※全労連「公務員制度改革」闘争本部発行:「公務員制度改革」闘争ニュース
2003年5月26日No.27より転載。
全労連「公務員制度改革」闘争本部は、5月下旬の「結社の自由委員会」開催をひかえて、ジュネーブのILO本部に要請団を派遣しました。
昨年の5月、11月につづいて、3回目となった今回の要請団は、闘争本部の岩田事務局長(全労連事務局次長)を先頭に、自治労連の三宅書記長、国公労連の小田川書記長、全教の北村中央執行委員、通訳をかねて全労連加藤国際部長が参加しました。
一行は、5月17日に日本を出発し、20日にILO結社の自由部のベルナール・ジャーニゴン部長と面会したほか、ILO理事会の労働者グループ責任者のダン・クニヤ氏(国際自由労連ジュネーブ事務所)、世界労連ジュネーブ事務所のラモン・カルドナ氏(世界労連書記次長)との懇談などの日程をこなし、21日に帰国しました。
政府の「追加情報」に対して、事実を示して反論
要請団は、20日にILO本部6階にある事務所で、結社の自由部のジャーニゴン部長と面会し、「公務員制度改革」にかかわって要請しました。
要請では、3月31日と4月15日に日本政府がILOに提出した「追加情報」の問題点指摘を中心に、(1)日本政府が全労連に対して意図的な排除・差別政策をとっている、(2)労働基本権制約の見直しにかかわる交渉・協議を拒否している、(3)「追加情報」の内容は、従来の政府見解の繰り返しにすぎない、(4)今日にいたっても、政府は、「大綱」に固執し、ILO勧告を無視し続けていることなどの点を口頭で報告し、ILOが日本政府に対して、強く働きかけてほしいと要請しました。
また、要請では、マイナス勧告にもとづく「不利益遡及」を政府が一方的に強行し、国公労連組合員139名が裁判に訴えていることも伝えました。
これに対して、ジャーニゴン部長は、「国会の会期はいつまでか。会期中に法案を出すかどうかわかっていないのか?」などと関連法案の検討状況への関心を示しつつ、「みなさんが政府がすすめる公務員制度改革について非常に不満を持っているのは当然だ。また、不満に思っているのは、交渉・協議において十分に扱われていないということもよく理解している」とのべました。
岩田闘争本部事務局長は、「全労連との交渉は1回のみだ。日本政府は、態度を変えずに、法案準備をすすめている。働きかけを強めてもらいたい」とのべ、自治労連三宅書記長からは、「地方公務員制度改革」で、総務省との交渉の経過が説明され、「総務省は行革推進事務局の作業待ちの態度だ。このままでは地方公務員関係は、交渉・協議もなく、見切り発車になる」と現状が報告されました。
また、全教北村中執からは、「日本の公務員労働者の38%は教育公務員であるが、15万人を組織する全教に対して、日本政府は、『誠心誠意協議を行う』との姿勢に立っていない。また、政府は、教員は第98号条約の適用除外との姿勢を変えようとしない」とのべ、国際的な労働基準の適用を再度、日本政府に強く働きかけてもらいたいと要請しました。
国公労連小田川書記長からは、「政府が準備を進めている法案は、昨年の勧告をふまえたものにならないと思っている。連合と政府との間では、労働基本権問題での『協議の場』設置が議論されている。しかし、かつてドライヤー報告が出されたときも、基本権問題は将来のこととされた。それを繰り返さないため、勧告に示された具体的事項について、政府はただちに検討に入るよう働きかけてもらいたい」と要請しました。
「委員会で検討されることを期待」とジャーニゴン部長が表明
これらの要請に対して、ジャーニゴン部長からは、「中間報告で示したように、政府との間でも連絡をつけているところだ。5月末に開かれる結社の自由委員会では、日本政府の『追加情報』もふまえて論議される。そこで委員会が検討するかどうか決めることになる。議題としては委員会に提案するが、2日間の日程のなかでたくさんの議題を処理する必要がある」とし、今後の取り扱いが示されました。
そのうえで、「私は、委員会が検討することを期待している。今回は総会の前の委員会だ。理事会は総会の後に開かれ、提案について採択するのか否かは、総会の最中に扱うことになる。そして、結社の自由委員会としての結論が出るのは、6月の理事会になる。委員会は情報を非常に注意深く審議することになる。必要な勧告も準備する。時期的には、今は微妙な時期だ」と、今後の見通しもふくめた見解がのべられました。
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