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6月15日昼休み、参議院議員面会所行動は、大運動実行委員会に結集する11の団体が合同して開催。議面を埋め尽くす200人の結集で成功しました。 集会冒頭、全労連の小林議長は「80日を超える大幅延長は、絶対に許されない。国会を前代未聞の悪法製造工場に変えるものだ。国会を解散し、正常な国会にもどすことを要求し、悪法全部を廃案にするためにがんばろう」と主催者あいさつ。日本共産党の笠井議員が国会の情勢報告をかねてあいさつ。「政府・与党は9月10日をメドにした80日を超える延長国会の日程をあげている。野中官房長官は法案作成が早く出来れば、延長幅を短縮できるなどと言っているが、そもそも会期を守ることが大前提だ。これは、国会を自・自・公という体制で、悪法を全て通す悪法製造マシンにするもので断じて許さない。悪法の実態を国民の前にバクロしながら、会期延長を許さないたたかいを急速につくりあげよう」と参加者を激励しました。 各団体を代表して国公労連・松村副委員長、国民救援会・山田会長、憲法会議・川村事務局長、労働法制・女子保護中央連絡会・築館さん、中央社保協・堀事務局長の5人が決意表明。国公労連の松村副委員長は、「行革委員会の傍聴で耳についた言葉が2つある。一つは、共産党以外の政党が首相のリーダーシップの強化を主張していたことだ。まさに、強権国家をつくるものだ。もう一つは、国家公務員の25%削減で、政府に純減を約束させようとしていたことだ。憲法遵守の義務を負う国公労働者として、全力でたたかう」と決意表明しました。 最後に、大運動実行委員会の沢中事務局長(全労連・国民運動局長)が行動提起。「悪法を強行すればするほど、推進勢力の基盤を堀り崩している」と指摘。「悪法の徹底審議を要求して国会行動を強めよう」と力強く呼びかけました。 参院行財政改革・税制特別委員会 −6月15日午前の審議 <自民党・石渡清元議員、吉村剛太郎議員の質問> 石渡議員:憲法第91条は、「地方公共団体の組織および運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」となっているが、首相はこれからの地方自治の姿をどのように見ているか。 小渕総理:国民の英知を結集して、第3の改革、21世紀を迎えるのにふさわしい行政システムを作りたい。私たちは、明治以来中央集権的なシステムに慣らされているが、国と地方の関係をタテの関係からヨコの関係に変え、国と地方が協力しあっていく。地域の行政は地域に責任を負う。地域の多様なニーズ、住民の意思を踏まえた地域の行政は、地域を活性化する。 石渡議員:地方における行革の取組の実状をお聞かせ願いたい。 野田自治大臣:平成9年11月地方行革の指針を作成し、公務員削減の数値目標を示すとともに、その結果を住民に公開するよう、各自治体に協力を要請した。各自治体も定員適正化計画を自主的に作成し、平成7年から4年連続して合計3万3000人削減した。給与水準は平成9年4月ラスパイレス101.5となっている。先生・消防・警察は、必置規制があり減らすわけには行かない。自己責任・自己決定による行革が進むようガイドラインを示してきた。 石渡議員:地方分権とはいえ、国の役割を矮小化してはならず、国と地方の相互協力が必要である。機関委任事務を廃止したことは特筆すべきことである。基本的な事務の区分の考え方をお示し願いたい。 小渕総理:国と地方の役割分担を明確にし、国の関与を大幅に縮減した。 宮下厚生大臣:社会保険事業は国民皆保険、国民皆年金とされるように国の事業である。掛金や給付も全国的広域なものであり、一体的に事務を行う必要がある。現に国家公務員試験を受けて職員に採用され、事務費は国が負担し、社会保険事務所は国有財産である。そのようなことから厚生事務官とした。 甘利労働大臣:憲法27条は勤労権を22条は職業選択の自由を規定している。これらは、国の責任で行う必要があり失業給付が県毎に異なったり、国の事業の中間に地方公務員がはいって末端の国家公務員が地方公務員に指導されるという問題が起こる。一体的一元的に労働行政は運営されるべきと考える。 石渡議員:中核都市が誕生して3年になり21市が指定を受けている。市民の評判が非常にいいが政令指定都市に比べて権限も少なく財源も小さい、改善すべきではないか。 野田大臣:権限については今回7法律8事項にわたって改善し、財源についても見直しを行った。 石渡議員:3232ある市町村のうち、5万人以下の市が33%10万人以下が30数%、1万人以下の町村が59.5%2万人以下の町村が27.4%である。市町村合併は避けられない課題ではないか。 野田大臣:地方の役割を果たし、自主性・自立性を強化し、自己決定をしていく上で、自治体の基礎的体力のレベルアップが必要である。住民のニーズに応え、行政サービスを高度化しようとすると、小規模では難しい。合併は住民が主体的に進めることが基本であるが、バックアップは必要と考える。 石渡議員:経済戦略会議は、市町村は1000位が適当としているが、自治省は自治体の数はどの位が適当と考えるか。 野田大臣:歴史的・文化的・地理的背景があり、画一的にやるわけには行かない。戦後1万位あった市町村が3分の1くらいになった。この問題を各党間で話をしているが、300という政党もあるが、大体1000程度と言う数字に落ち着きそうだ。住民がメリットを感じられるように進めていきたい。 石渡議員:介護保険の問題であるが、広域介護保険が進んでいない。もっと広域事業としてやるべきと思うがいかがか。 宮下大臣:本年10月から要介護認定の申請が始まる。来年4月1日から実施したい。451地域、2500の市町村で広域化が進んでいる。公平な審査、サービス内容の均一化、財政の安定化ということから広域化が進められていると考える。保険者は市町村であり、広域化は否定していない。 石渡議員:介護保険については、自己決定で内容を充実させようという考え方と、一方、全国均一横並びという意見もある。厚生省はどう考えるか。 宮下大臣:保険事業の主体を国とし全国一律給付という考え方があったが、地域密着が必要ということから市町村となった。格差がないことを前提に保険料を考えた。給付は将来平準化させたいが、今後の課題である。広域連合、一部事務組合による保険者の統合は歓迎する。 石渡議員:環境問題、少子高齢化社会を考えるときにNPOやシルバーバンクを活用した地域共生社会の形成が必要である。 小渕総理:ご指摘の通りであり、NPOの存在を高く評価している。活動促進のために努力したい。 石渡議員:人材育成について、自治体のマンパワーが必要である。国からの天下りではなく、地方自治体とのバーターによる人事交流がひつようである。 野田大臣:国と地方公共団体との人事交流は意義がある。具体的には、相互対等交流を原則とすべきである。この旨閣議決定がなされている。 石渡議員:地方自治体での2000年問題の現状と対応状況をお伺いしたい。 野田大臣:本年3月末で100%の自治体が修正作業に着手し、60%の自治体が作業が完了し、80%の進捗状況である。 吉村議員:明治政府は富国強兵をめざし、中央集権国家をつくった。戦後も急速な復興を果たすため、中央主導型で行政を進めた。レベルアップした今日、中央集権的な制度は時代遅れになった。民間企業と同じでワンマン社長では限界がある。権限の移譲を進めないといけない。 小渕総理:事務事業を簡素効率化し、機動的で、効率的、透明な行政制度とし、自由、公正な社会を実現する。そのため、中央省庁再編と分権を進める。それは行革の大きな枠組みの中にある。一刻も早い成立をお願いする。明治以来の行政のあり方はおっしゃる通り。中央集権が効率的だった。これまで、地方は中央への依頼心があり、中央も効果的だからということで、中央集権的な制度が続いてきた。地方が自律性、責任を持って、大いに自治の精神を発揮してもらいたい。 吉村議員:福岡県は県人口494万人のうち、2つの政令都市で46%をしめる。神奈川県は836万人のうち、2つの政令市で54%、京都府人口の255万人うち、京都市だけで52%、予算面でも福岡県1兆6300億円にたいし、2つの政令市で3兆円など、大きな比重を占める。政令市については、昭和22年の地方自治法制定時に、特別市制の議論があったが実現しなかった。政令市に対する県の権限は警察か高校しかない。行政効率化が必要で、市町村合併は必然。特例市、中核市、政令市で5000万人になる。県の空洞化が予想される。 野田大臣:大変難しい問題。県は、明治以来の行政組織として定着している。県内の一体的事務として、施設の適性配分、県内における一極集中の是正というものが現にある。県から政令市に、福祉関係業務などを移譲し、身近な自治体での合理的処理と市民福祉の向上を図る。法案の中では、都市計画や埋蔵物文化財なども移譲するという、こういう考えで臨む。 吉村議員:老人福祉施設や心身障害者福祉施設の設置認可と監督は政令市の権限で、その施設を設置する法人の認可は知事権限、補助金は厚生省権限になっている。整理する必要がある。 野田大臣:県の権限移譲は進めているが、都道府県制度は定着しており、広域的な調整も必要。政令市が独立した存在では地域の調整にとってマイナス。市町村が今より大きな市に統合され、基礎的な自治体が整理された時に県の役割がどうなるか、県、市町村の2層構造から1層構造に進かは、そのときの調整による。いずれにしても、基本は住民福祉のため、自主性、自律性を持ち、コミュニティとしてだけでなく、行政主体として責任を持つということ。1層構造か2層構造かの議論は早い。 吉村議員:福岡県大牟田市と熊本県荒尾市は、一体。中部九州として県を超えた合併をも視野に入れるべき。道州制も視野に入れなければならない。 野田大臣:分権推進委員会でも、道州制を視野に入れるよう言っている。氏への権限移譲が進み、自主性、自律性が発揮されるのは大いに結構だ。同時に市間の調整はしないと混乱する。道州制については、どういう権限を付与するか、議論が収れんしていない。基礎的自治体を強化するのが自治の本質、トータルの方向性は大体の共通認識になっている。 吉村議員:石炭産業への特別立法は平成13年で終息する。基幹産業については、国をあげて論じられるべき。地方分権は、身近なことは地方でするということだが、地場産業は苦しく、なかなか知恵が浮かばない。国で方向付けをするべき。 野田大臣:産業構造が大きく変わり、地場産業が入れ替わろうとしている。それにどうキャッチアップしていくか。その総合力は現に地元にある。地元がより主体性を持ち、主役として政策メニューも自分でつくるということでないとうまくいかない。人材の育成は国として積極的に支援していく。自治省は、今年度、地域活力創出プランとして、1兆円の予算を付け全力をあげてやっている。 吉村議員:そのためにも地域に財政力が必要。外形標準課税制度は、今の経済情勢では大変難しいが、地方財政も大変難しい状況。論ずることはタブー視してはいけない。 野田大臣:地方自治の裏打ちとして重要。地方財政を支えるのは地方税。しかし、それだけでは経済状況が違い財政が偏在する。多少補完するため、交付税が存在し、一般財源に入る。地方税は事業税が中核。行政サービスは景気変動に関わりがないが、税収は景気変動の影響を受ける。外形課税の論議は、政府税調でも勉強していただいて、方向性を出していただきたい。中小企業にも大きく関わる問題。赤字法人が多くなり、課税方法が今まで通りでいいのか、事業税先行で検討していく。 吉村議員:民間資力、ノウハウを活用する方法として、PFIがある。 関谷建設大臣:PFI法案は衆院で可決し、参院に送付されている。景気がよくなっており、今がチャンス。イギリスでは大変成功している。 堺屋経企庁長官:有料橋を民間がつくり、料金で回収する。工夫し、いいサービスを安い料金で提供している。 吉村議員:行政改革、規制緩和、分権はいわばソフト。ハードも充実させないといけない。国土軸の形成は地方分権の背骨だ。 関谷大臣:新全総が閣議決定されており、太平洋ベルト地帯への人口と機能集中を是正するため、4つの国土軸をつくり、自立を促進し、誇りの持てる地域をつくる。 吉村議員:地方自治体の財政の実態が分からない会計上の問題がある。バランスシートの導入をして自治体は? 野田大臣:財政状況を把握し、住民に公表するのは非常に大事。自主的判断でやっていることは評価できる。公営企業、第3セクターはバランスシートを使っているが、一般会計の導入は、行政評価含め、よい傾向だ。自治省でもかなり古くから勉強。ずるずるやっていく訳にもいかない。バランスシートを一般会計に導入しているところは、熊本県など。策定予定は東京都など。 <民主党・本岡昭次議員の質問> 本岡議員:分権は動かし難い趨勢。1993年6月の参院決議から始まったが、いまだされている法案は、分権推進委員会勧告から大きく後退。将来に禍根を残す。 小渕総理:行革のためにも分権を進める。国、都道府県、市町村の関係を縦から横に変える。実行の段階であり、是非とも法案を成立させてもらいたい。 本岡議員:衆院で修正をしたら参院で修正はできないというのでなく、内閣として、参院審議を踏まえ修正を。 小渕総理:とやかく申しあげる立場にない。国家と国民にとってよりよいものとなるよう期待。 本岡議員:憲法上の国と地方の関係は、1996年12月の衆院予算委員会で、菅代表に大森法制局長官が答えている。65条のいう行政権は、地方公共団体の行政執行権を含まないと答弁している。地方自治体の権限は、国から与えられたものではない。 小渕総理:65条の行政権は内閣に属すとしているのは、3権分立の原則に立ち、国家作用のうち、行政権の執行は内閣に属するということ。94条は、地方公共団体の行政執行権を定めている。それは、内閣に属さない。法律に定めるところにより行政権を行使するのであり、内閣が関与するのは当然。 大森法制局長官:答弁の趣旨は、地方公共団体は包括的行政権を持ち、その事務は、国の機関が行うものではない。しかし、いっさい責任を持たず、関わりも持たないというのではない。憲法92条は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づき、法律で定めるとなっている。行政権能は、本旨を配慮し、国の関与も含め立法裁量に任されている。 本岡議員:EUは、補完性の原理を宣言している。民主主義の本での個人の権利は、原則として自治体に帰属させるべきもの。それを補完するものがより大きな自治体、国というもの。これは大いに学ぶべき。 小渕総理:EUでは、ナチズム、ファシズムの再来を許さないという立場で、より下位の自治体に個人の権利を保護することを求めている。地方公共団体は、住民福祉、地方行政を自主的に幅広く行う。身近な行政は地方公共団体が行う。そういうことは、今回の法案でもいわゆる市町村優位ということに反映している。 参院行財政改革・税制特別委員会 −6月15日午後の審議 本岡昭次議員(民主) 地方分権一括法で、従来総理大臣のみが行うとしていた自治体に対する是正要求を、各省大臣も行うこととしているが、現行法ではなぜいけないのか。 小渕総理 より実態を認識している担当大臣が責任を持って対処することとした。 本岡議員 昭和31年に自治省の政府委員であった鈴木俊一氏の答弁に変わりないと考えていいか。 野田大臣 基本精神はその通り。個別の法律の所管大臣が行うということで、地方自治の後退ではない。問題があれば係争委員会にかける。 もう一つ、事前関与をやめ、一般ルールである事後の関与に切り替えることもしている。 本岡議員 地方教育行政を中央集権的にしてきたものが、文部大臣による教育長の任命、承認だ。20年経って地方教育が国から解放されようとしている。これからどのように進めていくのか。 有馬文部大臣 地方分権法により、国と都道府県、市町村の役割が見直される。教育長の任命制を廃止し、教育委員の中から首長が任命すること、指導行政の改善を図ること、機関委任事務の廃止など所要の対応をしている。学校が自立性・自主性を持つような制度改善に努めていきたい。 輿石東議員(民主) 今回の地方分権改革法の意義について所見を聞きたい。 小渕総理大 住みやすい地域社会を実現するため、個性的で多様な、住民に身近な地方公共団体が責任を持てる体制をつくる。中央集権型から対等、協力の関係、21世紀の架け橋にする地方分権を具体的に進めること。 輿石議員 地方自治体に対する包括的指揮監督権を廃止するとあるが、この中味は何か。 鈴木自治省行政局長 主務大臣が必要と認める手段をとりうることとされている。一様に論じることはできないが、認可権、訓令権、監視権、取り消し停止権である。 輿石議員 今まで、法令に基づかずにできたが、それを改めるというのが、地方分権一括法の精神ということでいいか。 野田大臣 その通り。法令の規定なしに行使できた指揮監視権そのものがなくなる。関与は、法律又は政令に基づきルール化がされた。 輿石議員 今回、自治事務にまで各省大臣が是正要求をしていくという問題があるが、国民や地方6団体はじめ行政の関係者が地方分権に大きな関心を持っている。その期待をどう考えるか。 小渕総理 地方分権の推進は地方自治体の長年の要望である。国、都道府県、市町村が縦の関係である中央集権を変革し、対等・協力の横の関係にする。これらは相応の評価が得られると思う。ただこれで地方分権の完成ではない。いっそう分権の推進、財源の確保に取り組んでいく。 輿石議員 税財源の充実の課題は落ちている。今後の取り組みはどうするのか。 宮沢大蔵大臣 地方財政も今は困難だが、国も大変な国債依存になっている。日本経済が異常なこの時期に中央と地方の再配分をやろうとすれば、間違いが起きる。国・地方の経済の建て直しができたとき再配分はやらざるを得ない。行政の再配分もできるだけ早く取りかからねばならない。 野田大臣 大蔵大臣と同じ。地方財政の安定強化、地方交付税の調整は不可避。国庫補助、負担金の合理化、都道府県の事業税のあり方は最大の課題、分権法の結論が出る前に取り組むテーマだと考えている。 輿石議員 国と地方自治体が争いになった場合、係争処理委員会で対処することになるが、都道府県と市町村の争いは、自治紛争処理委員会が対処する。この委員は自治大臣の任命だが、都道府県の意向は、自治省の指示によることもある。自治大臣の任命で公正さが担保されるのか。 野田大臣 紛争処理委員会の委員は、公平・中立の立場であり、身分保障もある。自治省が関わることも論理的にないことではないが、地方自治体がやっている仕事のほとんどは根拠法令によっており、自治省の所管はそれほどない。 魚住裕一郎議員(公明) 副大臣や政務官が行政府に乗り込むが、政・官・業の癒着や政治倫理問題への対応は変わるのか。 野田大臣 政治資金規制法の改正をやってきたし、規制の強化についても各党各会派で議論しており、早急にまとめてもらいたいと考えている。副大臣、政務官の導入は、役所におんぶしない体制を作ることになる。 魚住議員 法定受託事務について、大臣の是正改善要求に従わない場合どうなるのか。 野田大臣 法定受託事務は明文化され、国の関与は必要最小限にする。具体的措置は自治体の裁量に委ねられる。従わない場合については規定していない。したがって、是正指導があっても放置されたままになっていれば、住民によって判断されることになる。 魚住議員 現行は総理大臣が代表して政治責任において是正要求することになっている。大幅な後退ではないか。 野田大臣 今回は政治責任ではなく、法令の所管大臣が法律によって要求する。従わない場合は住民がどうとらえるか、それによって首長の政治責任の問題になる。 ○八田ひろ子議員(共産) 地方分権一括法案の主旨は、国と地方の関係を上下とか主従でなく、自主的、自立的な関係にしていくということでいいか。 ●小渕総理 一概に規定することはどうかと思うが、対等・協力の関係にしていくのが本旨だ。 ○問題は、本法案で本当にそうなるのか。乳幼児医療費の無料化は、1961年4月に岩手県沢内村で始まり、以降住民運動がすすめられるなか各自治体に広がってきたが、無料化すると国のペナルティが課せられるという障害が問題になっている。 ●宮下大臣 国として18 歳未満の難病の子、1歳未満の未熟児、障害児に対しては各種の制度により医療費の公費負担を実施している。各自治体が独自に実施していることは承知しているが、医療保険の制度として認めてしまうと公平な運営を阻害することにつながるため、国庫負担金50%のうちいくらかを減ずることになっている。 ○それは結局、ペナルティではないか。どれだけの自治体で実施しているのか。 ●入院では3255自治体、通院については3253自治体で何らかの方法で実施されている。 ○全国では3255自治体だから、ほぼすべての自治体で実施されている。それだけ要望が強いことの証明だ。ペナルティのようなことはやめるべきだ。 ●悪いことだからというわけではなく、制度運営の問題として中長期的には検討していく考えは持っている。 ○本来、国としてやらなければならないことのはずだ。公立高校の授業料についても、昨今のリストラなどのもとで払えない生徒も出ている。ところがある県では、27年連続で値上げされている。自治省の「内かん」で指示しているのではないか。 ●野田大臣 「内かん」は、地方財政計画の策定時に経済社会情勢の変化などをふまえて定期的に改定し、情報提供として示している。地方公共団体は、これを理財単価のベースとして利用されている。 ○(授業料と「内かん」を対比したパネルを示しながら)「内かん」の単価が引き上げられると、それから3年間ですべての都道府県で授業料が「右へならえ」されている。ここ30年間ずっとそうだ。地域の独自性はどうなるのか。 ●住民負担の公平性、受益者負担の適正化などをはかる観点から行っているもので、一方事情のある生徒には授業料の減免措置も講じている。地方公共団体が自主的に判断するのは結構だが、地方交付税の算定にもかかわることであり、国の助言として行っている。 ○国による自治体への介入、干渉は全く変わらないということだ。自治体の土地開発公社が行った公共用地の先行取得は、91年から97年で16兆円あまり、面積にして東京ドーム1万個以上に上る。なぜ、こんなに莫大な土地を買うのか。自治省の通達があるからではないのか。 ●野田大臣 土地は必要な時にすぐ入手できるものではないため、予め確保しておくことも必要であり、地方公共団体の依頼にもとづき慎重な検討のうえに行われている。 ○92年12月1日の事務次官通達、これは国鉄精算事業団用地の取得に関わるものだが、川崎市では42件、514億円。大宮市では54 万平米 1,000億円、この土地は富士重工から買ってサラ地のまま放置されている。結局、民間の不良債権を自治体に買わせているといえ、国の責任は重大だ。 ●とんでもない。今年4月21日には正式な文書で、土地取得は利用計画に十分な検討を行うこと。事業計画の見直しに努め、不要なものは処分を促進することを通達している。 ○積極的な土地取得を指導しておきながら、今になって処分しろとは無責任だ。売れてもたいへんな損となる。金利負担も面倒見るなどといいながら、北海道では8年間も手がつけられていない。地方財政の悪化を招いた大きな原因だ。こうしたことでは、地方分権は決してすすんでいかない。 ○日下部喜代子議員(社民) 機関委任事務を全面的に廃止することは画期的といわれているが、一般市民にとって一体何がどう変わるのか。本法案のもつ意義について、市民の視点に立ってのプレゼンテーションを。 ●小渕総理 地域のことは地域住民が自己決定、自己責任で行う社会に。従来の中央の方針に地方が従うといった形から、ヨコの関係、相協力する関係に変えていくため、個性的、多様な社会となるだろう。 ○厚生省の平成10年度の課長以上が出した通知文書は688。1日あたりにして3通にもなり、全省庁では膨大な数となる。こうした通達行政は、今回の法案で法定受託事務、自治事務との関係でどう変わるのか。 ●野田大臣 機関委任事務が、前提であった150条の包括的指揮監督権を削除し、廃止することから法律上の根拠がなくなる。今後は助言、または勧告となり、ある種の拘束力が必要な場合は法律もしくは政令が必要となる。自治事務、法定受託事務については今後各省で整理していくこととなるが、個別具体的なものについて行うことはない。 ○一括法案475本のうち、厚生省関係が91本にのぼる。1990年の「福祉8法」などを経てかなり地方に移されてきたが、実際には必置規制などでかなりシバられているのが実態だ。これについてはどう変わるのか。 ●宮下大臣 厚生行政は、人間尊重の立場から個人の自立支援、利用者の選択により暖かく暮らせる社会に向けて「福祉8法」などによって地方への分権にとりくんできている。必置規制の見直し、弾力化は社会福祉の理念に沿ってすすめていく。まだ不十分な面もあるが、措置制度から契約制度への移行ということができる。 ○介護保険制度は、分権化という観点からどう位置づけているのか。判定、給付水準は全国一律としても隠れた統制がかけられるのではないか。 ●国の強制保険であり、一定のルールに則ってやられる。保険料の負担は必要だが、配食サービスなど市町村の認定により参入可とするなど、弾力的な対応としている。 ○選択の自由は確保されるが、負担が個人にも自治体にも加算されていくとすれば問題だ。自治体の自由な裁量が確保されなければならない。そのためには税配分の見直しが不可欠だ。大蔵大臣は2%の成長になればと答弁しているがなぜか。景気回復とは別次元の問題ではないのか。 ●宮沢大臣 2%程度とはある意味で達観で言ったもの。国税収入が50兆円程度であり、1兆円でどうかという議論はあろうが、まずは景気回復が先決だ。 ○戸田邦司議員(自由) 自自連立合意による政府委員制度の廃止など一連の政策についての総理の見解は。地方分権では、まず国の行政の範囲をはっきり決めるべきだ。民間ができること、地方がすべきことには手を出さず、外交、防衛、教育、環境などに限定する行政の権限を制限する法律がまず必要ではないか。 ●小渕総理 内閣機能の強化など新しいシステム導入によって政治優位の体制とし、力量を発揮していきたい。国の役割、地方、民との調整、重点化など主旨は法案に合致するものだ。 ○行政評価システムは直ちに準備し、省庁再編後直ちに機能するようにすべき。 ●太田長官 国家行政組織法に規定しているとおり、本法案の審議と並行して5月には総務庁に準備室を設置し、評価手法、指標、実施方法等の検討に着手しており、各省でも検討を進めている。 ○地方分権の第一歩と評価するが、国土総合開発計画、各5か年計画など、かなり細かく地方のことを書いている。補助金は一括して地方に渡すべきだ。 ●野田大臣 国庫補助金をなくし、統合補助金として平成12年度スタートする。国と地方の役割分担をきちんとしたうえで、全総、5か年計画について指摘の方向で努力していきたい。 ○菅川健二議員(参議院の会) 機関委任事務の廃止は一定の評価をするが、自治事務への是正勧告、税財源問題などをみれば道半ばといえる。地方分権推進の視点が欠けているのではないか。地方自治の観点に立つなら自治担当の特命大臣をおくべき。また、推進委員会のような組織を存続すべきではないか。 ●小渕総理 平成5年の国会決議以来のひとつの到達点であり、過小評価すべきではない。ひきつづき完成度の高いものをめざして努力していきたい。指摘の点は検討はするが、勧告を誠実に受け止めて法案化しており、推進委員会には当面監視機能という活動も残されている。 ○総務省の任務を見ると、8行にわたって長々と書かれている。自治省と郵政省はこれまで縁が薄かったが、郵便局は地域住民にはなじみ深いものであり、このメリットをいかせないか。 ●野田郵政大臣 現在、ファクシミリによる住民票の写しや印鑑登録証の発行などは実施しており、ワンスポットサービスが実現すれば、全国のネットワークでさらに身近に利用可能となる。さらに精力的に検討していきたい。 ○国土交通省は7万人、公共事業の8割の予算を占める巨大利権官庁となる。事業の抜本的な見直しをはかるべきだ。 ●関谷大臣 補助事業は、箇所づけもふくめて地方整備局に一括しておろす、統合補助金制度の創設など、指摘のとおりきっちりやっていきたい。 ○石井一二議員(二院・連合) 一括法案でかなりの権限移譲が行われることは事実であり、評価するが、受け皿としての自治体にそれだけの力があるのかが問題だ。さしあたり、首長多選禁止規定の制定、市町村合併の推進、地方議員の少数精鋭化、地方公務員の資質の向上が必要だと考えるがどうか。 ●小渕総理 いずれも実をあげていくために、地方公共団体がとりくんでいくべき課題と認識している。首長多選禁止規定については、政治家として勉強してみたい。 ●野田大臣 地方議員の定数については上限を定め、条例で決めることとしており、住民の意思をくみ取る手続きが必要であることから、平成15年実施となった。 (以 上)
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