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昨年12月28日付の『読売新聞』は、「公務員能力給見送り、改革大綱見直し」とする記事を1面で報道しました。 この報道にかかわって、政府・行革推進事務局は、公務労組連絡会の問い合わせに対して、「取材を受けたものではなく、『見送り』などは考えていない」などと答え、あくまでも、「公務員制度改革大綱」にそって作業をすすめているとの「回答」を示してきました。 年が明け、同様に、『毎日新聞』(1月12日付)では「公務員制度改革法案−通常国会提出困難に」、『日本経済新聞』(1月14日付)では「政府、新規立法を断念」(※能力等級法についての報道)などの報道もされていますが、『読売新聞』の報道と同一線上のものと言えます。 通常国会への関連法案提出がねらわれる重要局面をむかえ、民主的な公務員制度確立を求める世論を急速にひろげていくことが求められています。(※以下、「公務労組連絡会FAXニュース」2003年1月10日《No.375》から転載します) ◆「見直し」などの議論はまったくしていない 昨年12月28日付の『読売新聞』は、政府が「公務員制度改革大綱を抜本的に見直す方針を固めた」とし、見直しの中身として、「能力給制度の導入を見送る一方、制約されている国家公務員の労働基本権の拡大を検討する」と報道しました。 記事では、その理由として、「職員の能力を適切に評価する基準が作れず、内閣法制局も『現在の職務とどう違うのか』と新たな基準作成に疑問を示した」としています。その結果、「能力等級の基準は作成するものの、完成しても給与基準には使用せずに現行の職務給制度を維持し、ポストの昇格や異動などの任用基準としてのみ使う方針を固めた」と報じています。 さらに、公務員労働者の労働基本権について、「団体交渉権を拡大する方向で検討を進めている」「政府と組合側が協議することを義務づける『労使協議制』を導入する」などとの記事も付け加えています。 この報道をふまえ、公務労組連絡会は、その真偽を問い質すため、年明け早々から行革推進事務局に対して説明を求めてきました。その結果、推進事務局は1月10日、次のような「回答」を公務労組連絡会事務局に示してきました。 ●『読売新聞』の記事については、推進事務局として正式に取材を受けたものではない。現在、「大綱」にもとづいた作業をすすめており、そのことからも「見直し」などの議論はおこなっていない。 ●能力等級制度にもとづいた給与制度は、「大綱」の根幹をなすものであり、「見送り」など考えもしていない。 ●労働基本権にかかわっても、「制約維持」が「大綱」の内容である以上、その点を変更するような検討もしていない。 さらに、推進事務局は、「石原行革担当大臣も、マスコミの質問に対して、『読売』記事のような検討を政府として行っている事実はないと見解をのべている」と説明し、報道が「根も葉もないうわさ」であるかのような態度を示しています。 ◆当初スケジュールから大きく遅れている検討作業 しかし、一方では、国家公務員法・地方公務員法「改正」法案など「公務員制度改革」関連法案が、間近に開会が迫っている第156回通常国会の「提出予定法案」にあがっておらず、いまだに「検討中」となっている情報も伝えられています。法案提出時期も依然として未定のままです。 これらは、推進事務局の検討作業の遅れをあらわすものであり、その背景には、昨年11月に出されたILO勧告や、労働組合などとの協議の遅れがあるものと考えられます。いずれにしても、政府・行革推進事務局が当初描いていたスケジュールが、大きく遅れを見せはじめていることは明らかです。 くわえて、最近の一連のマスコミ報道は、「公務員制度、これでは改悪になる」(『東京新聞』11/5)、「迷走公務員制度改革」(『読売新聞』11/22)、「公務員制度改革立ち往生」(『朝日新聞』12/23)など、政府のすすめる「改革」に批判的な報道がいちだんと目立ってきているのが特徴です。 こうした背景には、「公務員制度改革」の内容が明らかになって以降、3年がかりでねばり強くたたかいをすすめてきた私たちの運動が、着実に民主的公務員制度を求める世論をひろげ、その結果として、政府・行革推進事務局を追いつめていることは明らかです。 そのことにあらためて確信を持ち、公務員制度課題を2003年春闘の中心課題にしっかりと位置づけ、職場や地域から運動をひろげ、能力給導入のみならず「天下り」自由化、労働基本権の制約強化をねらう「公務員制度改革大綱」を根本から打ち砕くことが重要となっています。 | |||
以 上 |