森内閣は本日の閣議において、2001年1月からの5年間で5.13%、43,130人の国家公務員を減らす定員削減計画を決定した。この計画は、「10年間で少なくとも10%」とする中央省庁改革基本法にもとづくものであるが、後半の5年間については、その時点までの削減計画の実施状況などをふまえて、あらためて削減目標数を決めるとしている。
1968年からの9次におよぶ削減計画によって、職場はギリギリまで人減らしがすすんでいる。このうえ、「乾いた雑巾を絞り上げる」ような削減計画の強行は、長時間過密労働など職員へのいっそうの労働強化を招くとともに、国民への行政サービスの低下が避けられないものとなっている。こうした職場実態に目をむけず、第9次の「5年間4.11%」をさらに1%上回る新たな削減計画を決定したことは断じて許されるものではない。国公労連は、本日の閣議決定に強く抗議するものである。
今日の行政「改革」をめぐる議論のなかで、行政の「減量化」やスリム化が強調され、そのために、公務員の削減が行政「改革」の中心的課題であるかのような主張が繰り返されてきた。しかし、昨年のJCOによる臨界事故、日本列島各地を襲う火山噴火や地震による災害、未曾有の被害を出した食品中毒など、最近の事件・事故を例にとっても、いま必要なことは、国民のいのちと安全を守るための、必要な要員配置の強化をふくめた行政体制の拡充である。数あわせ、人減らしのみの公務員削減は、真の行政改革とは無縁であることをあらためて強調する。
国公労連は、この間、職場実態を顧みない定員削減計画に反対し、行政需要の増大や国民のニーズに対応できる要員確保と国民生活重視の行財政の確立を求めてたたかってきた。今年取り組んだ国会請願署名は1万以上の団体から集約するとともに、署名を軸にした3年間のたたかいのなかで、700万人を超える賛同を得てきた。また、今春、各地で展開された「全国縦断キャラバン行動」では、多くの団体や自治体から、行政の充実を求める声が集まった。さらに、全国の仲間が総決起した7月はじめの「定時退庁行動」につづき、削減計画の閣議決定がねらわれる段階では5日間連続の総務庁前要請行動を貫徹し、その中でも、民間労組をふくめて数々の激励・連帯の声が寄せられた。今後とも、こうした「対話と共同」をひろげ、国民本位の行財政・司法の拡充をめざす決意である。
新たな削減計画の決定につづき、さらに政府は、国立病院や国立大学の独立行政法人などをふくめて国家公務員の25%削減をねらっている。そのため、2001年からの中央省庁再編にあわせて、行政「改革」の「実績づくり」とばかりに、きびしい増員抑制をはかってくることは必至である。また、消費税増税や財政再建の「露払い」として、公務員攻撃が強められることも予想される。こうしたなかにあって、行政体制の拡充にむけた予算・要員の確保を要求して、たたかいを継続・強化していくことが求められている。きびしい情勢にあっても、国民各層の賛同と共同のひろがりに確信を持つとともに、全国の仲間に対して、職場や地域からたたかいへのさらなる決起を呼びかける。
2000年7月18日 |