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本日の参議院本会議に、中央省庁等改革基本法(行革基本法)案が緊急上程され、自民党、社民党、さきがけなどの賛成多数で強行成立させられた。衆議院で61時間余、参議院では40時間たらずの委員会審議で、「この国のかたち」を形づくる法律が成立させられたことは、議会制民主主義を形骸化させる暴挙である。国公労連は、国民生活の現状や、国の基本法である憲法原則とのかかわりを軽視し、首相への強大な権限の集中で歯止めのない政治の独走に道を開く行革基本法の内容とともに、そのような拙速な審議で法の成立が強行されたことに、強く抗議する。 この間、国公労連は、大規模プロジェクト偏重の公共事業費に示される財政や、「政・官・財」の底なしのゆ着構造に象徴される行政のゆがみをただし、教育や医療、福祉、年金、さらには労働者や農林漁業、中小零細企業経営者の生活の基盤を支える行政サービスの拡充を求め、行革基本法案の成立に反対して、全国各地で行革闘争を展開してきた。この立場で取り組んだ署名(行革大規模署名)は約64万筆を集約し、全会派から89名(衆議院・45名、参議院44名)の国会議員がこの署名に賛同して紹介議員となっている。また、昨年来、全国キャラバン行動や「1日総行動」、「1の日宣伝行動」などを繰り返し展開し、延べ560万枚というかつてないビラ配布数にも示されるように、広範な国民に橋本「改革」の危険性や問題点を訴えてきた。 このような我々のたたかいが一定反映し、狂気のような「行革の嵐」が吹き荒れる状況から、橋本「改革」が国民生活にとっては「百害あって一利なし」の国家改造計画であることが広く認識される状況を生みだしてきた。そのことは、橋本内閣に対する支持率が大きく低下し、いずれの世論調査でも20%台になっていることにも端的に表れている。あるいは、5月6日におこなわれた学識経験者の参考人質疑(衆議院)で、6名中5名が行革基本法を「欠陥法」と指摘し、6月4日の参議院の参考人質疑では、「行政の失敗に加担した人たちが『行政改革』を論じるのはブッラクユーモア」として行政改革会議の結論そのものが反国民的であることを痛切に批判する状況が生まれてきた。自民党政府による一部特権層のための行政組織いじりが、行革基本法の本質であることは、不十分な国会審議の中でも明確になっている。 我々のたたかいが一定の到達点を築いたとはいえ、行革基本法が成立したこともまた事実である。政府は、同法の成立を受けて中央省庁等改革推進本部を設置し、99年の通常国会に向けて1600をこえる関連法案の「改正」作業に着手しようとしている。 国公労連は、行革基本法の「改革」に断固反対し、引き続く行革闘争に全力を傾注する。この間の取り組みで築いた国民的な支持の広がりと運動の到達点を確信に、民主主義に逆行する首相への権力集中とその一方での国民生活関連業務の切り捨てや、実施部門の民営化や独立行政法人化などの大「合理化」を阻止するため、17万組織の総力をあげてたたかいぬく決意である。 国公労連中央執行委員会は、この間のたたかいに全力で結集された全国の国公労働者と、橋本「改革」阻止の一点で共闘いただいた労働者、国民の皆さんの奮闘に心から敬意と感謝を表明する。 同時に、直面する参議院選挙で明確な審判を下して、21世紀にむけたこの国の改造計画である橋本「6大改革」の流れを変え、国民生活重視の行財政確立に向けて前進するため力を寄せ合うことをあらためて呼びかける。 1998年6月9日
日本国家公務員労働組合連合会 中央執行委員 |