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全労連「公務員制度改革」闘争本部は12日、4月15日の申し入れにおける堀江局長回答をふまえつつ、全労連と石原行革担当大臣とが協議する場を設けるよう、政府・行革推進事務局に申し入れました。 引き続き関連法案の提出がねらわれる重要局面のもとで、石原大臣との直接の話し合いを強く求める闘争本部に対して、推進事務局の堀江局長は、「本日の申し入れを受けて、あらためて石原大臣にみなさんの要望を伝えたい」と回答しました。 自治体の意見、マスコミ論調に耳を傾けるべきだ 行革推進事務局への申し入れには、全労連「公務員制度改革」闘争本部の駒場・石元両副本部長、若井闘争本部事務局次長、国公労連山瀬副委員長、自治労連松本中執、黒田闘争本部委員が参加、推進事務局は、堀江局長をはじめ、公務員制度等改革室の春田室長、高原参事官ほかが対応しました。 はじめに駒場副本部長は、「4月15日に申し入れた際には、4点にわたる確認がされる一定の到達点があった。国会の会期末をひかえ、一方ではILO総会も開かれているもとで、推進事務局が法案提出をめざすという、いわばギリギリの局面にある。また、連合が石原大臣と会い、協議機関の設置で合意したなどと伝えられている。こうしたなかで、石原大臣との協議の場は重要であり、その実現をあらためて強く求める」と申し入れました。 これに対して、堀江局長は、「それぞれ主張は違うなかで、一致点を見いだすための努力や、問答無用で閣議決定しないことを約束した。また、『大綱』では労働基本権制約を示しているが、まったく労働基本権の議論をしないと言うのではない。法律や政令などの策定、その他の作業をすすめるなかで議論していく必要がある。石原大臣との協議については、前回の申し入れで『うけたまわった』と答え、大臣にも伝えた。大臣の考えもあると思うが、あらためての申し入れを受けて、石原大臣に伝えたい」と回答しました。 また、連合との協議については、「いろいろな話がいろいろなところですすんでいる。事務局にもわからないハイレベルの話もある。連合と大臣が会ったのは、いろんな経緯があったのではないか」とのべ、法案の策定作業にかかわっては、「推進事務局としては、閣議決定された『大綱』を実行するのが任務だ。中止せよとの指示がない限り、いつでも法案を提出できるよう準備しておく必要がある。政治的な議論もあるが、事務局の立場は、『大綱』の具体化であり、その役割を果たしたい」と考え方をのべました。 参加者からは、「わからない話もあるというが、連合と石原大臣が会見してきたことは事実だ」「ILO勧告をふまえれば、全労連も連合も同じように扱うスタンスに立つべきだ」「石原大臣は、10日の記者会見で、連合との間で話し合いをする場について、原案を取りまとめ、今週中には連合側に連絡するとしている。そのことも念頭に、全労連と誠意ある対応をはかるよう求める」など、重要局面のもとでの政府としての対応をせまりました。 最後に、駒場副本部長は、「5月からとりくんだ全国キャラバン行動では、各自治体へ要請・懇談をすすめてきたが、『天下り』やキャリア制度の温存などについて問題点が出され、この『改革』が、合意のもとですすめられているのかとの疑問も共通して聞かれた。そうした自治体の意見や、最近のマスコミ論調などに真摯に耳を傾けるべきだ。ILOの場では、全労連・連合が同等の取り扱いがされているが、グローバル化をさけぶ日本の政府が、国内でもそのような対応をするよう強く求める。そうした私たちの思いを石原大臣に伝えてもらいたい」と申し入れました。 堀江局長は、自治体から出された意見に関心を示しつつ、「大義があり、国民にわかりやすい改革が必要だ。公務員制度は、国民が注目する重要なテーマであり、納得できるような改革をすすめたい。石原大臣との協議については、私なりに努力はしている。みなさんの意向は伝えたい」と回答しました。 ILO結社の自由委員会「報告・勧告」に期待が高まる 「公務員制度改革」などを審議、20日の理事会で承認へ 第91回ILO総会は、6月3日から19日までの日程で、ジュネーブのILO本部で開催されています。この総会には、全労連から、坂内事務局長、岩田事務局次長ほかが日本代表団の一員として参加し、連日、多忙な日程をこなしています。 総会に先立つ5月29・30日の両日と6月6日には、結社の自由委員会が開かれ、「公務員制度改革」をふくむ日本案件が審議されました。現在、「報告書」の取りまとめがおこなわれており、総会後の20日のILO理事会で最終的に承認される見通しです。 結社の自由委員会が非公開の会議のため、「報告・勧告」の詳細は不明ですが、岩田事務局次長(全労連「公務員制度改革」闘争本部事務局長)は、「昨年11月の歴史的なILO勧告をふまえて、今回も、ふたたび日本政府に誠意ある対応を求める報告が出されるものと、現地では期待が高まっている」との最新情報を国際電話で伝えてきています。 5月には、闘争本部で要請団を派遣し、日本政府の「追加情報」に反論し、交渉・協議を拒否する不当な対応を、結社の自由委員部ジャーニゴン部長に直接伝えてきたところです。要請団の声も反映した「報告・勧告」が出されることを確信しつつ、政府・行革推進事務局の一方的な閣議決定を許さないたたかいを強化していく必要があります。 以上 【参考資料】「公務員制度改革」闘争ニュース 2003年4月16日《No.24》 発行=全労連「公務員制度改革」闘争本部 法案の閣議決定をやめ、ILO勧告にそった改革を −「4・15中央行動」を背景に行革推進事務局へ全労連が申し入れ− 「公務員制度改革」関連法案の閣議決定に反対し、全国から1,000名の仲間が集まり「4・15中央行動」がとりくまれるもと、全労連「公務員制度改革」闘争本部は15日、行革推進事務局に対して、ILO勧告にもとづく公務員制度の実現を求め、労使の交渉・協議のないままの閣議決定をしないよう申し入れました。 この日の交渉・申し入れは、昨年11月のILO勧告以降、ナショナルセンター規模でははじめてのものであり、今後、担当大臣との交渉など、さらに対応強化をめざしてとりくみを強めていくことが重要となっています。 労働組合との合意のもとでの検討作業を求める 申し入れには、全労連「公務員制度改革」闘争本部からは、石元副本部長(全教委員長)、岩田闘争本部事務局長、三宅闘争委員(自治労連書記長)、山瀬国公労連副委員長、黒田闘争本部委員、小林闘争本部事務局員が参加、行革推進事務局は、堀江局長、春田公務員制度等改革室長、高原参事官ほかが対応しました。 はじめに、石元副本部長が申し入れの趣旨をのべたあと、岩田事務局長は、「『公務員制度改革』は重大な問題を持っている。ILO勧告にもとづき、国際労働基準にそって検討作業をすべきだ。また、合意のもとですすめるため、関係者とよく話し合う必要がある。決して、見切り発車するな」と求めたうえ、現在の検討状況と考え方をただしました。 これに対して、堀江局長は、次の通り回答しました。 ●検討の過程で関係者の意見を聞き、誠心誠意話し合い、意思疎通をはかり、理解を求めながらすすめるのが基本だ。今後とも交渉・協議のもとで作業をすすめる。ILO勧告は、今までとは違って予想外のものであったため、十分に理解を深めてもらうため、ILOに『追加情報』を提出した。ただし、ILOの議論そのものを否定するものではなく、労働基本権の議論をするつもりがないわけではない。また、法案提出までに、最大限、お互いが努力すべきだが、どこまでいっても相互で一致しないこともある。そのなかで一致点を見いだしていきたい。法案は現在、『検討中』の扱いとなっており、提出を決めたというものではない。しかし、いつになってもいいというわけでもなく、今国会中での提出へ、事務局は休日返上で努力している。問答無用で議論しないわけではない。一致しないところもあるが、努力したという手続きが重要だ。ご理解いただきたい。 「問答無用で閣議決定しない」ことなどを確認 交渉参加者からは、「労働基本権の扱いはどうなるのか。議論しようという法案の内容は、誰と誰が交渉して決めるのかというもっとも重要な点が欠けている。今後の労働基本権の取り扱いいかんで全体が変わってくる。それで国際的に通用するのか?」「十分協議するというが、ILO勧告にもとづく改革をやる姿勢があるのかどうかが問題だ。議論しても結局、態度を変えないというのでは認められない」「『大綱』を変えないという政府の姿勢と、『大綱』の再考を求めるILO勧告とは正面から対立する。結局、議論したけれど結論は変えないとなると、本当に中身のある協議と言えるのか。交渉・協議が、どのように実になっていくのかを鮮明にすべき」など、交渉・協議のあり方について追及が集中しました。 堀江局長は、「問答無用でやるのではない。最大限の努力はする。それはわかってもらいたい。相互に意見を出し合い、協議して実行する。そうして議論を重ねて、やっていくことが大事だ。ILOの指摘する『社会的な協議』とは、できる限り話し合いをすすめるべきということではないか。また、労働基本権問題も、このままでは、いつまでたっても抽象論にならざるをえず、より建設的で意味のある協議になっていかない」とし、春田室長は、「労働基本権の保障を否定していない。協議していくなかでどういうことができるのか意見交換させてもらいたい」とのべました。 これに対して、交渉団は、「『現状の制約維持』に対して再考を求めているのがILO勧告だ。現状を固定したままで制度の中身の議論はすすめられない。どう『再考』するのかの議論が先だ。法案作業をすすめるというのなら、まず労働基本権制約をあらためることだ」「問答無用でやらないというが、地方公務員の場合は、行革推進事務局の検討作業待ちとなっており、地方には十分な資料もない。そうこうするうちに、問答無用となる場合もある。また、消防団員の団結権問題も、重大な関心を持っているが、『公務員制度改革』のなかでどのような議論がされるのか?」などと行革推進事務局にせまりました。 春田室長は、「労働基本権回復を全労連として求めていることは理解する。しかし、現状から出発して、どうやって改革をすすめるのかを考えている。そのなかで、労働基本権問題を議論していこうというスタンスだ。また、地方公務員制度の改革は、国とパラレルでやっていく必要がある。できるだけオープンで議論できるように、論点の材料を出しながら作業をすすめている。資料がないという問題指摘は承知した」とし、また、消防団員の団結権保障については、「総務省とよく連携しながらやっていく。関係するみなさんと話し合いながらすすめる」と回答しました。 最後に岩田事務局長が、(1)全労連をふくむ労働組合と誠心誠意話し合い、一致点を見いだすために努力をする、(2)問答無用で閣議決定を強行しない、(3)労働基本権の議論を切り離さず、お互いに議論できる場をつくる、(4)担当大臣をふくむ政府・行革推進事務局との交渉へ努力する、との4点について確認し、申し入れを終えました。 以 上 【闘争本部ニュースNO.24添付資料】2003年4月15日 行政改革担当大臣 石原 伸晃 殿 全労連「公務員制度改革」闘争本部 ILO勧告にもとづく公務員制度確立を求める申し入れ 貴職が作業を進めている公務員制度の「見直し」が、国民へのサービスの質と公務員労働者の労働条件決定の重大な変更をともなうものであることから、全労連は、その内容のすべてにわたり誠実な交渉・協議による合意形成を一貫して要求してきました。その主な内容は、日本国憲法にもとづく「全体の奉仕者」たりうる民主的な公務員制度の実現であり、またILO条約・勧告を踏まえて公務員労働者に労働基本権を付与すること、そのためにも関係組合との誠実な交渉・協議を行えというものでした。2002年11月のILO「結社の自由委員会」は、全労連の公務員制度改革に関する「提訴」を全面的に受け入れ「日本の現行公務員制度が国際労働基準に違反している」として「その再考の求める」とともに、「結社の自由原則に合致させることを目的に全ての関係者と全面的で率直かつ意義のある交渉・協議をおこなうべき」とする画期的な「勧告」を示しました。 しかし、その後4ヶ月以上が経過しましたが、また全労連の要求にもかかわらずこの間交渉・協議は一切おこなわれてきませんでした。 ついては貴職がILO勧告を尊重し、下記の事項をふまえて公務員制度改革を行なうよう強く申し入れるものです。 記 1.「公務員制度改革大綱」にもとづく法案作成作業を中止し、ILO勧告に基づき国際労働基準に沿った公務員制度改革を行うこと。2.労働組合との交渉・協議にもとづく労使合意がない法案は国会に提出しないこと。
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