(内容)
1.参院行財政・税制特別委員会ー6月30日午後の質疑ー
2.高知県越知町で「国民生活を重視した行財政への改革を求める意見書」を採択
6月30日午後、参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会は、省庁再編法案と地方分権一括法案の一般的質疑を行い、岡崎トミ子(民主)、松あきら(公明)、加藤修一(公明)、小池晃(共産)、山本正和(社民)、入澤肇(自由)、管川健二(参議院の会)が質問にたちました。
各議員が行った質疑の要旨は、以下のとおりです。
<民主党・岡崎トミ子議員の質疑>
●国土庁政府委員 水資源は、多くの省庁が関与することから、水利用や総合開発計画など、横断的に水道・農業用水などバランスのとれたものにしてきた。
○岡崎委員 いままでは、各省庁のなわばり争いが実像で、合理的な統合計画に。局段階はともかく、課・室で大きくなるところはないな。
●小川政府委員(建設総務審議官) 課についても、思い切った組み合わせをやる。予算の配分やシェアも相当変わるだろう。同じ予算でも投入する事業内容で変化。メリハリつけ、しかも弾力的に運用する。
○岡崎委員 巨大官庁のメリットつけるためにも、しっかりやってくれ。地方に権限を移すため、出先機関への扱いは、各省に任せるのか。
●太田総務庁長官 本省は、企画・立案、調整も含めて地方出先に一括配分する。これは、訓令で定めることになる。
○岡崎委員 地方整備局には許認可も移すのか。
●小川政府委員 これまで分担してこなかった都市整備など、大幅に地方に移譲する。その受け入れとしての体制整備とも関連させながら、検討していく。
○岡崎委員 地方自治体の首長の中には、巨大官庁に危惧を持っている人もいる。そうしないため、制度的なチェックを。また、住民の意見を行政に反映させるシステムと、地方分権につながっていくように。中央と地方の関係では、本省が電話一本で呼びつけているが、コミュニケーションは文書のやりとりで。
○岡崎委員 中央省庁の統廃合だけでなく、地方分権ともかかわりがある。何を下に降ろすかは、訓令で定める。コミュニケーションを文書では、一概には無理だが、基本的なことは文書で指示する。
○岡崎委員 そのことの明文化を。さて、環境省構想で大臣は、力の発揮を。鷲・鷹の生存が脅かされているが、NGOが指摘し、マスコミ報道などでやっと環境庁が動き出す。対策が、後手後手だ。環境庁が事前に把握し、情報提供や勧告権の発揮も。
○真鍋環境庁長官 役割が多彩になり、積極的に取り組む。しかし、人手が不足していて、鷲・鷹など猛禽類の生存に関しては指摘の通りだ。平成8年8月には、猛禽類に関する指針を出した。各省へ対策などの中に盛り込んでもらう指示だ。
○岡崎委員 ダム開発などで守られてこなかった。環境庁の勧告で守らせるように。巨大官庁を抑える勧告を。
●真鍋環境庁長官 愛知万博の問題でも、開発によって生存が確認できた。把握できたら、いち早く手当をする。そして、省に昇格したら、それにふさわしい取り組みをする。
○岡崎委員 森林の保全は、環境の問題だから一元化を。
●真鍋環境庁長官 森林の保全は、中央省庁再編で、独自の業務とともに、共管してやることになった。一元化は望ましいが、すぐにはいろいろ問題があって、しばらくは共管することになった。
○岡崎委員 NGOが先に調査し、情報提供しているが、これとの連携も大事に。現地の情報提供を踏まえて、現地調査を行うべき。
●真鍋環境庁長官 就任以来、各地を見て回らせていただいた。百聞は一見にしかずだ。その結果、何をすべきかの判断を行い、いち早く対応してきた。
○岡崎委員 ◯◯の問題で各関係大臣に現地調査をお願いしても、足を運ばなかった。どこからの横やりかもしれないが。大臣は、水面化や陰でたたかってこられたと思うが、初心に立ち返って努力を。また、宣伝やNGOとの関係を大事に。
●真鍋環境庁長官 地球温暖化防止では、NGOにも参加してもらった。しかし、NGOと一体になって取り組む体制ができてなかった。理解のためのコミュニケーションをはかる。ボランティア精神の発揮を望み、その気概に燃え、ことの処理に当たっていく。今後、いろいろ問題が発生してくるだろうが、環境庁の発足の時点に戻り、積極的に取り組んで参りたい。
○岡崎委員 政策評価のか設置するが、身内の評価では甘くなるのでは。メンバーには、外部からも入るのか。
●太田総務庁長官 実効あるものにするため、組織は課とし、必要な場合は民間も学者も入る。また、担当職員の研修、人事交流なども行い、今後とも留意していく。さらに、全省庁参加の連絡会があるが、その場でも徹底、その環境なども他からチェックできるように。
○岡崎委員 アメリカの監察は、政治任用をしている。評価の基準、内容は。
●総務庁政府委員 基準では、府省の客観確保のため、手法、数値化などを開発することになっている。ガイドラインも示す。5月には準備室がスタート。各省連絡会でもセット。1年くらい、実施に向けての準備をしていく。
○岡崎委員 是非、参加型にしてもらいたい。第三者の中にはNGOも含めてもらいたい。総務省のチェック、重要事項かどうかは、誰が判断するのか。
●太田総務庁長官 総務省の役割は、以下の4点。@全省にまたがる横断的なもの、A複数の省にまたがるもの、B客観性が求められるもの、C各省からの要請に基づく連携、全省庁参加の連絡会があるが、その場でも徹底、その環境なども他からチェックできるように。
○岡崎委員 それで、チェックできるのか。
●東田政府委員(監察準備室長)@は一斉に全省に行う。Aは同じ政策が複数の省にまたがるケース、Bは当該省の評価状況を踏まえ、厳格性を欠く場合であり、そのいずれかでカバーできる。
○岡崎委員 費用対効果の両面があり、どちらの要素による評価か、結果が分かりやすくなるように。そのことの規定が、なぜ政令なのか。
●東田政府委員 評価委員は、大臣が民間から選任。政令の根拠は、審議会が原則政令で、一部が法律だが、これは法律に該当しないから。
○岡崎委員 いわば、目玉商品だから、法律事項とすべき。
●太田総務庁長官 今回、審議会は整理した。いっぽう、評価委員会は、担当大臣の責任で実施、そこが責任を持つことに。
○岡崎委員 独法化は、研究機関ばかりだ。意義はどこにあったのか。その仕組みは。行政機関の独法とどこが違うのか。
●太田総務庁長官 人事も組織運営も自己責任でやる。交付金は一括渡しきりで、自らの判断で使う。長は特別職で、任期途中での交替あり得る。自己責任の原則が、今までと違ってくる。
○岡崎委員 自主性と自己責任制の貫徹を。これは、特殊法人との関係はどうなるのか。
●太田総務庁長官 特殊法人は例えば、NHKやJRが上げられるが、いる株式公開してところもある。一律にあつかわない。これからの検討。
○岡崎委員 独法化のメリットは。特殊法人とどこが違うのか。何が公開されるのか。
●太田総務庁長官 違いは透明性、自己責任、自己評価であり、それに必要なデーターを出し、外部監査を義務付けている。
<公明党・松あきら議員の質疑>
松 委員 来年4月から義務つけられる車のチャイルドシートに関する質問なので省略。
<公明党・加藤修一議員の質疑>
○加藤委員 省庁再編とも関連して、情報公開法について質問する。前者がハード面とするなら、後者はソフトであり、車の両輪のごとく重要。情報公開法は、いつ試行になるのか。
●国土庁政府委員 公布は平成11年5月1日からであり、それから2年以内に試行しなければならない。具体的には、準備が必要であり、これらを勘案して決める。
○加藤委員 マスコミでは、2001年4月1日の報道あったが、現省庁の文書管理はどうなるのか。情報公開法との関連で、現省庁の文書廃棄もあるのでは。
●太田総務庁長官 保存されるべきものであり、開示の対象になる。廃棄されれば、その理由が問われる。適正に担保されるべきで、そうでない場合は国公法上の懲戒処分に。
○加藤委員 環境省は、充実強化を。衆院の付帯決議もあり、政治主動で見直しを。また、首相答弁で「省にふさわしい見直し」もあった。
●野中官房長官 現在、検討中であり、配慮していく。具体的に答えられないが、詰めてまいりたい。
○加藤委員 ふさわしいという内容は。
●野中官房長官 府省全体で官房は、128から96になる。環境省は現行の1官房4局そのままだ。
○加藤委員 99年2月の霞ヶ関の超勤は1ヶ月で、百時間以上は全体が9.3l であるのに、環境庁は53l だ 。また、半数以上の職員が23時以降の退庁で、由々しき事態だ。職員数が不足しており、仕事量を配慮しての定員配分でなければ。
●真鍋環境庁長官 私が就任して、9時に仕事に就け、よるは18時以降は有効に時間を使え、と大臣令を出した。現在、励行中だ。しかし、新しい仕事が舞い込み、仕事の絶対量が増えており、職員を増やしてもらわねばならない。関係大臣にお願いし、体制ととのえたい。
○加藤委員 環境庁はこの間、10個以上も業務が増え、実態通してどう改めるのか。
●太田総務庁長官 ふさわしい体制を作る方向で、誠いっぱい努力したい。
○加藤委員 官房職員の変化を調べた。他省庁は環境庁の1.8倍だ。統廃合で、官房の人事・会計など削減でき、その効果はでるはず。削減できる人員を、環境省に回すことの可能性は。
●太田総務庁長官 各省へは、厳しい定員削減をお願いしている。余裕出ることを前提に、計画を提起している。内閣のリーダーシップで当たっていきたい。
○加藤委員 環境省のふさわしい充実強化を。他省庁の勤務パターンを環境庁に当てはめてみると、平均では560人いるが、環境は450人で110人も少ない。この差が激務になり、過労死も出ている。
●太田総務庁長官 その数字はどこから出ているのかわからないが、私どもも精査してみる。過労死は、気を付けなければならない。過剰な負担になっていることは、間違いない。
○加藤委員 環境省の職員不足の認識を。アメリカ、韓国の環境行政の職員を人口当たりで比較すると、韓国でも1600人で4.4倍になる。環境庁の強化充実を。
●野中官房長官 私的には、「千人程度の環境省ができても」の疑問あり、むしろ国土保全、林野と一緒になってと考えたことも。しかし、基本法が成立しており、その枠内で対応せざるを得ない。再編・分権は一つの段階であり、新たな考えと局面にふさわしいものにしていきたい。
<日本共産党・小池晃議員の質疑>
○小池議員 7万3千人の独法化の対象のうち、4万3千人が国立病院だ。独法化の基準として、@公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業、A国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもの、B民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものとなっている。国立病院はそれを満たしているものなのか。Aは、認められない。政府は、結核対策は重要なものと考えているのか。
●厚生大臣 結核は現在も大きなウェートをしめる疾病である。公衆衛生審議会から本日、21世紀の結核の対策についての意見書をもらった。対策強化を徹底していきたい。
○小池議員 結核のベッド数は現在どうなっているのか。
●厚生省保健医療局長 国立病院は、1万4346床で、全体の48.7%になる。
○小池議員 国立病院は、大変大きな役割をしめ、結核対策の中心的役割を果たしているし、これからも求められていると思うが、いかがか。
●厚生大臣 審議会の答申の中に、多彩な役割が示されている。答申の内容を踏まえ、さらなる充実をはかっていく。エージェンシー化で効率的にやっていける。
○小池議員 なぜ、独立行政法人化をしなければならないのか。国が実施しなければならない結核対策の後退になるのではないか。
●厚生大臣 決して軽視しているわけではない。合理化し、効率的に進めていく。
○小池議員 行政の責任は変わらないのなら、国立のままでいいのではないか。
●厚生大臣 より弾力的、効率化を期す。国家公務員の身分も保障する。重点的に行うことで強化される。
○小池議員 国家公務員としての身分を残すなら同じではないか。なぜ国立として残さないのか。
●厚生大臣 統合・整理と独立行政法人化とは裏腹のもの。合理化しながら、独法化の枠の中でやれば、政策的な医療ができる。
○小池議員 効率性を言うが、行政監察の報告書では国立病院はよくやっていると評価されている。独立行政法人化は納得できない。
●総務庁長官 独立行政法人化した方がよい。自己責任で透明化され、メリットがあるから行う。
○小池議員 透明性は確保されていると書いてある。なぜ、わざわざ独法化しなければならないのか。
●総務庁長官 ちゃんとやっているから、いいというわけではない。イデオロギーの違いだ。○小池議員 結核以外の分野でも国の役割が存在しているが、どうか。
●厚生大臣 行政改革会議のヒヤリングでも、厚生省として国の役割が存在しているとの意見書を提出している。その後、国立病院は高度医療、ハンセン病を除いて独法化の趣旨が盛り込まれた。行革全体の位置づけの中では、その他の役割を強化するために、今回の法案を提出している。国立病院の役割を積極的に評価しているが、総合判断したものだ。
○小池議員 ヒヤリングの文書では、地域医療のネットワークを形成するには施設の配置が必要であると書いてある。独法化の方向では、国立医療の役割は果たせない。
●厚生大臣 厚生省として、当時の見解を否定していない。尊重して、効率化をはかる。
○小池議員 国立病院附属看護学校は、明らかに不採算部門になる。国の事業だからできること。独法化になったら、切り捨てられるのではないのか。
●厚生大臣 看護婦の役割は大きい。学生募集停止も考えてはいるが、多少、課程を整理・統合してもまかなえる。政策医療を担う看護婦の要請は大切だ。
○小池議員 後退させないのならば、なぜ国立で残さないのか疑問だ。まともな理由になっていない。住民に本当に迷惑をかけないのか。独法化の要件の3番目である「民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある」とは、どういう場合をさすのか。
●総務庁長官 要するに、公共的な目的があって、国の税金を使う特別の理由がなければならないものだ。
○小池議員 独法化にうつるのは、国としての役割を果たしていなかったということなのか。採算の問題ということか。効率性を厳しくやるなら、採算がとれるようになったら、独法化の要件を失うことになるのか。
●総務庁長官 高度に公共性を果たす場合、採算は取りにくい。
○小池議員 国立病院の経営状態で、特別会計の一般会計の繰り入れ状況はどうなっているのか。%で示してほしい。
●厚生省保健医療局長 平成7年度=23.7%、8年度=20.6%、9年度=16.6%、10年度=13.4%、11年度=13.2%になっている。
○小池議員 どんどん減り、急速に低下している。2004年には、一般会計からの繰り入れはもっと減る。なぜか。すさまじい労働強化になっているからだ。病院ごとで次の分類をした場合(@委譲の対象になっている、A統廃合でなくなる、B統廃合で独法化する、Cそのまま独法化する)の病院の経常収支率はどうなっているか。
●厚生大臣 @=85.1%、A=89.7%、B98.7%、C100.3%だ。経営の悪いところを切り捨てているのではない。結果的にそうなった。
○小池議員 採算がとれ、やっていけそうなところのみ独法化し、民営化されていくのではないか。
●総務庁長官 まさに、採算がとれたら悪いというのではない。とりかたの問題で、よくやったということだ。
○小池議員 収支がとれそうなところのみ、独法化の対象にしたのではないか。絶対に民営化しない、と約束できるか。
●厚生大臣 政策医療で、国が取り組むべき分野は残し、守っていくつもりだ。
○小池議員 住民にとって、必要な医療は守ると約束できるのか。
●厚生大臣 政策医療との位置づけができるものは守っていく。
○小池議員 いずれにしても、国の医療における後退ははっきりしている。省庁再編で厚生省と労働省を統合して厚生労働省になるが、労働行政は今でも充分な体制ができていない。状況はどうか。
●労働省労働基準局長 計画的に14万から16万事業所を監督する。労働基準法、労働安全衛生法の違反率は54〜55%になっている。
○小池議員 55.7%だ。おどろくべき率ではないか。労働基準監督官の一人あたりの担当する雇用者数は諸外国と比べても低い。今の体制で全事業書をまわるには、26年半かかり、深刻だ。数は大切だ。
●労働大臣 違反率が多いのは、ねらってやっているからだ。限られた人員の中で効果的に配置していく。
<社民党・山本正和議員の質疑>
○山本議員 大学はいったいどうしたらよいか。大学教育について、どう思うのか。
●文部大臣 戦前と現在とでは学生の割合も大きくなり、学生の質も変わってきている。学部において今は、しっかり教育をやらなければならない。
○山本議員 大変な数の大学生だ。大学の先生も、自分たちも教育者という自覚をもってほしい。大学改革に取り組んでほしい。文部科学省にかわる。重点や旗印は。
●文部大臣 文部科学省の設置法案では、創造的な人材の育成、学術、スポーツ及び文化の振興、科学技術の総合的な振興を主な任務にしている。科学技術庁の能力を加えて強くなったと考える。国としての役割を、十分果たしていく。
○山本議員 各省庁に様々な研究機関がある。バラバラになっているが本当は、一緒にしなくてはならない。しかし、各省庁がゆずらない。縦割りでは、どうしようもない。
●文部大臣 重要な指摘だ。研究所がちらばっていることは心配したが、一歩、新しい局面が開かれた。一層努力して、やっていく。研究所の合体は、科学技術の面で有効な効果を生むと考える。総合科学技術会議でも、検討する。
○山本議員 各省庁にもまたがって、努力してほしい。義務教育は、国が全責任を持つのが、文部行政の流れだ。無償で、ミニマムは国が責任をもつことは変わらないと思うが、どうか。
●文部大臣 重要な点を指摘いただいた。義務教育で教育の機会均等をはかるのは、国の重要な仕事である。
○山本議員 地方分権の流れの中で、学校評議員制度について説明してほしい。
●文部省教育助成局長 地域住民の意向を、学校運営に反映するための仕組み。中教審の答申にもとづいて、幅広く住民の意見を聞くものだ。答申で提言されているので、関係者の意向を踏まえて、制度化するよう検討している。
○山本議員 地域の各層の人の意見がバランスがとれ、反映されることが重要である。
●文部省教育助成局長 重要なポイントだと思っている。関係者と詰めていく。
○山本議員 地方分権の目玉商品としてやってほしい。40人学級を弾力的に扱うことはできないのか。
●文部省教育助成局長 中教審答申で今後、弾力化をはかるように提言いただいている。定員配置や財政の関係もあるが、充分検討する。
○山本議員 機械的でなく運営してほしい。そう、確認する。
<自由党・入澤肇議員の質疑>
○入澤議員 内閣府の権限について、国家行政組織法の適用除外になっている。運用いかんでは、問題はある。何らかの意味でチェックする必要があると思うが、どうか。
●総務庁長官 内閣府の主任大臣は内閣総理大臣であり、その他の省庁は各省大臣になる。内閣府は、総合的な企画立案の調整が仕事で、実施部門がくっついて自己増殖していくものではない。
○入澤議員 内閣府は、上位官庁になる。バランスある運用になるよう留意してほしい。各省設置法で権限規定をなくしたが、各省の裁量行政を排除するために、これでいいと言うのでなく、ウォッチングしていってほしい。国家行政組織法15条の各省の調整では、日常的に各省が意見を出し合って、ソフトに調整することが必要だ。
●内閣審議官 15条は、各省が固有の任務を遂行するために、相互の調整を図る必要があると認めるときに行うものである。
○入澤議員 内閣府の中に男女共同参画局ができるが、局とか課を設置する場合の設置基準は、どうなっているか。
●総務庁行政管理局長 国家行政組織法で内部組織、局、課の設置根拠をさだめている。
○入澤議員 男女共同参画局は2課でつくるが、少ないのではないか。
●総務庁行政管理局長 局は重要な行政として政府の姿勢を示し、位置づけるために設けられたものと考える。課は、業務内容で判断する。
○入澤議員 きちんとした課の数を確保する知恵を出してほしい。要望として出しておく。巨大官庁のチェックシステムについて、監査官が内部チェックしているが、国土交通省の監査官を外に出して、第3者の監査委員会、会計検査院、総務省の評価などで、ダブルチェックするのがよいと思うがどうか。
●内閣審議官 政策評価は、各省と総務省でダブルチェックする。
○入澤議員 おもてに出して、客観性をもたせてチェックシステムを考えていく必要がある。各省の事務官と技官の比率はどうなっているのか。
●総務庁人事局長 把握していない。実態の把握をしていきたい。
○入澤議員 把握していないのは、大問題だ。同期であっても、退職金も給与水準が違ってくるし、志気にも影響する。こういう仕組みは、考えなおす必要がある。21世紀にむけて新しい省庁の再編にむけて、今までの伝統をうち破る必要がある。
●総務庁長官 ずっと関心をもってきている。これにとらわれないで、適材適所の昇進管理を行っていくことを、念頭においていく。
○入澤議員 是非、音頭をとってやってほしい。等級別定数の要求には人事院の査定、総務庁の査定、大蔵省の査定がある。巨大官庁を動かすには、技官の扱い方いかんにかかっている。早急に検討してほしい。
<参議院の会・管川健二議員の質疑>
○管川議員 今回の集中豪雨の災害の発生状況はどうなっているか。
●建設省防災局長 長期の大雨のなっている。(ここで、被害状況を説明)対策には、万全を期する。
○管川議員 人命の安全のために公共事業の追加や防災対策を。
●建設省・局長 痛ましい土砂災害だ。その必要性を感じている。人命の安全のために、一層の対策を推進していく。
○管川議員 地方事務官の廃止について、日経の夕刊に「去っていく地方事務官」「味のある制度だった」とある。まことに残念であり、修正撤回してほしい。
●自治大臣 地方事務官は人事上の任命権、責任の所在も変則的なもので、今回はっきりさせた。地方公共団体と国との密接な協力関係は、発揮されねばならない。
○管川議員 25%削減の内訳では%があわない。かくし球は独立行政法人化だ。国立大学が入ると、かなりの数になる。しかし、独法化はスリム化という点では意味がない。
●総務庁長官 独立行政法人化が、なぜスリム化なのか。それは定員の管理、経営の管理は、長が負うことになる。親方日の丸でやっているのとは、わけが違う。当然スリム化になる。○管川議員 独法化対象の90機関の規模は、16人から千人を超えるものがある。業務も千差万別だ。細切れで、独法化をはかっていくのか。通産省は、工業技術院をまとめて独法化するという。
●総務庁長官 そういうことだ。統合をはかった方が良いものは、そうする。大いにありうる。
○管川議員 農水省の試験研究所は、多岐にわたっている。蚕糸の研究所が残っているが、試験する対象が変わっている。一本化されると効果がある。
●農水大臣 統合・一本化は難しい。蚕糸については、伝統的・代表的生物で、生糸を生ずる。蚕のゲノムの研究は重要だ。一部統合も含めて、検討している。
○管川議員 統合を前向きに検討してほしい。文部省の文化施設は、数十人から百人規模で人的には、学芸員を同じようにもっている。一本化することが効果的と考えるが、どうか。
●文部大臣 ご指摘のとおり。まとまると、人事交流や連携協力でのメリットもある。一方で設置目的や沿革がちがっている。機関ごとに、独自性をもって発展できると考えられる。利点、不利な点を充分検討していく。
○管川議員 是非、前向きに検討してほしい。地方出先機関のスリム化では、風通しをよくしたい。国土交通省の地方整備局は、地方団体におろすべきではないか。厚生省の地方医務局もやけぶとりにみえる。国立病院の指導・監督は独法化で、その役割をおえるが、新たな仕事をつくっている。スリム化を真剣に考えているのか。
●内閣審議官 一般の方針としては、極力一つにまとめる。
○管川議員 地方出先は現業的業務は必要だが、権限をもった出先機関は、地方に移すべきだ。検討してほしい
高知県 越知町で「国民生活を重視した行財政への改革を求める意見書」採択
高知県国公は、99年春闘で3月議会に向け県内21自治体に対して「国民生活を重視した行財政への改革を求める地方議会請願」を行いました。行革闘争ニュースbW2号で、土佐町と鏡村での意見書採択をお知らせしましたが、越知町でも3月議会で採択し、意見書を総理大臣宛に送付したことを6月25日付けで県国公に知らせてきました。意見書は以下のとおりです。
国民生活を重視した行財政への改革を求める意見書
政府は2001年にむけて中央省庁再編等による行政改革を進めているが、1月26日に決定された「中央省庁等改革に係る大綱」では、5機関の民営化・廃止、84機関・事務の独立行政法人化を明記し、民間委託や規制緩和等とあわせて「国家公務員数を10年間で25パーセント削減」するとしている。
独立行政法人は、「国が自ら主体となって直接に実施する必要はない」事務・事業(行革基本法第36条)として国の責任分野から切り離され、限られた予算のなかで効率化・簡素化だけが迫られることが懸念される。
また、行政組織の減量、効率化として、営林署の統廃合、法務局及び地方法務局の支所・出張所の整理統合など地方支分部局(出先機関)の整理合理化がうたわれている。
国家公務員を「10年間で25パーセント(14万人)削減」することとも相まって、高知県民・地域にとって必要な行政機関の縮小・整理、統廃合につながりかねない。
このような減量化・効率優先の独立行政法人化や民営化・民間委託、画一的な行政機関の統廃合、国家公務員の削減が行われれば、本県のように社会資本や生活基盤の整備が遅れ、また過疎化、高齢化の顕著な地方にとっては、基盤整備や高齢者対策等各種施策の推進に係る行政サービスの著しい低下を招き、地域の活力にも大きな影響を及ぼすことが懸念される。
効率的な行政を実現することは当然のことであるが、行政改革によって社会保障や雇用、医療、福祉など国民の権利やくらしが切り縮められることがあってはならない。同時に、地方分権の流れに逆行し、中央集権化を強める首相への権力集中や利権官庁の温存があってはならない。
したがって政府は、以下の点に留意して行財政改革に取り組むよう求めるものである。
記
1 「政・官・財」のゆ着をなくすため、公務員の「天下り」や企業・団体からの政治献金を禁止する こと。
2 軍事費のムダづかいや、大型プロジェクト重視の公共事業にかたより、社会保障を圧迫する財政を あらため、国民生活重視の行財政に転換すること。
また、地方財政の圧迫に拍車をかける国の事務・事業の押しつけをやめること。
3 中央集権を強める「首相への権限集中」や、権利を温存する巨大官庁を作りだす省庁再編は行わな いこと。
4 行政サービスを切り捨て、国の責任を放棄する国の行政機関の民営化や独立行政法人化、業務の民 間委託は行わないこと。
以上、地方自治法第99条2項の規程により意見書を提出する。
平成11年3月25日
内閣総理大臣 小 渕 恵 三 様
高知県高岡郡越知町議会議長 寺 村 晃 幸
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