国公労連11.18行革闘争総決起集会への基調報告

国公労連行革闘争本部事務局長・小田川義和--


 行革基本法の具体化を任務としている推進本部は、9月末に内閣法や行政組織法、各省設置法、独立行政法人通則法などの関連法案と独立行政法人化、出先機関整理合理化などの具体化計画の立案方針を明かにし、10月末には、独立行政法人化計画などについての各省の検討状況を公表しました。各省の検討状況は、独立行政法人化について半数程度が検討意思をしめし、民営化は大半が困難とし、地方出先機関の整理統合についても同様の回答状況となっています。このような「各論反対」の各省の姿勢に対する巻き返し、恫喝が繰り返され、政治的に決着させる動きも強まっています。

●11月20日に大綱の事務局原案提示の動き
 さる12日の顧問会議には、具体化法案の大綱原案のたたき台がだされ、各省設置法では権限規定を減速削除することや独立行政法人制度の具体像が示されています。伝えられるところでは11月20日にも法案・計画大綱の事務局原案が決定される状況になっています。4月までの法案提出を規定のスケジュールに、着々と作業が進んでいる状況にあります。委員長挨拶でも触れましたが、行革基本法の具体化を許すか、許さないか、そのたたかいのまっただ中にあるのが今日この日です。

 法案審議が予想される通常国会に焦点をおき、1)行政改革をはじめとする「6大改革」反対の国民世論を自ら作り上げていくこと、2)政治的な力関係を変え「6大改革」のながれを変えること、そして、3)具体化作業のすすめている推進本部や各省当局に対する取り組みを強め思いどおりの作業を行わせないこと、の3点を過不足なくすすめることが、いまこそ重要ですし、その点での意思統一が本集会の目的の中心です。

 国公労連は、本日をスタートに、行革大規模署名と年金改悪反対署名の「両輪の署名」を軸とする98年度国公大運動をスタートさせます。その要綱は、お手元にお配りしていますが、大運動をすすめる上で確認いただきたい3点をまず提起し、基調報告に変えます。

1 99国民春闘と一体で、国公労連大運動を展開
 史上最悪とも言える不況が、国民生活に限りない悪影響を及ぼし、今と将来への生活不安を拡大している、これが「この国のかたち」の現状です。そして、そのような国をどのように作り替えていくのか、主権者である国民の意思にもとづく改革か、大銀行・大企業擁護をさらにすすめるのための押しつけの改革か、その二つの流れがせめぎ合っている、否応なしに改革が迫られているのが今の状況です。

 小渕内閣が継承する「6大改革」の流れを変える取り組みは、今日の国民の暮らしの現状や消費税率引き上げや医療改悪などの構造改革推進の悪影響からして、私たちに大儀と道理があります。小渕内閣の悪政にいかり、構造改革路線の転換をせまる国民的なたたかいに結集し、「6大改革」の中心である行革基本法にもとづく行政改革の具体化を許さない世論と国民的な共同を国公労働者の総力をあげて作り出す、そのことが勝利の展望を切り開く最短の道です。その点では、全労連・国民春闘共闘の固く結集し、国民生活擁護の立場で展開される99年国民春闘と一体で、大運動を展開する、その重要性を改めて確認したいと思います。それが第1の提起です。

2 小渕内閣不信任の国民的な運動に結集してたたたかいを進める
 内閣支持率が20%を切る状況のもとで、小渕内閣はなりふり構わぬ利益誘導のばらまき政治を行っています。誰が考えても道理も理屈もない商品券構想や、従来型の大型プロジェクトの公共事業、法人税と高額所得者所得税の減税など、総額24兆円もの緊急経済対策を決定しようとして、国債発行を担保するために財政構造改革法の凍結が打ち出されています。一方で、年金・医療の社会保障改革、労働派遣法などの規制緩和・経済構造改革、金融ビッグバンなどの構造改革は、着々と進められています。

 景気対策を口実にしたムダ遣い・放漫財政を続けながら、一方で国民サービス切り捨て・負担転嫁の構造改革で国民生活の基盤をなし崩しにする、その矛盾に満ちた政策を続けざるを得ないところに小渕内閣の弱点があります。それだけに行政改革をはじめとする構造改革では、政治的妥協を図りながらも急ピッチで完了しなければ政権維持にかかわるほど追いつめられていることを正確にみておきたいと思います。

 国民的な運動、世論の強弱が、小渕内閣を追いつめるかいなかにかかわっています。その点では、すでに始まっている来春の統一地方選挙を重視するとともに、21世紀を託すことの出来ない小渕内閣への不信任の世論を一層たかめていく国民的な運動に結集してたたたかいを進めることを確認いただく、この点が、第2の提起です。

3 国民生活擁護・悪政阻止の国民的な運動に結集し奮闘
 以上の2点からして、私たちの行革闘争は、国民的な支持と共感をどれだけ広げるか、と同時に国民生活擁護・悪政阻止をめざして展開される国民的な運動を発展させる立場で国公労働者が結集しどれだけ奮闘するか、その量と質がこの時期の私たちの運動の成否を握っています。この点が3つ目の提起です。

 この点では、以下の点を強調したいと思います。
 私たちは、昨年から今春の行革闘争で、行革基本法の成立を阻止し得ませんでしたが、一定程度政府を追いつめ、運動の貴重な教訓を作り出してきました。
 行政改革をめぐる新たな局面のもとでのたたかいでは、それを大きく上回る「かつて無い運動」を展開する決意を固めあうことが求められています。そして、これまでの運動の弱点を克服し、国公労働者が一丸となって「行政改革」と対決していくことが重要です。

 その克服すべき課題は、取り組みのアンバランスを解消し、全組合員参加の運動を追求することに収れんされます。
 業務の特殊性、性質等によって、民営化、独立行政法人化の検討対象なのか、民間委託なのか、地方支分部局の整理なのか、あるいは定員削減なのか、当面の手法は異なっても、行政実施部門の減量化=公務員削減であることは共通をしています。7月の自民党総裁選挙で、「20%だ」、「30%だ」、「いや半減だ」と公務員削減目標数が「公約」争いにされたことに示されるように、政治的な思惑から行政実施部門がリストラ攻撃の対象にされつづけようとしていることを率直にみる必要があります。

 行政改革=公務員削減とすることとの対決なくして、行政サービスをまもり、組合員の労働条件をまもるたたかいとしては不十分です。
 行政改革の具体化が進んでいる状況もふまえて、例えば、どこそこ市の何々事務所が統廃合されることの問題点や、業務の独立行政法人化がもたらす影響を具体的に訴えるなど、「両輪の署名」基軸に運動を発展させる立場での、単組としての積極的な取り組みの具体化を呼びかけます。

 県国公の取り組みも重要です。残念ながら昨年の取り組みでは、全労連傘下の労働組合にも要請仕切った結果にはなっていません。そのことが、行革闘争に対する支援・共闘の広がりを狭くする要因にも成っています。4月までの残された時間は決して多くはありません。その点を改めて確認いただき、少なくとも要綱案で示している日程概要での取り組みを最低限の目標にして具体化をすすめていただくことを要請します。
 雇用確保や地域経済問題などの国民的な運動とも共闘を強め、「両輪の署名」を軸に各単組の組合員が積極的に打って出るためのヨコからの働きかけと、行政改革反対の世論を地域から盛り上げるための行動の具体化に早急に取りかかっていただくことをお願いします。

 民営化、独立行政法人化に端的に現れている実施部門に経済的効率の追及を強制することは、公益性が極めて高いといわれる銀行が引きおこしている貸し渋りの問題にみられるような国民生活無視の業務執行に行き着くこと、そして当該の労働者には能力・実績による競争で労働条件の限りない切り下げをせまることは火を見るより明らかです。首相の権限強化は、ガイドライン法や憲法改悪の動きと連動して、平和と民主主義を脅かすことも明らかです。そんな改革を許したら、21世紀の「この国のかたち」はとんでもないものになってしまいます。この点での意思統一を強固なものにし、その上で、1)行政改革の目玉とされている独立行政法人を「一つたりとも」許さず、行革推進者達を窮地に追い込んでいくことは「6大改革」の流れの転換をめざす上でも大きな意義を持っていること、2)税金のムダ遣いの問題をただすことは、一面で国公労働者の働きがいの再確認でもあること、3)巨大省庁に反対することは、一面では官僚の特権化をただす課題でもあることなど、署名の各項目の積極的な意義への理解も深めていただき、国の役割を問いなおし行財政の民主的転換を展望して、今日から98年度国公大運動を開始しましょう。


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