国公労連「4.20中央行動」の一環として
規制改革・民間開放推進会議、経済財政諮問会議に申し入れ
国公労連は、4月20日(水)15時30分から、「4・20中央行動」の一環として、規制改革・民間開放推進会議と市場化テスト推進室、及び経済財政諮問会議にそれぞれ申し入れを行いました(「4・20中央行動」全体についてはFAX速報1618号参照)。
規制改革・民間開放推進会議に市場化テスト等で「要求書」提出
市場化テスト推進室=設置したばかりで色々勉強している状況
規制改革・民間開放推進会議と市場化テスト推進室に対する要求提出・交渉には、国公労連から小田川書記長と川村中執のほか、各単組から全経済・小泉委員長、全労働・河村副委員長、全法務・富田副委員長、全厚生・藤巻副委員長、全気象・千葉副委員長、全通信・狩野書記長、全運輸・徳永中執が参加し、同会議の事務局である規制改革・民間開放推進室の岩佐企画官と市場化テスト推進室の宮崎総括担当が対応しました。
交渉の冒頭、別紙の「市場化テスト等、民間開放に関わる要求書」を提出し、「社会的な格差が広がっているもとでの公共サービスの民間開放には反対」である旨を表明した上で、(1)市場化テストが国公労働者の雇用と労働条件に無関係でないことから、交渉対応を行うこと、(2)6月の「骨太方針2005」にむけた市場化テストのとりまとめの検討スケジュールを明らかにすること、などへの回答を求めました。
これに対し、岩佐企画官は、「市場化テスト推進室が設置されて3週間余であり、具体的な動きはない」とした上で、要旨次のとおり回答しました。
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検討スケジュールについては、明日(4/21)、本年度第1回の推進会議が開かれ、進め方も議論される。関係者の一人である国公労連との対応については、これまでも話し合いの場は持っており、(交渉対応の)要請としては賜っておく。 |
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規制改革・民間開放推進室と市場化テスト推進室との関係については、同会議の事務局として協力してやっていく。「骨太方針」については、例年6月下旬にとりまとめており、それまでに各省との案文のすりあわせを行う。 |
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モデル事業の入札については、今の会計法の中で各省が工夫しており、5・6月に入札がスタートする。その事後評価については、各省でも実施するが、規制改革・民間開放推進会議での評価のスケジュールは決まっていない。 |
経済財政諮問会議に行政サービス拡充の「申し入れ書」提出
会議事務局=基本権制約下での賃金決定ルール遵守は当然
国公労連は、これと並行して経済財政諮問会議にも申し入れを行いました。これには国公労連から山瀬副委員長と太田中執のほか、各単組から全建労・葛城副委員長、全労働・森崎書記長、全法務・西山書記長、全厚生・杉浦書記長、全司法・藤原書記次長、全港建・大西四国地本委員長が参加し、経済財政諮問会議からは内閣府の百嶋参事官、横尾・牛島両参事官補佐ほか2名が対応しました。
冒頭、山瀬副委員長が要旨次のとおり発言し、3点の申し入れ事項(別紙参照)について誠意ある回答を求めました。また、参加者からも補強的に意見が出されました。
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昨年5月27日にも「骨太方針2004」の取りまとめにあたって申し入れを行っており、経済財政諮問会議のやり方には重大な問題意識を持っている。地域の公務員賃金のあり方について、総人件費削減にむけた本格的な議論が展開され、民間議員から公務員賃金決定のあり方にも踏み込んだ提案がされている。6月にも『骨太方針2005』を決定しようとしているが、労働基本権制約下での勤務条件決定ルールを無視した公務員賃金決定への介入などは断じて認められない。 |
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人件費について、公務員賃金は人勧のルールのなかで決められており、政治的な決定には問題がある。先進諸国と比較しても日本の公務員の人件費は少ない。近年、人件費は下がっているが、それでも財政赤字は増えている。国の財政赤字の原因は人件費ではなことを経済財政諮問会議はふまえるべきだ。市場化・民間開放については、公務の仕事を民間委託しても効率化は進まないという現状を見るべきだ。 |
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市場化テストでの官から民へは一方的な議論になることが問題だ。社会保険行政を官民で競争入札するとしているが、総合的専門性を議論してほしい。社会保険行政は国民の権利の保障にあたるので、憲法25条を基礎とする議論をしてもらいたい。 |
これに対し、百嶋参事官は要旨次のとおり回答しました。
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経済財政諮問会議は経済財政全般を審議をしており、民間の有識者の意見も反映させている。基本方向は諮問会議が議論して出していくが、「骨太方針2005」は閣議決定であり、それまでに各省調整もあるので、各省にも意見を出してもらいたい。 |
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労働基本権制約下での賃金決定システムについては重々承知しており、民間議員も当然理解していると思う。本日の申し入れをふまえ、公務員の勤務条件決定ルールについては、民間議員に責任をもって徹底したい。 |
これを受けて、山瀬副委員長は「本日の申し入れは入り口であり、国公労連として取り組みを強めるので、引き続く対応を要望しておく」と述べ、申し入れを終えました。
2005年4月20日
規制改革・民間開放推進会議議長
宮内義彦 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 堀口 士郎
市場化テスト等、民間開放に関わる要求書
貴会議は、3月25日に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)」にもとづき、「市場化テスト推進室」を設置して、「モデル事業」の推進と市場化テストの本格導入にむけた法的を枠組みも含めた制度の整備に着手している。
政府は、すべての官業を対象にした「市場化テスト(官民競争入札)」を民間開放のための横断的手法と位置づけ、その際、規制改革や民間開放は民間企業のビジネスチャンスの拡大とも位置づけている。これでは、公共サービスも金次第とされ、あまねく公平にサービスが受けられなくなりかねない。そして、社会的な不平等と格差を拡大する結果さえ懸念される。
公共サービスの役割の一つは社会的不平等の是正を、継続的、安定的に行うことである。営利企業が効率的であるという場合、よりもうけの大きい分野へ投資を集中するために迅速な参入と撤退の自由が保障されているのである。貴会議は、法的な措置によりサービスの質を確保するという議論をしているが、撤退の規制など「ユニバーサル・サービスの維持」にかかわっては、十分な議論がなされていないと認識している。そうであれば、安定、継続的なサービス提供の妨げになりかねない。
私たちは、現在の状況でも社会的格差が拡大し、そのことに起因する国民の不安、不満が急速に高まっていると実感している。その点からも、進められようとしている規制改革や市場化テストには賛同できない。また、公務労働者の権利や労働条件への悪影響が懸念されるにもかかわらず、その点での議論もほとんど行われていないことも問題である。
以上のことから、貴職に下記事項の実現を強く求めるものである。
記
1. |
公共サービスは、公正が効率よりも求められることを踏まえ、資力の差によりサービスの享受に差が付けられるような民営化、民間開放は行わないこと。 |
2. |
撤退の自由によって安定的、継続的なサービス提供を妨げられるような市場化テスト、民間開放は行わないこと。 |
3. |
規制緩和の効果について検証を行うとともに、今後影響を被る各層の意見を幅広く聴取し、国民的な議論により、公共サービスのあり方を検討すること。 |
4. |
雇用・労働条件に大きな影響を受けるおそれのある公務・公共部門労働者・労働組合との十分な協議を行うこと。 |
以上
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2005年4月20日
経済財政諮問会議議長
(内閣総理大臣)
小泉純一郎 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 堀口 士郎
行政サービスの充実のための施策を求める申し入れ書
政府は2004年12月24日、「簡素で効率的な政府を構築し、財政の建て直しに資する」ことを目的とする「今後の行政改革の方針(新行政改革大綱)」を閣議決定し、スリムで効率的な政府」の実現を図るとし、国の事務・事業の見直し、民営化、民間委託、独立行政法人への移管等、組織・業務の減量化を掲げています。
これら、地方支分部局等の事務・事業の縮小や民営化・民間化、市場化テストによる官民競争の導入、一律の定員削減などは、国民の権利保障にむけた国の役割・責任をあいまいにするだけでなく、行政サービスの重大な低下を招き、公務員労働者の身分・労働条件にも深刻な影響を及ぼしかねません。
また、地域における国家公務員給与のあり方について、総人件費削減にむけた本格的な議論が展開され、民間議員からは公務員賃金決定のあり方にも踏み込んだ提案がされています。
貴会議では、「市場化テスト法案(仮称)」の枠組みも含め、公務の民間開放や総人件費抑制を主目的とする政策方向を「骨太方針2005」として決定しようとしています。しかし、先にも言及した定員削減の悪影響が職場では表面化していることを無視し、労働基本権の制約の下における勤務条件決定のルールを踏みにじる「政策」決定は、財政危機がその口実であったとしても容認できるものではありません。
以上のことから私たちは、「骨太方針2005」の検討、決定にあたって、行政サービスの真の充実のための組織・定員、労働条件関連予算の充実にむけた検討を、定められたルールを遵守して行うよう下記事項を申し入れます。
記
1. |
定員・給与削減などの総人件費抑制策を一方的に決定しないこと。国民生活に直接かかわる行政サービス充実と公務員労働者の働く環境整備のため必要な措置を講じること。 |
2. |
規制改革や「市場化テスト」による「公共サービス商品化(民営化・民間開放)」の施策を一方的に決定しないこと。
国公労連をはじめ、関係者との協議や国民からの意見を反映する手だてを講ずること。 |
3. |
労働基本権制約の下における勤務条件決定ルールを変更しないままで、公務員賃金決定に介入等は行わないこと。 |
以上
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