はじめに
「行政改革」は、今日、国政の最重点課題の一つと位置付けられ、行政改革会議(議長:橋本首相)を中心に、中央省庁の再編、政策立案部門と政策執行部門の分離(エージェンシー化)などについて、急ピッチで論議がすすめられています。すでに行政改革会議は、「省庁ヒアリング項目」(4月16日)、「中間報告」(5月1日)、「中央省庁の在り方(イメージ試案)」(5月28日)などの公表を通じて、同会議がめざす「行革」の基本方向を明らかにしています。
そこには、労働省の解体が具体的な検討の俎上にのぼり、労働行政の基木を揺るがす重大な危険性があります。
私たちは、労働行政に直接従事する国家公務員として、また、労働行政の民主的な発展を自らの生きがい、働きがいとしてきた者として、労働行政のゆくえに重大な関心を持たざるを得ません。それは、労働行政の将来が、わが国のすべての労働者の権利と生活に直結する課題であるからであり、同時に、自らの雇用と労働条件にかかわる重大な問題であるからです。
今日、多くの労働者が景気の低迷とリストラ「合理化」による雇用不安のただ中にあって、長時間労働による過労死の不安と日々対峙しており、こうした状況を改善するため、労働行政の拡充強化が求められています。
現在、推し進められている「行革」の危険性、欺瞞性を広く明らかにしながら、労働行政の後退を許さず、拡充強化こそが必要との世論を攻勢的につく上げていくことが求められています。
「本冊子」等を活用した積極的な討議が労働行政のすべての職場で進められ、「行革」をめぐる情勢への理解を互いに深め、すべての仲間がたたかう方針へ結集することを訴えるものです。
〇 | 労働行政の沿革とその後の環境変化に照らし、労働行政と福祉その他の国民生活に係る 行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。
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〇 | 職業紹介事業の民営化又は独立機関化についてどう考えるか。
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〇 | 雇用保険、労災保険関連業務と他の社会保険関連業務との一体的運営についてどう考え るか。また、その民営化又は独立機関化についてどう考えるか。
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〇 | 労働安全行政に関し、鉱山保安、警察行政等との関係及び組織の在り方についてどう考 えるか。
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〇 | 職業能力開発行政は基本的に民間に委ねるべきとの意見についてどう考えるか。
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〇 | 女性の社会参画促進に関する行政組織の在り方についてどう考えるか。
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これらのヒアリング項目は、それ自体では十分な検討を経たものとは思えませんが、労働行政の基本的な性格にも触れながら幅広い分野に言及しており、今後の動向如何によっては労働行政の行方に決定的な影響を及ぼす危険性を持つとともに、職員の雇用と労働条件にかかわる重大な問題を含んでいます。