未来への投資、国立試験研究機関、国立学校の充実発展を目指す取り組みを強めよう!

(10.30科学技術研究シンポジウム・アピール)


  政府自民党は、戦後最悪の 4.3%もの失業や中小企業の相次ぐ倒産、消費税や医療保険改悪で苦しんでいる国民のくらしを顧みることなく、悪政を推し進めています。「日本発の恐慌は起こさない」、「金融システム安定が最大の課題」として、国民の税金を60兆円も銀行へ投入するための仕組みを作りあげました。真の行政改革はそのような公的資金の投入をやめ、無駄な公共事業費の削減、軍事費の削減(防衛庁汚職の根源)、天下り禁止こそが大事です。一方、このような大銀行救済策とも一体で、「危機管理」を口実にした内閣機能強化と「小さな政府」をスローガンにした行政執行部門切り捨ての「行政改革」の具体化が急ピッチで進められています。

 中央省庁等改革基本法(行革基本法)にもとづく作業を進めている中央省庁等改革推進本部(推進本部)は、 9月の「中央省庁等改革に係わる立案方針」の決定に続いて、10月 6日には、各省に対して、民営化や民間委託、独立行政法人化の対象となる事務・事業などを提示してきました。同本部は、11月下旬には法案・計画大綱の事務局原案を固め、来年 1月頃の大綱の本部決定をへて、 4月には法案等を確定し国会に提出するスケジュールも明らかにしており、行革基本法に反対する闘いは重要な局面を迎えています。

 推進本部事務局が示している内容は、昨年12月 の行政改革会議最終報告の枠さえ超える55万人・65%の国家公務員が行政減量化の対象となるという国民への行政サービス切り捨ての大「合理化」計画です。行革基本法の目玉とされる独立行政法人の対象は、試験研究機関などだけではなく、国立学校なども含まれ、97機関・約25万人を行政組織から切り離すものとなっています。
 地球環境の悪化を警告し、災害の防止技術を作り上げ、国土の姿を調査し、安全な食糧を保障し、次世代のための新生産技術の開発などの研究を行っている国研や大学が、「国の役割ではない」として切り捨てられようとしています。このような乱暴な「行政改革」の強行を許せば、私たちの雇用が脅かされるばかりではなく、社会の公正さを著しく損ない、弱い人に被害が集中する弱肉強食の社会に一気に落ち込むことになりかねません。

 独立行政法人化は、プロジェクト研究中心の効率化を狙って、基礎研究の振興など国の責任を放棄するものです。今、基礎研究を困難にする動きが表面化しています。ニュートリノの質量確認というノーベル賞級の発見をした国立大学の付属研究機関の運営費を15%カットし、研究継続が困難になるという事態に追い込んでいます。また、ノーベル化学賞の故福井謙一博士の財団法人・基礎化学研究所が10年目で存続の危機にありますが、基礎科学は国の責任を放棄しては成り立ちません。

 今こそ、国立試験研究機関、国立大学等で働く公務員が、国民生活の基盤を支えるために担っている積極的な役割を訴えるため、職場の外に打って出て、宣伝と対話を大きく広げましょう。国民の苦境を放置する小渕内閣への国民の批判は、日に日に高まり、暮らしを支える行政の確立への要求は強まっています。国は、現在も将来も国民生活を支える責任があります。いまこそ、その責任を果たさせる運動を強めましょう。「教育・研究の民営化は行政サービスの切り捨て」、「教育、研究に対する国の責任を果たせ」、「小さな政府は高くつく」の世論を地域から高め、国民生活重視の行財政への転換を目指す運動を大きく広がるなら、情勢を変えることができます。今日この場から、独立行政法人化と運営費削減を許さない取り組みを飛躍的に強めていきましょう。

1998年10月30日
10.30シンポジウム「これでいいのか科学技術研究−独立行政法人化と運営費削減を問う」


トップページへ  行革問題インデックスページへ