「中央省庁等改革基本法案」採決強行に抗議する(全通産労働組合の声明)



1. 本日、参議院本会議において、我々の強い反対にも関わらず、中央省庁等改革基 本法案(行革基本法案)の採決が強行され、自民、民社、さきがけ等の賛成多数で成立 しました。

2. 行革基本法案は「戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もってより自由か つ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとする」ことを基本理念と し、21世紀型行政システムへと転換することをめざすと位置づけられています。
 しかし、その内容は、「内閣機能の強化」と、国土交通省等の巨大官庁を作り出す「 中央省庁の再編」、独立行政法人の創設などによる「行政組織の減量、効率化」、「公 務員制度の改革」等を行うとするもので、医療・年金制度の改悪を狙う社会保障構造改 革や財政構造改革などと一体で、国民犠牲の政策の推進と、そのための反動的な国家再 編、行政のスリム化を行おうとするものです。

3. 我々は、こうした行革基本法案が持っている本質を広く国民に訴え、「国民本位の 行財政改革を求める行革大規模署名」や「通産省諸機関の独立行政法人化反対・国民本 位の通産行政確立を求める団体署名」に取り組んできました。また、幾度にもわたり、 衆・参院の全国会議員に対し、法案が持つ危険性や問題点を訴えながら、法案の慎重審 議と廃案を要請してきました。
 しかし、法案審議は、衆議院で実質10日、参議院で6日程度でしかなく、内容的に も、政府がプログラム法案だとして具体的な答弁を避けたため、国民生活に対する国の行政 責任のあり方や「政・官・財」の癒着の解消、特権官僚の天下り禁止など、国民が求め る行政改革との関係や今後、国民生活がどうなるのかなど、具体的な問題点のほとんど 解明されないままの成立となりました。

4. 通産省の行政に関わっても、「経済産業省」がほぼ現行の通産省の機能を引き継ぐ こととなっていますが、個別産業振興からの撤退や中小企業の保護又は支援の縮小とい う編成方針が、具体的に行政にどのような変化をもたらすかは依然不明のままです。
 焦点の独立行政法人化についても、この国と国民にとってなぜ国立研究機関等の独立 行政法人化が必要なのか、どのようなメリットがあるのかなどは、いっさい明らかとな っていません。

5. このように国民生活と公務員の労働条件に多大な影響を及ぼす重大法案を、十分な 審議をつくすこともなく成立させたことは、拙速のそしりを免れません。
 全通産は、政府・与党の参議院での採決強行に強く抗議するとともに、まだ、明らか にされていない問題が多々ある実態を踏まえ、今後推進本部で検討・具体化されるであ ろう課題の解決と組合員の要求実現に全力をあげて取り組むことを表明するものです。 また、各省設置法案等による国民犠牲の行政再編と、国立研究機関などの独立行政法人 化等を許さないために全力をあげることを決意するものです。
1998年6月9日
全通商産業省労働組合中央執行委員会


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