「25%」削減問題、定員削減計画、独立行政法人化で見解ただす
--3/18総務庁行政管理局・推進本部に申し入れ
(国公労連「行革闘争ニュース」1999…年3月19日付)

 国公労連は、3月18日午前11時から定員管理を担当している総務庁行政管理局に対し、国家公務員の25%定員削減にかかわる申し入れを行いました。(別紙−1『国家公務員の25%定員削減に反対する申し入れ』参照)

 申し入れでは、1月26日の行革大綱で25%の数値目標が出され決定される中、改めてこれ以上の定削には反対であることを強く申し入れ、政府として、出されている削減目標に対する受け止め方や今後の対応について、具体的な質問で見解を質しました。
 国公労連からは、小田川書記次長、杉浦・飯塚・津田の各中執が出席、総務庁からは、新井調査官、永留主査が応対しました。総務庁が明らかにした主な見解は以下のとおりです。
 なお、○は、国公労連が問い質した点、●はその見解です。

 ◆25%削減は政治的に上から課せられた課題だ

<10%、25%削減の性格と意味合いと母数>
〇 現段階での検討状況を伺いたい。大綱で言っている。10%あるいは25%の性格あるいは意味合いについて、行政管理局としてどう受け止めているのか、また、その際の母数はどの時点でどれになるのか
● 大綱に書いてあるのは、公社化・独法化を除いて10年間で少なくとも10%削減する。それに公社化や独法化のラインとしての自自合意の25%だ。10年間で10%は、今までやってきた定削の延長線上だ。更に合理化できるものは合理化していく。25%については、自自が合意して政府が政治的に上から課せられた課題だ。これは独法も含めると考えている。郵政は含まないが、母数はこれから自自で協議する。方策も自自でお考えになるのではないか。
 国会では、民間のリストラに比べて、10年で25%は甘いのではないかという厳しい指摘ばかりだ。我々はそんなことも受け止めて考えていかないといけない。
 25%の対象は少なくとも郵政公社は外れてくるが、それ以外は分からない。
○ 削減の意味合いは、純減なのか削減なのか
● 法律的には、定削と言っているのであって、純減10%と言っているのではない。これは、はっきりしている。しかし、大臣も国会答弁で純減になるくらいの覚悟をしなくてはいけないと回答している。
 大綱に書いているとおり、2000年12月31日の定員を10年で10%削減する。10%削減とは、基本的に2000年12月31日の定員から差し引いたものだ。

<今後の作業スケジュール>
〇 スタートは2001年1月1日か。
● 一方で前倒し論も出ている。
〇 前倒しは別にして、2000年度の予算で、12月31日までは前の第9次定員削減計画で、1月1日から新しい定員削減計画でとなるのか。2000年度の概算要求に載せることになるのか。
● 現時点では、そのようなことを念頭に考えている。数の割り振りは別にして、対象機関は2001年1月1日からだ。2001年1月1日に何らかの定削がいるなら、今年の予算要求の中で何らかやらねばと思っている。今年の12月には明らかになっていなくてはいけない。
〇 新たな削減計画の検討状況は
● 大綱で述べられたラインからまだ出ていない。25%削減については、与党の考え方を良く聞きながら進めていかないといけない。4月で法案が決まれば、また次の状況が見えてくる。

 ◆非現業でも相当のことをやらないと
  企画部門だから軽くするという訳にはいかない

<独立行政法人との関連>
〇 大綱にも独立行政法人以外の減量化もあるが、現在の9次定削でも1%の踏み出しがある。10%の中にそういうものが含まれるのか。
● それは何とも言えない。だだ、基本法にも書いてあるとおり独法は(10%削減の)別枠の減である。
〇 従来の定削の延長線上と言っても、独法などで現業部門が別の部門に出ていく、そうなると削減係数など根本の見直しが必要なのではないか。それがないとすれば、極めて一律的にカンナで削るような定削になるのではないか。
● 現時点でまだ方針はないが、現業では郵政が出ていく。9次定削の大きな財源であった林野も一服状況で、10%25%は別にしても非現業でも相当のことをやらないといけないと考えている。

<企画立案部門と実施部門の取り扱い>
〇 それでは相当血を流すようなことになる。基本法にある企画立案と実施部門の分離の考え方は、定削を考える場合もファクターになるのか。
● 一概にこの部署は実施だ企画立案だとスッパリ分けきれない。実施部門でも国がどうしてもやらなければならないものもある。また、10年で25%だから企画部門だから軽くするという訳にはいかない。安泰だとはならない。各省庁に割り当ててからになるが、各省庁が削減についてはイニシアチブを持つ。今でも各省庁が確実に削減を実施してきている。一律には申し上げられない。
  しかし、大綱では実施部門も外に出す大方針もあり、この大きな流れをある程度踏まえてやっていかなくてはいけないということもある。

<省庁間配転>
〇 省庁間配転について9次定削の際にも別扱いするという議論があり、行革会議における環境省の議論の際にもそれに近い議論が出た。省庁間配転もあるのか。
● 最終報告でも、雇用に不安を与えないように配慮することを前提としている。その際、省庁間配転は一つの方法である。絶対行きたくないという者を、その省庁がなくなるからといって、無理やり動かしても、どこまでが配慮でどこまでが強制配転か分けずらい。各省庁でそれぞれ受皿となるものがあるだろうから。
○ 従来の省庁間配転では3/4の定数がついた。このような方法は一つの検討課題か。
● そのために今特段何かをやるとか議論されている訳ではない。

<公務員制度との関連>
○ 公務員制度見直しの中で再任用や早期退職の是正など出されている、一方で定削が考えられている、どう考えるのか。
● 最終的には、人事管理の問題である。定員管理であり、それを踏まえ各省庁が考えていくことになる。各省庁の判断だ。

<新採抑制の取り扱い>
○ 各省庁の判断だろうが、新規採用の抑制も書いてある。大綱上の位置づけもあるのでどう扱うのか。
● 推進本部で決定したということは全大臣が良しとしたのだから、それなりに従うのだろうが、10%なり25%なりの削減をやるので、結果として抑制せざるを得ないのだろう。

「25%」削減問題、独立行政法人化で見解ただす

--3/18推進本部に申し入れ

 国公労連は、3月18日午後2時から中央省庁等改革推進本部に対し、中央省庁再編等にかかわる申し入れを行いました。(別紙−2『中央省庁再編等にかかわる申し入れ』参照)
 この申し入れでは、1月26日に「行革大綱」が決定し、行革関連法案の提出作業が進められている中で、行政実態を顧みることなく盛り込まれた国家公務員の25%削減という「数値目標」や、独立行政法人化の問題などについて、具体的な質問で推進本部の見解を質しました。国公労連からは、小田川書記次長、杉浦・飯塚・津田の各中執が出席。推進本部は、古川参事官補佐、柴山参事官補佐、他2名が応対しました。推進本部事務局が明らかにした主な見解は以下のとおり。
 なお、○は、国公労連が推進本部事務局に問い質した点、●は、推進本部事務局の見解です。

 ◆「減量化」計画は調整中、「25%削減」には郵政職員は含まない

○ 現在、「減量化」計画の現段階での検討状況はどうなっているのか
● 「減量化」の計画案づくりは現在、行革大綱にそって検討し、調整中である。スタートは2001年1月1日だが、それを待たずにできるものは、できるだけ早くやる。できるものは早くやる。
○ 自・自連立政権の合意をうけ、大綱に「25%」削減方針が記載された。10年間で10%削減、25%削減の「数値目標」を決める母数はいつの時期の、どこにおくのか
● 大綱にある「10年間で10分の1の削減」や、自・自連立政権の合意で新たに盛り込まれた「10年間で25%削減」は共に、独立行政法人化も含めた数字であり、削減数には、郵政公社に移行する郵政職員は含まない。また定削数を決める母数は、2000年12月31日の定員を使うことが決まっている。また、独立行政法人化への移行は、2001年1月1日なのか、それ以降なのかは決めていない。

○ 推進本部が、減量化・効率化の計画策定について具体化の責任を負うものと考えるのが自然だが、「減量化」計画と定員削減の手法との関係はどうなっているのか
● 減量化の中味は、独立行政法人化、民営化、中央省庁の再編、地方支分部局の整理合理化、地方分権などの数をつみあげていくようにはなっていない。基本法にもとづき、各省庁と相談して具体化する。民間委託は今でも結構やっている、できるところから早くやってもらう。

○ 「25%」削減方針では、毎年新規採用を減らすことを記載しているが、どのように考えているのか
● 具体的には何も決まっていないし、「減量化」の計画段階では踏み込みにくい。

 ◆独法化の対象はすべての事務・事業、聖域はない

○ 独立行政法人の公務員型、非公務員型という身分の扱いはどうなっているのか
● 通則法令を踏まえ、独立行政法人を設立するための個別法令で最終的に身分を決める。基本法の40条にある規定に照らして公務員型、非公務員型かの判断を行う。現在は各省庁と検討中、調整中である。

○ 推進本部として、独立行政法人の身分を25%定員削減との関係で、できる限り非公務員型を選択させる方針を持って対応していないか
● し意的にどちらかに持っていく意志はない。飽くまで、基本法に照らして判断する。

○ 独立行政法人化への移行の時期はどうなるのか
● 省庁再編で新しい省ができ、評価委員会などが設置される前に独立行政法人化が先走ることはない。スムーズに移行できるように推進事務局として日程をいれる。国の執行事務を異なる法人化格とするので、不安のないようにする。

○ 独立行政法人化で、84対象機関以外の検討も行っているのか
● 早急に結論を得るとした貿易保険や、2003年までに結論を得るとした国立大学については、独立行政法人化は、今も検討が続いている。不断の見直しは、永遠に続く。すべての事務・事業を聖域なく検討する姿勢に変わりはない。

 また、3月16日付の読売新聞で「政府は同日(15日)までに、国立病院など独立行政法人の対象に決まっている84機関すべての職員の身分を「公務員型」とする方針をまとめ、自民党行政改革推進本部に提示した」と報道した記事について問い質したところ、推進本部事務局は、「それはまだ決まっていない。その場にもいたが、そんな話は出ていない」と新聞報道を否定しました。

(以 上)

(別紙−1)
1999年3月18日
 総務庁長官・太田 誠一 殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長・藤田 忠弘

国家公務員の25%定員削減に反対する申し入れ
 自自連立合意で、国家公務員の定員の25%削減が合意されたことから、「中央省庁等改革に係る大綱」にも、「公務員数を10年間で25%削減する」と記載され、政府の公式の方針として表明された。しかるに貴職をはじめ政府は、「いままでの20%だって大変だったのに25%をどうするかというのは、われわれも大変苦慮をいたしております」(貴職・衆院予算委員会1月29日)と、無責任な答弁に終始している。これは、25%削減方針がいかに問題なものかを如実に示すものである。
 そもそも、中央省庁等改革基本法では、「10年間で少なくとも10分の1の削減を行うための新たな計画を策定」し、その上で、「郵政公社の設立、独立行政法人への移行により、一層の定員削減を図るものとする」とされているが、それと25%定員削減の関係はどう位置づけられるのか。基数に、独立行政法人に移行する職員6万7000人だけでなく、郵政公社に移行する郵政職員30万2234人(2000年12月31日時点の定員)を含んでおり、郵政公社移行も定員削減にカウントすると解するなら、独立行政法人化も、その他の定員削減措置も必要でなくなるはずである。一方、仮に、郵政職員をのぞく54万3450人(同)の25%約14万人の、しかも自由党の言うような定員純減を意味するのなら、極めて厳しいものであり、行政サービスの著しい低下と、職員の労働条件の極度の悪化を意味し、到底受け入れることはできない。
 以上の観点から、われわれは貴職に対し、下記の諸点を強く申し入れるものである。

1.「大綱」に言う、10年間10%削減および25%定員削減に基づいて、定員削減の強化、新規定員削減計画の策定は断じて行わないこと。
2.行政実態を無視した新規採用の抑制、民間委託の拡大は行わないこと。なお、恒常的な超過勤務の縮減など、労働条件に配慮した要員確保を図ること。

(以 上)

(別紙−2)
1999年3月18日
 中央省庁等改革推進本部
  本部長 小 渕 恵 三 殿
日本国家公務員労働組合連合会 
     中央執行委員長 藤 田 忠 弘 

  中央省庁再編等にかかわる申し入れ

 貴本部は、さる1月26日に「中央省庁等改革にかかわる大綱」を決定し、開会中の通常国会に関連17法案を提出するための作業をすすめるとともに、いわゆる「減量化」計画の策定をおこなおうとしています。
 貴本部発足以来、私たちは、中央省庁再編のなのもとに進められる「行政改革」が、憲法との抵触しかねない首相権限強化をはじめとする中央集権、政治大国化をねらうと同時に、行政本来の役割である実施部門の切り捨て「合理化」を意図したものと考え、反対の立場を明確にし、繰り返しの意見表明をおこなってきました。
 決定された「大綱」は、私たちの意見を一顧だにもせずに、前提となっている行革基本法さえ乗り越える「減量化」目標をかかげるなど、極めて問題の多いものと受けとめています。行政実態を顧みないままに、公務員25%削減という「数値目標」を盛り込み、97年12月3日の行政改革会議最終報告で触れられた「検討対象事務・機関」をふみだす独立行政法人化に言及していることは、その端的なあらわれです。加えて、独立行政法人職員の身分上の取り扱いを先送りにしていることにも見られるように、まったくと言っていいほど公務員労働者の労働条件への配慮が欠落していることも指摘せざるをえません。
 このような経緯に照らしても、「大綱」にもとづく関連法案等の決定は性急におこなうべきではなく、関係者の意見反映を保障した慎重な検討が求められるものと考えます。その点をあらためて申し入れるともに、下記事項について貴本部の見解を示されるよう要請します。

1.いわゆる国家公務員の25%削減方針について、大綱に書かれた事項である以上、推進本部が、減量化・効率化の計画決定に向けて、具体化の責任を負うものと考えるのが自然だが、この件に関する国会答弁は総務庁が行っている。具体化の責任を負う機関はいずれに機関であるのか。またその理由は、なにか。仮に推進本部が責任主体でないとするなら、責任主体の官庁・機関との関係はどのようになっているのか。
2.貴本部事務局から各省庁に対し、廃止、民営化、民間委託等による定員削減について回答を求めるなど、減量化計画策定に向け、作業を詰めていると認識している。貴本部として、具体的な定員削減目標等を念頭に置いて作業をすすめているのか。
3.独立行政法人について、各省庁が、国家公務員の身分を与える類型を選択する場合、その理由について、繰り返し貴本部事務局が問いただしている状況があると認識している。貴本部として、25%定員削減との関係でできる限り国家公務員の身分を与えない類型を選択させる方針をもち、対応しているのか。また、独立行政法人の類型について、1月29日の衆院予算委員会で、行革担当大臣である総務庁長官は、減量化計画までにおおむねめどを付けると回答しているが、それに変わりはないか。
4.いずれにしても、省庁再編の焦点がますます行政減量化、とりわけ定員削減に移り、その中心的手段として独立行政法人化が位置づけられている。総務庁長官の答弁によれば、定員管理も自己責任で行うよう求められており、独立行政法人に厳しい定員削減を求める財政的誘導がおこなわれ、結果として、大幅な定員削減が強制されることも予想される。仮にそうなれば、「公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務および事業」と位置づけられる独立行政法人の業務の遂行に大きな支障を来すのではないか。

(以 上)  


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