行政サービス切り捨ての減量化に反対する決議

(国公労連第43回定期大会決議)

 99年通常国会に、「行革」関連法案の提出をめざして進められている政府の中央省庁等改革推進本部の検討作業は、小渕内閣発足後そのテンポを加速させている。

 8月4日に開催された同本部の第2回顧問会議で、小渕首相は「とりわけ行政の減量・効率化」の必要性を強調し、「目に見える形で行政のスリム化」を進める「決意」を表明した。そして、8月7日におこなった所信表明演説でも、郵政事業を除く国家公務員の「10年間・20%削減」を強調し、その目標達成のためにも独立行政法人化を「大きくおこなう」考えを示した。参議院選挙で大敗を喫した自民党は、あくまでも政権に固執しており、そのことからも公務員攻撃=「行革」をテコにして、国民の批判をかわそうと躍起になっている。

 中央省庁等改革基本法で、行政減量化の手法とされているのは、政策の企画立案部門と実施部門を切り離した上で、実施部門を外局化や独立行政法人化すること、事務・事業の民営化、民間委託であり、さらには地方支分部局の整理・統廃合である。
 治安や外交、防衛や大企業本位の経済政策遂行のために、中央省庁の企画・立案部門を総動員する目的で、その障害となる実施部門の事務・事業を「官から民、国から地方」に財源負担なしで押しつけ、なお国の事務として残るものも民営化の「次善の策」である独立行政法人化で切り離そうとしている。国民には、行政サービス切り捨てと負担増が同時に押しつけられることになる。

 行政の減量化・スリム化の対象は、国民生活に直接影響する事務実施部門におかれている。そのことは、憲法が規定する基本的人権実現にむけて国が不断に追求しなければならない役割・責任を真正面から否定し、歴史の歯車を逆転させることにほかならない。
 国公労連は、そのような行政減量化・スリム化に断固として反対する。それは、自らの雇用や労働条件にかかわる重大問題であるばかりではなく、大企業の横暴に苦しめられている勤労国民の生活と権利を守る公務労働に従事する労働者としての使命だと考えるからである。

 国民は、先の参議院選挙で、「橋本6大改革ノー」の明確な審判を下した。こうした事実に照らすならば、主権者国民の意思を無視し、国民生活に直接影響する実施部門の切り捨て作業を続けることは許されない。
 国公労連は、雇用確保や社会保障制度の充実をはじめ、生活安定のために積極的な役割を国が発揮することを求めている多くの国民と連帯し、行政サービス切り捨ての「行革」をくい止め、国民生活重視の行財政への転換をめざし、組織の総力をあげてたたかいぬくものである。
 以上、決議する。

1998年8月28日              
日本国家公務員労働組合連合会第43回定期大会

トップページへ  前のページへ