請願受付最終日・行革請願署名の紹介議員次々と--民主党5名、公明3名、社民党1名が約束・署名提出

【国公労連「行革闘争ニュース」98年6月2日付より】

 本日(6月2日)は、今国会の請願受付最終日(議員の請願課への締め切りは6月3日)であるため、本日の議員要請行動は、昨日の可能性のある議員への要請行動につづき、紹介議員を検討中の民主党、社民党議員への要請と、行革請願署名を預けたままになっている議員への要請・署名回収行動を併行して実施しました。
 これらの行動のなかで、本日9名の参議院議員が請願署名紹介の約束をしてくれました。全厚生の仲間が要請した民主党議員は、長谷川清(比例)、久保亘(鹿児島)、中尾則幸(北海道)、一井淳治(岡山)の各議員秘書が快諾し、要請後、本岡昭次(兵庫)事務所から「議員と相談して受けることにした」との連絡が入りました。また、全気象の仲間が要請した社民党議員では渕上貞雄議員の秘書がすでに手続き済みと伝えてくれました。また、署名用紙回収・要請行動のなかで、公明の大森礼子議員(比例)は一両日中に署名を請願課に提出すること、公明の牛嶋正(比例)、福本潤一(比例)の各議員がすでに請願課に署名を提出した旨を秘書が伝えてくれました。
 さらに、5月30日付参議院公報によれば、紹介議員を約束していた片上公人議員(無所属・兵庫)と角田義一議員(民主党・群馬)が新たに行革署名の紹介議員になっていました。
 この結果、参議院での約束を含む署名紹介議員は47名となり、衆議院の45名を上回ることになります。

 ◆参議院 行財政改革・税制特別委で総括質疑(午前)--「行革」の作業は行政改革推進本部で集中・一体的にすすめる

 6月2日午前9時より参議院では、全閣僚出席のもと行財政改革・税制特別委員会で「中央省庁等改革基本法案」の総括質疑が行われました。橋本首相は、自民党・宮澤弘議員の質問に対し、「行政改革」の今後の作業は、「中央省庁等改革推進本部」で集中・一体的にすすめることを強調しました。なお、午前の審議には、国公労連本部・各単組から6人が傍聴しました。
   総括質疑の一部を要約すると、首相は本法案の趣旨を「この法案は基本理念を示したものである。改革の具体的な作業は膨大なものになる。事前管理型の行政から自己責任、事後監視の行政にきりかえていく」と述べたうえ、「各省庁の権限を見直すことがポイント。各省庁の設置法の見直しであろう」との質問に答え、「ただ見直すことではなく、まったく新しい官庁をつくるものである。従来の縦割り行政ではない。設置法の見直しだけでなく、集中・一体的に処理する必要がある。そのため、内閣に行政改革推進本部を設置する。また、本部に第三者を含めて監視機関を設ける」と答弁しました。
 さらに、「各省庁の抵抗も強い。総理の決断が必要」との質問に対し、「そうしたことは必ず起こるだろう。本部で一括してすすめる。事務局には民間の方も含める。そして本部長である総理大臣の政治的決断ができるシステムをつくる」と、強調しました。
 法案施行にともなう法律の見直しと、行政改革推進本部事務局の規模について、小里総務庁長官は「1690あまりの法律のうち相当数に及ぶ」「本部長は総理大臣、事務局は150名前後になるだろう」。また、首相はその体制について「事務局長は行政の経験者が望ましいが、事務局にはできるだけ民間の人材を入れる。本部長に直結した第三者機関をつくる。本法律に忠実に政府が遂行することの監視機能を発揮する」と、答弁しています。

 ◆行革基本法案は橋本「6大改革」のベースキャンプ

 自民党・宮澤議員の関連質問に立った自民党・石渡議員に対し、首相は「行政改革」について「国の権限と仕事をどう減らすか。規制緩和、地方分権、官民の役割の見直しなどを前提に行政改革をすすめる」と述べたうえ、「行革で国民性格はどう変わるか」の質問には、「独立行政法人、郵政は、国家公務員の総定員法からはずれる。その上、10年で10%以上の定員削減を行う。行政コストの削減が国民生活の変化を招く」と、公務員の定員削減を強調しています。また、「6大改革は相互に関連する。その中心は行政改革である。行政改革によって改革が大きくすすむ。その意味でこの法案の持つ意義は極めて大きい。ベースキャンプを設営したようなものである」として、橋本「6大改革」の中心に「行政改革」をおいていることも強調しています。
 午前の審議は、午前11時をもって休憩になりました。

 ◆参議院 行財政改革・税制特別委の総括質疑(午後)--行政のスリム化、省庁の権限問題、行革の進め方、地方分権などで議論

 石渡清元(自民):地方分権推進計画の具体化作業は?
 橋本首相:平成11年の通常国会に具体化法案を提出。さらに地方分権を進めるため、分権推進委員会で、市町村への権限委譲を検討してもらう。
 石渡:人材、財源の分権の要望が強い。しゥし、受け皿となる自治体の条件はまちまち。どう考えるのか?
 上杉自治大臣:単一自治体でだめなら広域行政でやるか、合併かだ。自主的合併を推進したい。そのため、地方制度調査会に、住民発議、財政、旧市町村単位の活性化の方策を検討してもらっている。都道府県にも推進の役割を果たしてもらいたい。
 石渡:巨大省庁化や縦割りが強まる懸念はないか?
 小里総務庁長官:地方支分部局に大臣権限を大幅におろす。公共事業では、地域の実情に応じ、機動的に執行できるよう地方支分部局に事実上の決定権をを与えるので、懸念に及ばない。また、かりそめにも地方支分部局の権限乱用がないよう本省の指導を強める。
 松村龍二(自民):国民に負担をお願いする以上、行政のスリム化が大きな課題だ。
 小里長官:国の行政から、一定のまとまりのある業務を独立行政法人化するし、郵政3事業も公社化する。また、行政も、事前規制型から事後処理型、裁量行政からルール行政に根本的に変える。2001年には総定員法の根本的な反省を行い、大幅な削減を進める。
 松村:地元は原発が多数立地しているが、安全対策の点では、アメリカのNRC(核規制委員会)は3500人体制に対し、日本は325人程度だ。強化が必要ではないか。金融監督庁にしても600人だが、アメリカは連邦銀行は6400人体制だ。入管も日本は2500人に対し、アメリカは25000人体制だ。
 橋本首相:日本の安全、暮らしの安全で問題提起いただいた。心に留めておきたい。
 峰崎直樹(民主):補正予算の公共事業は従来型中心だ。新社会資本整備など、21世紀に真に必要なものを重点にすべきだ。
 橋本首相:従来型というが、例えば廃棄物処理施設でも、ダイオキシン対策を目的にやるものでも項目は従来と変わらないものになる。共同溝でも光ファイバー敷設を目的にした従来とは全然違うものだが、項目は同じになる。将来の方々が、やってくれてよかったと思うものをやる。
 峰崎:第2臨調と違う形にしたのはなぜか?
 橋本首相:行政改革会議は、私自身が会長となり、参画し、まとめに努力した。政治が責任をとることを、委員や、世の中に理解してもらうためだ。
 峰崎:地方分権も今後5次勧告が出ると言うことだから終わっていないし、規制緩和もこれからだ。まとまってから省庁再編を行うべきであり、拙速ではないか。
 橋本首相:行革会議は50回超える審議を行っており、拙速という批判は当たらない。行政改革というのは、規制緩和、地方分権に目配りしながら、一斉にやらないと駄目になる性格だ。規制緩和、地方分権が一定まとまったとしても今後の検討の中で、さらにやるべきことが出てくる可能性があり、まとまってからやるべきというのはどうか。
 峰崎:政治的任用には賛成だが、補佐官は立法府の承認事項とすべき。
 橋本首相:補佐官の制度創設には国会の承認をいただいた。必要な人材を任意に任命できるようにすべきで、国会承認事項とするのは適当ではない。
 峰崎:公共事業のシェアが変わらないのは、技官が独立王国となっているからではないか?
 島村農水大臣:農水省ではそういうことはない。
 小里長官:もしそういうことがあるなら、今回が是正の絶好の機会だ。
 猪熊重二(公明):スリム化した上で再編すべきで順序が逆ではないか。
 橋本首相:地方分権と規制緩和を進めつつ、その基盤として、中央省庁再編を行う。
 猪熊:各省設置法には所掌事務だけを書くべきで、所轄権限を入れるべきではない。
 小里長官:裁量行政をなくす必要がある。所掌事務は範囲の規定であり、所轄権限は深さの規定だ。効率的で簡素な政府の役割を考えて整理する。
 猪熊:地方公共団体への補助金は原則廃止すべきではないか?
 上杉大臣:事務として同化、定着しているものは一般財源化し、公共事業については、国の直接行うものは限定しその他は地方公共団体にゆだねるべき。
 山本正和(社民):なぜ行政改革をしなければならないのか、わかりやすく言ってもらいたい。
 橋本首相:これまでの行政組織は人生50年時代のもの、国際社会での役割も変わってきており、冷戦構造も崩壊した。これを人生80年時代に合わせないといけない。
 山本:原子力に1兆円使ってきたから日本の原発は安全になってきた。2兆円エネルギーに使えばもっと成果が出るし、食糧にもお金を使えば自給率が高まる。こういう知恵と勇気を示すのが政治の役割だ。
 橋本首相:原子力は安全の上にも安全を期し、また自然エネルギーも開発していく。食糧の自給率が今のままでいいか真剣に考える必要がある。
 山本:農水省関係が暗いが大事な仕事ではないか。
 島村大臣:日本は4万5千人だが、アメリカ農務省は10万人。職員一人当たりの農業従事者もアメリカの60人に対して日本は120人だ。農業は国の基と訴えていきたい。
 吉川春子(共産):労働省と厚生省を一緒にするというが、今失業が深刻だ。最高裁判例も4つの基準を示しており、それに基づき解雇規制法を制定すべきではないか?
 伊吹労働大臣:司法の判断として4つが示されているが、これを法律に書いていくことができるかだが、極めて難しい。そうであるから司法、裁判所がある。
 橋本首相:要件なりが凡例で積み重ねられており、今の状況に置いて、実際の問題として、労使間で話し合ってもらいたい。法律にするのはなじまない。
 吉川:雇用対策のためにも労働時間短縮をすべき。仏、伊では35時間労働制を法制化している。
 伊吹大臣:フランスは失業率が高く、仕事を分け合う必要がある。一般に労働の対価である賃金が下がらざるを得ず難しい。
 吉川:労働時間短縮は政府の大方針で法律で決まっている。やる気がない現れだ。失業給付を300日以上にのばすべきではないか?
 伊吹大臣:長期の休職者のかなりの部分が60歳以上、65歳以上の方で、年金の受給資格がある。バランスをとるのが難しい。
 吉川:雇用保険への国庫負担を1450億円減らしている。どういうことか。労働省の役割を減らすのはとんでもない。法案では、職業紹介の民営化がうたわれ、失業対策と言うことがない。ゼネコン中心の公共事業そのままでは問題。新全総で6つの橋をかけると言うがその費用はどれくらいか。

伊吹大臣:労働福祉省の仕事には、雇用の確保、労働基準がちゃんと入っている。

亀井国土長官:6つの橋の全体の費用も、個々の費用も計算していない。

都築譲(自由):補正予算案を先議すべきだ。これは総理に聞いても仕方ないが。この行革で財政再建ができるのか。まず予算案を先議すべき。

橋本首相:議案の順序はそれぞれの院がお決めになることだ。行政改革で、簡素で効率的な行政を作る。規制緩和と地方分権の上に中央省庁再編がある。

都築:党として議論すべきで、行革会議のようなものでやるのは筋が違う。

橋本首相:そういうご意見が出てくるのは残念。行革会議は、中間報告を出し、それを自民、社民、さきがけの与党3党で議論をしたが、党内議論は大変なものだった。

西川きよし(二院ク):50条にある情報公開法が実効あるものとなるようにしてもらいたい。

橋本首相:情報公開法で、政策形成に民意の反映がなされるよう、プロセスに公正さ、透明性が確保されるよう一生懸命努力する。

奥村展三(さきがけ):金融と財政の分離に関して、国内金融は完全に分離されると考えてよいか?

松永大蔵大臣:77%が大蔵省から離れる。それ以外も金融破綻処理、金融危機対策についての企画立案だけが残る。

山口哲夫(新社):法案は分権に逆行している。国土交通省は、定員5万人、予算10兆円、補助金3兆3千億円、許認可2500件の巨大官庁だ。

橋本首相:企画立案の分離や、公共事業をブロック機関に委譲することで、結局地方分権につながる。

山口:地方分権が前提と答弁されているが、分権推進計画を法律にしてみないと、各省庁がどう変わるか分からない。やり方が逆だ。

橋本首相:分権推進委員会の勧告を忠実に計画にした。国と地方の問題はこれ以外に様々あり、手順は違っていない。

山口:計画で一目瞭然なら批判はしない。抽象的すぎるから言うのだ


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