「骨太方針2005」の決定に抗議する(談話)
本日政府は、「骨太方針2005(経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005)」を閣議決定した。その内容は、少子高齢化のもとで増税も受益者負担増も不可避とし、突破口として公務のリストラ=「小さくて効率的な政府」を実現するとしている。公務の民間開放や公務員の総人件費削減を押し進め、社会保障給付の抑制と負担の増大を国民に迫り、その先に消費税を含む大増税路線に踏み込むことを明らかにしている。国公労連は、このような「骨太方針2005」の決定に断固抗議するとともに、その撤回を求める。 「骨太方針2005」では、「小さな政府」の具体化として、(1)郵政民営化を軸に資金の流れを「官から民へ」変えること、(2)「三位一体改革」等により国から地方に仕事を移すとともに、市場化テストの本格導入で公務の民間開放を進めること、(3)公務員数の純減など、国・地方の行革を徹底し、公務員の総人件費を削減すること、を打ち出している。 政府や財界はその理由として財政難を強調するが、公務員の人件費が今日の財政赤字の原因でないことは明白である。経済財政諮問会議においても、総務大臣が、先進国の中では公務員数(人口比)や人件費(GDP比)でも最小であること、一般会計に占める総人件費割合も年々減少していることを明らかにしている。同会議では、先進国に例のない公共事業費や世界第3位の軍事費のムダづかいや、この間の法人税減税などによる歳入減には全く触れていない。「骨太方針2005」が、極めて一方的で結論ありきの論議の結果であることの証である。 経済財政運営の基本方針を示す「骨太方針」の策定は5回目となる。それにもとづく「構造改革」が、雇用やくらしを直撃し、将来不安を増大させてきている。 「骨太方針2005」が提起する公共サービスの民営化は、あまねく公平に提供されるべきサービスがビジネスとされ、受益者負担が強制された結果、公務の公共性が破壊され、連年の定員削減のもとでの行政官署の統廃合によるサービス低下も加速し、国民の基本的人権さえ損なわれてきている。このような実態を省みず、財政上の論理だけを強調する「骨太方針2005」の具体化は、社会の安定にとっても危険である。国公労連はその具体化に重ねて反対する。 経済財政諮問会議は、公務員の純減目標を含む総人件費削減について本年秋までに「基本指針」を策定するとし、社会保障給付抑制の具体的内容の決定も先送りしている。したがって私たちのたたかいも、年末の決定期にむけていっそう強化することが求められている。 「構造改革」の「本丸」とされる郵政民営化に対し、世論調査でも、7割を超える国民が拙速な審議に反対しているように、小泉「構造改革」に対する国民の批判は高まっている。 このような運動の前進面に目をむけ、国公労連は、「骨太方針2005」の欺瞞性を広く国民に明らかにして反対のたたかいを広げ、公務の真の公共性を回復、実現するとりくみに全力をあげるものである。 2005年6月21日
日本国家公務員労働組合連合会 書記長 小田川義和 以上 |