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本日の参議院本会議で、中央省庁等改革関連17法と地方分権一括法案の採決が強行され、自・自・公・社民などの賛成で可決・成立した。これによって、「1府12省」などの省庁組織再編を2001年1月1日から実施すること、国と地方の事務配分を2000年4月1日から再編・整理することが確定した。このような大規模な行政組織の再編、行政事務の再配分が、主権者国民に対する国の責任と関与の変更をともなうものであり、「何のため、誰のための改革か」を明らかにし、国民的な論議を尽くすことが求められていた。にもかかわらず、衆参通じた法案の審議は、時間数からしても極めて不十分なものであった。国会内の「多数」を背景に、国民的な論議を抜きにして、21世紀にむけて、行政の根幹部分の改革を強引に決定するという暴挙であり、怒りを込めて抗議する。 中央省庁等改革法の成立をもって、国の役割重点化と国民生活関連部門の行政実施部門の切り捨て(簡素・効率化)や、首相権限の強化・内閣機能の強化の名による一層の中央集権化や政府の専横など、憲法理念に触れる改革内容に国民的な合意が確立したと到底言えない。国公労連は、この間取り組んできた国民生活重視の行財政確立をもとめる運動にも寄せられた国民的支持や共闘の広がりに確信を持ち、憲法理念を根本から覆そうとする行政改革の具体化に反対し、引き続きたたかいを強化する決意である。 成立した中央省庁等改革法の中心的な内容が、1)国の役割を治安、防衛、外交や基本的な政策の企画立案などに「重点化」するために中央省庁組織を再編すること、2)本来不可分の関係にある企画立案と実施部門を「分離」し、実施部門については民営化、独立行政法人化、民間委託などの手法で行政「減量化」をおこなうこと、3)「重点化」した国の役割のもとで、首相に重要な政策の決定権限を集中させること、4)その首相を補佐する内閣官房、内閣府の中心的機関(経済財政諮問会議など)に「民間人を登用」して、財界のもとめる施策を速やかに決定し、行政に反映させる仕組みを作ること、5)それらの狙いを覆い隠すためにも「国家公務員の25%削減」、「行政コストの30%削減」などを行政改革の「中心課題として確定」させ、公務のリストラ「合理化」を遮二無二強行しようとしていること、にあることは短期間の国会審議でも明らかになった。 特に、1)新ガイドライン関連法の成立や盗聴法案、住民基本台帳法案、「日の丸・君が代」法案、憲法調査会設置の国会法改正案などの国会提出・審議ともかかわって、この国を「戦争をしない国」から「戦争をする国」に改革する狙いで中央省庁の再編が進められようとしていること、2)儲け本位の大企業がすすめる首切り・リストラを支援・促進する産業競争力再生関連法案などの国会提出準備が政治主導で強引に進められる状況ともあいまって、中央省庁再編は財界の「行政乗っ取り」に大きく道を開くものであることがより明確になった。 また、中央省庁等改革の「目玉」とされる独立行政法人制度が、人減らし「合理化」を中心目的にした運営をめざしたものであることを政府は繰り返し答弁している。 主権者国民の生活や基本的人権を軽視し、行政サービスの提供・実施にかかわる国の責任を放棄しながら国家による国民の統制のみを強化することは、行政改革を推進する勢力と国民との矛盾を深め、その勢力への批判と怒りが高まることは必至である。国民生活切り捨て、大企業奉仕の「この国のかたち」づくりを一瀉千里(いっしゃせんり)に具体化させないためにも、公務のリストラ「合理化」の強行を阻止するためにも、たたかいは新たな段階にはいる。当面、中央省庁等改革法が実施される2001年1月までの間の取り組みは重要であり、戦争法=新ガイドライン法の発動を許さない国民的なたたかいや、民間企業でも吹き荒れているリストラ「合理化」反対のたたかいとも結んで、行政改革の具体化に反対するたたかいを大きく展開することが求められている。 行政改革会議の設置から足かけ3年、情勢の厳しさを跳ね返し、職場・地域から総対話と共同を広げ、繰り返しの宣伝や署名行動をつうじて世論に訴え、連日の国会行動など諸行動に結集された全国の仲間の奮闘に心からの敬意を表明する。 中央省庁等改革法の成立をうけて、政省令の策定や、独立行政法人個別法案策定などが進められようとしている今、連続したたたかいが極めて重要である。全国の仲間が、あらたな決意で、引き続く行革闘争に決起することを強く訴える。憲法擁護、職場と行政をまもるためにねばり強く奮闘しよう。 1999年7月8日
日本国家公務員労働組合連合会中央執行委員会 |