●改憲論点 意図的に集約する動き
−衆参両院の憲法調査会 最終報告書案を提示− |
衆参両院の憲法調査会の最終報告書案が3月30日出そろいました。ともに戦争放棄を定めた9条1項や象徴天皇制維持の方向性を打ち出したほか、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」という現行憲法の三原則や、二院制を維持することで足並をそろえました。一方で、集団的自衛権の行使容認や憲法改正を発議する要件の緩和については賛否両論を併記しました。
◆改憲へ調査会改変提案する自民党
衆院憲法調査会の幹事懇談会が3月29日開かれ、5年間の調査をまとめた最終報告書案が提示されました。憲法9条については、1項の戦争放棄の理念は堅持が多数とされたものの、「自衛権・自衛隊の憲法上の明確化」など、改憲の論点を意図的にとりあげるものとなっています。
調査会は、規定によれば憲法に関する「広範かつ総合的な調査を行う」ことが目的で、改憲の是非を議論する機関ではありません。5年をめどに議長に提出するとされた報告書も、その調査の「経過及び結果」を記すことが「権限範囲」です。改憲論議にそって一定の方向付けをするのは、調査会規定に反します。
自民党は、「報告書」提出後の憲法調査会のあり方について、「あるべき憲法像について考える、国民投票法案について考える憲法調査会に発展させる」(船田元議員)と提案しました。憲法調査会を常設機関とし、改憲の手続き法案を審議したり、改憲案についても審議できる場とすることを狙ったものです。
◆自民・公明・民主三党が「国民投票法案」協議へ
改憲論議と併行して、憲法改正の手続きを定める「国民投票法案」の検討を与党が進めています。与党案は、改正案が国民に提案されてから投票までの間、結果に影響を及ぼすような行為を一部制限し、「規制の対象は報道や評論にも及び、運用しだいでは表現の自由に影響しかねない」(朝日新聞3月30日付)などメディア規制による「表現の自由」への懸念も出てきています。また、公務員については、政治活動の制約と同様の人権規制が検討されており、この点でも過剰規制との指摘が強まっています。
衆院憲法調査会は4月中旬、参院憲法調査会は4月20日に最終報告書をそれぞれ議長に報告します。自民、公明、民主三党は4月下旬にも憲法「改正」手続きを定める「国民投票法案」に関する協議に着手する動きとなっています。
◆自衛軍保持を明記 −自民党委・憲法試案−
また、自民党の新憲法起草委員会(委員長・森前首相)が4月中にまとめる試案の9条「改正」に関する部分の骨格も3月30日、明らかになりました。「自衛のための自衛軍を保持する」と、自衛隊を「軍」と位置づけたうえで、「国際の平和と安定に寄与するため、自衛軍を用いる」として、自衛隊による国際貢献を憲法に明確に規定するとしました。
|
●「憲法・教育基本法守れ」と全国から1万人以上
−全教などが3・26全国大集会を開催−
|
憲法と教育基本法の改悪が狙われているもとで、「憲法・教育基本法改悪ゆるすな!子どもと教育の未来をひらく3・26全国大集会」が3月26日、東京・有明コロシアムで開かれました。集会は、全教や組織の違いを超えた教組共闘、教育基本法全国ネットワーク、子ども全国センターが主催し、47都道府県から教職員や父母ら、国公労連・各単組など労組をはじめ、集会に賛同する仲間1万人超が結集しました。
「9条の会」呼びかけ人で憲法学者の奥平康弘さんが講演し、「世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする」とした教育基本法前文を紹介し、「9条守れ」の運動と連帯して世論を広げようと話しました。また、「子どもと教育基本法」をテーマに、教職員やお母さん、メディアの労働者らがそれぞれの立場からリレートーク。国連子どもの権利委員会委員のノルベルト・リウスキーさん(アルゼンチン)が「子どもの権利条約を逸脱した改正であってはならない」との訴え、全労連の熊谷金道議長、国立市の上原公子市長など各界から、憲法・教育基本法を守る連帯のエールが送られました。
最後は、各都道府県の代表が続々壇上にのぼり、それぞれが工夫がこらしてつくった横断幕やグッズ、のぼりを打ち振ってアピール。壇上から「この集会は結節点です。運動を全国に広げていきましょう」と呼びかけ、拍手と歓声のなか、参加者がウエーブでこたえました。
|
●「憲法遵守職場宣言」運動にとりくもう!
−4/18〜28の期間に集中を−
|
4月18日〜28日の10日間を「憲法遵守職場宣言旬間」と設定し、全ての職場で「宣言決議」採択し、採択した決議は政府に集中することとしています(昨年のこのとりくみでは7単組、921の職場で決議を行っています)。既に、決議文例は単組本部を通じて職場送付し、国公労連ホームページにも掲載しています。
各職場では、パンフ「憲法が変わったらどうなる?」(全労連作成・送付済)、国公労新聞(4/21号)「憲法特集」などを参考に職場で語り合い、学習し、全ての職場での「宣言決議」採択をめざしましょう。採択した職場では、「憲法遵守宣言職場」のポテッカー(国公労連作成)と共に決議を掲示版などに張りだしその決意を内外に示していきましょう。
なお、採択した決議は、単組でとりまとめ、5月20日の中央行動で、「憲法改悪阻止署名」と共に国会に提出することとしています。
|
●機は熟したぞ! 学習から運動へ
−全運輸省港湾建設労働組合(全港建)−
|
【全港建発】全港建は昨年9月、平和都市広島市で定期全国大会を開催し、「憲法改悪阻止」と「組織強化拡大」を中期的な全港建運動の2本柱として位置付けて運動を進めていくことを決定しました。また、大会期間中に平和記念公園で「憲法を守り、職場とくらしに活かす広島のつどい」を開催し、全国から持ち寄った4千羽以上の折り鶴を献納して、反核・平和、そして憲法を守る決意を固め合いました。
現実に国会で改憲派が多数を占めるもとで改憲を阻止するためには、国民の過半数をまず味方につけることが最も確実です。そのことともかかわって、大会では「憲法改悪反対国民過半数署名」を全力でとりくむことを意思統一しました。
そのためには、まずは何よりも理論武装が必要と、全港建では9月から週1回のペースで学習資料「Q&A 守るぞ!憲法」を12号、続いて「学習資料 日本国憲法」を14号(3月末現在)発行し、学習に力を入れてきました。地本機関紙や支部機関紙でも意識的に憲法問題をとりあげています。
そろそろ機は熟してきました。「学習倒れ」、「頭でっかち」で足が出ない、なんてことにならないように、全港建はこれまで学習してきたことを運動に活かし、おおいに地域に打って出たいと決意しているところです。
|
●憲法を学ぶと、夢と希望が生まれる!
−1400名規模の大「学習会」開催にとりくむ愛媛県国公− |
【愛媛県国公発】
憲法改正の是非を巡って、私たちは、結論を求められることになるかもしれません。そのとき、将来に禍根を残さない選択をするためにも、憲法を学習することが必要と考え、愛媛県国公が呼びかけて、来る4月24日(日)に、愛媛県県民文化会館メインホールで、伊藤真氏(伊藤塾塾長)と日本国憲法前文を歌う歌手の「きたがわてつ」氏を招き、「憲法をたのしく学ぶ学習会」を企画。会場いっぱい(1450席)の参加で成功させるべくとりくんでいます。
学習会への伊藤氏のメッセージ「憲法を学ぶと夢と希望が生まれてきます。ともに学び考えて見ませんか。」をスローガンに労組、大学、民主団体などへの参加要請や街頭での宣伝行動に奮闘しています。
当日の最大のライバルは、23日、24日とナイター、デーゲームで行われるセリーグ公式戦「ヤクルトvs広島」戦ですが、愛媛県国公では、23日にナイターを観戦して、翌24日は「憲法学習会」へと1泊2日の小旅行がお得ですと呼びかけています。
◆憲法をたのしく学ぶ学習会
・日 時 4月24日(日)13:30〜16:00
・会 場 愛媛県県民文化会館 メインホール
松山市道後町2丁目5番1号 п@089-923-5111
・講 師 伊藤 真 (伊藤塾塾長・法学館憲法研究所所長)
歌手 きたがわてつ 〜ミニコンサート〜
・主 催 憲法を楽しく学ぶ実行委員会
・事務局 愛媛県国家公務員労働組合共闘会議
※問い合わせは、089-945-4526 (愛媛労連)
|
●【「9条の会」など各地のとりくみ】
◆「9条の会」福岡講演会に3000人
3月19日に福岡市で開かれた地方講演会も、会場からあふれてロビーに座りこんで場内の模様に見入る参加者を含め、3000人が参加しました。
地元の青年たちがつくる劇団の教育問題をテーマにした憲法劇で始まり、「9条の会」から鶴見俊輔氏と奥平康弘氏、そして事務局長の小森陽一氏が講演しました。また、福岡県子育てセンターの熊丸みつ子さんが「福岡からの訴え」をおこないました。参加者からは、「3人の先生の話に感動した。地域においてもこの運動を広げたい」「鶴見先生の講演を聞きたくてサポーターを名乗り出た。『自由』な感性を大切に行動したい」等の感想がよせられています。
なお、この日の講演会のもようは、朝日の地元版や西日本新聞などの地元紙が紹介したほか、韓国のテレビ局が取材し、講演者一人ひとりへのインタビューもおこないました(「9条の会」ニュース第31号より転載)。
|
☆お知らせ☆
◆「改憲のための国民投票法案に反対」昼休み国会デモ
・日 時 4月6日(水)12時集合、12時15分出発
・主 催 5・3憲法集会実行委員会、弁護士諸団体
◆「国公退職者9条の会」結成総会・記念講演会
・日 時 4月7日(木)17:30〜
・会 場 商工会館 千代田区霞が関3-4-2 03-3581-1634
・記念講演会 「戦争をしない」国づくりのために 〜輝かせたい憲法第9条〜
・講 師 坂本修弁護士(自由法曹団団長)
・主 催 「国公退職者9条の会」発足準備事務局
◆広島県労学協・憲法語りべ講座 (「学習の友」4月号から転載)
・日 程 選べる講義日程=4月8日〜6月4日の期間に4パターン20コマ実施
・主 催 広島県労学協 082-231-6170
★憲法改悪阻止に向けた単組・県国公の様々なとりくみ(署名行動や学習会など)のメール通信やFAXをお寄せください。次号は4月中旬の予定です!
以 上
|