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中央省庁等改革推進本部(推進本部)は、11月20日、「中央省庁等改革に係わる大綱事務局原案」(事務局原案)を決定した。その内容は、行革基本法の内容をさらに進めて、内閣への権限集中と実施部門の減量化をせまるものとなっている。事務局原案をベースにした大綱決定や法案決定を許さないことは、国民生活切り捨ての「6大改革」を断念させる重要な運動課題である。「両輪の署名」を軸に、国公労働者が「6大改革」反対のたたかいの先頭にたち、「総対話と共同」を広げて、世論の力で小渕・自民党内閣を追いつめることが重要になっている。あらためて、全国の仲間の総決起をよびかける。
独立行政法人にかかわっては、各省や総務省におかれる「評価委員会」の「事後評価」を細部にわたって規定し、中期計画終了時に、「業務を継続させる必要性」などの検討を「評価」にもとづいておこなうとしており、行政事務を切り捨てるための制度であることが明らかになった。しかも、10月末の段階で、「独立行政法人化は困難」とする回答を多くの省庁がおこなったにもかかわらず、「ごね得は許さない」などとする政治的圧力のもとで、行革会議最終報告の「検討対象機関・事務」に加え国立学校、統計センターなどを明記し、さらに対象を広げることを表明している。 首相の権限強化にかかわっては、内閣総理大臣の発議権を法制化するなどの権限集中と強化の具体的内容が明らかになっている。驚くことは、内閣法に「国民主権の理念」を盛り込むとして、主権者・国民の意思を内閣が代弁するかの規定を盛り込もうとしている点である。政府が、成立をねらう「新ガイドライン法」では、自衛隊の出動に際する国会承認が規定されていないことに強い批判があるが、同様の国会軽視を包括的に規定しようとするものである。首相の権限強化は、平和をも脅かし、議会制民主主義を形骸化させる危険きわまりないものである。 各省設置法でも、「行政機関の機構、定員及び運営の管理」、「市町村の合併などの振興」(総務省)、「国土の総合的、体系的な開発」(国土交通省の任務規定)、「社会保障構造改革の推進」(労働福祉省)、「教育改革の推進」などを所掌事務として規定する方向が示されている。総務省や国土交通省などは、権限と権益が集中する巨大省庁として発足させる一方で、国民生活に直接関係する労働や社会保障、教育、交通などの行政分野は、「6大改革」推進が業務として明記されようとしている。このような省庁再編では、「政・官・財」が癒着して行政を私物化し、国民に負担と犠牲を強いる財政運営は改善されないず、行財政のゆがみを深刻にすることは必至である。
このような「行政改革」の具体化を許すならば、21世紀の「この国のかたち」は、多国籍大企業など一部の権益を優先し、国民には塗炭の苦しみを強いるものになりかねない。
1998年11月24日 |