| |||
国公労連が去る1月29日に行った行革推進事務局長との交渉で、局長が「(公務員制度改革関連法案について)7月法案からの変化」に言及し、国公労連との「議論の場のセット」を受け入れたことから、国公労連として交渉・協議の再開を申し入れてきました。 そして、3月5日の自民党行革本部・公務員制度改革委員会(委員長:片山前総務大臣)をはさんで、自民党として公務員制度改革の方向整理がまとまった旨のマスコミ報道が相次ぐとともに、3月8日には小泉首相が「(公務員制度改革大綱について)もう少し見直す」旨の国会答弁を行ったことなどをふまえ、3月15日(月)16時から行革推進事務局と交渉を行いました。 これには国公労連から山瀬副委員長、小田川書記長、山谷・太田両中執が参加し、行革推進事務局からは出合・磯部両次長、笹島参事官ほかが対応しました。以下はそのやりとりの概要です。(注:○国公労連、●行革推進事務局) 国公労連「現時点の検討状況を明らかにせよ」 推進事務局「まだ具体案を示せる段階にない」 冒頭、小田川書記長は、3月8日の首相発言など、公務員制度改革に関わって新たな動きとも受けとられる状況があることを指摘しつつ、「本日の交渉を1月29日の局長回答に基づく交渉再開の出発点と位置づけたうえで、現段階での政府としての検討状況及び基本的考え方などを明らかにされたい」と追及しました。 これに対し出合次長は、最初に「9月に磯部次長ともども着任した。今日が初めての交渉となるが、笹島参事官を含めて、今後ともよろしくお願いしたい」と挨拶したうえで、要旨以下のとおり回答しました。 ● 1月29日に局長がお話しして以降、いろいろ情勢が動いている。自民党内に設置された公務員制度改革委員会、いわゆる片山委員会は、その時点でも2回開かれていたが、その後4回開催され、2月17日に能力等級制度、退職管理、人材確保についての論点整理を行い、3月5日に論点整理の2回目が行われ、本日お渡しした「片山メモ」(別紙参照)として委員会で了承された。政府にも検討するうえでの参考にと渡されており、与党の意見として重く受け止めている。いろいろな新聞報道や小泉総理の国会答弁は耳にされているとおりだが、総理の答弁は公務員の再就職問題に関しての発言と受け止めている。 「大綱」については、局長がこの前申し上げたとおり、いろいろな議論がまとまれば当然見直すこともあるだろうし、その点は金子大臣も記者会見で発言している。「片山メモ」も必ずしも「大綱」とイコールでない、公務員に対する国民の信頼や公務員のやる気など大きな趣旨は変わらないが…。 時間が無くなっていることは承知しているが、関連法案をとりまとめて国会に提出するのが推進事務局の使命なので、今国会に間に合うよう努力する姿勢に変わりはない。具体案がまとまれば皆さんに提示して交渉・協議を行っていく必要があると思っているが、まだ具体案を示せる状況になっていない。前回の交渉で指摘された、投げ返すボールは事務局側にあるとの認識は変わっていない。 国公労連「昨年通常国会の二の舞は避けるべき」 推進事務局「独走せず調整に努力するが違う点」 これを受けた国公労連と行革推進事務局とのやりとりの概要は、以下のとおりです。 ○ 国公労連として交渉・協議の対象物の特定を求めており、今後どういうテンポとスケジュールで検討していくのか、そちらから何が出てくるのか分からなければ議論の進めようがない。 ● 今国会に出す限りは急がないといけないが、見通しのつきにくいところだ。いろいろな問題、いろいろな所との幅広い意見交換が必要で、中味のある議論がどこまでやれるか、現時点では言えない。「大綱」という基本方針をふまえつつ、とりまとめにあたっては内容的に幅広いものにと考えている。 ○ ボールはそちらにあるが、その一方で『評価制度の試行』や『メリハリある給与等の処遇』をめぐって制度官庁からもボールが飛んできており、投げ返されるボールが2つでは困る。 ● 制度官庁との関係で、公務員制度改革として一つのまとまりをどうつくるか、整合性をどうとるか、我々も正直言って難しい立場にある。また、勤務条件性が明確なもの、ボーダーライン上のものなど、議論の詰め方にも工夫がいる。2001年12月の「大綱」決定時と違うのは、我々が内閣官房にあって独走するのではなく、あくまで調整しようと努力している点だ。法案提出については、国対ベースの期限は過ぎたが、会期末の6月半ばまでまだ時間がある。 ○ 手順と手続きの問題は中味以前の問題だ。通常の法案提出期限が過ぎた以上、法案提出は見送るべきであり、昨年の通常国会の例は止めてもらいたい。時間があるようでなく、できるだけ早く中味議論に入るべきだ。その場合、行革推進事務局による国公労連への対応は、国公法108条の5の使用者に準じた立場であることを再確認しておく。 ● 労働組合との交渉・協議は避けては通れず、国公労連とは誠意ある話し合いを進めていきたい。その場合、これまでの議論のベースがあるので、白紙からの議論にはならないと思う。 ○ 「大綱」前後、昨年の「法案」策定前後を通じて、いろいろな問題提起を行ってきたが、要するに「言いっ放し、聞きっ放し」の状況で、細かくなればなるほど疑問が噴出するなど議論が煮詰まっていない。 ● 一から十まで全部は無理かと思うが、意見が一致できるよう努力していく。公務員制度改革が定着するためにも、一方的になっては意味がない。 国公労連「労働基本権、ILO勧告論議をセットで」 推進事務局「国内的な意見交換を優先させたい」 以上のやりとりを経て、国公労連は「公務員制度改革を議論する場合、労働基本権やILO勧告とは無関係に交渉・協議が進まない」として、労働基本権論議を棚上げしないことの確認を強く迫りました。 これに対し出合次長は、要旨以下のとおり回答しました。 ● ILO勧告は2回あったが、国際機関の勧告であり、政府として受け止めて対応するが、日本の事情を必ずしも全部理解してもらっていないのではないかという懸念がある。国際的に丁々発止するのではなく、お互いが理解できるよう先ず国内的に意見交換をしていく方が望ましいと考えている。 最後に、小田川書記長は、「例えば評価制度の導入にあたつても、集団的な労働関係と個別的な労働関係との整理が必要であり、そのためにもまず勤務条件とは何かの概念をはっきりさせなければだめだ。いずれにしても、早めの議論を求める」と述べて交渉を終えました。 以上 【 別紙 】 公務員制度改革について(片山メモ) 2004.3.5 1 改革の基本〇行政とそれを支える公務員に対する信頼を確保すること。 〇公務員にやる気を起こさせ、持てる力を最大限発揮させ、行政全体が活性化すること。 2 能力・実績主義 〇公務員の人事管理の基本は、次のとおりであることを確認すること。 ・国民から負託された職務(ポスト)に対し、 ・ふさわしい能力を有する者を任用し、 ・職務に見合った働きに対して適切な処遇を行うこと 〇このため、評価制度を整備し、能力や実績の評価結果を基礎として公務員の任用・育成を行い、また、評価結果を踏まえたメリハリのある給与等の処遇を行う枠組みを構築すること。 〇評価制度の導入に当たっては、試行を行う等十分な準備を行うとともに、苦情処理の仕組みについても検討すること。 〇能力等級制については従前の考え方を改めて整理し、能力評価基準の仕組みの簡素化などを図りつつ、分かりやすく使いやすいものとすること。 3 退職管理と長期在職 〇早期勧奨退職を前提とする人事管理を見直し、同期横並び主義を改め、長期間において、能力・適性に応じた人事配置を可能にする仕組みを検討すること。 〇在職期間の長期化が人件費の増加や組織の肥大化につながらないよう、右肩上がりの処遇の見直し、スタッフ職の整備等を検討すること。 4 再就職の適正化 〇営利企業、特殊法人、独立行政法人、公益法人等も含めた再就職全体について、国民の納得が得られるよう、内閣として明確なルールを定めること。 〇同時に、内閣が責任を持ってチェックする仕組みを検討すること。 〇基本的な事項を法定するなど、透明性の高い仕組みとするとともに、情報公開を徹底すること。 5 人材の育成と交流 〇優秀で多様な人材を確保するため、中途採用を含めた採用の仕方、処遇のあり方等を検討すること。 〇官民を始め、府省間、国・地方間、人事グループ間の人材交流を拡大するため、政府として目標を設定するなど、計画的に取り組むこと。 〇いわゆるキャリアについては、幹部候補生としての育成期間終了後は、実力本位の人事管理にするとともに、いわゆるノンキャリアについても、幹部職員への登用を拡大すること。 |