国会報告にたった、日本共産党の平賀高成衆議院議員(東海比例区)は、「内容に違いはあっても、野党4党が行革基本法案反対で一致しているのは事実」、「内閣機能強化や、労働福祉省など法案の違憲性や、国土交通省と5全総とのかかわりに見られる利権の温存など、法案の中味にかかわっても徹底して追及する」、「また、わずか4ヶ月先も見通せず財政改革法の成立を強行し、それも破綻している橋本内閣に、国家100年の計ともいえるこの国の形を語る資格はない。内閣退陣などその責任を徹底して追及する」などと述べました。
連帯挨拶に駆けつけた農民連の石黒書記長は、「行革基本法案は、内閣機能を強化する一方で国民生活を破壊する悪法。絶対反対で取り組む」、「米価が3000円も下落し、地域経済に影響が出るほどの収入減となっている」、「自衛隊の海外派遣手当が4000円から2万円に引き上げられる一方での国民いじめは許されない」、「汚職・腐敗の一掃、国民にあたたかい行政の確立、橋本退陣が国民要求。その点での共同のたたかいを大きく広げよう」と述べました。
全建労の明比書記次長は「国公労連の行革闘争にも結集を強めつつ、5月11日からは独自にも連日の宣伝行動を実施することを確認している。法案廃案まで奮闘する」と述べ、全気象の宮崎副委員長も、「署名の到達は目標に比して2割程度の状況。追い上げも含め中央・地方で奮闘する。」と決意を述べました。
最後に、安部国公労連副委員長が行動提起し、「4月17日の中央行動で、署名の紹介議員は36名にまでのびてきた。地元からの議員要請の成果であり、中央・地方一体で引き続き取り組みを強めよう。」と訴え、「既定の取り組みに全力を挙げつつ、とりわけ連休時期での地方段階の地元選出議員要請行動を産別全体で重視する」ことを強調しました。
なお、中央段階の4月、5月の諸行動(別添の内容)をあらためて提起し、その成功に向けた各組織の奮闘を求めました。
野呂田芳成委員(自民) 大括りの省庁再編はアフターケアーが大事。定削はどうなっていくのか。諸外国ではうまくいっているがどう思う。
橋本総理大臣 郵政事業や独立行政法人化でここの職員は総定員法の外になる。その上で国家公務員を10%削るのだから、相当な減量になる。
野呂田 削減される公務員の生活保障は暖かく。英のエイジェンシー化は、業績給導入し、処遇面でも成果をあげている。
総理 独立行政法人は、業績あがればよりよい処遇が得られる。他国と遜色ないものになる。
小里総務庁長官 独立行政法人は重視すべきであるというのはまさにそのとおり。国立施設・機関が百数十あるが、法律ができたあと、これらを対象に具体化したい。
野呂田 日本の歴史は、平安、鎌倉など遷都を機会にめでたい結果を出している。首都移転をどう思う。
総理 内閣として重視している。具体化に向けた検討がすすんでいるが、ただ、政治・経済の分離が必要であり、行財政の改革と関連づけながらすすめる。
野呂 田公共事業での景気波及効果がうすいとの議論残念。アメリカと比べ3割コスト高いという議論おかしい。日本は地震多発国で、台風も多い、耐久力考えればコスト高くなる。
総理 公共事業に厳しい議論あったが「イコール悪」とはしない。しかし、公共事業にかかわるコストはもっと縮減できる。
菅直人委員(民主党) 民主党の行政改革の基本理念は、@国の持っている権限を地方にA国の権限を限定するB財源も地方に移すものであることだ。こうした立場で副大臣制、行政監視委員、公共事業コントロール法など提案してきたが、すべて与党が反対して廃案になった。 行革会議の「中間報告」から「最終報告」は大きく変わったが、族議員がドタバタ動いたからだ。 行革基本法をつくったあとに、なぜ5年もの推進本部をつくるのか。総理が霞ヶ関の官サにのせられているのではないか。できるところからやればいいので、時間かけると改革がぐちゃぐちゃになるのを何回も見てきた。
総理 国の権限は委員がいうだけのものでいいのか。青少年の教育、科学技術、雇用安定、安定した食料、エネルギー確保、財政などいろいろある。できるとこらからやれというが、個々バラバラでなく一体でやる必要ある。プログラム法としてつくったあと、各省設置法をつくるが膨大な時間が必要。行革会議が官僚の影響があったかのようにいうのはメンバーからいっても違う。
菅 教育はドイツでは国でなく州だ。国の仕事を限定するという理念必要。内閣機能強化いうなら、官僚内閣制になっているのが最大の問題。内閣機能強化は政治機能強化にすべきであり、各役所に副大臣を2〜3人おいたらどうか。事務次官会議で頼らないですむのではないか。国土交通省は公共事業を一手ににぎる巨大官庁だと多くの国民が思っている。公共事業の見直しの基本法案46条はわれわれの主張を薄めて書いてあるが、それなら、われわれの公共事業コントロール法に賛成すべき。
情報公開は、行政が行政を国民に説明する義務を持つ必要があり、各大臣は各部局に命じればできること。
北脇保之(民主党) 基本法の問題点は、官僚による官僚のための行革になるのではないか。32条に「国の事業の見直し」があるが誰がそれを判断するのか。行政府にまかせるのか。
総務庁長官 基本法を決定してもらい、推進本部で各省庁設置法の中で議論する。来年の今頃は国会で議論する段取りになっている。47条には行政整理で局・課の数の削減を書いてあるが、局・課の規模が大きくなったらスリム化にならないのではないか。10年で1割減は少ないし、これは純減ではないのではないか。
政府委員 初めから純減と書くと、将来的にどういう事業が出てくるかわからないし、新規事業の増員は毎年違うので、純減と書かなかった。
北脇 今の答弁は官僚の抜け道。
総務庁長官 純減と書き込みたいが、1年後に増員という部署が出てくるかもしれない。最終報告まとめる中で10%出すか出さないかで苦労した。各省庁前向きにやろうということで10%に「以上」をつけた。
北脇 相手は官僚機構だ。抜け道の穴をふさぐように、同じ政治家としてしっかりやってほしい。
○衆議院行革特別委員会(4/20午後)--日本共産党・松本議員「法案には政官財の癒着を断ち切る問題意識はない」
午後の質疑で、菅議員の持ち時間のなかで質問にたった民主党・池田議員は「G7もIMFも、現在、日本の経済対策を求めている。国内でもデフレ政策を改めることが国民の声になっている。それにもかかわらず、橋本内閣は行革を優先しようとしている。どちらが政策的に優先すべき課題だと思っているのか」と質問したのに対して、橋本首相は「景気回復に全力をあげていく」と回答、松永蔵相も「首相のリーダーシップで16兆円の景気対策を決定している」と発言しました。また、大蔵省改革(金融、財政の分離)に関わり、本法案のなかで予算編成権がどこにあるのかと質したのに対して、橋本首相は「現行では予算編成権は内閣にあり、本法案のなかでは首相の指導性強化の観点から内閣府に置かれる民間の学識経験者などを含む経済財政諮問会議で予算編成の基本方針について議論がおこなわれたうえで、最終的には閣議で決定されることになる」と回答しました。
続いて質問にたった平和改革・石田議員は、「首相は本国会の施政方針演説のなかで、地方分権や規制緩和の推進を強調した。行政改革も省庁再編だけでなく、これらと同時並行すべき。地方分権推進計画はいつ頃出されるのか」と質しました。これに対して、上杉自治相は「今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に作成し、報告する」とし、さらに会期末では国会での審議の時間がないという指摘に対しては、「国会で審議すべき性格のものではない、政府として報告したものを公表するだけだ」と回答しました。
これに関わり、地方公共団体の財源や分権の受け皿に関して、今後どのように進めるのかという質問に対しては、上杉自治相は「国・地方の税源配分は今後考える、分権の受け皿については、広域行政、市町村合併が考えられ、地方の自主的判断に委ねるが、合併の方が効率的だと考えている」と回答しました。
規制緩和に関わっては、「規制緩和を推進しているのに、許認可の数がむしろ増えている。規制緩和推進の体制が弱いのでは」という質問に対して、橋本首相は、「裁量行政から転換し、あらかじめルールを示し、事後チェックの行政に転換する場合、新たな許認可が増えることもある」と回答しました。
また、公共事業の見直しに関わって公共事業における民間資金の活用(Private Finacial Initiative=PFI)について、具体的に政府として取り組んでいくのか、という質問に対して、瓦建設相は「新しい社会資本整備に関する検討委員会のなかでも検討しており、PFIは重要と考えており、取り組みがはじまりつつある。そのなかで、権限の委譲や合理化など公共事業のあり方も変わっていかなければならない」と回答しました。
続いて質問にたった自由党・東議員は政府の総合経済対策について、特別減税を来年も続けるのか、再来年は財政構造改革の方針にそって、増税になるのか、と質したのに対し、松永蔵相は恒久減税は、所得税体系全体を考える必要があり、日本の所得課税の水準は高いわけではないということで、経済対策を何かしなければならないということで、特別減税をおこなった」と回答、橋本首相は「資産性所得課税、年金課税等さまざまな議論があり、将来の課税のあり方について検討を始めている」と回答しました。そのうえで、いまの景気低迷、経済危機の打開のために時代にそぐわなかった行政システムを規制緩和や地方分権で削ぎ落としていくべきだという指摘に対し、首相は「これまでもそれぞれ様々な努力をしてきたし、今後も進めていく、そうしたことを進めながら行革も進めていく努力を認めてもらいたい」と回答、官民や国と地方の役割分担を明確にしたうえで、それにむけて行革を着地させていくべきとする東議員の指摘に対し、「政権をバトンタッチされたときには、それらの作業は始まっていた、それらを受け止めつつ行革会議でも議論してきた」と回答しました。
また、東議員は「6つの改革は、相互にリンクしていると言いながらバラバラ、行革では何をどのように変えようとしているのか見えてこない」「この程度の省庁再編なら、基本法案などとせずに各省の設置法を書き換えればいいのではないか」と質したのに対して、首相は「それぞれの改革についてもすでに様々な検討が進んでいる、本法案は肥大化した行政システム全体を把握して、21世紀型の行政システムをめざしたもの」と回答しました。
続いて質問にたった日本共産党・松本議員は、「本法案には国民が求める政官財の癒着を断ち切る問題意識は触れられていない」と指摘したうえで、「国土交通省の設置は、五全総に沿って推進をするものではないのか」と質したのに対して、瓦建設相は「まさにその通り」と回答しました。そのうえで松本議員は「生活道路や下水道などの生活密着型の公共事業は否定しないが、五全総は国民の負担を強いる大型プロジェクトの推進にほかならない」と指摘、これに対して橋本首相は「本法案の省庁再編は企画立案機能と実施機能の分離、縦割り行政の排除の観点から大括り化の構想でまとめてきた。その結果、国の事業の実施に関わる決定の権限は地方支分部局に委譲し、その過程の透明化を図っていくことは重要。五全総のなかでは阪神淡路大震災の反省から、我が国は複数の国土軸を持たなければならないという点に着目したことを理解してほしい」と回答しました。
本日の委員会で最後に質問にたった社民党・深田議員は、「閣外協力にある与党としては、法案成立に努力する立場だが、いろいろ国民の方と話をすると多くの疑問があると言わざるを得ない」と切り出し、「趣旨説明にある今の行政システムの『何が、なぜ限界になっているのか』を端的に示してほしい」と質しました。これに対して、首相は「京都での地球環境問題会議で案をまとめていく過程で調整がうまくいかず、結局内閣に委ねられることになったが、このようにいままでのような調整システムでいいのか、ということだ」と回答しました。さらに「独立行政法人と特殊法人はどこが違うのか、企画立案部門と実施部門の分離は容易に実現するのか」と質したのに対して、小里総務庁長官は「独立行政法人は、現在、指摘されている特殊法人の批判を裏返したようなもの、共通の組織運営のルール、自主的・自立的な運営、弾力的な財務運営、情報公開などを実現するもの。企画立案と事務実施部門の分離は、3郵政事業などが象徴的な例になるのではないか」と回答。さらに、「独立行政法人制度の適用に当たっては職員団体との事前協議をしっかりおこなうべき」との指摘に対して、小里総務庁長官は「至極当然であり、法案にも明記してある」と回答、橋本首相は「さまざまな場面で、職員団体の方の声は届いている。将来を展望するような議論をしてほしい」消極的な回答にとどまりました。