| |||
【※「公務員制度改革」闘争ニュース(全労連「公務員制度改革」闘争本部発行)2002年11月22日《No.20》より転載します。】 日本政府に「公務員制度改革」の再検討を求めるILO結社の自由委員会勧告が出されるなか、全労連「公務員制度改革」闘争本部は11月21日夜、「ILO緊急報告集会」を東京都内で開催しました。 集会では、勧告の内容や評価について理解を深めるとともに、ILO勧告という新たな情勢をふまえ、あくまで「公務員制度改革」をねらう政府を世論と運動の力で包囲するために、当面する「200万署名」のとりくみをはじめ、労働基本権回復など民主的公務員制度確立のたたかいをいっそう強化していく重要性を意思統一しました。 集会には、民間組合をふくめて約100名が参加しました。 「胸のすくような」画期的な勧告の内容 集会のはじめに主催者あいさつした全労連「公務員制度改革」闘争本部の坂内本部長(全労連事務局長)は、「久しぶりに胸のすくような勧告が出された」としながら、「地方選挙での前進など、小泉内閣の悪政に対する批判が大きな声になっている。そうした政治を変える流れのなかでのILO勧告であり、そのことをお互いの確信にしたい。全労連は、勧告をふまえて、『公務員制度改革』を断固阻止するたたかいを展開する。今日の集会をその出発点にしよう」と決意をのべました。 闘争本部の岩田事務局長(全労連事務局次長・国際局長)からは、今回のILO勧告の内容について詳しい報告がありました。11月9日にジュネーブから帰国してきた岩田事務局長は、結社の自由委員会報告の全文を収録した分厚い資料を示しながら、「全労連として、勧告の中身を高く評価する。勧告にもとづく対応を政府に求める」とのべ、結社の自由委員会での議論経過と結論をはじめ、通年にわたるILOによる条約監視手続きや、さらには、全労連として派遣してきたILO要請団のとりくみの成果などについて報告しました。 岩田事務局長は、「今回は『中間報告』として勧告が出されているが、これは引き続き監視を継続するという意味だ。『公務員制度改革』が進行する限り、繰り返しその動きはILOの監視を受ける」などとの解説もまじえ、今回の勧告の重みを具体的に示しました。 また、「日本は木造家屋が多いから、消防士の団結権やストライキ権をあたえるのは不適当などという、誰が聞いてもバカバカしい見解を政府はILOに示してきた。そうした非常識さも勧告の背景になっている」と、これまでの日本政府の対応について批判しました。国際社会の一員として、勧告に誠実に応えることが政府のとるべき当然の道です。岩田事務局長は、「政府を追い込むためには、運動が必要だ。労働組合の力が問われている」とのべ、「200万署名」の目標達成や2003年春闘にむけた共同した運動の重要性を訴えました。 国内での運動の強化をあらためて確認 公務各単産からの発言では、「国内での運動の重要性が増している。勧告の意義を職場でひろげていくことが緊急の課題だ。来春闘にむけて、ILO勧告もふまえた『意見書採択運動』の議論もはじめている。勧告を生かす運動をひろげたい」(国公労連・小田川書記長)、「勧告は、公務各単産が全労連に固く結集して、ILOに働きかけてきた成果だ。今回のILO要請団では、全国から16名が参加した。一方的に定員削減や退職手当削減が既成事実化されるなど、働くルールが無視されているが、勧告をふまえ、働くルール確立にむけてたたかう」(自治労連三宅書記長)などの決意が表明されました。また、全教の新堰副委員長からは、岡山高教組が提訴していた案件に対する結社の自由委員会勧告と、ILO・ユネスコへの申し立てについて報告がありました。 その後、全労連ILO要請団の副団長をつとめ、約2週間にわたってロンドン・ジュネーブで奮闘してきた国公労連の山瀬副委員長をはじめ、国公労連の要請団参加者がコントもまじえてILO要請の様子を再現すると、会場は笑いにつつまれました。 最後に堀口副本部長(国公労連委員長)が閉会あいさつし、「ILO勧告は、『公務員制度改革』の内容・手続きがともに否定されたものだ。全労連の大義ある主張が、世界的にも認められた。国際世論による怒りの表明に自信と確信を持とう。国内の運動を強め、勧告にもとづく公務員制度の実現に結びつけよう」と呼びかけ、集会をしめくくりました。 「承服できない」と国際世論に挑戦 −総務省がILO勧告に対する「見解」を発表− 今回のILO勧告をふまえて、総務省は、結社の自由委員会の報告に対する「見解」をマスコミに発表しました。 その内容は、勧告が日本の実情を十分理解した判断とは言えないと指摘し、「従来のILO見解と異なる部分もある」などとのべ、総務省としては「承服しがたい」としています。 また、ILOが「公務員制度改革」に言及することについて、「純粋に国内問題」であり、政府方針に対して「再考」せよなどということ自体、「不適切なもの」だと決めつけ、あくまで「大綱」の具体化にむけた検討をすすめる姿勢を表明しています。 これが政府全体の見解ではないにしても、ILOをはじめ国際世論への挑戦とも言える総務省の見解は、世界からさらなる批判を集めるものであることは明らかです。 こうした総務省の姿勢からも、あらためて政府への追及をつよめ、労働基本権制約を維持する「公務員制度改革」を、私たちの力で断念させていくたたかいがますます重要となっています。 | |||
以 上 |