2010年春闘宣伝資料 内部留保関連資料(雇用増、賃上げ試算)
2010年1月 国公労連




 1.資料の概要

 本資料は「2010年国民春闘白書」(全労連・労働総研編集)に掲載された主要企業・連結内部留保一覧に基づいて内部留保の1%による雇用増と非正規を含む全労働者に月1万円の賃上げをするための内部留保の取り崩し率について試算したものです(別添ファイル)。2010年春闘に当たり膨大な内部留保の社会的な還元を求め大企業の社会的な責任を追及する宣伝に利用してください。

 ★別添 主要企業の連結内部留保(144社)による試算【エクセルファイル70KB】

 2.内部留保の1%による雇用増

 ◆主要144社のうち89社で1000人以上の雇用可能

 主要企業144社について内部留保の1%を雇用に回すとどれくらいの雇用増があるのかを試算しました。雇用については年収が300万円で一年間雇用とします。
 この試算によると、主要企業144社のうち89社においてそれぞれ1,000人を超える雇用が可能です。このうち8社では1万人以上の雇用が可能であり、11社では5,000人から1万人未満の雇用が可能です。

 3.月1万円賃上げをする場合の内部留保取り崩し率

 ◆83社中の69社、3%未満の取り崩しで正規と非正規に月1万円の賃上げが可能

 (1)正規労働者の賃上げ

 主要大企業144社について正規従業員全員に月1万円賃上げ(ボーナス6月含めて年間必要財源は18万円)するために内部留保の何%を取り崩せばよいか試算しました。
 この試算によると、主要企業144社のうち125社において内部留保の3%未満で正規労働者全員に月1万円賃上げが可能です。

 (2)非正規労働者の賃上げ

 主要大企業144社について正規従業員全員に月1万円賃上げ(ボーナス6月含めて年間必要財源は18万円)するために内部留保の何%を取り崩せばよいか試算しました。
 この試算によると、主要企業144社のうち125社において内部留保の3%未満で正規労働者全員に月1万円賃上げが可能です。

 (3)個別企業の例

 トヨタ自動車は内部留保が13兆4,000億円であり、正規32万人と非正規8万人とに月1万円賃上げをするのには内部留保の0.50%を取り崩せば可能。  キャノンの内部留保は3兆9,000億円であり、正規16万6,000人と非正規1万7,000人に月1万円賃上げはするには内部留保の0.82%を取り崩せば可能。

 【持ち株会社(126社)についても同様に非正規従業員の賃上げも試算しています。】

 《参考》

 1.「内部留保の取り崩しは可能なのか」疑問にこたえる

 【Q】内部留保は資産であり、機械設備、土地などの形になっており簡単に売却できないので、賃上げや雇用増の財源にはならないのでは?

 【A】いいえ、そうではありません。資産の中では、機械設備など簡単に売却できない固定資産も大きいですが、流動資産として預金、受取手形、有価証券、公社債などなど換金性の高い(現金化しやすい)部分もあります。この部分を取り崩せば賃上げや雇用増の財源になります。駒澤大学経済学部の小栗崇資教授は「内部留保の主要部分である利益剰余金の約4割は換金性の高い資産」と指摘しています。

 ↓大企業の内部留保の4割強は雇用維持に活用可能 - ほんの一部の取り崩しで雇用を守れる
 http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10282039774.html

 2.ビラの原稿例

 巨額な内部留保の一部で雇用増と賃上げを
 企業は社会的責任(CSR)を果たせ
 内部留保の1%で1,000人以上の雇用増(主要144社中の89社で)
 非正規も正規も月1万円賃上げ可能(内部留保の3%未満、69社で)


 各大企業は、株主配当と役員報酬を引き上げる一方、労働者には賃金を抑制し、長時間過密労働を押し付けて巨額な内部留保をためこんでいます。景気が悪化している今こそ、好景気の時からずっとためてきた内部留保のほんの一部を社会的に還元し、雇用増や賃上げをおこなうべきです。
 例えばトヨタ自動車の場合は、内部留保が13兆4,000億円であり、その0.50%を取り崩せば正規32万人と非正規8万人に月1万円賃上げは可能です。また内部留保の1%によって4万4,000人の雇用が増やせます(年収300万円)。
 またキャノンは内部留保が3兆9,000億円であり、その0.82%を取り崩せば正規16万6,000人と非正規1万7,000人に月1万円賃上げができます。内部留保の1%によって1万3,000人の雇用増が可能です。
 全労連調査をもとに試算すると主要企業144社のうち89社において内部留保の1%によってそれぞれ1,000人を超える雇用増が可能です。また非正規従業員が明らかな主要企業83社中、69社で内部留保の3%未満の取り崩しによって正規、非正規あわせ全ての労働者の月1万円の賃上げが可能です。
 各企業は「利益至上主義」に陥ることなく、今こそ自らの社会的責任(CSR)を果たし、内需拡大による景気回復を目指すべきです。

 (注)この間の内部留保関連資料

 1.全企業の内部留保……労働総研提言

 ↓経済危機打開のための緊急提言 - 内部留保を労働者と社会に還元し内需拡大を
 http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10391799597.html

 労働総研の提言では中小企業を含む全企業の内部留保を分析し、総計429兆円となっていると指摘。さらに派遣労働が原則自由化されて以降10年間に急増し、219兆円も増えていると述べています(2008年3月現在。法人企業統計)。

 2.大企業の内部留保……2010春闘白書  2010春闘白書では、資本金10億円以上の大企業(約5,000社)の内部留保は総計241兆円としています(2009年3月現在、法人企業統計)。

以上

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