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国公労連は、推進事務局が3月28日に国公法等「改正」の条文案を各省に提示して意見を求めたことに対し、4月4日(金)午後、推進事務局に緊急に申し入れを行いました。 これには国公労連から堀口委員長、山瀬副委員長、小田川書記長ほか3名が参加し、推進事務局側は堀江局長、春田室長、高原参事官ほかが対応しました。交渉経過の概要は以下のとおりです。(注:○は国公労連、●は推進事務局) 交渉の冒頭、堀口委員長が、「国家公務員法等『改正』作業にかかわる申し入れ」(別紙参照)に基づき、昨年12月19日に行われた局長交渉で「具体的、実質的な交渉・協議ができるよう努力するし、進め方についても相談していく」と回答していたにもかかわらず、国公労連との協議はもとより人事院などの制度官庁との協議も尽くさないままに、各省に対し非公式に国公法等「改正」案を示し、これに対する意見聴取を行ったことについて、「見切り発車であり、極めて不誠実である」と厳しく指摘しました。そのうえで、改めて、今回の「公務員制度改革」は国家公務員の重大な労働条件の変更であるだけでなく、行政サービスのあり方や国民生活全般に関わって重大な意味を持つものであること、ILOなど国際世論も問題点を指摘していること、全労連と連合の二つのナショナルセンターがこぞって反対していること、などをふまえ、担当所管庁として責任をどのように果たそうと考えているのかを明確にするよう迫りました。 【局長回答要旨】法案作業は「期日を決めて問答無用」ではない これに対し、堀江局長は要旨以下のとおり回答しました。 ● 前回の交渉で「こちらはいつでもドアを開けている。立場や主張があるにしても誠心誠意話し合っていきたい」と回答し、その後は私ではなかったが交渉・協議に応じてきた。今回、非公式とはいえ法案を各省に提示したことについて、これは「いつまでに」という期限はなく、「問答無用」というものでもない。できるだけ一致点を見い出すため誠心誠意やっていく、というスタンスに変わりはない。 今回の法案は、公式・非公式を問わず、形のあるものがないと意見交換もしにくいのではないかと思い、お示ししたものである。各省にもいろいろ質問やご意見があると思う。(石原)大臣と話をする中で、大臣も「どうして誤解されるのか」とよく話されており、大臣からも「議論を大いにやるべし」「期日を決めて問答無用でやるな」と指示されている。皆さんにも失礼があったかもしれないが、その主旨を是非理解していただきたい。 法案化に向けた作業の段取りは、各省に示した資料の最後にあるとおりである。二つのナショナルセンターから進め方に批判があることについては、それぞれに対して誠実に対応してきたつもりだが、ご不満があれば相談していきたい。 国内世論の関心事は、労働基本権問題もあるが、天下り問題の方がより強く、キャリアだけでなく、特殊法人を含めて公務員全体に突き付けられている。官邸の最大関心事の一つであり、今回の法案改正作業でもきちんとした対応を図ろうとしている。 労働基本権問題は大きな問題であり、1〜2日で結論が出るものではないが、かといって遠い将来の問題でもなく、議論することを否定していない。ILOの指摘は日本の実情を無視した部分や、過去の経緯に照らして納得できない部分もあり、政府としてILOに追加情報を提出した。この問題でどこまで折り合えるかはあるが、この問題を横において突っ走るつもりはなく、検討していく意義は重要だと考えている。 【国公労連追及点】推進事務局の極まる「不信感」を払拭せよ! 以上の局長回答を受け、小田川書記長がさらに以下の点を追及しました。 ○ 第1に、昨年12月の「誠実な交渉・協議に応じる」との局長回答を受け、この間、労使の立場とILO勧告をふまえて対応してきた。しかし、現実はそうではないという大きなズレがあり、推進事務局のやり方に極めて大きな不信感を持っている。これを解消するための努力をどうするのか。 第2に、局長は「いつでもドアを開けている」と回答したが、実質的な交渉・協議をどう担保していくのか。片山総務大臣は「4月中、又は5月連休明け」と答弁しているが、このことは日程を決めていることにならないのか。 第3に、進め方とともに中身も問題であり、労働基本権問題は遠い将来の問題ではないと言うが、これについても協議を尽くすと理解して良いのか。 第4に、制度ができたらそれで終わりではなく、その運用問題が極めて重要になる。各省の労使関係からみて、各省レベルでの交渉・協議も必要であるにもかかわらず、3月28日に示して31日までに意見を上げろというやり方自体が問題だ。 【局長再回答要旨】労働基本権論議ぬきの法案作業の先行はない これに対し、堀江局長は、要旨以下のとおり再回答しました。 ● 労使関係について、我々は必ずしも国公法上の使用者ではないが、公務員制度改革に関わっては担当部局として政府を代表する立場にあり、その交渉範囲において国公法108条の5に準じて対応していきたい。 作業を進める以上「目安」は必要で、目標管理的なスケジュールも必要だが、その日程は絶対的で問答無用なものでなく、この点では片山大臣の認識も同じである。 労働基本権問題の基本スタンスは、「代償措置」に関わって最高裁判決の立場を確保することにあり、政府・各省と人事院の権限問題をめぐって議論はあり得るし、「法案は法案で先に」という訳ではない。 制度化に伴う運用問題の大切さはまったくそのとおりである。これまでは人事院に「おんぶに抱っこ」だったこともあり、各省に人事管理のスキルやノウハウ、経験の蓄積がなく、研修やトレーニングが必要だと考えている。 【国公労連再追及】大臣交渉のセットを含め早急な対応をせよ! その後いくつかのやりとりを経て、最後に堀口委員長が以下のとおりまとめの発言を行い、推進事務局側の早急な対応を求めて申し入れを終えました。 ○ 「まずスケジュールありき」ではないとの回答だが、結局は推進事務局が描いているスケジュールと土俵の中で意見を聞くということではないのか。例えば労働基本権問題は遠い将来の問題にはならないと回答した。それなら、今回の制度改革とパラレルで検討されるべきであるし、それが国際世論と2つのナショナルセンターに対する責任にもなる。まず共通の土俵づくりがなければ、誠心誠意の対応とはいえない。 石原大臣が「どうして誤解されるのか」と言っていたとのことだが、我々は全労連の一員として2年近くも大臣に会っていない。局長が「いつでもドアを開けている」し、「ナショナルセンターの対応に不満があれば相談したい」と言うのであれば、大臣が我々と直接会ってきちんと対応すべきだ。 制度の運用問題では、そこに至る事前の認識一致が肝要である。局長はやりがいの持てる制度をと言っていたが、当該労働組合・組合員が納得していない制度はうまくいくはずがない。我々の土俵できちんと議論して到達点を作るのでなければ、第一線の現場はひどいことになり、局長の言う生きがいや働きがいが持てるようには絶対にならない。我々の労働条件だけでなく、日本の国家百年の大計に関わることであり、今回の申し入れに対する具体的な対応を改めて求めておく。 (以 上) 【別紙】2003年4月4日 行政改革担当大臣 石 原 伸 晃 殿 日本国家公務員労働組合連合会 国家公務員法等「改正」作業にかかわる申し入れ
去る3月28日、行政改革推進事務局から各省に対し、国家公務員法の一部「改正」等にかかわる条文案が提示され、極めて短時間での意見提出が求められたと承知しています。私たちは、そのような事実に驚きと同時に激しい怒りを禁じ得ません。 |
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(以 上) |