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6月2日午前、衆議院行政改革に関する特別委員会での一般審議は9時から行われ、古賀一成(民主)、松崎公昭(民主)の各委員が質問に立ちました。国公労連・各単組本部等から6人が傍聴するなか、11時30分まで行われた審議の概要は以下のとおりです。 古賀一成委員(民主) ○ 今回の改正地方自治法は、機関委任事務整理法と名称を変えるべきだ。国民には分かりにくい。また、地方財政の問題がふれられていない。今後出てくると答弁しているが、一番のベースは財政だ。 ●(野田自治大臣) 今回の改正法は全部セットできている訳ではない。受け皿としての体制の整備も入っているし、国と地方の関係の原則も入っている。将来の地方財政をどうするか、税収の安定性を実現できるようにしたい。受益と負担の関係もあってしかるべきだ。地域間の税源の偏在をできるだけ少なくしたい。さらに補助金も無くしていこうと。しかし、事務だけ増えて行くのではこまるので、一般財源をどう強化するかだ。 ○ 3割自治と言われるが、地方財政も国が決めている。 ●(野田自治大臣) 地方の財政をどうやって立て直すかだ。その場合、国と地方の税配分を考え直さないといけない。その際の検討はノーマルな景気状況で税制を考えないといけない。 ○ 国と地方を律するものは、機関委任事務だけでなく、上意下達の計画行政がある。例えば防災計画などそうだ。中央防災計画に下に府県、市町村の計画が上意下達で作られている。改正法では計画行政の縛りを見直すようになっているのか。 ●(太田総務庁長官) 機関委任事務を何とかしないと次のステップに進めない。上位下達行政だが、昨年6月に通った行革基本法に中央省庁改革と地方分権を一緒にやると書いている。地方分権一括法も同じところからスタートした。精神においては同じである。 ○ 行政改革で一番問われているのは、縦割り行政だ。 ●(太田総務庁長官) 縦割りをどうするかの答えが地方分権一括法である。具体的には内閣官房、内閣府が一括して国の行政をコントロールする。また中央省庁を大括りする。 ○ 中央を変えたからと言って地方が変わるとは限らない。 ●(野田自治大臣) 別の仕掛けが改正地方自治法に入っている。国の関与のあり方や、透明性やルールが入っている。地方自治体が自分達の自主性をどんどん広げていくのが今回の改正法だ。 ○ 我々の要求を受け入れて、霞ヶ関にもう一度作り直せとやるべきだ。 ●(野田自治大臣) 改正法は、国と地方の役割を見直すダイナミックな法律だ。地方6団体も早期成立を望んでいる。 ○ 社会保険業務はなぜ国の直接執行となったのか。今まで50年間府県でやってきたではないか。昭和36年の国民年金創設時に国でやるという案があったのに地方でやるようになった。しかし、今回国でやるのは何故か。 ●(宮下厚生大臣) 社会保険業務は本来国の業務だ。それを担当する職員を昭和21年に国家公務員とした。国家公務員である地方事務官だ。国家公務員とほとんど変わらない。変わるのは、知事の指揮命令を受けるのと、労働組合と共済組合への加入だけだ。実態は国家公務員として採用された者が1万6300人いる。定員には入っていないが、国家公務員としてカウントしている。今回きちんと実態に合わせた。地方公務員を国家公務員に格上げするとかではない。 ○ 全国に1万2000人いる地方公務員の国民年金担当者との連携や、2000人の徴収員との連携は検討しなかったのか。 ●(宮下厚生大臣) 地方社会保険事務局に統合し一元化する。保険料の徴収でも企業との関係は変わらない。国民年金は現在3300ある自治体に機関委任事務としてお願いしていたが、これを法定受託事務にした。 松崎公昭委員(民主党) ○ 介護保険制度について、閣僚から見直しや先送り論が出されているが、政府の基本的見解を伺いたい。 ●(野中官房長官) 2000年4月の制度実施をめざして地方公共団体で体制整備の努力が行われている。それぞれの自治体で多くの問題が残っているが、円滑な実施ができるよう努力していきたい。 ○ 報道では野田自治大臣は先送りを発言されているようだが。 ●(野田自治大臣) 先送りを発言した覚えはない。しかし、財源問題等々本当にできるのか心配している。自治体に混乱が起きないよう財源を含めた措置が必要だ。 ○ 国の直轄事業の見直しなど地方分権推進第5次勧告に基づく見直し法案はいつ頃考えているのか。 ●(野田自治大臣) 第5次答申にもとづき、3月に第2次推進計画を決定した。すぐに措置できるものは実施に移し、平成12年度予算で措置できるものは措置する、法律改正が必要なものは順次実施に移していきたい。 ○ 国と地方の関係において財政問題に光を当てると、地方自治はほとんどないに等しい。明治以来今日まで官僚主導型の統治が続いており、今回の行革法案や分権法案も産業界をテコに押し込まれたのではないか。今回は分権化の入り口にすぎない。分権型国家をつくるには思い切った認識をすべきだ。 ●(宮沢大蔵大臣) 中央集権的な官僚の力が強いのは事実で、地方自治がなかなか育たなかったことも事実。それを何とか打破する動きが強まり、第5次までの分権勧告が出されたが、今後もそれにそって分権化を進めていきたい。 ●(太田総務庁長官) 中央省庁再編も地方分権化が柱の1つで、地方分権すれば行政縮小に連動することになる。極力自治体の自立・自覚を高めていきたい。第5次勧告と第2次推進計画は分権化に一歩も2歩も踏み込んでいる。 ○ 思い切った改革していると言うが、こんなテンポでよいのか。 ●(野田自治大臣) テンポが遅く歯がゆい面もあるが、今回の法案でレールのポイントを切り替える。切り替えればどんどんスムーズに進むと思う。 ○ たとえば分権法では権限移譲や規制緩和を大きく位置づけているが、実態的には進んでいないではないか。 ●(太田自治大臣) 権限移譲は第1.2次勧告にもとづく推進しているし、規制緩和は各省と協議し作業は進んでいる。これまでの認可制が届出制になっても件数は変わらないが、現実には減っている。今後、引き続き努力していく。 ○ 財源問題だが、地方債の発行は許可制度になっているが、原則自由にして協議制度にならないのか。統合財源についてどう考えているのか。民間同様、経済が厳しいときにこそ、財政構造や基本部分を思い切ってメスを入れるべきはないか。3年ぐらいで財源見直しすべきだ。 ●(野田自治大臣) 地方債を原則自由発行にする場合、引き受けてがるか十分念頭に置かなければならない。平成11年度の税収見込みは前年度比で11.4兆円、地方税も3.2兆円の減収となっている。法人税もピーク時の平成元年にくらべ8.5兆円減の10.4兆円となっている。膨大な不良債権処理が法人税の減収となっている。歳出面で簡素効率化と並んで歳入構造を徹底的に見直しすることは当然だが、経済がある程度ノーマルとなってノーマルな税収構造を確立してから国・地方の配分を見直すべきだ。 ●(宮沢大蔵大臣) 総合補助金については平成12年度予算でできるだけ実現したい。経済戦略会議の答申などを参考にしていく。今のこの段階で中央と地方の財源を見積もって再配分しても将来うまくいかない。景気が回復し税収が安定した時期に行うべきだ。 ○ 民主党では所得税を7%減らして住民税を7%アップし、国・地方の税の取り方を1対1にする提言をしているが、どう考えるか。 ●(宮沢大蔵大臣) 所得税を地方税に変更した場合、課税最低限をどうするのか、地域ごとの税収の偏在をどうするのか、地方財政のあり方として受益と負担をどう考えるのかなどの問題を検討しなければならないが、いずれ経済成長期にむけて検討したい。 ○ 財源の見直しと今回の法定受託事務の見直しを3年ぐらいで行うべきだ。 ●(野田自治大臣) 財政の見直しの時期は、経済が安定しノーマルになった時期と思っている。いつになるとは言えない。 以 上
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