2002年11月5日《No.117》

九州ブロック連鎖キャラバン佐賀県入り
全国各地で100万署名を前進させよう

 10月23日に福岡県をスタートした国公九州ブロック連鎖キャラバンは、10月28日、佐賀県に入りました。初日のとりくみとして、佐賀県国公の仲間が自治体要請行動を展開。佐賀県労連の「網の目キャラバン」とも結合し、賃下げ勧告の実施反対、賃下げ不況の悪循環を断ち切ることを訴えるとともに、政府の進める公務員制度改革が、天下りを自由化するなど、政官財の癒着がいっそう深刻になることや、国民に背を向ける人事管理を強めることで、“悪政の手先となる公務員づくり”となり、国民サービスが低下することなどを説明し、民主的な公務員制度を確立することの重要性を訴え、政府等関係機関に働きかけるよう要請しました。意見交換では、不利益遡及について関心を持たれるなど、公務員労働者の働くルールの侵害とマイナス勧告が自治体や地域の民間労働者へ悪影響を及ぼし、地域経済がさらに悪化することなどに危惧する声が出されました。
 夕方には集会を開催し、初日の行動と、今の情勢について報告・意思統一を行いました。冷たい風が強く吹く中でしたが、50名の仲間が結集し、とりわけ100万署名をはじめとする国民共同の前進に全力をあげようと意思統一しました。沸々とわき上がるみんなの熱い気持ちが、この寒空をはね返すような集会でした。
 翌日29日、前日に引き続き、佐賀での自治体キャラバンを行いました。江北町では、総務課長対応でしたが、私たちの民主的な公務員制度確立と賃下げ不況のサイクルを断ち切ろうとの要請に対し、「真摯に受け止める。町長に伝え、対処したい」と発言しました。キャラバンに参加した仲間は、こうした行動が、全国各地で行われたらすごい力になると確信し、九州ブロック連鎖キャラバンを、次の熊本へバトンタッチしました。

(国公九州ブロック事務局次長・仙道久嗣メール通信員発)

★全労連ILO要請団が元気に帰国−結社の自由委員会への要請、労働組合との交流などで奮闘−
(※全労連「公務員制度改革」対策本部発行の「公務員制度改革」闘争ニュース〈2002年11月5日No.18〉から転載)

 10月26日に日本を出発した全労連ILO要請団(団長:岩田全労連事務局次長・国際局長)は、ロンドン・ジュネーブを回り、予定されたすべての日程を順調にやりとげ、11月3日に帰国しました。
 ILO本部では、結社の自由委員会事務局担当のパトリック・キャリエール氏と意見交換し、11月7日から始まる同委員会において、日本の「公務員制度改革」にかかわって、日本政府への勧告の実現を強く要請しました。
 なお、25名の団員のうち、岩田団長、山瀬副団長(国公労連副委員長)、加藤要請団事務局次長(全労連国際部長)は、引き続きジュネーブに滞在し、結社の自由委員会への対応をはかることとなっています。

◆ILO結社の自由委員会への要請 みなさんの報告はILOの情報を証拠だてるものだ

 今回のILO要請行動は、岩田事務局次長を先頭に、団長代理として若井自治労連副委員長、副団長を山瀬国公労連副委員長がつとめ、その他、自治労連15名、国公労連4名、全教1名など全体で25名が参加しました。
 一行は、ロンドンにおいて各単産独自の調査・視察行動にとりくみ、その後、ジュネーブに移動して、ILO本部への要請行動などにのぞみました。
 メインの行動となった11月1日午前10時からの結社の自由委員会への要請では、全労連などが提出した「公務員制度改革」にかかわる提訴を担当している事務局のパトリック・キャリエール氏に面会し、岩田団長を中心にして、公務労働者の権利を後退させる「公務員制度改革」の重大性、労働組合との交渉・協議を無視して一方的に作業をすすめる日本政府の「木で鼻をくくるような」不当な態度をあらためて指摘しました。
 そのうえで、「公務員制度改革大綱」の撤回、検討作業の中止、公務労働者の労働基本権回復を求めつつ、今回の結社の自由委員会で討議をすすめ、日本政府への勧告など必要な措置を要請しました。
 5月に公務3単産書記長が訪問した際にも対応したキャリエール氏は、一行を歓迎しながら、全労連が提出している「訴状」が、今後、結社の自由委員会や理事会、12月の条約勧告適用専門家委員会、さらに来年6月の総会などの場で十分に審議され、問題が解決するまでILOの監視活動がつづくことを明らかにしました。
 11月の結社の自由委員会で勧告が出されるかどうかは、キャリエール氏自身から言明はありませんでしたが、こちらからの要請を受けて、「みなさんが報告されたことは、ILOが集めた情報を証拠だてるものである。私たちが認識していることと一致する。結社の自由委員会での検討の中身としてとりあげたい」とのべるなど、結社の自由委員会で何らかの結論が示される感触もつかむことができました。
 要請団からは、「マイナス勧告」が強行されるもとでの人事院勧告制度の「代償性」にかかわる重大な問題、議会決議などで一方的に賃金カットが強行されている地方自治体の実態など、公務員の権利をめぐるこの間の新たな状況を報告しつつ、結社の自由委員会では、これまでILOの指摘に理屈をつけて逃げ回ってきた日本政府が、あれこれと言い訳できないような勧告が出されるよう求めました。
 キャリエール氏は、「日本の『公務員制度改革』は広範囲におよぶ問題をふくんでいる。今後、これらの問題について、労働組合など関係する人たちの間で、社会的対話がすすめられることを希望する」として、「誠実な交渉・協議」の必要性を強調しました。また、最後に、「大勢のみなさんが、はるばるジュネーブに来てもらったことに感謝したい。みなさんからの情報は大いに役立つものだった。委員会開催ギリギリまで情報を集めたい」とのべ、今回の要請をふまえた努力がのべられました。
 キャリエール氏は、約1時間20分にわたって、日本からの要請をメモしながら、きわめて誠実かつ真剣に耳をかたむけていました。数日後にせまった結社の自由委員会での結果に期待がふくらむなかで、要請行動を終えました。

◆世界労連・国際自由労連の役員ともなごやかに懇談

 要請団は、同日午後に、ILO理事会の労働者グループ責任者であり、国際自由労連ジュネーブ事務所の責任者をつとめるダン・クニヤ氏と面会し、約1時間30分にわたって懇談・交流しました。
 岩田団長が、面会に感謝したうえ、今回の訪問の趣旨や「公務員制度改革」の現状を報告しながら、ILO結社の自由委員会にむけた協力を求めました。
 クニヤ氏からは、全労連からの要請団を歓迎しつつ、全世界で1億5700万人が加盟する国際自由労連の組織実態、ILO理事会における活動状況などが説明され、「公務員制度改革」については、「日本政府の態度は間違っており、現在、法案策定にむけた作業がすすんでいるが、そのまますすめば事態はますます悪くなるだろう。みなさんからの説明に感謝したい」と見解が示されました。
 また、これらの行動に先立ち、要請団は、10月31日に世界労連ジュネーブ事務所を訪問し、5月につづいてラモン・カルドナ事務所長(世界労連書記次長)となごやかに懇談しました。わずか9か月前にはるばるキューバから赴任したばかりのカルドナ氏は、たった一人で奮闘してきた苦労も感じさせないような笑顔で要請団をむかえ、「経済のグローバリゼーションのなかで、新自由主義とのたたかいが世界労連の最大の課題だ。政治や経済の流れと正面からたたかわなければ、労働者の権利も前進しない」とのべ、「みなさんも日本でたたかっている。私たちもいっしょにたたかいたい」と要請団を激励しました。
 カルドナ氏からは、ラテンアメリカでの民営化反対のたたかいなどが報告されるとともに、アメリカのイラク攻撃に対して全世界で反対運動がひろがっており、ジュネーブでも2千人の集会が開かれたことなども紹介されました。
 国公労連の参加者は、「公務員制度改革署名(200万署名)」をカルドナ氏に手渡し、さっそくサインしてもらうなど、国際的な「対話と共同」も実現しました。
 25名の要請団全員が座るだけの椅子もない簡素な事務所でしたが、終始、なごやかな雰囲気の中で交流・懇談をおこなうことができました。

◆ロンドンの国際労働者権利センター本部などを訪問

 今回の要請行動では、ロンドンに立ち寄り、自治労連と国公労連の参加者がそれぞれ独自の調査・視察行動にとりくみました。そのなかで、自治労連は民営化された老人ホームの視察、国公労連がイギリス公務庁への聞き取り調査など、2日間にわたって精力的な活動をくりひろげました。また、国公労連は、イギリスのナショナルセンターであるTUC本部を訪問し、交流・懇談しました。
 さらに、全労連要請団としては、国際労働者権利センター本部を訪れ、労働者の権利問題や、各国の公共業務の民営化の状況、それに対する労働者のたたかい、日本の「公務員制度改革」などを相互に報告し、参加者が質問や意見を出し合い交流を深めました。

◆ジュネーブ繁華街 「国際署名行動」で7人から署名を獲得! −「200万署名」の目標達成へ決意を新たに−

 10月31日午後には、要請・交流の合間をぬって、要請団一同は、ノボリ旗・横断幕を持参してきた国公労連代表団のリードで、ジュネーブの繁華街で「国際街頭宣伝・署名行動」にとりくみました。
 それぞれが英語で書かれた説明文を手にしながら、日本政府の「公務員制度改革」に反対する署名であることを手振り身振りで苦労して説明し、そうした悪戦苦闘のすえ、スイス人7名から署名を獲得するという画期的な成果をあげました。
 署名行動を終えた参加者は、この成果を日本に持ち帰り、職場の仲間にも伝え、何としても200万人の目標を達成させるとの決意を固め合いました。
 今週末の結社の自由委員会では、ILO条約もふみにじる日本政府の態度がきびしく糾弾されることが予想されます。こうした国際世論を背景にして、日本国内の世論を急速に盛り上げていくことがいよいよ重要となっています。
 公務・民間を問わず、全労連に結集するすべての仲間の力を結集し、200万の署名を集めきるためいっそうがんばりましょう。

以  上


トップページへ  前のページへ