99年度予算案の成立が確実となり、参議院段階での予算案採決が見通せる状況になったことから、政府は、相次いで重要法案を閣議決定し、国会に提出しようとしています。
また、前国会から継続され、審議のための特別委員会が設置されている「新ガイドライン法案」は、3月12日に衆議院本会議で趣旨説明がおこなわれ、18日にも委員会審議が開始されようとしています。
国公労連のたたかいともかかわって、3月9日までに閣議決定された法案は次のようなものです。【国家公務員法の一部改正法案】
人事院が意見申し出をおこなっていた60歳定年以降、65歳までの再任用制度の新設と、地方自治体、特殊法人などに出向する前の懲戒事由について復職後に懲戒処分をおこなえるようにする懲戒制度改正の2点が内容です。
この内、再任用制度は、2001年度から年金(報酬比例部分)支給開始年齢が段階的(3年毎に1歳、2013年度以降65歳に)に65歳まで引き上げられることから、「年金と雇用の連携」を目的に、職員を再任用するものです。フルタイム(週40時間)勤務の外、短時間(週16時間〜32時間)勤務の形態で、「意欲と能力」のある高齢職員(定年退職者)を1年任期(更新可能)で再任用するものです。なお、再任用者のあらたな俸給表(想定される平均的なフルタイム勤務で年収400万円程度)や、共済、宿舎など関連法の特例も明らかにされています。
国公労連は、3月5日に、この法案にかかわる国会要請行動をおこなっています。その内容は、(1)高齢者に安定的な雇用を保障するためにも「65歳定年制」を見据え、再任用についてはその過渡的な措置であることを国会審議で明らかにすること、(2)現在行われている早期退職慣行の是正など、60歳まで働ける条件整備についての政府の責任を明らかにすること、(3)希望者全員の雇用確保をはかるためにも定員管理のあり方をみなおし、少なくとも再任用にかかわる定員管理の弾力化を明らかにさせること、などとなっています。制度を絵に描いた餅に終わらせないことや、高齢者雇用に名をかりた労働者の「安使い」をゆるさず、実効性ある制度としてスタートできるような国会審議を求めて取り組みを強めています。
【学校教育法の一部「改正」法案】
昨年10月の大学審答申等にもとづき、大学の、@学長の運営権限の強化、A国立大学での運営協議会、評議員会の設置、B国立大学の教授会の権限規制、C3年で卒業できる例外措置の導入、D教授等についての評価システムの整備、などが内容となっています。
独立行政法人制度にもつながる「長」の運営(経営)権限強化や、運営のための「組織」の設置、評価制度を大学に強制するとともに、競争原理を強めて「トップエリート」幾瀬の大学にしようとするものです。
これらの内容が、企業が求める「エリート養成」のための大学づくりであり、教育・研究の自由を制限する内容であること、「6大改革」の一つである「教育改革」の主要部分であることは明らかです。国立大学に対する「改革」攻撃であり、その問題点を明らかにし、反対のたたかいを大きくしていく必要があります。
【少年法の一部「改正」法案】
少年事件について、裁定合議制の導入や検察官関与を制度化するなどの内容となっています。少年の保護から大人とおなじ厳罰化に道を開くものであり、非行を犯した少年の更正、社会復帰を目的にした少年法の変質につながるものです。
既に広範な団体が、改悪反対の運動に立ち上がっており、国公労連も取り組んでいる「改悪反対署名」も3月5日時点で18万をこえて国会に提出されています。今の少年が置かれている社会の病理に目を向けることなく、結果責任だけを問うことになる少年法改悪に反対し、取り組んでいる署名の早期集約などを中心に、たたかいを強める必要があります。
【食糧・農業・農村基本法案】
いわゆる「新農業基本法」と言われる法案です。@国内生産と輸入を「適切に組み合わせる」として、農産物の完全自由化に道を開き、A農産物価格についての保障制度を無くして市場原理を導入し、B農業経営に株式会社の参入を認める、など、国内の農業に壊滅的な打撃を与える悪政推進法案です。
国公労連は、食健連などに結集し、日本の農業を守り安全な食品の提供を求めて署名運動にも取り組んでいます。法案の国会提出をうけて、さらに運動の強化が必要です。
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