中央省庁再編等基本法案(仮称)について

平成10年1月29日
中央省庁再編等準備委員会了承

 1.中央省庁再編等基本法案(仮称)の作成方針

 中央省庁再編等基本法案(仮称)は、以下の方針のもとに作成するものとする。 (1)基本法案の性格  行政改革会議の最終報告で提案された諸改革を実施するため、改革の基本方針、講ずべき施策等を明らかにした、いわぱ「改革プログラム法」ともいうべきものとし、諸改革の全貌を示すものとすること。 (2)基本法案の内容 @行政改革会議の最終報告に忠実に、中央省庁の再編等を実施するために必要な基本的事項を定めるとともに、改革を具体的に実施していくための実施体制、新体制への移行目標時期等に関して必要な事項を定めること。 A上記@は、改革を具体的に実施していく上で、内閣法、国家行政組織法、各省庁設置法等の改正に必要な指針となるものであること。
(3)基本法案と行政改革会議最終報告との関係 @(2)の方針に基づき基本法案の構成、内容は、可能な限り行政改革会議の最終報告に沿ったものとすること。 A最終報告において、方針として提言されているものについては、基本法という法律形式において定めるにふさわしい事項は可能な限り盛り込むこと。



2.法案の提出時期

 中央省庁再編等基本法案(仮称)は、予算関連法案となるため、その閣議決定期限を目標として作成作業を進め、遅くとも2月中下旬には国会提出を行うものとする。


3.法案の概要

 中央省庁再編等基本法案(仮称)の概要は、別紙のとおりとする。


(別紙)
中央省庁再編等基本法案(仮称)の概要

第1 総則

1 目的
 行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって行われる内閣機能の強化、国の行政機関の再編成、国の行政組織と事務・事業の減量、効率化等(以下「行政組織等改革」という。)について、基本理念、基本方針等を定めるとともに、中央省庁再編等推進本部を設置すること等により、その推進を図ることを目的とする旨を規定。

2 基本理念
 国の行政組織と事務・事業の運営を簡素、効率的なものとし、その総合性、機動性、透明性の向上を図ることにより、戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、より自由、公正な社会の形成に資する旨を規定。
3 国の責務
 国は、基本理念にのっとり、行政組織等改革を推進する責務を有する旨を規定。

4 基本方針
 以下の基本方針に基づき、行政組織等改革を行うものとする旨を規定。 (1)内閣機能を強化し、内閣総理大臣の指導性を明確化し、内閣と内閣総理大臣の補佐支援体制を整備すること。 (2)新たな省の編成に当たっては、主要任務を基軸とする等の方針によること。 (3)国と民間、国と地方公共団体の役割分担を踏まえ、滅量化、重点化等を図ること。 (4)政策の企画立案と実施の機能の分離を基本とし、それぞれの機能を高度化し、組織上の分担と責任を明確化するとともに、両機能を担う組織の連携の確保に留意すること。 (5)国の行政機関の間の政策調整機能を向上させ、政府全体として総合的かつ一体的な行政運営を図ること。 (6)客観的な政策評価機能を強化し、評価結果の政策への適切な反映を図ること。 (7)行政運営の透明性を向上させ、国民への説明責任を全うすること。 (8)国の行政機関の編成に当たっては、内外情勢の変化等に柔軟、弾力的に対応し得る仕組みを整備すること。







5 新体制への移行目標時期
 この法律の成立後遅くとも5年以内、できれば21世紀が始まる2001年(平成年)1月1日に、新体制に移行を開始することを目指すものとする旨を規定。
第2 内閣機能の強化 1 内閣総理大臣の発議権  内閣総理大臣が、内閣の首長として、国政に関する基本方針について、閣議にかけることができることを明らかにするものとする旨を規定。

2 国務大臣の数
 内閣総理大臣以外の国務大臣については、その総数を15人から17人程度とするものとする旨を規定。

3 内閣官房 (1)内閣官房は、内閣の補助とともに、内閣の首長としての内閣総理大臣の職務を直接に補佐する機能を担うものとして、国政に関する基本方針の企画立案、国政上の重要事項の総合調整等を行うものとする旨を規定。 (2)内閣官房の人事、組織等を柔軟化するため、必要な措置を講ずるものとする旨を規定。


4 内閣府 (1)内閣府は、内閣に置き、内閣総理大臣を長とする行政機関とし、内閣官房を助けて国政上の重要な具体的事項に関する企画立案及び総合調整を行うとともに、内閣総理大臣が担当することがふさわしい行政事務を処理する機関とするものとする旨を規定。 (2)内閣府の任務、機能について規定。 (3)防衛庁、国家公安委員会は、内閣府にその外局として置くものとし、その長を国務大臣とするものとする旨を規定。 (4)内閣府に、その外局として金融庁を置くとともに、金融危機に対応するための会議を置くものとする旨を規定。 (5)内閣府の任務の、ち特定の重要事項については、国務大臣に担当させることができるものとし、沖縄対策、北方対策については、国務大臣に担当させるものとする旨を規定。 (6)内閣府に、合議制の機関として、経済財政諮問会議、総合科学技術会議、中央防災会議及び男女共同参画会議を置くものとする旨を規定。 (7)その他、内閣府の組織等について、所要の規定。






5 その他
 事務次官等の行政機関の幹部職員の任免についての内閣承認を要することとする旨及び内閣機能を強化するため内閣と内閣官房の運営の改善を図るものとする旨を規定。

第3 国の行政機関の再編成 1 新たな省の編成 (1)新たに編成される省は、総務省等の10省とし、これらの省の名称、主要な任務及び行政機能を規定。 (2)各省の機能、政策の在り方を踏まえた各省の編成方針(他省の事務との関係の整理等を含む。)を規定。

2 内部部局及び外局 (1)内閣府と省(内閣府に置かれる国務大臣を長とする委員会及び庁を含む。以下「府省」という。)の内部部局は主として政策の企画立案に関する機能を担い、その組織の編成に当たっては、その任務、機能に即して、総合的、機能的な行政の遂行を可能とするものとし、1の府省の内部部局として置かれる局の数を、基本として10以下とすることを目標とするものとする等の旨を規定。 (2)内閣府に置かれる国務大臣を長とする委員会及び庁並びに特段の必要があり主として政策の企画立案に関する機能を担うため府省に置かれる庁を除き、外局として置かれる委員会及び庁は、主として政策の実施に関する機能を担うものとする旨を規定。 (3)主として政策の実施に関する機能を担う庁について、その業務の効率化を図るとともに自律性を高めるために必要な措置を講ずるものとする旨を規定。

3 府省間の政策調整等
 府省間における政策についての協議、調整のための制度を整備するものとする旨を規定。

4 政策評価等
 政策評価機能の充実強化を図るための措置を講ずるものとする旨を規定。

5 審議会等の整理合理化
 審議会等について、活動の実績が乏しい審議会等を基本的に廃止する等の整理合理化を進めるものとする旨を規定。

6 特別の機関
 特別の機関について、各機関の必要性、在り方について、その性格に応じた見直しを行うものとする旨を規定。
第4 国の行政組織等の減量、効率化等 1 国の行政組織等の減量、効率化等の推進方針  国の事務・事業の見直しを行い、民間事業への転換・移譲、廃止、地方公共団体への移譲、独立行政法人の活用、民間への委託、国の規制の撤廃・緩和、国の補助金等の削減・合理化等に関する方針に従い、国の行政組織、事務・事業の減量、その運営の効率化、国が果たす役割の重点化を積極的、計画的に推進し、その具体化のための措置を講ずるものとする旨を規定。

2 現業の改革 (1)郵政事業 @5年後に、独立採算制の下、自律的、弾力的な経営を可能とすること、職員に国家公務員としての身分を付与すること等の方針に基づき、郵政事業庁の所掌事務を一体的に遂行する国営の新たな公社を設立するものとする旨を規定。 Aその他、資金運用部への預託の廃止等郵政事業に関し必要な事項を定めるものとする旨を規定。
(2)国有林野事業  国有林野事業に関し、業務運営、実施体制及び財務に関する改革を総合的、計画的に推進するものとする旨を規定。 (3)造幣事業及び印刷事業  造幣事業と印刷事業について、その経営形態の在り方を検討するものとする旨を規定。



3 独立行政法人等 (1)独立行政法人  国民生活、社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要である等の一定の要件に該当する事務・事業を、効率的、効果的に行わせるため、独立行政法人の制度を設けるものとする旨を規定。 (2)独立行政法人に関する法令の整備等  独立行政法人の制度の基本となる共通の事項を定める法令を整備し、各独立行政法人の目的、業務についてはこれを設立する法令で明確に定め、所管大臣の関与を法令で定めるものに限るものとする旨を規定。 (3)運営の基本  独立行政法人の運営について、中期目標・中期計画等の仕組み、弾力的・効率的な財務運営の仕組み、業務実績の評価、所要の事項の公表、定期的な見直し等、制度の基本となる事項を規定。 (4)職員の身分等  独立行政法人のうち、目的、業務の性質等を総合的に勘案して必要と認められるものについて、職員に国家公務員の身分を付与するものとし、当該職員の地位等について基本とするところを規定。 (5)その他、評価委員会等について規定。 (6)特殊法人について、行政組織等改革の趣旨を踏まえ、その整理・合理化を進めるものとする旨を規定。









4 その他の見直し (1)施設等機関等 @施設等機関について、国として必要なもの以外のものについては、民間・地方公共団体への移譲等を推進するほか、その必要注が認められるものについてもA統合を推進するとともに、各施設等機関の性格に応じて独立行政法人への移行を検討するものとする旨を規定。 A国立大学、国立病院、国立療養所、国の試験研究機関について、その組織、運営等の改革を推進するものとする旨を規定。 B検査検定機関、文教研修施設(国立学校を除く)、作業施設、矯正収容施設に関し、効率化の推進等のため所要の見直しを行うものとする旨を規定。

(2)国の規制及び補助金等の見直し  国の規制及び浦助金等について、その見直しの視点等を規定。 (3)地方支分部局の整理合理化  地方支分部局の再配置、統合・廃止、各地方を単位とする総合化、地方支分部局の長に対する権限委任等により、地方支分部局の整理、合理化を推進するものとする旨を規定。 (4)公共事業の見直し  国の役割を全国的な政策・計画の企画立案及び全国的な見地から必要な事業の実施に基本的に限定、国の補助事業の限定と統合的な補助金へのできる限りの転換、地方支分部局における主体的、一体的な処理に関する方策、民問への業務委託の徹底、決定過程の透明化、評価の適正化等について規定。




5 国の行政組織の整理、簡素化及び定員の削減 (1)府省の編成の時において、官房及び局の総数をできる限り90に近い数とするものとする旨を規定。 (2)府省の編成の時において、課等の総数を1,000程度とするものとする旨を規定。また、その後5年問において、課等の総数の10分の1程度の削滅を行うことを目標とするものとし、できる限り900に近い数とするよう努めるものとする旨を規定。 (3)府省の編成に併せ、行政機関職員定員法を改正するものとし、国の行政機関の職員の定員について、10年間で少なくとも10分の1の削減を行うための新たな計画を策定した上、その計画に沿った削滅を進めつつ、新たな公社の設立と独立行政法人への移行により、一層の削滅を行うものとする旨を規定。




第5 関連諸制度の改革との連携 1 国家公務員制度の改革 (1)国家公務員制度の改革について、早期に具体的成果を得るよう引き続き検討を行うものとする旨を規定。 (2)中央人事行政機関としての人事院と内閣総理大臣の機能の分担の在り方について、見直しの基本方針等を規定。

2 行政情報の公開等 (1)行政情報の公開制度の確立とその適切な運用の確保のため必要な措置を講ずるものとする旨を規定。 (2)重要な政策の立案に当たり、必要な事項を公表し、広く国民の意見を求め、これを考慮して決定を行う仕組みの活用と整備を図るものとする旨を規定。 (3)司法機能の充実強化の方策について更に検討するとともに、行政審判機能の充実強化の方策等について検討するものとする旨を規定。


3 地方分権等
 地方公共団体に対し、自主的、主体的にその行政及び財政の改革を引き続き推進するよう要請するとともに、必要な助言等の協力を行うものとするほか、地方分権の推進については、地方分権推進委員会の勧告を尊重し着実に実施し、及び地方の行財政に関する制度の改革について、更に本格的な検討を進めるものとする旨を規定。

第6 中央省庁再編等推進本部 1 中央省庁再編等推進本部の設置  内閣に、行政組織等改革による新たな体制への移行の推進に関する事務を処理するため、中央省庁再編等推進本部(以下「本部」という。)を置く旨を規定。

2 所掌事務
 本部の所掌事務を、新たな体制への移行の推進に関する総合調整、必要な法律案等の立案、計画の策定等とする旨を規定。

3 組織等
 本部長は内閣総理大臣をもって充てること、本部に事務局を置くこと等、本部の組織等に関し、必要な事項を規定。

4 設置期間
 本部の設置期間は設置の日から3年間とする旨を規定。


第7 附則

 公布の日から施行し、ただし、本部に関する規定は、政令で定める日から施行する旨を規定。

(注)平成10年1月20日付与党三党合意(「大蔵省改革(財政と金融の分離)について」)に沿って、今後その内容を基本法案に盛り込むものとする。

(備考)本概要に示す構成及び内容については、今後の法律案の作成過程において変更がありうるものとする。


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