衆院行革特別委員会 6月4日午前の一般審議
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年6月4日付 第116号)


 6月3日午前の衆議院行政改革に関する特別委員会の一般審議は、9時から「中央省庁再編法案」の審議を中心に行われ、玉置一弥(民主)、辻一彦(民主)、平野博文(民主)、桑原豊(民主)の各委員が質問に立ち、国公労連・各単組本部から8名が傍聴しました。11時50分まで行われた審議の概要は以下のとおりです。

玉置一弥議員(民主党)
(前半10分間は傍聴できず)
○ 行革と並び、3本柱となる年金と医療の改革は、どうなっているのか。
●(宮下厚生大臣) 少子高齢化社会に対応すべく法案改正を前提に進めている。特に年金については、保険料や国庫負担割合、支給開始年齢の引き上げなどの問題について、与党間の調整をしているところであり、早晩、結論を出したい。
○ 内閣の合議制から一歩出て、内閣の権限強化、総理のリーダーシップをどう強化し、危機管理などを進めるのか。
●(野中官房長官) 内閣法の改正と内閣府の設置が、総理のリーダーシップ強化にとって重要だ。総理は重要施策について発議し、内閣府に4つの合議制機関を持って重要施策を決定するなど、総理主導で機能的にリーダーシップを発揮していく。危機管理については、平成9年5月の行革中間整理にもとづき平成10年に内閣危機管理監を既に設置しており、今後も防災などの危機監理機能を強化していく。
○ 国土交通省は膨大な公共投資の権限を持ち、大臣は大きな権力を握ることになるのではないか。公共事業全体の80%、7兆3千億円を国土交通省が握るが、公共事業を進める上で、どういう形で効率化・合理化していくのか。
●(関谷建設大臣) 4省庁の大くくり再編で一つになって権限が集中するのでは、というご質問だが、その懸念を払拭するためにも国土交通省は、適切な責任官庁として機能するためにも、徹底した規制緩和と地方分権を進め、透明化、効率化を行う。補助金を地方整備局に降ろし、本省から地方へ権限を移譲し、組織の改正を図りたい。地方整備局が主体的に働けるようにしたい。また、効率的な事務を進めるため徹底したスリム化を進めていきたい。
●(川崎運輸大臣) 2省の大臣の仕事を一人でするのは大変だ。そこで副大臣が重要になってくる。
○ 地方整備局に大幅に権限を移すとのことだが、河川や道路とか、縦割行政がどのようになるのか。
●(関谷建設大臣) 地方整備局に主体を任せる。予算の配分や業者の選定などは、益々透明性を上げ、デスクロージャーを図る。予算の固定化などを招かないように今後もやっていきたい。
○ その際人材が重要だ。地方支分部局にどういう人間を配置していくのかなど行政監視が大事だと思うが。どういう人間を配置するのか、今後の審議で詰めていきたい。次に、これまで多くのOA機器を導入しているが合理化が進んでいない。新しい機器を入れても人員が減らないなら入れる必要はない。平成10年には2894台のOA機器を入れている。これでは、行革をやってもコスト削減できないのではないか。
●(太田総務庁長官) 昨年の参議院選挙の結果は、橋本内閣の財政構造改革が真っ向から否定された。民意がそうなので小渕内閣はそこにふれない。コストの30%削減は事業費を30%削減するものではありません。事業をやる中で全体として何か30%削減するものはないかとやるのです。各省当局がコスト意識にめざめていくよう、政策評価もしなければならない。総務省の第三機関が政策評価を徹底的にることで締まると思う。

辻一彦(民主党)
【高速増殖炉もんじゅの所管省庁】
○ もんじゅは高速増殖炉としての実用化が50年ぐらいかかるというのが定説となっており、どう考えても研究開発段階のものだ。このようなもんじゅを省庁再編法案では、経済産業省の所管となっているが、納得できない。もんじゅは、文部科学省で所管すべきだ。
●(太田総務庁長官、有馬科学技術庁長官など) 省庁再編法案では、原子力エネルギーの利用や安全規制については、経済産業省が行うことになっている。もんじゅは、将来の原子力エネルギーにかかわってくることから、文部科学省ではなく、経済産業省が所管する。
(納得できる説明ではないので、何度も繰り返し答弁を求めたが、ほとんど同じ内容の回答しか行わず紛糾した。)

平野博文委員(民主党)
【産廃に関する質問】
○ 産廃問題深刻である。年間4億トン、東京ドームの327杯分だ。産廃が増えていることについてどう思うか。
●(与謝野通産大臣) 廃棄物をなるべく出さない。もう一つは廃棄物をできるだけリサイクルする。そのために税制上も色々やらねばならない。廃棄物を出す人に負担してもらわないといけない。
○ 産廃の民間処理業者で色々問題が起きている。今まで何の基準もなく処理され、また不法投棄が続けられてきたい。今までの問題に対してどう対処するのか。
●(与謝野通産大臣) 一般廃棄物は行政で、産廃は廃棄した人の責任で処理する。問題が起きているものについては、キチンとしていかないと。実体法としては何とかしないといけない。
○ 今まで問題になっているところはどうするのか。
●(与謝野通産大臣) 住民の忖度も尊重しないといけない。権限は知事だが、プロセスは検討しないといけないと思っている。
○ 県知事の権限と言いながら、実際には市町村が何の権限も無しに対応させられている。これは国が直接執行するぐらいのことでやらないとダメだ。
●(与謝野通産大臣) これからの検討はそのとおりだと思っている。やり方をどうするかと、法律をどうするかは別だ。実体法をもう少し検討すると、国の権限としてやるべきではない。
○ 法定受託事務の責任の区分で問題がある。委託者としての責任と執行者としての責任があるが、産廃では責任はどこにあるのか。
●(鈴木行政局長) 自治法の一般的な考え方、法定受託事務は、執行上の責任は府県にあるが、国の関与があるので、関与については国に責任がある。
●(小野生活衛生局長) 平成9年に区分を見直した。不法投棄はこれを撤去することを新しく起こした。
○ 法定受託事務が後に変わっても責任は継続するのか。
●(小野生活衛生局長) 審議会で検討している。施設の維持管理は施設設置者の責任だ。
○ 倒産したらどうなるのか。
●(小野生活衛生局長) 維持管理の途中で倒産することも考えられるので、その後の管理費も積み立てさせる制度を作った。
○ 現場を知らない。一般廃棄物は自治体が処理するので住民も中に入って監視できるが、産廃は民間なので何をやっているか分からない中に入ることもできない。何件係争が起こっているか。
●(小野生活衛生局長) 10年で235件です。
○ その内解決したのは何件もない。国県は責任逃れをしていればよいが、市町村は逃れられない。財源もない。産廃は国土の不良債権だ。同じ考えで環境省は業務を引き継ぐのか。
●(真鍋環境庁長官) ご意見はもっともだと思う。私の出身の豊島の問題は典型的だ。責任は業者だが、長年の不法投棄を許していた県の責任もある。国として何かできないか。その程度のことしか今は言えない。今後は、そのような問題も措置できるようにしたい。
○ これは国家の問題だ。踏み込んだ政策を出してもらいたい。

桑原 豊議員(民主党)
【法定受託事務に関する質問】
○ 今回の改正で、機関委任事務が廃止され、自治事務と法定受託事務とに区分される。当初大半が自治事務になると思っていたが、半分近くが法定受託事務となっている。今後法定受託事務を増やさないためにもどのようにチェックするのか。
●(野田自治大臣) 法定受託事務は、厳に抑制されるべきはそのとおりだ。法定受託事務の要件を明確にした。また、昨年メルクマールを閣議決定した。この8つのメルクマールは政府内部の大事な規制となる。更に国会が法律を決める際に審議のチェックを受ける。常にチェックをしていかないといけない。
○ 国会でのチェックと言うが、従来も増えてきた。民主党としても修正案出すが、3年程度で見直すぐらいの考えないか。自治法にチェックの仕組みを書き込むべきだ。
●(野田自治大臣) 今の段階で3年後の見直しを入れるつもりはない。

【通達行政に関する質問】
○ 通達行政について、自治法245条の9に法定受託事務の処理基準を各大臣が定めるとあるが、定め方は書いていない。処理基準はどうするのか。
●(野田自治大臣) 今回の改正で法定受託事務の処理基準は、一般的な基準として定めるもので必要最小限に限られる。
○ 分権法案でも第2次勧告でも、国による監査減っていくとなっている。監察事務所は減るのか。
●(太田総務庁長官) 行政監察は国の事務を対象にしている。国の事務を監査するのは当然だが、それ以外にも法定受託事務なども対象となる。もとより法定受託事務の監察結果は、直接地方公共団体に勧告するのではない。国の行政監察は、あくまでもタックスペイヤーに対する責任で調べるないといけない。
○ 全てのことが国の監察の対象になると答弁したと理解する。必要以上の国の関与はいらない。
●(太田総務庁長官) 事前の調整のための通達と事後のチェックは事柄が違う。
●(野田自治大臣) 自治事務であろうと法定受託事務であろうと、自治体の事務となる。法定受託事務について、国が監査できるとしたところである。また、監査を拒んではならないとも書いてある。

【是正要求】
○ 自治事務に対する是正の要求について、現行の是正措置要求と今回の改正法に書いている「是正の要求」の違いは何か。
●(野田自治大臣) 国の関与の仕方の違いだ。現行は改善義務を明記していないのに対して、改正法では明記していると答弁しろということか。
○ 国の関与の仕方が違う。これまでは総理大臣が行ってきた。しかし、一度も行われていないと思う。今回、各大臣が是正の要求をできるようになると是正要求が増えると思う。それも法律の所管大臣だけでなく担当する大臣とあるので一気に多くなるのではないか。自治事務に大幅に関与ができることになる。それでよいのか。
●(野田自治大臣) 今回、事前の関与を大幅に縮小したので、事後の是正の要求を各大臣とした。また、係争処理の手続きも盛り込んだ。所管の大臣と自治体が直接やった方が処理が早くできるのではないか。
○ それでは自治事務とはいったい何なのか。是正要求までは理解できる。しかし、改善の義務まで規定している。従来も法解釈としてあったかもしれないが、明記することで質的に違う。自治事務を縛っていくという発想そのものだ。憲法の自治権にふれているのではないか。
●(野田自治大臣) 仮に地方公共団体が違反したり、明らかに公益を害したりした場合。また、自主的に解決することができないようなことが発生した場合は、自治事務と法定受託事務を分けたのだから放っておく訳にはいかない。わかりやすく言うと透明性を確保しようとした。
○ 勧告の中にも是正要求の義務なんて入ってなかった。法律を作る段階で加えられた。納得できない。

【地方事務官】
○ 社会保険の地方事務官を国家公務員にすることは地方分権に逆行する。地方事務官は個別法に予算措置もされている。総定員法にカウントされているのか。
●(太田総務庁長官) 総定員法上の数字は、広い数と狭い数がある。広い数には、沖縄と地方事務官と大学がある。今後、社会保険の地方事務官は1万6000人は、狭い意味の定員の枠内に入ることになる。同じ総定員法の枠内の移動だ。
○ 総定員にカウントするのか。
●(西村総務庁行政管理局担当審議官) 「行政機関の職員の定数に関する法律」の第1条(定員の総数の最高限度)の定員の中に入ることになる。
○ 国の直接執行すると、全体として定削をしなくてはならない中で、事務をこなしていくために増員していかないといけなくなるのではないか。そのような枠の中に組み込むのはどのような理由があるのか。
●(太田総務庁長官) 定削の分母は郵政を除いた54万6000人と答弁してきている。地方事務官が変わったとしても、この数字は変わらない。
○ 25%の削減のプロセスは、独法でできるだけカウントするとか、事務事業を地方にやらせるとかが基本の考え方のはずだと思うが、一方で地方事務官を総定員法に入れたり、分母の数は変えないとかおかしい。従来どおり地方公務員でよいのではないか。
●(宮下厚生大臣) 今の地方事務官は国公法の適用を受けているし、人件費も国がみている。違うのは知事の指揮監督を受けることだ。しかし、これは有名無実だ。国家公務員として何ら増えるものではない。
○ 国民年金が空洞化している。158万人の未加入者がいる。市町村の1万2000人の職員と2000人の専任の徴収員がいても未加入者が増えているのに、国がやるなら、未加入者が更に増えるのではないか。また、印紙制度を廃止するならなおさらだ。昭和36年の制度発足時、国がやるのは大変なので市町村に協力してもらって発足した。
●(宮下厚生大臣) 国民年金については、1万2000人の市町村の職員にお願いしている。今回、それを法定受託事務に位置づけるが、何も変わらない。一方、社会保険事務所は市町村とは何も関係ない。
(以 上)

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