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国公労連は、7月14日午後、定員管理の事務方トップである総務庁行政管理局長に対し、新たな定員削減計画策定に係わって最終交渉を行いました。 新聞でも報道されているように、18日にも新たな定員削減計画の閣議決定が予定され、事務レベルでの最終盤と考えられるこの時期に、職場実態を顧みない定員削減の押しつけ・強行に改めて反対する立場で、事務方の責任者として回答を求めました。 交渉には、国公労連からは、藤田委員長、西田、安部副委員長、福田書記長他3名が出席、総務庁からは、瀧上行政管理局長外1名が出席しました。 交渉の概要は、以下のとおりです。(○は国公労連側の追及、●は総務庁側の回答) 冒頭、藤田委員長は、以下の点を強調しました。 ○ 中央省庁等改革基本法第47条にそって、あらたな定員削減計画の策定作業が進行していると承知している。これまでも繰り返し述べてきたが、法定化されているとはいえ、職場の第1線の状況は、これ以上の人減らしは、一人たりとも無理だ、というのが我々の偽らざる実感である。その点では、あらたな増員要素に対応した定員の適正配置、という美名がかぶされているとは言え、まず現行の人員を毎年1%、10年間で10%の「合理化」努力や労働強化施策を職場末端に迫るという計画削減には、どうしても納得できない。 行政管理局の作業が大詰めにきていると承知している。それだけにあらためて、国公労連としての主張を行うが、我々の主張を最後の作業に反映させるべきだ。 続いて、福田書記長から以下の点を追及しました。 (1) 総定員法、定員の計画削減そして年度毎の増員査定という仕組みで、定員管理が行われていると理解している。そのような、仕組みの中で、30年間で約53,000人の定員が削減されている。特に、80年代以降の削減は際だっており、その中でも9次定員削減計画下のこの3、4年は、「乾いた雑巾を絞る」といった形容ができるほどの状況だ。 (2) そのような中で、過労死や過労自殺、過労による健康障害と思われる事案が発生し、一つの省で年間5人もの過労死と思われる事案が発生するほど極めて異常な状態だ。こういった状態が、一部ではなく、広く公務全体にまん延していることに問題意識を持っている。したがって、いのちと健康を削ってはたらく労働者をこれ以上増やさないためにも、「10年で10%」の定員削減計画には反対だ。 (3) 個別の事例はさけるが、職場の実感として、定員削減が行政サービスに大きく影響している。年々行政サービスが後退していると感じている仲間が増えているのが現状だ。そのことは決して公務にプラスの影響を与えていない。これらは、職員の士気の低下につながことであり、行政サービスの面から考えても、定員削減計画には賛成できない。 (4) 削減計画そのものではないが、25%削減も含めた、定員管理全体の問題について、幾つか指摘していく。 一つは、定員削減の在り方について、増員要素にきちんと措置できる定員配置ができているか。この数年、新規増員ゼロといった方針は、先に述べた労働強化や行政サービスの後退を前提とした定員管理以外の何物でもなく、到底認められない。 二つは、新再任用が来年からスタートし、定年延長問題が公制調でも論議されているように、公務員制度の見直しの中で、勤務の長期化が動いているが、現在の定員管理では「画餅に帰す」ことになりかねない。天下りの撤廃など、一方での国民の要請に応えるための定員管理の在り方は、今だからこそ論議が必要であり、国会でも議論されるべきだ。 三つには、職員の意思を全く無視した配置転換や、雇用不安を引き起こすような定員管理は、行わないことをこの場で明言すべきだ。 (5) 国公労連が、あらたな定員削減計画や25%削減反対を主張して、12日から、毎日総務庁前要求行動を行っていることはご承知だと思うが、これは、全国で働く50万人の非現業国家公務員の声なき声を代弁するものだ。そのような声に耳を傾け、人減らしのための削減計画は中止すべきだ。 これに対して、瀧上局長は、次のような見解を示しました。 ● 定員削減計画には反対だというご主張だが、9次にわたる定員削減には、各職場でご協力いただいている。今回、中央省庁改革において、行革基本法47条で「10年10%以上」の定員削減が法定化されており、府省の再編前にこれを策定しなければならないとされている。来年度要求作業に間に合わせるためにも、削減計画を各省庁に示す必要があり、作業は最終局面に入っている。 定員削減については、行政の新陳代謝であり、行政の消長に見合っての合理化、効率化を常に心がけなければならない。上限は、総定員法で決められており、政府の責任で定員管理をし、定員の再配置を行う仕組みが計画削減だ。一方、最近は、総数の抑制から削減や縮減という議論が、国会で厳しくやられていることとも、ご理解を頂きたい。 増員の話については、各省庁から職場の実状を踏まえた上で出されてくると思うが。要求の内容をよく見させていただいた上で、新しい行政需要に対応する必要があるものについては、見ていく。25%削減の閣議決定があるという、厳しい状況があり、そういう中でできるだけ努力したい。各省庁と議論をし、管理局として作業を進めていきたい。 以上の回答を受けて、福田書記長から、改めて以下の追及を行いました。 ○ 一つに、これまでの定員削減計画は、定員の再配置の機能があった。今回も、同じ手法と考えてよいのか。国会では、純減、純減と迫っているが、職場の実態を分かっているのか。これでは、新規増員も要求できないではないか。 二つに、今朝の新聞で、18日に閣議決定するのではと出されていたが、直近の閣議で決定すると理解してよいのか。 ● 定員削減の考え方は、従来、合理化で生み出した人的資源を、本当に必要な新規需要に充てるというこれまでの考え方は変わらない。先にもふれたが、その一方で、全体として縮減、25%の純減という議論がある。10%削減する一方で増やすことについて、「ごまかしではないか」という厳しい意見もあるが、増員査定は毎年のことで、政府として、時々の行政ニーズの変化を判断しているということは理解を得られる状況になっている。 しかし、公務員全体として減らすべきという別途の次元の話がある。計画削減の上に、全体の枠として、どの程度増員が可能か、各方面の理解を得つつ、ギリギリの各省折衝をやる。公務員全体で純増というのは理解を得られにくい。緊急性や必要性を十分議論し、あるべき公務員の規模を議論したい。 定員削減が4万2千人という報道は、84万人に5%を単純にかけた数字だ。最終調整に入っているが、与党の調整が得られれば、できるだけ早く、各省庁の要求サイドの要望もあり、決定したい。いま言われた日程は、できるだけ早くという中に入る。 ○ 10%、20%、25%と数字だけが先にあって、その数字が職場に押しつけられ、困っているのが職場だ。一方的に、10%だ、25%だと言われても迷惑だ。 ● 中央省庁等改革基本法の枠組みがあり、その中で定員管理をやらざるを得ない。具体的な状況は、各省庁から要求査定の時期によく話を聞かせていただき、また、定員管理の考えもよく主張させていただく。 最後に、藤田委員長から以下の指摘をして交渉を終えました。 ○ 取り巻く環境の厳しさは我々も承知している。ただ強調したいのは、国民のみなさんは、納税した税金にふさわしい行政サービスを求めている。しかし、いま行っている定員管理は、その行政基盤を掘り崩している。我々の主張を踏まえ、残された期間目一杯の奮闘を求める。 ● 意見として承る。 (以 上) |