憲に反対する職場と地域からのたたかいを強めましょう。
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「国公退職者9条の会」結成
−「戦争する国」は許さない−
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「『9条の会』に賛同する国公退職者の会(略称・国公退職者9条の会)の結成総会が4月7日、都内で開かれ、各地から80人が集まりました。
この会は、「九条の会」に賛同する人々のネットワークづくりの一翼を担う立場から、「憲法尊重擁護の義務」をもち、「憲法を職場と行政に生かす」ことを国公産別運動の基本にすえてたたかってきた国公退職者が、「日本を『戦争する国』へ転換することは許せない」という思いで結成したもの。
総会では、@「憲法を守る」運動を広げるため、集会・学習会を開催、A「九条の会」のアピールへの賛同者を全国各地から募るため「賛同署名」にとりくむ、B全国各地での「国公退職者9条の会」発足と署名・学習運動の広がり追求するなどの「運営要綱」の提案と役員選出を行い、満場一致で確認しました。
「この会の発足を待っていた」「時宜にかなった提起だ」と、短期間で177人から賛同が寄せられ、賛同カンパも続々寄せられていることが報告されました。
総会は、「今こそ、現役の国公労働者に相呼応して、日本国憲法を守るという一点で共同し、憲法擁護の歴史的大運動の一翼を担う」とのアピールを採択しました。
総会後、自由法曹団団長の坂本修弁護士を招き、「憲法改悪阻止−私たちの手で『もうひとつの日本を』」と題して記念講演がおこなわれました。
坂本弁護士は、「もう一度、憲法の値打ちをつかみ直そう。9条を生かしきる国は、人間らしく生きられる国になる。改憲のたたかいに勝ったことを、想像してみよう(イマジン)!」と熱く訴え、平和憲法を守る大切さを参加者全員で確認しあいました。
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「君たちを戦場に送らない」と全労連女性部
−4/23〜5/22まで渋谷のオーロラビジョンで放映−
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【国公労連女性協発】「ザッ、ザッ、ザッ」軍靴の音…。それは60年前の兵士の足音。いまイラクに派兵される自衛隊員の足音と重なります。未来を担う、若い仲間たち、子どもたちへ、「私たちは『君たちを戦場に送らない』」全労連女性部の思いを込めたメッセージが渋谷の街に流れます。
全労連女性部は、憲法9条の改悪が狙われる中、普段なかなか手の届かない人々にメッセージを送ろう〜そのために若者が多く集まる渋谷で宣伝を〜と考えました。より多くの若者たちにメッセージを発信するために、オーロラビジョンを使う宣伝ビデオの放映を企画しました。
国公労連女性協もこのとりくみに結集し、「かがやけ9条バッチ」を広め、カンパにとりくみました。全国の仲間のご協力で、ビデオ作成・放映ができる費用が集まりました。若者が多数集まる渋谷で、オーロラビジョンで放映されます。
○放映日時 4月23日から5月22日までの1ヶ月 (9時〜24時)
○放映時間 1回15秒(1日60回) →1時間に4回
○放映場所 JR渋谷駅ハチ公前交差点 109ビル
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職場周辺の戸別訪問で一気に目標達成!
−全情報通信労働組合(全通信) 全国の支部が大奮闘− |
【全通信発】 政府・財界が一体となって展開する改憲キャンペーンに対峙し、国民諸階層との対話をねばり強く進め、改憲勢力のねらいと労働者・国民生活への影響を訴えていくことが、私たち公務員労働者に課せられた使命です。全通信では、このことを全組合員共通の認識としてとりくみを進めています。
地域や県国公等の学習会、街頭宣伝行動への結集とあわせて、各支部で弁護士など外部講師を招いての独自学習会を開催。これを背景として、昨秋から年末年始にかけては家族、親類、友人との対話。春闘期には支部独自の街頭宣伝署名行動などによる地域住民との対話を組合員1人ひとりが積極的に進め、署名の上積みを図ってきました。とりくみを通じて、マスコミが報じない国民世論の高まりを実感しているところです。
全通信信越支部(長野)では平日の昼休みに、組合員の8割にあたる50余名が、一斉に職場周辺の戸別訪問を展開。1時間足らずの行動で184筆の署名を上積みし、1人10筆の目標を一気に達成しました。4月に入り、全国から次々と目標達成の報告が届いています。
数が全てではありませんが、全通信全体での目標達成と、さらなる国民世論の構築に向けて引き続き奮闘していきます。
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連載「憲法と私」で憲法が身近に
−機関紙「国公あいち」を毎月発行する愛知国公− |
【愛知国公発】 私たち国家公務員は、憲法遵守義務を負っています。しかし、憲法遵守義務を負うということを意識して職務に励むことはないし、憲法を日常的に意識することはほとんどないというのが実態ではないでしょうか。
そこで、仕事や生活に大きく関わっている憲法、その憲法をもっと身近なものとすることができないか…?ということから、愛知国公は、機関紙「国公あいち」紙上で、連載「憲法と私」を昨年10月からスタートしました。各単組1人づつ「憲法について思うこと」「仕事と憲法との関わり」などについて感じることを自由に書いてもらい、顔写真とともに「国公あいち」紙面に記事として掲載しています。それらの記事を読んで、組合員が少しでも憲法について考えてもらえる機会になればと思っています。
あわせて、外へ打って出るとりくみとして、月1回の街頭宣伝行動を実施し、広く国民に憲法「改正」の問題点について訴える行動も行っています。憲法改悪阻止は息の長いとりくみですが、愛知国公は今後も、憲法改悪を何としても阻止するとともに、「行政に憲法が活かされる社会」を実現するために積極的にとりくんでいきます。
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●【「9条の会」など各地のとりくみ】
◆憲法を守る店舗署名に平和願う想いが全開 ―宮城一般・みやぎ生協支部―
宮城一般労働組合みやぎ生協支部は、憲法をまもる店舗前署名行動を4月17日から24日までの1週間に37店舗で実施します。
みやぎ生協支部では、05春闘で平和を守るとりくみを重点に、1月には「教育基本法と憲法改悪」、3月には「お国ことばで憲法を語る」学習をおこない、4月10日の宮城交運共闘主催の車両デモには共同購入のトラックに「憲法9条を守ろう!」のノボリ旗をなびかせて仙台市内を走行して市民にアピール。職場での憲法学習は、現在15店舗で実施(計画含む)されており、全店舗での学習運動をつよめていくことにしています。
◆「九条の会」講演会に1400人 ―奈良―
「『九条の会』奈良」が主催して17日、奈良市の県文化会館で「憲法講演会」が開かれました。「九条の会・奈良」は、作家の大江健三郎さんらが04年6月に東京で設立した「九条の会」の賛同者でつくられ、この日は、絵本「世界がもし100人の村だったら」の作者、池田香代子さんと、「九条の会」事務局長の小森陽一・東京大学大学院教授が、日本国憲法の意味と、最近の改正論議の問題点などを講演し、参加者約1400人が聴き入りました。
池田さんは「政府が個人の自由を脅かして戦争を始めてしまった社会があり、その反省から9条は生まれた」と個々の人間の自由や幸せを守る尊さを解説。「私達は『無力』でなく『微力』がある」として、憲法を根付かせるために力を結集させる意義を話した。また、小森教授は「アメリカの世界戦略から、集団的自衛権を持たない日本の憲法が変えられようとしている」と厳しく指摘。「改正の波を押し返すため、まず、周囲の人と憲法を持続的に話す関係を築いて」と呼びかけました。(「共同ニュース」No26より転載)。
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☆お知らせ☆
◆憲法をたのしく学ぶ学習会 −愛媛−
・日 時 4月24日(日)13:30〜16:00
・会 場 愛媛県県民文化会館 メインホール
・講 師 伊藤真(伊藤塾塾長・法学館憲法研究所所長)〜ミニコンサート〜きたがわてつ
・主 催 憲法を楽しく学ぶ実行委員会
・事務局 愛媛県国公 ※問い合わせは、089-945-4526 (愛媛労連)
◆5・3憲法集会 〜9条を守る大きなうねりを! とめよう憲法改悪〜
・日 時 5月3日(火)12:30開場 13:30開会
・開 場 東京・日比谷公会堂
・主 催 2005年5・3憲法集会実行委員会
※集会後、銀座パレード (手話通訳、第2会場準備あり)
★憲法改悪阻止に向けた単組・県国公の様々なとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。次号は4月中旬の予定です!
以 上
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