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2001年1月の新省庁発足、同年4月の独立行政法人発足を前に、行革闘争は新たな段階を迎えている。当面の焦点は、国家公務員の定員削減であり、政府は、一般職非現業国家公務員54万人の25%、13万7千人を削減しようとしている。そのため、通常国会で総定員法改正を行った上で、概算要求期に、2001年1月からの10年間で定員の10%を削減する計画を策定しようとしている。いま、25%定員削減の数あわせのため、すでに独立行政法人化方針が決定されている国立病院・療養所に加え、国立大学の独立行政法人化が強行されようとしている。これは、医療や教育を切り捨てるものであり、到底容認できない。 25%定員削減の口実は、地方もあわせて600兆円、国だけでも327兆円の公債残高を抱える財政危機である。しかし、国家公務員の定員は減り続ける一方、財政赤字は増え続けており、財政赤字の原因は国家公務員の数ではない。原因は、ゼネコン奉仕の大型開発に偏った公共事業の無駄遣いにある。さらに政府は、財政危機にもかかわらず銀行救済に公的資金60兆円を投入する仕組みをつくり、リストラをする企業だけを支援する産業再生法をつくってきた。こうした大企業奉仕の一方、社会保障支出は抑制し続けている。財政赤字解消のためにも、社会保障改善のためにも、公共事業に50兆円を使い、社会保障には20兆円しか使わないことに象徴されるゆがんだ財政の抜本的改革が必要である。 そもそも日本の公務員数が先進諸国の中で特別少ないことは、政府自身が認めている。そのため、職場では、長時間残業が慢性化し、職員は健康の不安におびえつつ、ぎりぎりの努力で行政サービスを支えている。さらに、この「定員」すら、定員外の常勤的非常勤職員や業務委託の存在を除外した架空の数字であり、これらの人々は権利の著しい侵害に甘んじさせられている。その上、民間委託が拡大し、行政の形骸化が進行している。業務の丸投げである包括的民間委託の導入や、PFIの導入は、この状況をさらに悪化させるものである。 いま、国家公務員の25%定員削減を許さず、(1)国立・療養所、国立大学など行政実施部門の切り捨てをやめさせ、国が直接責任を負うこと、(2)総定員を国民のニーズに応えうるものとすること。特に、定員外職員の定員化すること、(3)国民の生活を支える雇用対策、医療、教育、防災などの分野の態勢を充実すること、が不可欠となっている。 大企業奉仕の行政を続けるのか、国民生活重視に切り替えるのか、行政サービスを切り捨てるのか、充実させるのか、いま、「この国のかたち」が鋭く問われている。 国公労連は、これまで、「組合員と家族、国民の利益を統一的に追求し、そのための国民的共同の実現に全力をつくす」という立場に立ち、「職場と行政に憲法を活かす」ことを基本としてきた。今日の状況を踏まえ、この方針を発展させ、「国民のなかへ、国民とともに」を合言葉に、国民生活を重視した行財政の実現、行政サービスの充実へ転換するよう求め、行政懇談や全国縦断キャラバン行動などを通じ、われわれの運動への理解を広げていこうとしている。国公労連は、国民の支持と理解を力に、リストラに反対して闘っている民間の仲間とかたく連帯しつつ、25%定員削減反対の団体請願署名を成功させ、要求の前進をはかる決意である。 以上決議する。 2000年2月4日 国公労連第107回拡大中央委員会 |