4月24日の衆院行革特別委員会審議

【国公労連「行革闘争ニュース」98年4月24日付より】

○4月28日の審議時間が決まる

 本日の行革特別委員会理事懇談会で、28日の審議時間が決まりました。本日、衆参本会議が入った関係で5月7日に回る分(建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁関係 自由45分、共産30分)と合わせ、平和改革40分、自由35分、共産25分(自治省、国家公安委員会、郵政省、総務庁関係)を7日にまわすことになりました。なお、30日の集中審議の時間割り振りは、28日に決まります。

28日の審議時間

総理府、内閣官房、沖縄開発庁、防衛庁、経済企画庁関係
民主(1時間50分)9:00〜10:50
平和改革(55分)10:50〜11:45
自由(45分)11:45〜12:30
共産(30分)12:30〜13:00
(衆院本会議13:00〜 所要時間2時間30分〜3時間)

自治省、国家公安委員会、郵政省、総務庁関係
民主  (1時間20分) 16:00〜17:20

○行革署名に新たに2名の紹介議員、いずれも衆院・比例東北選挙区選出

菅原喜重郎議員(自由党で初)、畠山健治郎議員(社民党)

 衆議院の請願課に問い合わせたところ、本日までに、新たに2名の行革署名の紹介議員が出ていることがわかりました。両者とも衆院・比例東北選出議員です。請願課受理日が4/22菅原喜重郎議員は、岩手県出身の自由党議員です。自由党議員の紹介議員は初めてです。受理日が4/23の畠山健治郎議員は、秋田県出身の社民党議員です。与党・社民党の紹介議員はこれで4名になりました。両者とも、4/17中央行動での国会議員要請で、対応する岩手県国公、秋田県国公の仲間が要請をおこなっています。これで請願の約束をした議員は52名で、うち44名の議員が紹介の手続きをしています。

○衆議院・行革特別委員会審議(4/24午前)

「教育行政に科学技術がのみこまれかねない」辻議員(民主)

山中あき子(平和・改革) 我が国ODAをもっと実のあるものに。海外援助を扱う省は、外務省や大蔵相と別れたままになっているが、基本法をまとめるにあたって一元化できなかったのか。
小渕外務大臣 行政のスリム化という点から一元的な役所はつくらず、今までどおりということになった。
大蔵省国際金融局長 ドイツ、イギリスに援助庁があるのは承知しているが、経済協力を効果的におこなうためには、外務省を中心に全省庁で対応することになった。
山中 21世紀を見据えたとき、何でも一律にスリム化は間違いをおかすのではないか。
辻一彦(民主) 文部行政と科学技術行政が一つになることへの懸念はないのか。教育行政に科学技術がのみこまれかねない。
谷垣科学技術庁長官 一つの例として、クローンが話題になっているが、これをそのまま人間社会にいかすのはどうかという問題がある。技術だけですまない問題がいろいろな分野で起こってきている。
 内閣府に原子力安全委員会に移すことにかかわって、もんじゅは中規模の事故に対する検討が十分ではないようだが、事故をWチェックするための機能に心配はないのか。
科技庁長官 内閣府に安全委員会を移し、いままでの機能を維持する。
川内博史(民主) 農林水産省はそのまま残るが、どう変わるのか。
島村農水大臣 再評価システム導入し、費用対効果もとりいれている。
川内 諫早湾問題にどうとりくむのか。
農水大臣 平坦な良い農地をという地元の希望に応えた。台風が常にくる地域として江戸時代から死者が多数出るなど大きな被害に遭ってきたが、昨年さっそく効果があった。
川内 周辺では40ヘクタールもの農地が手放されているし、死者被害も別のところの数字のはずだ、事務当局は大臣に正しい情報を伝えていない。塩受け堤防への効果は認めるが、諫早干拓事業は費用対効果から見直すべき。
松波健四郎(自由) 法務省の公安調査庁は、基本法成立後、どのような機能強化をするのか。
下稲葉法務大臣 オウムを視線の中に入れてなかったのは反省。暴力破壊団体への監視・調査を今まで以上にやる。
松波 それでは従来と変わらない。行革になっていない。もっと積極的に内外の情報収集する気はないのか。
法務大臣 海外の情報は外務省がやっている。それぞれやっていることを一元化すると失敗する。それぞれの情報を内閣で一本化する。
松波 行革で機能強化すべき。内閣官房の情報収集をどう強化するのか。
内閣審議官 内閣機能強化の中で情報機能の強化もおこなう。
松波 現在アフガニスタン日本大使館はどういう状態か
小渕外務大臣 89年にソ連撤退後、閉鎖したが、現在タリバンという勢力に占拠されている。
松波 行革で透明性を増すというが、占拠の事実も国民に明示すべき。厚生省に聞きたい。「少子化・高齢化」とならべるが、それぞれどういう意味か。
厚生省審議官 少子化は、人口が減り、社会・経済に厳しい影響が出る。高齢化は、誇れることだが、負担が増え対応すべきことことがある。
松波 少子化をどう改善するかどこにも書いてない。なぜ子供が産まれないのかその視点が欠落している。国民の健康維持増進については、どうなっているのか、法案には健康という言葉すらない。思い切った教育改革をすべき。
町村文部大臣 戦後教育いい面あったが、悪い面もある。例えば、平等いきすぎると選択肢がなくなる。権利・自由はいいが義務・責任言ってこなかったし、道徳教育軽視してきた。そのような点ふまえ改革していきたい。
松波 今の文部行政は生ぬるい。国旗掲揚、国歌斉唱徹底的にやってほしい。教育基本法から改革する気概でやってほしい。

○衆議院・行革特別委員会審議(4/24午後)

「国研協も試験・研究機関の独立行政法人化は問題と言っている」瀬古議員(共産)

 午後の審議は、法務省について共産党瀬古議員、国土交通省について民主党今田議員、同松崎議員、平和改革若松議員が質問に立ちました。

<法務省関係>

 瀬古議員は、法務局の職場実態をもとに法務局の業務の増大に見合った増員が必要であり、法案では自衛隊の削減は触れていないが、増やさなければならないところと、減らしてもいいところについて、総務庁長官の認識を質しました。これに対し、小里総務庁長官は、「定員削減計画により定員管理を行っており、原則は新たな行政需要があるものは増員を行っている」と答弁しました。
 続いて瀬古議員は、独立行政法人にリストアップされた試験・研究機関の問題について、企業会計原則の導入、研究の期間が決められることの問題を追及しました。これに対し、「独立行政法人は、効率性のみを尊重したものではない。多様性を尊重し、自主性、裁量性も踏まえている」(島村農林大臣)などの答弁がありました。また、瀬古議員は、国研協から試験・研究機関の独立行政法人化に問題があるとの意見書が出されていることについて質しました。これに対して小里長官は、「行政改革会議にも学識経験者が入っての結果となっている」と答弁しました。最後に瀬古議員は、「反対の声があることを踏まえた今後の検討を要望する」と述べ質疑を終えました。

<国土交通省関係>

 今田議員(民主党)は、基本法案の国土交通省の編成方針について、1)交通行政について(ハード面はいろいろ書かれているが)ソフトが明確されていない、2)交通安全行政と交通行政は一体とすべき、3)貨物・物流の総合的かつ一元的な行政が必要であり、明確に記述すべきなどと質しました。これに対し政府は、「総合的な交通政策を実践していくことをめざしている」(小里長官)、「基本法案は、ハード、ソフトの一体かつ総合的な交通行政をめざしている」(藤井運輸大臣)、「意見については決定をいただいた後の各省庁の編成方針に反映させてもらう」(小里長官)、などと答弁しました。
 今田議員は、「情報公開・行政の透明性を向上させることが重要、民間能力の活用(規制緩和)が重要。編成方針に地方分権と徹底した規制緩和を入れるべき、とりわけ地方分権の時代であり、地方分権を進める必要がある。編成方針では、この点が限定的ではないか」などと質しました。これに対し政府は、「情報公開については政府としても重要な問題としてとらえている」(小里長官)、「行政の透明性の向上に向けて4条7項を設けている。また、政府としても情報公開法を提出させてもらっている」(審議官)などと答弁しました。最後に今田議員は、国土交通省の名称問題について、「1/6の予算をかかえる国土交通省でいいのか疑問を持っている」と述べ質疑を終えました。

 松崎議員(民主党)は、政府の法案と基本的に異なる立場を「私たちが求めるのは、中央省庁が主役の国家ではなく、国民が主導する改革である」と強調し、「そのために必要なことは、徹底した地方分権であり、民営化である」として、地方分権が進んでいない現状の問題点と、「権限の委譲が非常に重要となっている。中央から地方へ、官から民へ徹底して権限を渡し、残った仕事を再編することが必要。本当に残る仕事は、3割くらいしかないのではないか」と質しました。これに対し小里長官は、「地方分権については、中央省庁の再編とあわせて近日中に、まとまった意見を聞かせてもらうことになっている。地方分権が遅れているが、中央省庁再編を進めるためにも分権を進めるようお願いしている」など答弁しました。
 続いて松崎議員は、公共事業7兆円、定員7万人弱の国土交通省の巨大化について、これが地方分権の妨げとなるのではないかと質しました。これに対し、「国土交通省は、今の姿は大きく見えるが、そのまま統合するわけではなく、基本法によって縮減合理化、公共事業を含めて合理化を図るための基準を相談している。整理されるところも相当出てくる。機能分担、地方支分部局の整理統合も相当極端な形で行う」(小里長官)、「国土交通省がこれからいかなる機能を果たしていくか、徹底した規制緩和、地方分権、効率化、(行政の)透明化、類似業務の調整、決定過程の透明化、いかに効率よく事業を運営するか検討することになる」(瓦建設大臣)などと答弁しました。
 答弁に対し松崎議員は、「これから巨大な地方支分部局ができることは、権限の集中であり、地方分権に反するのではないか」と質しました。これに対し小里長官は、「4省庁のそれぞれの今ある機関を調整、相談のうえで統廃合を行う。新たに組織を作るわけではない。予算・事業については、国が直接行うもの(複数の県にまたがる事業等)、行わないもの(地域的な事業は可能な限り地方へ)、さらに徹底した民間能力の活用を行う。さらに大きなことは、事業の計画、決定に至る過程の透明性を図ることだ」と答弁しました。

 若松議員(平和改革)は、独立行政法人がイギリスで成功している要因について、契約によるマネジメント、競争主義原理の導入を上げ、「公募による専任の明文化、競争原理が重要、アウトソーシングしても今の特殊法人のように国のお荷物になっは困る」と質しました。これに対し小里長官は、「職務の性格から民間主体でできない業務も多くあり、競争になじまない部分もあるが、競争原理に準じて部外のチェックを厳しく行うことになる」と答弁しました。若松議員は、「独立行政法人の職員について、国家公務員の身分を与えどのようにスリム化を図るのかイメージがわかない。職員は人事院勧告をはずれるのか」などと質しました。これに対し、「自主・独立・弾力的な組織として独立行政法人をスタートする。職員ともよく相談してスタートしなければならない。当然、理解をいただいて頑張ってもらうことになる」(小里長官)、「思想としては、公務員型の場合、非公務員型の場合もあまり差をつけないことになる」(審議官)などと回答しました。この他、若松議員は、「独立行政法人の対象別表1,2(行革会議最終報告資料)に施設対象機関がのっているが、国立大学は何故独立法人とならないのか」、「国土地理院、地図こそ民間ではないか」など質しました。これに対し、「別表は会議の資料として出されたもの」(小里長官)、「こういった研究機関は、各国見渡しても国の機関となっている」(瓦建設大臣)と答弁しました

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