憲法ニュース 2006年4月20日《No.14》



●国民投票法、教育基本法改悪の動き加速
 すべての職場で憲法遵守職場宣言を

 国民投票法案「修正案」で与党合意
 自民、公明両党は4月18日、改憲のための国民投票法案に関する与党協議会を開き、2004年12月にまとめた与党案の「修正」を大筋了承しました。「修正」は当初案になかった改憲案の発議手続きを盛り込んだことが大きな特徴。公務員や教育者の運動を禁止していることは当初案どおりです。
「与党は今国会への提出を目指しており、今後は民主党との協議が焦点」(毎日新聞、4月19日付)と報道されています。民主党との"調整"を念頭に、当初案に盛り込まれていた「虚偽報道等の禁止」などのメディア規制が削られています。「3党による共同提案で今国会の法案成立を目指す与党だが、合意への道のりは遠く、憲法改正への一里塚ともなる改正手続きの法制化の行方は不透明」(東京新聞、4月19日付)や、「民主はや難色 遠い3党合意」との報道もあり、取りまとめられた与党案で改憲の動きを一気呵成のものにしないためにも、「今、この時期」の反対運動の盛り上げが大切になっています。
また、4月13日には自・公与党が「憲法改悪の先導役」といわれる教育基本法改悪案をまとめました。与党の教育基本法改正に関する協議会が「愛国心」の表現について「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という最終報告を了承。
しかし、保守系議員でつくる日本会議国会議員懇談会などは改正案の修正を求めています。公明党代表が19日の記者会見で「自民修正の動き 神崎氏が不快感」(朝日新聞、4月20日付)を表明するなど、与党の足並みも乱れてきています。国会情勢が緊迫するなか、いまこそ改憲反対の世論を草の根から広げることが重要になっています。
 「小さな政府」反対! 憲法をくらしと行政・司法にいかそう
 軍事や治安、「国際競争力強化」に必要な部門に国の役割を重点化しようとする「小さな政府」と憲法改悪の動きは一体のものです。「行革推進法案」など「小さな政府」つくりの動きがさらに強まり、自民党の「憲法改正草案」の取りまとめも受けた国民投票法案の国会提出の動きも具体的になっている今年の状況は、「憲法9条改悪反対」「憲法をくらしと行政にいかせ」の運動を職場からさらに強める必要があります。
 国公労連は、5月3日の憲法記念日を前にした4月10日から28日を憲法遵守旬間に設定し、この期間にすべての職場で「憲法遵守職場宣言決議」の採択運動を提起しています。これまで以上の決意と位置づけで、全職場での「宣言決議」の採択を進めましょう。採択された決議は、5月26日の中央行動で集約し、政府に提出することとしています。

▼「憲法遵守職場宣言決議」「国民投票法案の国会提出に反対する職場決議」のひな形は、国公労連・憲法ホームページ http://www.kokko-net.org/kokkororen/kenpo/undo.htm
▼情勢や、憲法の運動について知りたい方は
「憲法改悪反対共同センター」 http://www.kyodo-center.jp/
憲法会議「憲法しんぶん速報版」http://www.kenpoukaigi.gr.jp/sokuhou/sokuhou.html

職場九条の会
●「一人ひとりが九条を守る」ことをめざして

 全運輸神戸海運支部「職場九条の会」発足

 06年2月20日、全運輸神戸海運支部の職場に「九条の会」が発足しました。この会は、単に職場平和宣言のような「アピール効果」を意図したものではなく、一人ひとりの9条を守るという積極的な意思の集まりを形にするものとしての結成を目指しました。
憲法遵守職場運動を
 国家公務員は、憲法遵守義務があり、憲法の理念に基づき、国民の暮らしや安全のため、日々業務を行っています。このことからも、憲法を守ろうという運動は、公務労働者が牽引車になってとりくむ課題です。 とりわけ憲法9条が多くの国民に支持され、世界的に注目を浴びており、これを守ることは自分たちの平和な暮らしを守ることにもなると思います。非核神戸方式をもつ神戸港にはたらく労働者として、また、労働組合のとりくみとして、国民平和大行進で毎年実行委員会を立ち上げ県内全コース行進を続けており、平和は身近で大事な問題と位置づけています。
草の根の運動が 改悪阻止に
 こうした考え方を基盤に、組合員だけでなく職場全体のとりくみとして「9条の会」結成をめざしたいと考え、管理職の方に、賛同人として名前を連ねてもらうようお願いし、結果、7名の管理職の方に賛同人になって頂きスタートしました。(呼びかけ人は支部三役)
現在、職場において、会の支持を広げているところですが、こういった草の根のとりくみが、直面するたたかいの課題である「憲法を変える国民投票での憲法改悪阻止」につながると確信しています。    (全運輸神戸海運支部、「全運輸」4月5日号より転載)

●特許庁で「LOVE憲法の会」発足
準備会以来、足かけ2年!職場から護憲の声大きく

 特許庁で3月15日、「LOVE憲法の会」の発足総会が開かれました。一昨年の5月に、「ラヴ憲法の会準備会」を立ち上げて以来、足掛け2年をかけての正式発足です。
 準備会は、有事立法の制定、自衛隊のイラク派遣、そして小泉首相の立党50周年に向けた自民改憲案作成指示といった情勢に突き動かされるように、ともかく平和憲法を守るために何か運動したいと数人が集まったのがきっかけでした。
「LOVE憲法の会(略称:ラヴ・ケン)」などという気恥ずかしい名前に妙に納得して、呼びかけをつくり、準備会を発足させ、講演会や学習会、映画の上映会などを開いてきました。昨年の6月と11月に開催された「平和の集い」では、サークルの協力を得て行った平和を願う合唱や朗読劇なども参加者に感銘を与えました。そして、なんとかこぎつけたラヴ・ケンの正式発足総会です。
「ビア・パーティや基地見学会」など意見が次々と
 総会では、香月国公労連中央執行委員から情勢報告を兼ねた連帯の挨拶、平和の集いなどで後援して頂いた全経済特許庁支部からの挨拶などをいただき、「経過報告と今後の活動方針」、「LOVE憲法の会アピール」を採択し、世話人と事務局を選出して無事総会を終えることができました。 意見交換では、「ビア・パーティや基地見学会など、楽しみながら憲法問題に取り組んだらどうか」、「講演を聴くだけでなく、いろいろな疑問に応えられるような実践的な学習会を」などの貴重な意見も出され、今後の活動に生かしていきたいと思います。 (「全経済新聞」4月10日号より転載)

●6・9行動、靖国神社見学〜多彩な活動
総務省統計などで働く「九条統計の会」

 昨年は戦後60年という節目の年を迎えました。組合では8月に被爆地「広島・世界大会」に参加者を派遣し、戦争の恐ろしさや原爆の悲惨さを身近に感じてきました。平和活動に熱心な広島の若者は憲法9条を広めるために、Tシャツに「9」という数字を自分でつけて着て、「9」にはどのような意味があるのか疑問をもった人に、憲法9条の良さを伝えていると聞き、その発想のすばらしさに感激しました。
 以前から組合内で統計の職場にも「九条の会」をという声があり、2005年9月に「9条統計の会」が発足しました。統計局、統計センター、統計研修所に勤務する者であれば誰でも加入できます。組合員以外でも、憲法9条を守り平和を願う人たちに加入してもらいたいと思い、組合とは別の組織として活動しています。主な活動は毎月6日または9日に行われる「核廃絶のための署名活動(6・9行動)」に参加していることです。
靖国神社「遊就館」を見学
 「9条統計の会」が発足する直前に組合員が、靖国神社の展示資料館である「遊就館」の見学に誘ってくれました。報道等を見て靖国神社は特殊な所である印象を受けたため、見学できる資料館があるとは思っていなかったことから、とてもよい機会を得ました。「遊就館」に入る前に、隣にある靖国神社も見学しましたが、それ自体は普通の神社と何ら変わりないという印象を受けました。「遊就館」の中に入ると、入り口にあるゼロ戦の大きさに圧倒されました。展示物がとても多いことと、上映されているビデオは1時間近くもあり長いため、もっとゆっくり時間をかけて回ることができたらよかったと感じました。
他の「九条の会」と交流、学習を深めたい
 現在は会員が少なく会長も空席で、事務局を中心に活動していますが、他の「九条の会」などの学習会等に積極的に参加して学習を深め、憲法9条を改悪させない気持ちを多くの人に伝えて広げられればと思っています。そして「九条統計の会」独自の活動が見つけられれば、幸せなことだと思います。

国公退職者九条の会
●結成1周年を記念し4月28日に学習交流集会

 −「九条の会」アピール賛同者3494名に−

 「国公退職者九条の会」は今年の4月で結成1周年をむかえます。この間とりくんできた「九条の会」のアピール賛同者は、4月17日現在、3,494名に達しています。
  結成1周年を記念しての「学習交流集会・記念講演会」を多数の参加で成功させ、現役国公労働者の皆さんと相呼応して、憲法擁護の歴史的な大運動の一翼を担って奮闘しあいましょう。
 ご参加をお待ちしています。

■国公退職者九条の会「学習交流集会・記念講演会」
◇日 時   4月28日(金) 17:30〜交流集会  18:30〜記念講演  20:00〜交流・懇親
◇会 場   商工会館
◇記念講演 改憲策動のねらいと新段階〜自民党新憲法草案から国民投票法案へ
(渡辺治・一橋大学教授、「九条の会」事務局)

勤通大で学習して、憲法の「語り部」に!
●「憲法特別コース」1,200名超える!

 国公労連開講式 単組・在京支部から43名参加

 国公労連では、「憲法特別コース」の受講目標である「組合員の1%≒1,000名」を2月17日に突破して以降もペースが落ちることなく、現時点で「1,200名」に到達。
 このうち東京では国公労連や各単組の本部役職員128名と在京組織の役員50名が受講。
 今後中央本部の受講生を中心に全国で憲法学習と憲法闘争をリードしていく必要があるため、3月17日、霞ヶ関の商工会館で「開講セミナー」を開催、43名の受講生が参加し、堀口委員長の開会挨拶に続いて労教協の山田敬男副会長から「憲法闘争の意義と課題」のテーマで記念講演を受けた後、憲法制定国会での賛否をめぐる政党対応、「軍隊を持たない国々」とコスタリカの現状評価、「構造改革」推進と改憲策動の一体的な関係について質疑討論がありました。
 最後に山瀬副委員長がまとめと行動提起をおこない、これまでの取り組みの典型例として「全国網羅型」「拠点集約型」「爆発波及型」「自由放任型」「地域主導型」などを示しつつ、全単組・全県国公での底上げにむけた取組強化を訴えました。
(「勤通大推進ニュース」No.14より転載)

●憲法を学び職場と未来を語り合おう
 「3カ月に1回スクーリング」確認〜大阪国公開講式


 大阪国公は3月2日、勤通大「憲法特別コース」の開講式を大阪市内で開催しました。 
 労働者教育協会の田辺崇博先生が「憲法を学び職場と未来を語り合おう」と講演しました。「憲法学習には2つの側面がある。それは『憲法改悪を阻止する学習』と『憲法を職場・地域・暮らしに活かす学習』であり、これを統一させる学習とたたかいによって『憲法の力』が発揮される」「憲法は私たちの日常生活に大いに関係があり、国民に多くの権利を保障している『国民の権利宣言』である」と語り、それぞれの職場で学習を行い「対話の力」を養うことの大切さを強調しました。
「九条の会」の作り方もレクチャー
 続いて、各単組から憲法学習のとりくみを報告。全司法大阪支部は「憲法は9条だけではなく、基本的人権など大切なことがたくさんあるので、職場では『九条の会』とせず『憲法の会』とした。学習を中心にとりくみを継続し、会の輪を広げていきたい」との発言がありました。
 全国税・全国税OB・全税関OBの仲間も「九条の会」を結成し、緩やかな運動をしていることの報告や、「『九条の会』はどういうふうに作るのか。登録の手続きがあるのか(答え:とくに登録手続きは必要ありません。仲間同士で結成し、学習や宣伝・署名など自由なとりくみを行います)」などの質問もありました。
 最後に、すべての受講生が無事終了できるように、大阪国公主催で3ヶ月に1回(6月2日・9月1日を予定)のスクーリングを行うことを確認しました。

九条の会
●草の根の運動交流へ高まる期待

 これまで開かれた各県、地域レベルの「九条の会」交流集会では、どれだけ広く賛同者を広げるか、どのように創意ある活動を継続するか、など豊かな経験が紹介され、「感動した」、「展望が開かれた」などの感想が多く出されています。このような交流の場が全国規模で開かれることへの期待が高まって、事務局には全国の草の根からの参加申し込みが寄せられつつあります。
 こうした状況を受けて、交流集会実行委員会は4月10日、第3回運営委員会を開きました。会議では、あらためて全国交流集会の意義を確認し、交流集会の開催を全国の地域・分野の「会」に知らせきる活動をさらに強めるとともに、当日の運営には府県の「会」の参加を求めること、交流集会終了後に青年の集いを開くことなどを話し合いました。
【事務局からのお知らせ】「九条の会」メール・マガジンの発行を開始しました。送信希望者は、「九条の会」web画面で申し込んで下さい。
 「九条の会」全国交流集会は6月10日(土)日本青年館で開催します。参加者は各地・各分野の「九条の会」の推薦のある方です。実施要綱はホームページを参照してください。
 「九条の会」ホームページ http://www.9-jo.jp/ 

労働組合情報
●憲法と私たちの安全を考えるつどい
陸・海・空・港湾20団体主催 750人参加
 陸海空港湾労組20団体は3月25日、東京で「憲法と私たちの安全を考えるつどい」が開催されました。

 「中立の13労組でつくる憲法改悪反対労組連絡会が協賛、750人が参加。評論家の佐高信さんと坂本修弁護士が講演し、改憲反対運動の強化などを訴えた。
 佐高さんは1977年に横浜市で起きた米軍機墜落事故の遺族の手記が最近出版されたことを紹介し、『軍隊は私たちを守らず危険しかもたらさないことがよく分かる』と指摘。こうした本を通して、憲法問題は難しいという人にも憲法改悪の危うさを伝えようと述べた。
 坂本弁護士は、自民党の新憲法草案について自衛隊を米国の戦争に参加させるのがねらいとし、『憲法が暗殺されようとしている』と指摘した。世論調査で6割が9条改正に反対していることなどにふれ、『改憲について抽象的にではなく、人生でどういう意味をもつのか国民一人一人に知らせれば阻止できる』と語った」
各労働組合から決意表明
 「参加した各労組の代表は『職人は建物を作るが、戦争は建物を破壊する』(全建総連)、『戦争の最初の犠牲者は真実。言論の自由を守ろう』(新聞労連)、『戦時中、気象情報は軍部に集中させられ、自然災害が発生しても国民には知らされず被害を大きくした。平和のシンボル、天気予報を守りたい』(全気象労組)、『平和な鉄道事業を守るために改憲反対に取り組む』(国労)などと訴えた」(「連合通信・隔日版」3月28日付より抜粋)


▼今後の予定

■ 「もうひとつの日本と憲法を考える講演と文化の夕べ」
◇日時 4月28日(金)18:30〜
◇会場 文京シビックホール
◇内容  記念講演「もうひとつの日本と憲法」(仮題)品川正治氏(元経済同友会副代表幹事、終身幹事)
◇主催 中央メーデー実行委員会と全労連「もうひとつの日本闘争本部」の共催

■ 「2006年5・3憲法集会」
◇日時 5月3日(水) 12:30開場 13:30開会
◇会場 日比谷公会堂
◇集会名 憲法改悪のための国民投票法はいらない とめよう「戦争をする国」づくり 生かそう9条のちから 2006年5・3憲法集会
 (渡辺治・一橋大学教授、「九条の会」事務局)
◇スピーチ 憲法改悪のための国民投票法はいらない とめよう「戦争をする国」づくり 生かそう9条のちから 2006年5・3憲法集会
 (渡辺治・一橋大学教授、「九条の会」事務局)

■「2006年5・3憲法集会」(憲法会議の速報より転載)
◇日時  5月3日 13:30開会
◇会場  日比谷公会堂
◇集会名  憲法改悪のための国民投票法はいらない
 とめよう「戦争をする国」づくり 生かそう9条のちから
 2006年5・3憲法集会
◇スピーチ ・富山和子(立正大学名誉教授、環境問題) ・李俊揆(韓国・平和ネット政策室長) ・志位和夫 (日本共産党委員長)  ・福島瑞穂 (社民党党首)
◇特別発言  ジャン・ユンカーマン(映画監督)
 ※集会終了後、銀座パレード
◇主 催 5・3憲法集会実行委員会

■ 憲法学習会  「活憲」〜特上の国をめざして
◇日時 5月12日(金) 18:30〜20:30
◇会場 全労連会館2階ホール
◇講師 五十嵐仁 法政大学教授
◇共催 全医労、全厚生、全労働 (事務局 全労働 担当・富永)

※憲法改悪阻止に向けた単組・県国公のさまざまなとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。

以 上

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