|
||||||||||||||||||||||||
6月14日午後1時から参議院本会議が開かれ、11日衆議院本会議で可決した地方分権一括法案の趣旨説明と各党代表質問が行われました。 法案の趣旨説明は、野田自治大臣が行い。続いて、峰崎直樹(民主)、山下栄一(公明)、富樫練三(共産)、日下部禧代子(社民)、高橋今則(自由)、菅川健二(参議院の会)の各議員が代表質問に立ちました。これに対し、小渕総理、野田自治大臣、宮澤大蔵大臣、らが答弁しました。 野田自治大臣(趣旨説明) 国と地方の役割分担を明確にする 第1に、国と地方の役割分担を明確にした。第2に、法定主義の原則に基づき、国の関与を見直した。また、係争処理制度を創設した。第3に、国の権限を府県に、府県の権限を市町村に移すため必要な見直しを行った。第4に、必置規制の廃止・緩和を行った。第5に、自治体の能力の向上と体制の充実を図るべく必要な見直しを行った。また、衆議院において一部修正が行われた。 峰崎直樹議員(民主党) 社会保険や雇用保険は自治体で行うべき 分権法案の基本的枠組みは半歩前進と評価する。しかし、第1に、機関委任事務廃止後の法定受託事務の定義について、分権推進委勧告がもちいた「国民の利便性、事務処理の効率性」の観点が消え、「国として適正に処理するもの」となったが、大変疑問だ。勧告の文書どおりにすべきだ。第2に、地方行政について、地域行政、身近な行政などさまざまな言い方をしているが、不明確だ。第3に、法定事務・自治事務は、原則自治事務から大きく後退している。地方自治法第1条2項の精神はどこに表れているのか。事務区分を地方分権の観点から3年ごとに総点検し、法定受託事務から自治事務への見直しをすべきだ。第4に、国の権力的関与を否定しながら、大臣の是正措置による改善義務や助言勧告など権力的関与を設けた理由は何か。第5に、是正措置と同様に港湾法や漁港法、都市計画法など個別法でも国の関与を認めているのはなぜか。第6に、税財源には全く触れていないが、税財源の配分を抜本的に見直すべきだ。第7に、社会保険事務や雇用保険事務は利便性や事務処理の効率化から身近な自治体で行うべきだ。 小渕総理大臣 法定受託事務と自治事務の区分は、勧告に基づき改正したもので、新自治法第1条にそったものだ。法定受託事務は将来に渡って、厳に抑制されるべきで、追加状況、経済情勢の変化を踏まえて適宜適切に見直したい。国関与については、関与の基本原則を地方自治法に定めだ。必要に応じ個別法を整備することを否定されていない。財源の充実確保については、経済の方向や税制の見直しの中で検討していきたい。 野田自治大臣 法定事務の定義は、新地方自治法第1条2項で国・地方の役割分担を明記した。個別法で、国の役割であっても身近なものは、利便性から地方公共団体に委ねている。法定受託事務はそれを踏まえたものだ。自治事務の是正要求については、違法な状態は自主的に処理されるべきだが、それが放置されているような場合に限って例外的に、何らかの関与のための是正措置ができるように、必要最小限度の基本原則を定めたものだ。市町村のものは、府県で対応するのが適当だろう。個別法には、厳格に要件を付している。税財源の見直しは、出来るだけ早期に取り組みんでいくべきと考えている。 関谷建設大臣 建設関係の直接執行は、指示のみでは実現できない場合があるので、審議会の勧告を得て、必要な措置できるものとした。また、土地収用制度において、公益上私有財産の土地収用については、公平で適切な判断ができるようにした。何れも地方分権推進委員会で適切とされたものである。 宮下厚生大臣 地方事務官制度の廃止を踏まえて措置することになるが、改正法の施行については、修正の趣旨を踏まえて適切に対応したい。 山下栄一議員(公明党) 一応評価したい 平成5年に国会で、地方分権を推進する決議がなされ6年、一応評価したい。しかし、極めて不十分である。第1に、権限を移譲するというが、企画・立案・実施を一括して移譲した事務はあるのか。実施のみ押し付けているのではないか。第2に、従来から自治体の事務であったものも是正要求ができるようにした。機関委任事務を自治事務にしたメリットは何か。係争処理委員会を総務省所管としたのはなぜか。第3に、公共事業の見直しを見送っている。橋本内閣の課題を引き継ぐのではなかったか。第4に、地方の自主財源についても見直すべきだ。 小渕総理大臣 権限の移譲を伴った法案は35本である。そのうちに、地方の自主性、自立性が拡大され、企画・立案能力が高まるだろう。是正要求は、大綱方針に反するものではない。係争処理委員会は、他の省に属さない事務として内閣府に置いた。代執行は自治体の自主性に配慮して制限を加えている。地方分権推進委員会で、直轄事業の見直しや総合補助金などの検討をし、第5次勧告がなされた。地方財政の建て直しは十分配慮したい。先ずは景気の回復を目指したい。 野田自治大臣 法定受託事務の処理基準は、処理すべき寄りうる基準であり、裁判所は、この基準に縛られることなく、係争処理を判断することとなる。地方財政の建て直しについては、法定外目的税を創設することで、自由に財源を確保できる。 富樫練三議員(共産党) 分権法は地方統制法そのも 分権法は地方統制法そのものであり、憲法・地方自治法に基づき真の地方分権となるよう抜本的に見直すべきだ。この基本的立場を踏まえ、第1に、憲法は、国と地方は相互協力、並立対等、国は非権力関与を定めており、是正措置は国に強制関与権限を与えるものであり、設けるべきではない。是正措置はどういう基準に基づくのか。第2に、代執行も新たに明記し、個別法で基準を示しているが、裁判抜きの代執行で、国が何でもできるようになっている。公正な裁判を受ける権利も認めないのか。第3に、助言・勧告は地方自治体の足を縛るものだ。法律の範囲内で行うものに介入して分権と言えるか。幅広く地方自治を認めるよ。第4に、必置規制は縮小・廃止すべでない。福祉・教育について、全国的に一定の行政水準維持のためのミニマムこそ求められている。第5に、財政の地方移譲が欠落している分権法は欠陥法律だ。国・地方の財源再配分を早急に着手すべきだ。第6に、米軍のための特別措置法の改訂は、米軍がほしいと言えば関係者から有無を言わさず用地を提供できる。アメリカへ無条件に協力するものだ。日本の主権、国民の財産を守る姿勢を貫くなら特措法は撤廃すべきだ。 小渕総理大臣 自治事務に対する是正要求については、地方公共団体で違法な事務処理が行われ、放置されているような場合に限って例外的に、国が何らかの関与ができるようにした。関与は、必要最小限度になるようにしている。代執行は、分権勧告や推進計画に基づき、国民の利益を保護するため、緊急を要する場合、国が直接執行することができるとしているが、厳格に要件を付している。助言勧告は、国の援助・協力の一形態で、地方公共団体は自主的に審査機関を設けることができる。必置規制の廃止め緩和は、勧告を踏まえて、地方公共団体の自主・効率化を目指すもので、行政サービスは後退しない。必置規制の見直し分については適正に対処していく。厳しい地方財政建て直しのため、先ずは景気の回復をさせ、その状況に応じて地方公共団体の財政基盤を確立していきたい。地方公共団体の課税自主権を尊重し、地方財源の確保に向けて総合的に検討していきたい。特措法の改正は、地方分権推進委員会の勧告を受け、役割分担を明確にするため、国の役割とした。改正に当たり、収容委員会に地元の意見を反映する仕組みや適正な手続きなどに配慮した。地方6団体からも評価をいただいている。 日下部禧代子議員(社民党) 地方分権の始まりは村山内閣 地方分権の始まりは、村山内閣における地方分権推進法である。第1に、85年のヨーロッパ自治体憲章では、地方自治はあらゆる国の基礎であると歌っている。今回の法案とあまりの格差だ。21世紀の地方自治のあるべき姿を伺いたい。第2に、475本の法律を一括して、しかも中央省庁再編法案と一緒に提出している。審議時間もろくに与えないのでは、国会の空洞化を招く。一括法案で提出した理由は。第3に、地方自治基本法を制定すべきと考えるがどうか。第4に、駐留米軍用地特別措置法について、一方的に国が執行できる今回の改正は分権に逆行ではないか。第5に、自主財源について盛り込まれていないのはなぜか。今後のプログラム、道筋を示して欲しい。 小渕総理大臣 今回の改革は、ヨーロッパ自治体憲章の宣言と同じ認識に立っている。一括法案は、地方分権推進委員会の第1次から第4次までの勧告を最大限尊重して作った。地方自治法やその通則と関連している当たるので一括して提案した。地方自治基本法の制定については、今回の法案が正に基本法である。駐留米軍用地特別措置法については、安全保障の事務かかわるので、国が最終的に責任を持つべきだ。国民が豊でゆとりを実感できる体制を作くるため努力していきたい。今後は税財源の移譲など積極的に取り組みんでいきたい。 野田自治大臣 法案は、住民の意向に添った行政が高められるものだ。住民投票制度の充実など考えていきたい。地方公共団体の財政基盤を充実させることは、大切なことだ。地方分権推進計画を踏まえ、財政の推移等を総合的に検討していきたい。 宮澤大蔵大臣 地方自治体の財源の充実は、法案においても、推進計画においても同様に述べている。認識は同じだ。しかし、今の経済状態は異常であり、一刻も早く正常に戻さないといけない。年率2%の成長に戻ったと判断したら、税の配分を考え直す。 高橋今則議員(自由党) 省庁再編・地方分権早期に実現すべき 省庁再編とともに地方分権の第一歩を早期に実現すべきだ。第1に、あるべき地方分権についての基本認識と一括法成立による地方分権の進展の見通しは。第2に、自治事務が少なく、また、国の関与が多い過ぎるが、地方分権からどう考えるのか。第3に、自立できる地方自治体にするため、最終的に300自治体程度に再編すべきだが、基本的考えと具体的な取り組みを伺いたい。第4に、市町村長の多選を禁止すべきだ。第5に、国・地方の税財源の配分を抜本的に見直し、地方への補助金をなくし、相当額を一括交付すべきだ。第6に、国土の均衡ある発展のために、過疎・山村・離島にも国の適正な支援をすべきだ。第7に、地方分権を継続的に取り組むために地方自治基本法の整備を行うべきだ。 小渕総理大臣 地方分権の推進は、基本理念を踏まえつつ21世紀に相応しい行政を実現するために推進していく。市町村合併は、市町村の主体的な取り組みで総合的に勘案して進めている。国土の均衡ある発展は、市町村の自主的な努力をしつつ、総合的に施策を行っていく。 野田自治大臣 中央集権の中核であった機関委任事務を廃止し、地方自治体の自主性、自律性を高めた。また、国の関与についても見直し、大幅に縮小した。市町村合併については、思い切った支援策を盛り込んだ。財政を措置し、ガイドラインを示すなど積極的に推進してまいりたい。首長の多選防止については、自治省において、調査研究をしている。本委員会でも十分議論して欲しい。国庫補助の整理は、自治体の自主性・自律性に配慮していきたい。第2に、公共事業の補助金に対しては、国が箇所付けしないという総合補助金制度を平成12年度から創設する。そのために必要な見直しを進めてまいりたい。 菅川健二(参議院の会) 地方事務官廃止による今後の労働行政は 法案は、当初期待されたものとはかけ離れている。第1に、財政上で上下関係か残っている。ひも付き補助金は廃止し、一括補助金を直ちに実施すべきだ。第2に、自主財源として地方消費税の強化など基本的な考えを聞かせて欲しい。第3に、自治事務に対する是正要求を盛り込んでいるが、自治事務は自分の裁量で処理すべきだ。第4に、雇用情勢が大変である。地方事務官を廃止によって、職安の仕事を国に引き上げるのは、地方の雇用に空白を及ぼす。今後の労働行政をどのように考えているのか。第5に、権力の集中は良くない。そのために、知事や政令指定都市の首長の多選の制限をすべきだ。第6に、自治省が総務省に大括りされる。地方分権を進めるための特命大臣を置くべきだ。 小渕総理大臣 平成5年の国会決議を出発点とする一つの到達点として、積極的に取り組む。包括的補助金については、公共事業に係わる補助金は、第二次計画で総合補助金を打ち出しており、実現するよう努力していきたい。今後とも計画に沿って、国庫補助金の見直しなど検討しながら実現化していく。地方事務官制度の廃止は、責任の所在を明確にした結果だ。社会保険は、国に経営責任がある。職業紹介は、国が運営する職業安定所での事務である。何れも国家公務員であり、定数も算入されている。国家公務員が増えるものではない。首長の多選については、制限を加えることについて、調査研究を進めている。今回の法案は、21世紀に相応しい行政システムを構築するものであり、地方分権は実施の段階である。 野田自治大臣 公共事業の国庫補助の一括配布については、第二次計画の中で総合補助金を平成12年度に創設するようになっている。現在各省で検討している。地方財源の確立については、国と地方の税財源の在り方についても見直していく。自治事務に対する国の関与は、自治事務であることに配慮して、必要最小限に止めるべきとしている。 甘利労働大臣 雇用行政は、地方においても極めて重要なことである。地域の実情に応じて行うことである。今後できる各県労働局との連絡調整などに万全を期するものである。 全厚生 地方事務官制度廃止法案の衆議院通過をめぐっての談話 1.衆議院本会議は6月11日、地方事務官制度廃止等を含む「地方分権関連一括法案」を一部修正のうえ可決した。今後参議院における審議があるとはいえ、1947年以来、変則的な制度として存在してきた「地方事務官制度」が2000年4月に廃止されることとなり、名実ともに国家公務員(厚生事務官)となることがほぼ確実になった。 全厚生は従来より、社会保険行政は国の責務であり、その事務は国が直接執行すべきである。同時に、変則的な地方事務官制度は廃止し、厚生事務官とすべきと主張し、その実現に向けて組織の総力をあげて取り組んできた。その立場から、基本的に歓迎するものである。 とりわけ、衆議院審議における重要段階での全厚生各支部の奮闘は、運動の前進に大きな力となったばかりか、組織強化の観点からも大きな前進を得ることができた。 2.一方、自治労(国費評議会)は、「国の直接執行事務」とすることは、@地方分権に逆行する。A行政改革に逆行する。B年金制度の崩壊、無年金者の増大につながる。とし、事務処理は都道府県への法定受託事務とし、地方事務官は地方公務員とすべきと主張してきた。その立場で国会対策を行い、公明党・民主党・社民各党はそれぞれの思惑から、社会保険制度に対する根本的問題での質疑どころか、地方事務官制度問題で自治労(国費評議会)の主張に沿った質問を繰り返し、制度運営や事務処理実態を無視した質問に終始した。 このことは、公党が自らの政策を持たないまま、一労働組合の組織問題のために地方分権一括法の本来の問題点を置き去りにし、地方事務官制度廃止後は地方公務員とすべき、あるいは国民・住民の利便性が損なわれる、国民年金制度の崩壊を招くと主張するなど、いたずらに職員の不安をかき立て、国民の社会保険制度への信頼を損ねるもので極めて問題であると言わざるを得ない。 3.6月9日に開催された自民・自由・民主・公明・社民各党の国会対策委員長会議で自治労の要請を受け入れる形で5党の共同修正として次の点が確認された。@今後の制度改正時に社会保険の事務処理体制、従事する職員の在り方等について、被保険者等の利便性等の視点に立って、検討し必要があると認められるときは、所要の措置を講ずる。A地方事務官から厚生事務官への身分の切替えに当たって、各都道府県の職員団体へ7年間に限って加入を認める。B地方職員共済組合からの切替えに当たって、地方社会保険事務局及び社会保険事務所に勤務する職員で「厚生省社会保険関係共済組合」を新たに設ける。となっている。 4.5党の共同修正は、何れも今後の社会保険行政にとって極めて問題の残る内容と言わざるを得ない。特に「厚生省社会保険関係共済組合」については、これまでの社会保険庁交渉等の中では全く触れられておらず、全厚生に対しての協議も一切ないままに国会対策レベルで協議されたことは、極めて問題であると言わざるを得ない。 こうした経過は、新聞報道にもあるように、自治労(国費評議会)は組織防衛の観点からの取り組みに終始し、国民の社会保障の拡充に対して無責任であることを明らかにした結果となった。 5.社会保険各支部ではこの間、地元選出国会議員、関係団体、マスコミ等への要請行動を旺盛に展開し、中央段階での行動と連携した取り組みは、教宣・学習活動の強化など、各支部の運動前進に大きな力となった。 全厚生職員労働組合は、各支部での運動の前進に確信を持ち、引き続く参議院の審議段階で、よりよい社会保険行政の確立と職員の労働条件確保のため、全力で奮闘するものである。 1999年 6月14日 全厚生職員労働組合 書記長 岡 野 基 喜 行革請願署名紹介議員一覧(6月14日現在) 会期延長前の請願受付は、6月10日で締め切られました。この間に請願手続きをとり、両院の公報で確認できた議員のみを紹介議員としています。なお、大幅な会期延長が予定されています。会期延長が確定後、再度請願受付が開始されます。 ○ 紹介議員総数
衆議院(公報による確認者)
(以 上)
|