中央省庁等改革推進本部、大規模な独立行政法人化や民間委託の検討を各省に要請--読売新聞が独立行政法人対象97機関名を報道【国公労連「行革闘争ニュース」98年10月8日付】

 9月29日に推進本部が決定した「中央省庁等改革に係わる立案方針」をもとに、10月6日には同本部事務局が各省に対して、「事務事業の減量化(独立行政法人化を含む)」や「地方支分部局の整理合理化」などの「事務局見直し案」を提示した模様です。
 「橋本行革」の継承を明言している小渕内閣は、政権維持をかけて行政改革強行の姿勢を強めており、特に「国家公務員20%削減の目標達成」の形作りの意味から行政減量化計画の確定を急いでいます。
 11月下旬に、行革関連法案や減量化計画大綱の事務局原案策定を予定し、それに向けて10月30日、11月12日、12月8日の各日に「顧問会議」が予定されています。
 このような日程配置や推進本部事務局の動向からして、省庁設置法や内閣法など関連法案作成と並行して特に減量化計画(独立行政法人化計画、地方支分部局整理など組織整理計画等)の確定作業が本格化してきているものと考えられます。
 また、小渕首相の所信表明後、行革会議最終報告や行革基本法の枠をも超える減量化圧力が強まっており、そのことが読売新聞が報道するような「独立行政法人対象機関に24機関が追加」とする内容にもあらわれています。ちなみに、行政改革会議最終報告段階での独立行政法人対象検討対象機関73機関の定員総数は約74000人でしたが、今回の報道による対象機関の定員総数は約25万人(自衛官を除く国家公務員の3割)であり、廃止・民営化対象となっている職域病院や航空大学校の定員約11000人、郵政事業庁への公社化対象人員約30万人を加えれば、国家公務員の75%・635000人が働く事務事業が減量化の直接の対象になっています。これらの減量化の前提としての民間委託や、統計部門の統合・包括的民間委託、官庁営繕の統合なども検討対象とされており、中央省庁再編に名を借りた露骨な行政サービス切り捨ての大「合理化」を具体化する一気に動きが強まっており、対応した運動の強化が迫られています。

 【資料・・・10/7付・読売新聞記事の抜粋】

 ■国大学を独立法人に 省庁改革推進本部案で97機関を検討■
 中央省庁改革の焦点である独立行政法人(日本版エージェンシー)について、政府の中央省庁改革推進本部(本部長・小渕首相)が選定した法人化検討対象の全容が七日、明らかになった。行政改革会議が検討対象に例示した国立病院・療養所など七十三機関・業務に加え、新たに国立大学を含む国立学校、法務省の登記・供託業務、労働省の職業紹介業務など二十四機関・事務が追加され、九十七機関・事業が検討対象となる。ただ、国立大学などには反対論も強く、来年一月の対象の正式決定までに曲折も予想される。
 同本部の「独立行政法人化検討対象事務・事業案」は六日、各省庁に対して個別に提示、検討が要請された。省庁改革推進本部が先月二十九日に決定した省庁改革関連法案の立案方針で、独立行政法人化は「検討対象を幅広く設定し、具体的検討を進める」と明記されたことを受け、同本部事務局で選定したものが列記されている。
 事務・事業案によると、昨年十二月に当時の橋本首相が会長を務めていた行政改革会議が独立法人化の対象として例示した国立病院・療養所、国立博物館、農業試験場など七十三機関・業務がすべて検討対象に盛り込まれた。さらに、新たに対象として、科学警察研究所や国立感染症研究所など試験研究所十か所、国立学校など文教研修所二か所、統計センターや社会保険業務センターなど作業施設三か所、法務省の登記・供託、労働省の職業紹介、気象庁の気象観測業務など九機関・業務の計二十四機関・業務が加わっている。
 特に国立学校には、東大、京大など全国に百一ある国立大学も含まれている。国立大に加え、大学入試センター、国立高等専門学校などを含めた常勤教職員数は約十三万五千人に上る。
 また、全国の地方法務局で実施している土地所有権などの登記や供託の業務は、約一万人が従事する法務省の中核の実施部門。労働省の職業紹介業務も、全国の約四百八十の公共職業安定所で働く約一万三千人の職員が関与する同省の主力実施部門となっている。
 推進本部事務局では、独立行政法人化の対象を来年一月に予定している省庁改革関連法案大綱の策定までに絞り込むことを目指している。
 しかし、各省庁とも職員の身分の変化などへの不安感が強く、独立行政法人化に強く抵抗していることから、行革会議が検討対象に例示したにもかかわらず、現在のところ、一機関・業務も法人化は決定していない。
 このため、今後、推進本部事務局と各省庁との間の折衝が難航するのは避けられない情勢だ。

 一、行革会議最終報告の掲載事務・事業
 〈1〉試験研究=開発土木研究所、航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、放射線医学総合研究所、h災科学研究所、無機材質研究所、国立環境研究所、醸造研究所、国立科学博物館、国立国語研究所、国立文化財研究所、国立健康・栄養研究所、農業研究センター、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、畜産試験場、草地試験場、果樹試験場、野菜・茶業試験場、農業工学研究所、農業試験場、蚕糸・昆虫農業技術研究所、家畜衛生試験場、食品総合研究所、国際農林水産業研究センター、森林総合研究所、水産研究所、養殖研究所、水産工学研究所、産業技術融合領域研究所、計量研究所、機械技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪工業技術研究所、名古屋工業技術研究所、生命工学工業技術研究所、地質調査所、電子技術総合研究所、資源環境技術総合研究所、北海道工業技術研究所、九州工業技術研究所、四国工業技術研究所、東北工業技術研究所、中国工業技術研究所、船舶技術研究所、電子航法研究所、港湾技術研究所、交通安全公害研究所、通信総合研究所、産業安全研究所、産業医学総合研究所、土木研究所、建築研究所、消防研究所
 〈2〉文教研修=国立公文書館、国立オリンピック記念青少年総合センター、国立婦人教育会館、国立博物館、国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、工業所有権総合情報館
 〈3〉医療厚生=国立病院・療養所
 〈4〉検査検定=肥飼料検査所、農薬検査所、農林水産消費技術センター、動物医薬品検査所、食糧事務(食糧検査を除く)、製品評価技術センター、自動車検査(民間車検を進めた上で)、船舶検査(造船会社等の検査を進めた上で)、航空機検査(製造会社等による検査を進めた上で)、無線等検査

 二、その他
 〈1〉試験研究=科学警察研究所、関税中央分析所、国立教育研究所、国立特殊教育研究所、国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所、通商産業研究所、気象研究所、高層気象台、地磁気観測所
 〈2〉文教研修=国立学校、計量教習所
 〈3〉作業施設=統計センター、社会保険業務センター、気象衛星センター
 〈4〉その他=登記・供託、造幣局・印刷局(独立法人化を含め、経営形態の在り方の検討を進める)、貿易保険、航空交通管制(オペレーション部門)、海上保安庁水路部、気象庁(気象観測業務)、職業紹介、国土地理院、官庁営繕(一元化の上)


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