国公FAX速報 2005年12月6日《No.1690》

総人件費改革の実行計画策定で
行政改革推進事務局公務員制度改革室と交渉

 国公労連は6日午後、経済財政諮問会議が11月14日に決定した「総人件費改革の基本指針」に基づき、行政改革推進事務局公務員制度改革室が「実行計画」策定を進めていることに対応し、交渉を持ちました。この交渉には、国公労連から堀口委員長、小田川書記長、岡部書記次長ほか3人が、公務員制度改革室からは上田室長、川淵参事官ほかが出席しました。

 冒頭、堀口委員長が、別紙要求書に基づき、次のように質しました。

 数字あわせ、削減先にありきでとりわけ地方支分部局に焦点が当てられている。行政の役割や行政の範囲の議論がないまま、政治的に、ムード先行で進められている。職場は大きな不安を持っている。増員こそサービス向上という観点も必要だ。公務員の基本権に一顧だもしない進め方は認められない。十分な交渉を持ち、秩序正しく進めるべきだ。また、年末までのスケジュールを説明してもらいたい。

 これに対し、上田室長は、次のように回答しました。

 まずスケジュールについては、我々は、実行計画を予算原案と同時に閣議決定に持ち込む方針の下作業をしている。実行計画は、政策金融改革など諸々の改革アイテムと一緒に行政改革の重要方針に入れられ、閣議決定される。
 中身については、諮問会議の決定(基本方針)を正面から受けて進めるが、基本方針が決定されてから1カ月ちょっとであり、一定のベクトルは示せても、ベクトルの長さ、幅がどれくらいかを書き込むのは非常に難しい。指針に入っている程度の数字、30数万人の5%の純減というレベルの数字になる。それだけでは、具体の定員管理の措置ができないので、詳細について半年かけて精査、議論し、6月ぐらいに決定できればいいと考えている。

 この回答を受け、次のようなやりとりを行いました。

 5%の判断根拠は具体的には何ら示されていない。純減目標の具体化を進めるのであれば、しかるべき時期にしかるべく議論をしてもらいたい。給与水準に直接言及することは労働基本権問題に関わり、独立行政法人に踏み込むことは通則法審議の議論の経過とも異なる。

 総人件費改革は、サービス削減を目的にしていないが、できる限り少ないコストでサービスを提供していくものであり、真剣にやらないといけない。こちらとしては定員=人員配置が中心になる。雇用問題を引き起こしたり、公務員を路頭に迷わせてはいけないとは考えており、力を尽くしたい。定員そのものは管理運営事項だが、それに伴う問題は、節々に話し合うことは必要で、理不尽なことがないよう、相談していきたい。
 行政は昨日までの仕事を守るのが基本スタンスで、それを変えるためには純減5%という手法もやむを得ない。行政の実態を虚心坦懐にいって、忙しさ、厳しさも濃淡がある。職場、職場を見て調整していかなければならない。
 給与の問題については、基本的に、人事院が適当な数字をはじくことが前提となっている。国の外にある独立行政法人も例外とせず、実行計画で指針の内容にあわせた形で決めることとしたい。
 労働基本権は、公務員制度改革室のミッションに入っているが、いま進めているもののボリュームが非常に大きく、すぐやれる状況ではない。向こう半年で方向付けが目鼻がたてば、労働基本権問題を議論させていただく。

 基本権の検討に手をつけない点では異論があるが、短い間に議論を尽くさなければ、職場の組合員が一番被害を受ける。見切り発車はしないよう求める。

 見切り発車は避けたい。最大限誠意を尽くす。

 最後に、堀口委員長が節目節目での話し合いを行うことを改めて確認し、交渉を終えました。

以上

2005年12月6日
行政改革担当大臣
 中馬弘毅 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 堀口士郎

「総人件費改革基本指針」にもとづく「実行計画」策定にかかわる要求書

 経済財政諮問会議は11月14日、「(国家公務員の総人件費を)対GDP比でみて10年間で半減」させる長期的な目安のもと、「今後5年間で5%以上純減」するとの「総人件費改革基本指針」(「指針」)を決定した。そして、これにもとづく「実行計画」の年内策定をめざした作業が、内閣官房において進められている。国公労連は、行政ニーズや職場実態を顧みることなく、「数字あわせ」の計画策定には反対である。
 日本の公務員数が先進国中最低レベルにあること、連年にわたる定員削減によって社会の安定帯としての公務の役割、公正な行政サービスの提供が阻害されていることは、政府の各種資料などからも明らかである。そのことは、行政実施にかかわる政府の責任、最善の使用者としての政府の責任が果たされていないことを示している。「指針」は、この点について何ら言及せず、検証もおこなわず、コスト削減のみを強調して策定されている。
 「指針」は、総人件費削減の「重点事項」として、「地方支分部局等の抜本的かつ重点的な見直し」、「包括的・抜本的な民間委託等」などを打ち出し、派遣労働者の活用などを求めている。国民と接する第一線の行政を担う地方支分部局は、全国一律の行政サービスを担保する要であり、そこに定員純減を集中させることは、行政サービスの切り捨て、その地域間格差の拡大を招来することは必至である。
 「指針」は、国会や裁判所、会計検査院、人事院にも「準じたとりくみ」を求め、特定独立行政法人も削減対象としている。さらに、地方公務員についても「4.6%以上の純減確保」と、「教育・消防・福祉関係の職員の定数に関する国の基準」の見直しを求めている。これらは、内閣による司法、立法への介入など、憲法や法のルールを逸脱し、ナショナル・ミニマム確立にむけた国の責任をないがしろにするものと言わざるを得ない。
 「指針」では、官民給与の比較方法の見直しを強く迫り、現行の人事院勧告制度のもとでの賃金引き下げを強く求めている。政府が、労働基本権剥奪の「代償措置」への理不尽な圧力をかけることは、著しい人権侵害にほかならない。
 以上のことから下記事項について、誠意ある対応を行うよう要求する。


1. 公共サービス切り捨てとなる「総人件費改革指針」の「実行計画」を拙速に策定しないこと。
2. 数字あわせのための定員純減計画を強制せず、行政ニーズをふまえた公共サービス充実に必要な増員措置を具体化すること。
3. 公務員労働者の労働基本権保障を棚上げにしたまま、労働条件の不利益変更を強制する「実行計画」は策定しないこと。
4. 「実行計画」検討にあたっては、国公労連をはじめとする関係者との協議を尽くし、意見反映を図ること。

以上

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