行革基本法案の5/11委員会、5/12本会議採決を強行へ、国公労連は座り込み行動で抗議
【国公労連「行革闘争ニュース」98年5月8日付より】

 行革基本法案の衆議院での審議が最大の山場を迎えています。今日8日昼の衆院行革特別委員会理事懇談会で、11日に締めくくり質疑を行い、採決を行うことを決めました。12日には本会議採決となります。国公労連は、衆院行革特別委員会の傍聴を行うと同時に、13:30〜15:00まで衆議院議員会館前で座り込み行動を行い、行革基本法案の採決強行に抗議をします。理事懇談会で決まった日程は以下の通り。

5/11

民主党案「行政改革基本法案」に対する質疑
自民党   10:00〜10:30
民主党   10:30〜11:00
平和・改革 11:00〜11:20
自由党   11:20〜11:40
共産党   11:40〜12:00

締め括り総括質疑
自民党   13:00〜13:30
民主党   13:30〜14:50
平和・改革 14:50〜15:30
自由党   15:30〜16:05
共産党   16:05〜16:30
社民党   16:30〜16:45

質疑終了

修正案提案(平和・改革)

討論

採決

付帯決議
 ○民主党・「行政改革基本法案」を提出、11日午前質疑に。平和改革は修正案を提出
 民主党は5月7日、「行政改革基本法案」を衆議院に提出しました。その内容は、全12条からなるもので、1)行政改革の基本理念を「行政の公正の確保と透明性の向上並びに簡素化及び効率化」におき、「住民参加を真に実現するための地方分権の推進、規制の撤廃による国の役割の限定」を進めること、2)国と地方の収入割合を1対2とする権限と財源の地方移譲、3)経済規制の廃止とその他の規制の有効期限の設定、3)公共事業の見直し、4)内閣機能強化の観点からの副大臣制の導入、5)行政改革の実施に必要な立法検討をおこなう行政改革調査会を設置し、2年以内に抜本改革を実現、などとなっています。
 また、平和改革の修正案は、「財政と金融の分離を2001年3月31日までに実施する」規定を盛り込むよう求めるものとなっています。
 なお、平和改革を中心に、1)中央省庁等改革による新たな体制の実現に不退転の決意で取り組むこと、2)各省設置法の権限規定等のあり方について検討をおこなうこと、3)中央省庁改革推進本部に民間有識者を含めた第3者的機関を設置すること、などの付帯決議が検討されている模様であることも浮上してきています。

 ○行革特別委・一般質疑(5/8午前)
「定員20%削減にはならないのか」上田議員(民主)
「各省設置法で骨抜きにならないか」古川議員(民主)
「国土交通省のメリット、デメリットをどう認識」西川議員(平和・改革)

冒頭民主党が修正案について、提案趣旨説明を行った。

上田清司(民主) これまでの30年間の定員削減計画の中で、30万人余り削減し、25万人くらいの増員があった。結果として5万人程度の純減となっている。10年間で10%減らすというのはそのまま純減ととってよいか。

小里総務庁長官 純減を目指す。

上田 第9次定員削減計画でも5年間で4.11%の目標に1%の努力目標の上積みがある。10年では10%以上になっている。今回の削減目標は、10%ではなく20%を目指すということにはならないのか。

総務庁長官 2001年に、総定員法が改正されることになるし、郵政公社や独立行政法人など、定員管理の枠組みの変更がある。そこで定員削減の枠組みを作っていくことになることを理解願いたい。

上田 これまでの定削のようなやり方ではこれ以上の削減は難しいのではないか。事前チェックを事後チェックに変えるなど、制度改革をしなければ削減はできない。国家公務員が減った分特殊法人や公益法人が増えている。国の出費金、補助金、委託金で1兆数千億も出している。これにメスを入れるべきだ。

総務庁長官 特殊法人は減ってきている。行革の中でも見直して独立法人化や整理統合を進める。

上田 独立行政法人で国家公務員の身分を持つものとそうでないものとの区分はどうするのか。

内閣審議官 行革会議の議論の結果、40条のような形で国家公務員の身分を与えることにした。個別の法人ごとに検討していくことになる。

上田 国会の関与ということで考えると、行政組織のメンバーとして考えていいのか。特殊法人のようなものか、民間並みなのか。

内閣審議官 独立行政法人は、国の責任の下に置かれるので、主務大臣の監督の下に国会が議論することはある。

古川元久(民主) 各省は行革会議の議論の中では、どこも省庁改革反対の立場だった。省庁設置法の作業は、推進本部が責任を持って作るようにしないと骨抜きにされるのではないか。

総務庁長官 推進本部事務局メンバーの選任自体から厳しくみていく。機関として、基本法に忠実に作業しているかどうかチェックするため参与も置く。国会の場でも意見を聞かせてもらう。

古川 広範な行政の裁量権をどう限定していくかが重要だ。それをやらなければ、公務員倫理法を作っても効果は出ない。

総務庁長官 その通りと考える。所掌事務や部、課の具体的権限を一目瞭然とする。設置法のほかに権限法を作るという意見もあるが、今議論の途中だ。

西川知雄(平和・改革) 財政と金融を完全に分離するとどういう問題があるか。

尾身大蔵大臣臨時代理 財政と金融の危機管理は万全を期しがたい。諸外国においても、財政担当大臣が金融を担当している。結果として法案の形になった。

西川 分離しないことのメリット、デメリットをどう判断したのか。

総務庁長官 行革会議の議論が第4コーナーを回ったか、回らないかの時点で、与党3党協議をした結果だ。これでゆくのが妥当と考えている。

西川 社民、さきがけが与党を離脱しても、3党合意は生きるのか。

総務庁長官 今日の時点で私が述べるべきではない。

村岡官房長官 もし離脱した場合でも合意は継続されるべきと思う。

西川 別表2の備考に当分の簡とあるが、その期間が過ぎた後の金融破綻処理、危機管理はどこが担当するのか。

総務庁長官 国民の判断の下に決定されることになる。

西川 経済財政諮問会議が内閣府に置かれた方がいいのはなぜか。

内閣審議官 他の省は内閣の統括の下に置かれるが、内閣府は異なる。内閣総理大臣の補佐支援体制の一貫として置かれる。

総務庁長官 いろいろな動きをみながら内閣が直接的に処理できる。

西川 交際費が問題になっているが、国税庁はどう対処していくのか。

船橋国税庁次長 損金に算入されることになるが、それが過度になっていないか、他の費目に紛れ込んでいないか厳正に対処していきたい。

西川 国土交通省については巨大官庁の出現という批判もあるが、各省はメリット、デメリットをどう認識しているか。

瓦建設大臣 社会資本の整備、交通政策を総合的に行える。計画的な国土の利用やインフラの整備も総合的にやれる。4省庁が一つになると、若干太めの省になるが、行革の実をあげるため、各省と協力して、規制緩和、地方分権の推進、地方への権限委譲で対処できる。

梅崎運輸省官房長 総合的な交通行政の具体的施策が立てられる。その結果、物流、の高コスト改善、効率的な幹線の整備、高齢化時代の都市交通体系の整備、一元的な安全確保に努められる。デメリットは、公共事業の集中だが、国・地方の分権、地方支分部局への権限委譲で対処きる。

 ○「公務員の75%が独立行政法人の対象」と追及−共産党・松本善明議員

西田猛(自由党) 行革法案は我党の基本理念と相容れない。予算編成実務はどこが行うのか。

村岡官房長官 財務省が基本的に予算・決算をやる。

西田 つまり今の省庁の機能が維持されているにすぎない。これは行革ではない。現状肯定したもにすぎない。

小里総務庁長官 この基本法を承認いただいたら、次なる作業で検討する。

西田 長官とは理念はいっしょだが、国民が求めているものはもっと具体的なものな。たとえば、許認可はどうなり、金融市場再編はどうなるかということだ。この法案の致命的欠陥は、現状から出発した省庁再編でありことだ。もっと徹底的な国会審議が必要だ。
 内閣法制局長官がよく国会で憲法解釈で答弁するが、今後やめることはできるか。もっと、議員同士で議論すべき。

官房長官 内閣法制局は大臣は民間人でもいいのだから、内閣法制局長官の答弁があってもいいのでは。

西田 国と地方の役割分担はどうなるのか。

上杉自治大臣 地方公共団体の自主性を高め、ぜひ地方分権を強力に推進したい。

西田 公務員は強い身分保障が与えられ、終身雇用が当然だから、同期が出世したらやめるという慣行は改め、定年まで勤めてもらい、再就職は役所が斡旋せず自ら決めるということができないか。天下りが多い運輸大臣に聞きたい。

運輸大臣 平成9年度は天下りベスト5にも入っていない。公務員制度調査会等で議論されている。適切に対処していく。

中井ひろし(自由党) 定削は10年間で10%純減以上なのか。はっきりと答弁を

総務庁長官 「削減」が正確な表現。「純減」は積極的にやろうという意気込みを示したもの。

中井 公務員の仕事で、民間でやらせていい仕事は思い切って民間にまかすべきだ。財革法は半年で変えざるをえなかった。行革基本法案も影響を受けるのではないか。このままやるのか。

総務庁長官 先行き不透明感がある今からこそやる必要ある。

中井 性格の違う公取、公害、海難、特許、全波管理の5つの委員会を行政審判庁として法務省はどうまとめるのか。

法務省官房長 機能の違いはあるので問題はあるが、行政審判の機能強化図るため支援していく。

中井 三千数百自治体あるが、維持必要なのか。早いスピードで合併をはかるべき。

自治大臣 合併になるか広域行政になるか、将来のことを考えると合併しかないと思う。

松本善明(共産) 法案は、国づくりにふさわしいものになっているのだろうか。農水省の編成方針で、食糧安全保障、自給率の向上の観点がまったくなく、実際の施策にあらわれていない。農業関係研究機関は、政策研究をのぞきすべて独立行政法人となっている。二一世紀を見据えた農業政策ではない。

総務庁長官 総合的なご理解を。

松本 国立研究機関長協議会代表幹事は「独立行政法人はなじまない」といっている。つくばにいって、農水の11所長ともあったが、「農業研究に金を出す企業はない」「寒冷地域に適した作物は15年研究が必要」と言っていた。行革会議ではこのようなことを議論した経過はまったくない!

総務庁長官 独立行政法人に向けての大筋に誤解がある。研究機関が自主的に財務運営を弾力化し、研究の向上をはかるなどの大きな柱があることにご理解を。

松本 実際はそんなものではない。独立行政法人の対象があいまいである。対象となるのは、行革会議最終報告の別表1,2だけなのか。

内閣審議官 別表の性格は行革会議の議論を整理したものであり、外れたものでも可能性はある。書かれたものがすべてそうかというと、幅がある。

松本 国立大学は今回見送られたが、将来対象になりうるのではないか。一橋大学学長は「独立行政法人で学費は四倍に」といっている。学長でつくる国立大学協会は反対し、「将来に禍根残す」とまで言っている。

町村文部大臣 最終報告では早急に結論を出すべきでないとしている。なじむかどうかは今後の検討課題。

松本 32条2項は「民間、委託」等に移せないものであっても、実施部門は独立行政法人にせよとしているのではないか。

内閣審議官 この規定は実施部門のうち、民間に移せないものを「独立行政法人の活用等を進め、その自立的及び効率的な運用を図る」としている。

松本 実施庁が、独立行政法人の対象になりうるというなら、どこまで広がるのか。法案の別表3第(16条関係)の委員会及び庁も、独立行政法人の対象になりうるのか。

内閣審議官 実施庁としておくというなっており、そのままの形で対象となるものではない。

松本 実施庁は対象になりえないというのか。

内閣審議官 未来永劫否定するのはどうか。この基本法のいう2001年実施というものではない。

松本 別表3下段(16条第4項第2号の庁、消防庁など)は、対象になるか。

内閣審議官 機関そのものでなく、業務をとらえなじむかどうかという構成になっている。下段は実施と政策をあわせもつものの表。

松本 上段、下段とも対象となりうるという回答と思う。結局、第36が基本になり、ほとんどが対象とされているのではないか。

総務庁長官 行革会議の、参考の参考をかかげたもの。基本法を決めてもらってから、各省から聞いて検討していきたい。

松本 97年度、国家公務員は85万人いる。実施庁上段は郵政含み43万人。施設等は23万8千人。下段2万4千人をのぞいても64万人、75%が対象となりうる。これは重大だ。公務員は不安に思う。結局、政策企画立案以外は、独立行政法人の対象になりうるということか。

総務庁長官 独立行政法人を悪という前提で申されると困る。

松本 議論が未熟だ。もっと根本議論すべき。野党全部反対だ。

以上


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