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1、独立行政法人化の動きとそれに対するたたかい (1)橋本行革と独立行政法人化問題の経過 1)行革会議の経過 (前回代表者会議の報告を参照されたい) 2)国会審議の経過と総括 *4月10日衆院本会議で、16日に行財政改革特別委員会でそれぞれ趣旨説明、20日から委員会審議入りし、5月11日委員会採決、12日衆院本会議で可決し、参議院に送付。参議院では財政構造改革法改正を先議し、5月22日参院本会議で行革基本法案の趣旨説明をし、6月1日、行財政改革・税制特別委員会で趣旨説明、2日から委員会審議入りし、6月9日、委員会採決を行い、本会議に緊急上程し、可決成立させられました。 *衆院での審議は64時間、参議院では、38時間であり、「この国のかたち」を定める、明治以来の大改革、国家百年の大計を定める、と政府が豪語する割には、極めて短時間の審議で成立を図ったことは、政府与党の自信のなさの現れと言えます。しかも、具体的問題については、省庁設置法・独立行政法人通則法で定めるという答弁に終始し、わずかな審議でも行革基本法がいかに多くの問題点を持った法律であるかが明らかになりました。 *橋本「行革」に対する批判的な声も高まっています。たとえば、それは、「行革の神髄は政治の信頼回復・復権だと思う」、「失政を繰り返しても責任をとらないことに国民は失望している」(参議院特別委員会紺谷参考人)という発言に示されています。また、「サービスが簡便に身近なところで提供されるならコストについても理解される」、「タクシー・ハイヤーの参入規制の撤廃は、反面で働いている人の長時間労働を生んでいる」(民主党前川参議院議員)という発言のように、規制緩和やコスト削減最優先に疑問を投げかける発言もされています。さらに、参院本会議の採決では、社民党の3議員が党議に反して、反対票を投じています。 *それにもかかわらず、衆参を通じての審議が全体として低調であったこと、その中でも試験研究機関については不十分な審議しかされなかったことは重大です。これは我々の取り組みが、世論を大きく動かすまでには至っていないこと、特に国立試験研究機関については、国会議員にも十分問題点が認識されていないことを示しており、世論へのさらに大きな働きかけが求められていることを示しています。
(2)国公全体の取り組み
国公労連全体で65万
大規模宣伝3回(250万枚、150万枚、20万枚)
キャラバン行動(97年秋)、網の目キャラバン(98年春)
議面行動 国会議員要請 座り込み行動 (3)研究機関労働組合の闘いの経過 1)12・16シンポジウムなど97秋季年末闘争の取り組み 行革会議への申し入れ(11月14日) シンポジウム(12月16日・筑波農林団地)に150人参加 2)独立行政法人化反対アピール賛同署名の取り組み 取り組み期間2月から5月 賛同者数863人(4/14時点)
うち日本学士院会員4人、日本学術会議会員11人
星陵会館(東京都千代田区) 特別講演:猪瀬博氏(文部省学術情報センター所長・日本学士院会員)
シンポジスト:
参加438人で大きく成功
シンポジウムに先立ち、14日、科技庁記者クラブで記者発表
*目標1万人でスタートした請願署名は、1万681人を集約し、ほぼ目標を達成しました。とくに、全通信が、研究所を支えるため、研究所以外の支部を含め、全支部で署名を取り組みだことが、大きく貢献しています。紹介議員は、衆院5人(民主2、共産2、社民1)、参院14(共産13、新社会1)でした。 *国会議員要請行動は、国会審議前の3月9日、衆院審議中の4月22日、衆院審議終了後の5月13日、参院審議直前の5月27日に取り組みました。また、学研労協は、独自に4月16日に要請行動を行いました。 *国会審議は、3月12日に、共産党吉井議員が衆院科学技術委員会で、3月9日の要請行動で議員に配布したパンフ第1集を使い質問、松本善明議員が2月に筑波を視察した結果に基づき行革特別委員会で、主として農水省関係研究所を取り上げて質問をするなど研究機関関係の議論も行われました。 *しかし、全体として審議時間も短く具体的議論が不十分な状況のなか、研究機関の独立行政法人化は、問題の大きさの比べ、極めて不十分な審議しか行われませんでした。 5)取り組みの中間総括 *研究機関関係組合として、運動面から見ると、相当大きな規模、質の面でも世論への働きかけというこれまでよりステップアップした取り組みができたといえます。 *しかし、同時に、研究機関、研究業務への関心と理解は、低いことも明らかとなりました。そのことが、研究機関の独立行政法人化問題の審議が極めて不十分となった原因といえます。こうした国民の関心の薄いままの状態では、政府のすすめる効率最優先の科学技術政策の進行を許すだけとなります。ノーベル賞級の発見をする一方、同時に研究継続の危機に陥っている東大宇宙線研究所=カミオカンデの姿は、この国の科学技術が置かれている現状を端的に示しています。こうした状況を打破するために、国民世論へのさらなる働き掛けが求められています。
(4)今後取り組みの課題
*独立行政法人化の問題点が解消していない以上、試験研究機関の独立行政法人化は科学技術研究を歪めることになり、反対の立場をとることが必要です。 *その上で、今後個々の研究機関、あるいは、個々の研究機関を統合したものが独立行政法人化対象として議論されますが、今まで以上に問題点を具体的に示すことが求められます。 *同時に、個別問題としてだけとらえず、こうした取り組み全体を通じ、日本の科学技術をどうするかを問うて行く必要があります。 2)目標 独立行政法人の制度が未だ創設されていない以上、制度創設に反対しつつ、同時に、 *それぞれの試験研究機関を対象とさせない *制度の問題点を追及し、少なくともできる限り科学技術研究の発展を阻害しないものとさせる *機械的な整理統合に反対し、研究・労働条件を守るとともに、地域、業種密着型研究の発展をめざす *国民の支持と理解を広げるためにも、基礎研究における国立試験研究機関の役割についての合意を広げる課題、プロジェクト研究等における効率化の探求の課題、世界レベルの研究を行う国立研究機関への改革の課題について深めることが求められている。 3)取り組みの取り組み方と節目
*取り組み方
*節目 省庁設置法の準備作業は、首相を本部長とする中央省庁等改革推進本部で、法成立後から直ちに進められます。研究機関については、すでに事実上方針を決定した省庁もあるなど、動きは急です。それに対応し、一服することなく、取り組みを強める必要があります。 a7月から参院選後の臨時国会にかけての取り組み 国公全体の、橋本「行革」批判の取り組み(分析と宣伝)に結集しつつ、 研究機関の組織検討が先行しつつあることをふまえ、各省庁の動きへの監視を強め、試験研究機関の独立行政法人に反対する取り組みを強めます。 同時に、当局案が明らかになった場合には、基礎研究を初めとする研究活動の発展の観点から分析を行い、問題点を明らかにし、世論に訴えます。そのため、国公労連・学研労協と各単組間の連絡をより緊密にして、情報交換・意見交換を行います。 また、国公労連・学研労協は、問題点のとりまとめをもとに、できるだけ早い時期に中央省庁等改革推進本部、科技庁等への申し入れを行います。 b秋の段階の取り組み 各省設置法の作業が本格化する時期であり、国公労連は、各省庁の行政責任の確認と執行部門の役割確認、雇用確保を課題として取り組むとしています。 この取り組みに結集しつつ、aで取り組んだ当局案の問題点分析に基づき、世論への働きかけを引き続き強めます。そのため、ミニシンポを開き、各単組からそれぞれの機関の問題点を明らかにする報告を行ってもらいます。同時に、各単組は、解明した問題点に基づき、当局の使用者責任を追及し、各省設置法に試験研究機関の独立行政法人化を盛り込ませない取り組みを強めます。 c来年3、4月段階の取り組み 国会へ各省設置法案が上程され、審議が行われる時期であり、試験研究機関関係組合組織として、科学技術週間での各所公開を重視し、世論へのアピールを取り組むとともに、プレ科学技術週間企画的なシンポジウムに取り組み、大きく世論にアピールします。 同時に、国立試験研究機関の署名の取り組みについても取り組むことを検討します。 2、任期制の導入状況など国立試験研究機関をめぐるその他の状況
(1)任期制の導入状況
招聘型8
若手育成型69
(2)42条特別昇給の実施状況 口頭で各単組から報告 3、研究・労働条件の改善の取り組み
(1)研究条件改善のたたかい
経常研究費の確保・改善要求は、独立行政法人化の動きもあり、重要性をさらに増している そのため、 *各単組は、来年度概算要求へむけ、所属長交渉等で各所当局・各省当局の努力を要求する闘いを強める
*それを背景に国公労連は科技庁交渉を行い、大幅改善をめざす
各単組から報告
(2)労働条件改善のたたかい
来年に予想される調整手当の見直しにむけ、調査活動、所属長交渉など筑波現地の取り組みを強める |