「行革法案」で4月30日、5月6日の両日、参考人質疑を予定

【国公労連「行革闘争ニュース」98年4月23日付より】

 本日予定されていた衆議院本会議が、明日24日13時から開催されることになりました。そのことから、4月24日午後の特別委員会は、本会議終了後17時10分まで開催されることになり、そのため当日予定されていた質問者の内2名分(自由党、共産党で75分)の質疑は5月7日に繰り延べることが特別委員会・理事懇談会で決定された模様です。この結果、5月7日も特別委員会質疑が確定的になり、7日、8日は一般質疑がおこなわれる可能性が高くなり、採決は11日以降になることが濃厚になっています。
 一方、行革特別委員会の総括質疑が終了したことから、常任委員会での審議が加速しており、労働基準法改悪案質疑が24日に6時間(労働委員会)おこなわれることになっています。
 また、重要法案の国会提出も相次ぐ状況となっており、4月28日には有事法制(公海等での武器使用を認める自衛隊法「改正」案や、周辺有事の際に地方自治体、民間にも物品、役務提供を求める「周辺事態法案」など)が提出されることになっています。また、5月15日の「バーミンガム・サミット」までに16兆円の大型補正予算を提出する構えであり、これらの審議とも絡んで、連休明けから緊迫した国会情勢が連日続くことは確実です。
 それだけに、橋本「6大改革」の強行を狙う行革基本法案成立阻止のたたかいと、橋本内閣の悪政粉砕の国民的な運動を一体でとらえ、全労連等の提起に積極的に結集することが極めて重要になっています。

○250人の参加で緊急の昼休み請願デモ

 23日、昼休みに、国公労連と東京国公の共催による緊急の昼休み請願デモが行われ、250人が参加、衆参両院の共産党国会議員団に請願署名を提出するとともに、国会周辺で「行革基本法反対」のシュプレヒコールを響かせました。

○大蔵シンポには150人

 23日、夜行われた大蔵シンポ(「これでいいのか!大蔵省」告発・証言の集い 全労連、国公労連、特殊法人労連、全証労協、全国税、全税関、銀産労、政金労などの実行委員会主催)には、150人が参加、報道関係者も19人が取材しました。シンポでは、朝日新聞・山田厚史編集委員が「大蔵護送船団の末路」と題し、講演。全国税、銀産労、、全証労協、政金労から告発証言が行われました。

○4月23日(木)行政改革特別委員会午前の審議

「国立病院は採算のあわないところは委譲すべき」=土肥議員(民主)
小泉厚生大臣「社会保障費の上限についても撤廃すべき」

【土肥隆一(民主党)】労働福祉省というネーミングは良いと思う。左近の雇用情勢の中で、雇用は国民にとって大事なことであり、失業は悲しいことだ。あらゆる力を使って雇用を確保していくことが重要だ。厚生省は、国民生活全般にわたる問題をえりあにしており、これに労働省が加われば雇用と福祉が守られることになると思う。この最大の目的は、現在、様々な行政が制度疲労を起こしており、それらを統合することによっていかに行政効率を上げ、行政システムをスリム化していくかにあると思うが、どうか。
 国立病院をエ−ジェンシ−化したら、統廃合は無理だ。エ−ジェンシ−化しないで統廃合したほうがよい。
【小泉厚生大臣】出来るだけ国の役割を整理しして、効率化していこうと考えているが、地域住民の医療要求もあり、国の役割が十分理解されていない。出来るだけ努力するしかない。
【土肥】大臣の発言は余りやる気が見られない。国民が納得するよう進めるべきだ。以前、民間への委譲については、国立病院を民間に無償で渡してもよいのではないかと言ったことがあるが、国立病院は採算のあわないところは委譲すべきだ。
 次に介護保険について聞きたい。介護事業には9割を越える民間が参入して来ると思う。そして、そこでは複雑・多岐にわたった業務が行われると思う。厚生省としては、いくつくらいの職種が出来ると思うか。
【伊藤(厚生省政府委員)】介護事業には、多様な企業や多様な人材が必要になってくると思う。しかし、介護を行う出発点は、介護計画を作成してもらうことで、その上で、どような介護サービスが必要になるか検討されることになるので、今の段階でいくつの職種があるかは申し上げられない。出来る限り民間企業のサービスを活用していきたい。

【池坊保子(平和)】内閣府の中で男女共同参画の問題が掲げられているが、これは内閣府より労働省が所管すべき問題ではないのか。
【伊吹労働大臣】これは現在も労働省が所管しているが、女性が男性と同じようなエリアで働けるようにするためには、もっと高度の政治判断が必要になってくる。しかもこの問題は労働行政だけではなく、様々な分野に波及しており、縦割り行政を廃止する意味からも内閣府として総合的な調整が必要になってくる。
【池坊】今、行政のスリム化と効率化が最大の問題になっており、このことが果たせないならば行政改革とは言えない。こうした中で特殊法人の問題も掲げられているが、2つを1つにまとめても、そこにいる役員の数や給与が高くなっては、実は生まれないし、効率化・スリム化とはいえないと思うがどうか。
【小里総務庁長官】現行の1府21省庁を1府12省庁にしたのは、中身をいかに効率的に、しかも、スリム化し、政府が行うべき仕事を厳密に整理したいと考えるからだ。

【鍵田節哉(民主党)】今国会に行政改革基本法が出されているが、本来、行政改革の中味を十分吟味し、審議した中で器の問題について議論すべきではないかと考えているが、今回の議論はこれが逆立ちしてい中央省庁問題についても、特殊法人の統廃合をどう進めるかについて議論した上で、再編成をどう議論すべきと考えるがどうか。
【小里総務庁長官】今回の行政改革の流についてお話を頂いたが、国の問題については、各省の担当者や職員、各層分野の方々から意見を聞きましたし、地方分権については、地方自治体の様々な分野の方々の意見を聞いてまとめたものだ。この中ですでに実施をしているものもあるが、法案成立後1年間にわたり十分議論をした中で、来年の今頃には答えうぃだしたいと思っている。
【鍵田】公務員の採用などは一括して行うべきではないか。機関委任事務の廃止はよいが、すべて国にあげてしまうのはいかがなものか。
【小里総務庁長官】一括採用を含めて今、公務員制度調査会で検討中だ。
【小泉厚生大臣】地方分権委員会の勧告を尊重しながら廃止すべきは廃止し、統合すべきは統合し、移管すべきは移管していく。
【鍵田】職安行政は中央に引き上げるようであるが。地方によっては、その業務自体を広範に考えなければならない問題もある。特に、雇用問題などは、地方で深刻で、それを全部中央に引き上げてしまうというのは問題だ。
【伊吹労働大臣】地方の自主的な判断・考えでやればよい。しかし、労働行政と言うことで考えれば、国がやる仕事は職業安定、労働基準、婦人少年とあるわけで、今後は、職業安定、労働基準は1つにまとめてやって行くべきだと考えている。

【青山 丘(自由)】今回の法案によって、国民は効率的かつ、スリム化した行政が出来ることを期待している。労働、厚生省の統合によってメリットが出来ると考えているのか。
【小泉厚生大臣】福祉施策がやりやすくなる。この中には高齢者福祉もあるし、女性に働き方、育児休業等の問題もあり、現在将来を見通して、双方で人事交流等を行い、検討を進めている。
【伊吹労働大臣】もう一つは労働、雇用保険、厚生、国民年金の掛け金の徴収がやりやすくなる。国民に公共サービスを提供すると同時に、国民により税負担を強いないようにするためには、一体となる意味がある。
【青山】巨大省庁が誕生することも事実で、統合した場合、機能が十分に発揮できるのか。社会保険は社会保険事務所が、さらには、雇用保険は労働基準監督署となっているが、これらの問題は今後どうなっていくのか。これまで行ってきた役割・使命はどうなっていくのか。
【伊吹労働大臣】25条2項に定められている定年制や雇用のあり方、年金支給、それから小子高齢化、女性の社会参加等は連携して進めていくことが出来るメリットだと思う。デメリットがあるとすれば、役所が大きくなりすぎて議員や大臣の要望を末端まで浸透させることが出来るかと言うことだ。その点で現在検討を始めている。

【児玉健次(日本共産党)】財政改革法が成立して、わずか4ヶ月で改正するに至っている。厚生大臣は、この法案が成立する際、自分としては、社会保障費の上限枠は撤廃すべきと言っていたがどうか。
【小泉厚生大臣】財政改革法の改正が浮上してきている。私はこれを改正し、赤字国債を発行紙、減税財源を作るとか、公共事業費についても積み増しをすると言うのであれば、社会保障費の上限についても撤廃すべきと考えている。
【児玉】そこで聞きたい。98年度予算で難病に対する補助金の一部負担が導入されたが、難病に苦しむ家族からは一部負担の撤廃の要求が起こっている。これについてどう考えるのか。
【小泉厚生大臣】補助金をもらっている団体からすれば、1円でも多くもらいたいという気持ちはわかるが、もらっていない団体もあるので、そういうわけには行かない。
 難病に指定されている人、難病に指定されていないけれど苦しんでいる人もいる。難病については、2%の伸びしか認められていない。しかし、現状はその10倍もにもしている。お金があるときは、それもできるが、今は、それもできない。
【児玉】国立病院・療養所の統廃合問題について聞きたい 。国立病院・療養所を国立で維持するのか。エ−ジェンシ−で維持するのか意見が分かれ、国立病院は国で維持するのが意味があると言われていたが、それがどういういきさつで消えたのか。
【小里総務庁長官】国立病院・療養所の統廃合問題について、様々な議論があったことは事実。両論があったことも事実。それをどのようにワとめたかと言えば各委員がまとめを会長に一任した。それを全会一致で決定した。
【児玉】そこのところが大いに問題がある。国立病院・療養所には、医師もいれば、看護婦もいるし、管理・事務部門の人、さらには、病院を利用している地域住民の人たちもいる。これらの人たちと十分に話し合うように取りはからってほしい。昨日、岡光の求刑が行われた。厚生省と製薬会社との腐敗。癒着は繰り返すな。このことについてどう思うか。
【小泉厚生大臣】岡光問題については、厚生省として真摯に受け止め再発防止に努めてきた。厚生省の信頼を回復するために、努力していきたい。
【児玉】現在の失業・雇用問題は極めて深刻な事態にある。労働・厚生省を一括してしまうと、労働行政に対する国民の期待には応えられないのではないか。
【伊吹労働大臣】労働福祉省になっても、その役割は変わらないと思う。むしろ、求人倍率が下がる中で、国民に対する税負担を下げるためには、労働・厚生の統合は良いと思う。

○4月23日、行政改革特別委員会午後の審議

「監督行政への必要な増員はどうする」中川議員(民主)、「巨大省の組織運営、人事管理、局削減方針の機械的適用の危険性」富沢議員(平和改革)、「中小企業対策はむしろ充実を」佐々木議員(共産)

 行革特別委の午後の集中審議は、大蔵省と通産省が中心。中川正春(民主)、海江田万里(民主)、富沢篤紘(平和改革)、佐々木憲昭(共産)が質問に立ちました。
 中川議員は改革基本法案の財務省の編成に関連して、与党三党合意にある財政と金融の分離問題、裁量行政を廃止して事後チェックシステムを追及する場合の組織と体勢の問題、定員削減下で国民に評価される監督行政などへの必要な要員をどう充実するのかなどを質しました。これに対しては、「6月スタートの金融監督庁による監督業務の切り離しが第一段階であり、さらに基本法では内閣府の外局として金融庁を置く」(大蔵大臣)「金融監督体制については、その強化へむけさらに機能強化と手法の確立、体勢の計画的整備に努力する」(内閣審議官)「現行削減計画は2001年まで進めるが、それからの新たな削減は10%以上の計画となり、さらに独立行政法人などによる合理化も期待できる。どうしても増やす分野は具体的に審査する」(総務庁長官)などと答弁がありました。
 関連して質問にたった海江田議員は大蔵省職員の不祥事にかかわる内部調査結果と処分が連休前にも出されるという状況を踏まえて、この問題で処分される職員が金融監督庁任用されることはないようにすべきだと主張し、見解を求めました。大蔵大臣は「任命権者は金融監督庁長官だが、大蔵省から推薦する場合には迷惑をかけない人を推薦するのが常識」と答えました。
 続いて平和改革の富沢議員は、総務省、国土交通省など巨大省の問題を組織運営、人事管理、局の原則10局への削減方針の機械的適用の危険性などの側面から質問しました。また、今後重要性をます通信情報産業の育成問題と省庁再編や大蔵省のキャリアの育成方法の問題、金融、財政、国税庁の分離問題、改革推進本部のメンバーの任命問題などにもふれました。
 総務省については、「郵政事業の合理化が前提であること」(総務庁長官)、10局への削減も「画一的形式的に当てはめず、実質的個別的に検討して決まること」(同)とそれを目標に縮減努力を行うためのものであることが強調されました。通信情報産業については、「今後の大きな発展分野として経済産業省でもつことになるが、規制ではなく企業の自由な活動のための環境づくりに努める」(通産大臣)と答弁。大蔵エリートの育成については、「若いキャリアが所長で判だけ押しているようなものはよくない。実務を体験されるなら調査などに回すべきで、この悪い習慣は改めさせたい」とし、金融政策の分離については「金融政策は独立性が強化された日銀の権限だし、検査監督は金融監督庁に移管され、大蔵省の権限は相当縮減される」また国税庁の分離問題では「予算編成は歳入を念頭におかねばならず、徴税と関連性が深い」(大蔵大臣)などと答弁。さらに、「改革推進本部は総理が本部長閣僚がメンバーとなるが、職員の一部にも手伝ってもらう必要もある。摩擦や抵抗が当然予想されるし、職員の知恵をいたずらに排除することはない。行革に協力的な職員を評価する基準の策定も考えている」(総務庁長官)などと答弁しました。
 自由党の鈴木議員は、新たな省庁再編のもとでマクロ経済政策の立案調整機能や現在ばらばらの統計作成部門がどうなるかを中心に質問を展開。現在の経済企画庁の主要ポストが大蔵省の指定ポストになっている問題を指摘しながら、経済諮問会議の編成方針などを質しました。
 これに対し、「事務局担当は内閣府におかれ、業務は経済企画庁の相当部分を引き継ぐ。経済研究所は内閣府の機関となる」「法案には統計作成部門について直接かかわる規定はないが、総務省の規定フ中で、全体調整や重複是正、共有化、大規模統計で全数調査で行うものの一元化等にふれているが、議員の提案を参考に省庁設置法までに検討する」(内閣審議官)などと回答しました。なお、金融庁の地方支分部局についての規定は当面金融監督庁の地方組織として財務局を活用することとの関係で、金融庁に移行する際に再検討するという規定であることについての説明もありました。
 佐々木議員(共産党)は、@行革基本法案の前提として困難性を深めている中小企業対策をどのように考えているのか。A基本法案第20条の財務省編成方針のトップに財政構造改革の積極推進を掲げているが、財政構造改革法の中小企業対策では、中小企業への歳出全般を見直し、予算を前年度以下にCAPをはめている。このCAPを修正見直しをすべきだ。B大銀行の中小企業への貸し渋りに対して機敏な行政対応を行うべきだ。C基本法第21条で中小企業の保護または団体支援の行政縮小を打ち出し、中小企業対策を後退させているが、逆に強化すべきだ−−などと主張し、答弁を求めました。
 これに対し、「中小企業は日本経済の支え、中核的な存在であり、経済の根幹を占めている。中小企業をはずして日本経済は語れない」(通産大臣)「わが国の経済を支える中小企業政策を評価すべきであり、強く行政の位置づけをしている」(総務庁長官)「中小企業対策費は当初予算のCAPはあるが、補正を含めいろいろな知恵を絞って増額に努めている」(通産大臣)「貸し渋りの除去に努めてきたが、改めて金融界の幹部に近々要請をしていきたい」(大蔵大臣)などと答弁しました。

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