国公労連は、本日午前、マスコミ報道などから6月上旬にも「公務員制度改革関連法案」の閣議決定強行が予測される情勢を受けて、「『国家公務員制度改革関連法案の主要論点の整理について』への質問書」(別添参照)を提出し、推進事務局に対して申し入れを行いました。
これには国公労連から山瀬副委員長、小田川書記長、岸田書記次長ほか2名が参加し、推進事務局側は高原参事官ほかが対応しました。以下、申し入れの際の概要です。
<閣議決定強行は許さない!質問書への回答を早急に求める!>
冒頭、小田川書記長は「6月上旬にも『公務員制度改革関連法案』が閣議決定されるのではないか、とのマスコミ報道がされている。しかし、4月30日に推進事務局から『国家公務員制度改革関連法案の主要論点の整理について』の正式提案及びその説明を受けたが、その内容は極めて不十分である。また、『公務員制度改革大綱』や『新人事制度原案2次』とのつながりが不明な部分も相当あり、このまま閣議決定など認めることは出来ない。今回、『国家公務員制度改革関連法案の主要論点の整理について』への質問事項をまとめたので、4月に局長から今後の誠実対応についての回答が出されていることも踏まえ、意義のある交渉・協議を進める立場から、質問書の各事項について、推進事務局の見解を明らかにされるよう求める。」と強調しました。
これを受けて、高原参事官は「質問に対する回答の時期、内容については、改めて連絡することとしたい。」「3月28日に各府省に対して主要論点と法案の一部を非公式に提示したが、その後、法制局の審査も進み、変更した部分もある。回答はそれらを踏まえたものとしたい。」と回答しました。
小田川書記長は「国会会期を考えると、推進事務局における制度改革検討も最終局面に至っているものと承知するが、国公労連としては、問答無用の閣議決定には断固反対する。労働基本権問題などこちらの要求事項も相当あるが、先ずは推進事務局の考えを明らかにするという事で、この質問書に対する回答を早急に文書で行うよう、強く申し入れる。」と述べ、申し入れを終えました。
【別添】
2003年5月30日
内閣官房行政改革推進事務局
事務局長 堀 江 正 弘 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 堀 口 士 郎
「国家公務員制度改革関連法律案の主要論点の整理について」への質問書
去る4月30日、貴事務局から正式提案をうけた標記にかかわって、意義のある交渉・協議を進める立場から、下記事項について見解を明らかにされるよう求めます。
なお、貴事務局の見解もふまえた再質問や、当方としての要求を提出する考えです。貴事務局での制度改革検討が最終局面に至っていると承知しますので、本質問書に対する回答を早急におこなっていただくよう求めます。
記
1 能力等級制度を基礎とした新人事制度の構築にかかわって
(1) 「公務員制度改革大綱」や「新人事制度原案2次」と「主要論点」との関係を明ら かにされたい。
(2) 能力等級制度の導入目的を「公務の一層の能率的な運営の確保の実現」としている が、どのような点で、どのような改善効果を期待しているのか。
(3) 「公務の民主的な運営の保障」という公務員制度の今ひとつの目的との関係では、能力等級制度をどのように位置づけているのか。
(4) 能力等級法の適用範囲を「一般職に属する職及び一般職に属する職員」としているが、
1) 特定独立行政法人職員についても適用対象なのか。
2) 適用対象とする場合、「職」の概念は非現業国家公務員と同様か。
3) いわゆる特労法と能力等級法の関係を説明されたい。
4) 適用対象としない場合の任用等における国家公務員法適用との関係はどう整理されるのか。
5) 非常勤職員は適用対象か。
6) 適用対象外とした場合の処遇決定の基準(とりわけ給与における「職員との権衡」)はどのように整理されるのか。
(5) 能力等級法における「任命権者」と国家公務員法での「任命権者」との違いはあるか。違いがあるとすれば、それはなぜか。
(6) 能力等級法実施の権限を内閣総理大臣とするのはなぜか。「内閣総理大臣」とするのであれば、国家公務員法第108条の5の見直しが必要となるとも考えられるが、それが予定されていないのはなぜか。
1) 現行の職階制では、勤務条件性はどのように整理されているか。
2) 人事院の意見の申出の根拠はなにか。
(7) 職階制と能力等級制の違いはどこにあるのか(職の分類にかかわって、現行国家公務員法第29条の規定と能力等級法第4条の規定はどのように違うのか)。
(8) 能力等級制においては、まず、標準的な官職及び標準的な官職の職務遂行能力を基準として、個々の官職を能力等級に分類することになるのか。
1) 原案2次等で示された「基本職位、代表職務」と「標準的な職務」との違いあるのか。
2) 能力等級法では、「標準的な官職の職務遂行能力(標準職務遂行能力)」が規定されていないが、それは誰が、どのように設定するのか。
3) 能力等級表(別表第1)における「標準的な官職」の「基準」はなにか。例えば行政組織法などとの関連はあるのか。
4) 個別官職の分類は、係員段階までおこなうことを想定しているのか。仮にそうだとすれば、個別官職の等級変更は、どのような場合、誰がどのようにおこなうのか。
5) 職務が「定型的なもの」、「標準的なもの」、「比較的困難なもの」、「困難なもの」、「比較的重要なもの」、「重要なもの」の違いはなにか。例えば、「定型的なもの」と「標準的なもの」の境界領域は、誰が、どのように判断するのか。
6) いわゆる専門官職、分掌職などについての官職分類は、だれがどのようにおこなうのか。法令上明記しないのはなぜか。
7) 能力等級表間の異動についての対応関係は、誰がどのように設定するのか。その際の基本的考え方はどのように整理しているか(例えば、税務職能力等級表の3級・係員から行政職能力等級表への異動はどのようになるのか)。
8) 個別官職の官職分類と、原案2次でふれられていた「人員枠」との関係はどうなるのか。また、組織新設の場合の官職分類についてはどのような関係になるのか。
9) 能力等級表の新設(例えば、最近の福祉職俸給表のような)は、どのような場合にどうのような手続でおこなわれるのか。
(9) 職員の能力等級は、標準職務遂行能力を基準にした「能力」及び職務適性の評価をもとに、官職に任用することにより決定されることになるのか。
1) 職務遂行能力の評価にかかわって、採用試験、採用選考における職務遂行能力等の判定、昇任等における勤務成績評定結果等にもとづく判断、相互の関係はどのように理解すればよいか。
2) 標準職務遂行能力と職務適性の違いは何か。勤務成績の評定内容との関係はどうなるか。基本は職務遂行能力か。
3) 勤務成績の評定方法(仕組み)は、誰がどのように策定するのか。苦情処理の仕組みはどう検討しているか。
4) 人事院の救済システムと評価制度との関係はどのように整理されているか。
5) 標準職務遂行能力の意味するところはなにか。現についている官職の職執行を通して評価できるのは、当該官職が格付けられている能力等級の標準職務遂行能力を基準に判定することになるのか。
6) 仮に5)の後段だとすれば、昇任は、上位等級の標準職務遂行能力をみたさない場合でも可能となるのか。降任の場合はどうか。
7) 仮に、上位等級の標準職遂行能力をみたしていることが昇任の要件だとすれば、現に就いている官職での職務遂行で判断できるのか。
8) 当該官職が属する能力等級の標準職務遂行能力を有しないと判断されれば、「下位の能力等級に決定」となるのか。
9) 昇任と昇格、降任と降格との関係はどのようになるのか。関連して、現行制度では認められる「暫定定数」の考え方は、能力等級制度のもとではどのようになるのか。
10) 採用試験は、採用しようとする官職が分類される能力等級の標準職務遂行能力基準 をもとに判定することとされているが、採用試験の種類や区分は、現状どおりとする のか。現行どおりだとすれば、その理由はなにか。
11) 採用において、職務適性の判定は、何をもとにどのようにおこなうのか。「将来の 能力の開発及び向上の可能性」はどのように判定するのか。それらの基準は、設定す るのか。
(10) 任用一般にかかわって、「公務の運営上必要がある場合」とはどのような場合か。
1) 公務運営上必要があれば降任も可能なのか。仮に可能であるとすれば、それは不利益処分となるのか。
2) 職員に必要な資格とは何か。
3) 政令に委任される内容はどのようなものか。
4) 臨時的任用、任期付き任用と能力等級制の関係はどのようになるのか。
(11) 任用中、欠格事項についてのみ、人事院規則に委任するのはなぜか。
(12) 採用試験の企画立案を内閣総理大臣とするのはなぜか。実施機関はどこを想定して いるのか。
(13) 給与については、官職につくだけでなく、その職務を遂行する上で発揮した能力に 応じてなす、としているが、標準職務遂行能力基準と給与との関係はどのように考えて いるのか。
1) 能力等級に格付けられること(官職につくこと)と給与との関係は無関係か。
2) 「給与の根本基準」と「俸給表」との関係はどのようになるのか。現行の官民賃金比較方法は職務の類似性に着目して民間賃金を把握しているが、「発揮した能力」に着目した民間賃金調査とはどのようなことを想定しているのか。
3) 「発揮した能力」の把握の方法はと勤務成績の評定との関係はどのように考えているのか。
4) 「発揮した能力」と業績(実績)との関係はどう整理しているのか。
5) 上位の能力等級への昇格候補となる評価を得ても、昇任できないケースが想定されるが、そのことと給与との関係はどのように考えているか。
(14) 原案2次で示された業績評価(目標管理)は、勤務成績の評定には含まれないのか。 勤務成績の内容は具体的には何か。
1) 評価の基準、評価手続は、誰がどのように定めるのか。
2) 大綱等では苦情処理についても言及していたが、どのような検討状況になっているのか。現行のままとする考えか。
(15) 勤務成績の評定は、標準職遂行能力及び職務適性とされているが、「意に反する降 任、免職」では職務適性の評定は含まれないのか。
1) 指定幹部職員についても、能力等級制度が適用されていることから、分限規定は同様に適用する考え方か。
2 中央人事行政機関の機能のあり方の見直し等にかかわって
(1) 人事行政の主体は、内閣か各府省か。各府省と中央人事行政機関の関係はどのように考えているのか。
(2) 「公務の民主的かつ能率的な運営」と「職員の利益の保護」の衝突とは、具体的にどのようなことか。
(3) 給与、勤務時間以外の「その他の勤務条件」とは具体的に何か。
(4) 「管理運営事項であっても勤務条件に影響するものは交渉事項」とする公務員制度審議会答申と、機能のあり方見直しはどのように整理したのか。
(5) 公務員制度審議会の「残された課題」(「紛争の調停機能」)と機能のあり方見直しはどのように整理したのか。
(6) 能率の内「保健及び安全保持」のみを人事院の所掌とするのはなぜか。
(7) 職員の政治的行為の制限を人事院の所掌とするのはなぜか。「倫理の保持」を人事院の所掌とするのはなぜか。
(8) 内閣総理大臣からの人事院に対する要請制度を創設するのはなぜか。
1) 内閣総理大臣とは、中央人事行政機関としての内閣総理大臣か、内閣の長としての内閣総理大臣か。
2) 仮に1)の前者だとすれば、労働組合からも同様の効果を持つ意見表明の制度化が必要になるのではないか。
3) 制度活用の例示がなされているが、この内容では、労働基本権制約の代償措置の中立性を損なうのではないか。
(9) 中央人事行政機関の事前の承認制度で、廃止が困難だと考えているものは何か。
3 適正な服務管理にかかわって
(1) 許可基準や行為規制の内容について、具体的な内容について、早急に提示すべきではないか。
4 官民交流にかかわって
(1) 交流採用者は、民間企業と公務員の二重の「身分」(雇用関係)持つことになるのか。
(2) 職員団体制度との関係で、交流採用者はどのように扱うのか。懲戒との関係はどうなるのか。定員、共済制度などとの関係はどうか。
5 その他
貴事務局が2001年3月に「公務員制度改革の大枠」を決定した以降、国公労連として、相当数の要求書、申し入れ等をおこなっているが、ほとんど回答を受けていない。
その中には、制度改革の内容にかかわるものも少なくないと考えるが、この時期に回答すべきではないか。
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