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防衛庁調達実施本部の背任疑惑は行き着くところをしらない様相を呈している。9月3日、東京地検特捜部は、元調達実施本部副本部長と製造業者ら4名を背任容疑で逮捕、防衛庁などの捜索を行った。この事件はその後、調達本部の元本部長の逮捕に発展し、さらに組織ぐるみの証拠隠滅が行われたことが明らかになり、問題の背景の底深さを示している。これほど問題を大きくした原因はいくつか考えられる。
第一に、日米安保体制維持を至上のものとして、十分な議論もせずに予算が決定され、防衛装備品の調達が行われる傾向にあり、さらに、防衛機密を口実にした情報隠しが日常化しており、国会や国民のチェックが十分に及ばないこと。
第二に、労働組合など、内部からのチェック機能を発揮する条件が存在しないこと。この間の経過からしても、少なくない調達実施本部職員が、水増し請求分の過小査定や組織を挙げての証拠隠滅作業に、疑問を感じながらも異論の声さえ上げられない実態が明らかになっている。
我々は、今回の防衛庁調達実施本部における腐敗問題を断固糾弾するとともに、政府及び防衛庁当局に対し、事件の徹底糾明と、再びこのような事件を起こさないための抜本策を求めるものである。そのために当面以下の措置を要求する。
1 情報公開法を早期に制定すること。法律の制定前にも、可能な情報の公開に努めること。
なお、今回防衛庁が際だって問題となっているが、防衛庁特有の部分を除けば各省庁にとって他山の石とすべき問題が多い。とくに、「天下り」や官僚組織の秘密主義、閉鎖性、非民主性などの問題については、我々も従前から問題・改善点を指摘しているところであり、今後とも行財政・司法の民主化のために奮闘する決意である。 1998年9月22日 |