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参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会 7月2日午後の質疑 7月2日午後、参議院行財政改革・税制等に関する特別委員会は、中央省庁等改革関連17法案と地方分権一括法案の一般質疑を行いました。質疑には、寺崎昭久(民主党)、日笠勝之(公明党)、益田洋介(公明党)、小泉親司(共産党)、大脇雅子(社民党)、入澤肇(自由党)、菅川健二(改革クラブ)の各委員が質問に立ちました。 各委員が行った質疑の概要は、以下のとおりです。 <民主党・寺崎昭久委員の質疑> (冒頭5分は傍聴できず) ○寺崎委員 東京都が「危機に直面した東京の財政」というパンフレットを作っている。収入と支出のギャップがある。この間、右肩上がりの財政を期待して、都債を発行してきた。右肩上がり、土地神話を信じた東京都の責任もあるが、国の責任もあるはずだ。 ●野田自治大臣 国の要請に応えて、やりたくない事業・仕事をやった訳ではないはずだ。 ○寺崎委員 バブル崩壊後の地方単独事業を見ると、巨額が投じられている。地方債の枠の拡大など国としても後押しをしてきた。また、この間補助率を下げている。本来景気対策は国の仕事であるはずだ。国債発行の肩代わりに、地方債が増えたことで、地方財政を破たんさせた。 ●野田自治大臣 緊急経済対策として、地方に公共事業を要請したときに、地方債の枠の拡大や元利償還に国費を充当するなどの制度改正を行った。地方の財政への影響を避けるために行ったことだ。何の負担もかけていないかと言われれば、かなりの負担があったと思う。在り方については再検討しなければならない。雇用は国だけの問題ではない。地方にとっても重要なことだ。 ○寺崎委員 80年度以降、補助率を引き下げた。景気対策を行うなら、むしろ補助率を引き上げるべきではなかったのか。国債発行したくないため、補助率を引き下げたとしか思えない。 ●野田自治大臣 経済対策とは関係ない。補助率の一括整理法案を国会に出して整理しただけだ。 ○寺崎委員 東京都とは地方交付税交付金を受けていない。交付金を受けていないところが赤字で、受けている自治体が黒字なのはおかしい。赤字再建団体になったら、どんな制約を受けるのか。 ●野田自治大臣 基準財政収入と基準財政支出を計算した結果交付金を支給していない。大都会に不利な計算方法だとは思わない。平成4年までは、神奈川、愛知、大阪が不交付だったが、残念ながら今は外れている。赤字再建団体になったら、少なくとも起債制限が加わる。歳入を増加させる措置や歳出を抑制する措置が取られる。住民サービスの一部がカットされることも出てくるだろう。一定の枠内でしか執行できないのは事実だ。 ○寺崎委員 石原知事が直接文部大臣に申し入れているが、地方財政の規模で、義務教育の国庫負担に差を付けているのはおかしい。 ●有馬文部大臣 義務教育への交付金は、原則として2分の1を国が負担するようになっている。ただし、財政力指数が1を越える自治体については、国庫負担の抑制を図っている。東京都への抑制額は、214億円でうる。過去にはう4都府県への負担金の抑制を行っていた。 ○寺崎委員 地方交付税交付金と義務教育費国庫負担と2重調整を行っているのはおかしい。 ●野田自治大臣 義務教育費の国庫補助金について、地方の財政力で額が変わるのはおかしいと、大蔵省には言っている。 ○寺崎委員 この抑制は、政令事項だ。平成6年度から基準を変えている。どこまで政令でやれるのか。 ●御手洗教育助成局長 政令には、実質額の2分の1を負担する。ただし最高限度額を決めることができるとなっている。平成5年度までは、単年度毎の財政力を計算していたが、平成6年度からは急激な変化を避けるため、前3年間の平均値に変更した。 ○寺崎委員 政令に勝手に決められるのかと聞いているのだ。1兆円でも政令で決められるのか。 ●御手洗教育助成局長 原則の例外規定なので、一定の範囲内でできると考えている。 ○寺崎委員 東京都には、1900億円国庫負担しているが、一般県なら、これに215億円追加されるはずだ。この法律はS27年に制定されている古すぎる。 ●有馬文部大臣 昭和27年8月8日に制定された義務教育費国庫負担法である。第2条の但し書きに、「特別の事情があるときは、都道府県毎の国庫負担額の最高限度を政令で定めることができる。」となっている。指摘のように東京都には、214億円の抑制している。あくまでも財政力をよく見た上での判断だあり、変える予定はない。 ○寺崎委員 政令で決められる範囲があるのではないかと聞いているのだ。政令県であるか、一般県であるかによって、もらえる額が違うならば、意欲が湧かないのではないか。どういう方向で税財源の配分をするかだ。地方分権第三次勧告の中で言われている。税の安定性とは何か。税の偏在とは何か分からない。 ●宮澤大蔵大臣 税財源の再配分は、大きな仕事にならざるを得ない。抜本的に見直していかなければならない。誰でも安定した財源が欲しいだろうから、分権した仕事によって分けないと行きつかないのではないか。 ○寺崎委員 地方分推進権委員会の西尾勝氏が、今の地方税は消費に薄いので、消費に重点を置けば消費税だろうし、住民に重点を置けば住民税である。しかし、税の種別を上げるのは大蔵省から徹底的に抵抗されたと言っているが、大問題だ。 ●宮澤大蔵大臣 所得税は富の再配分の機能があるし、所得は地域によって偏在する。もう少し高い見地が必要だ。消費税は消費税でいろいろある。どの税が相応しいか、検討していただきたかったのが真意だ。 <公明党・日笠勝之委員の質疑> ○日笠委員 九州地方を襲った豪雨に対する被災者の方々にお見舞いを申し上げる。7月1日現在で死者27人と聞いている。福岡ではビルの地下に浸水するなど新しい被害も出ている。出口のない商店街になっていたようだが、今後対策を講ずる必要があると思うが。 ●甘利建設大臣 亡くなった方に対してご冥福と被害にあわれた方に対してお見舞いを申し上げる。消防庁の発表では死者29人、行方不明8人、重傷10人、軽傷21人、全壊78棟、半壊41棟、部分損壊242棟、床上浸水2,280棟、床下浸水11,160棟である。被害査定をすぐやるように指示している。越水した河川については越水させないよう原形復旧など速やかに対策を講じていく。地下施設の件はいましめとしてうけとめ、地下施設に対する対策も防災計画書に反映させたい。対策については、今後研究していきたい。 ○日笠委員 2001年4月から新しい組織になる。8月には概算要求をすることになるが、予算書の記述を、大蔵省のマニュアルどおりにやっている省庁は少ない。今年の一般会計の資料を見ても不備がかなり目立つ。例えば建設大学では、車両の自賠責は計上されているが、重量税が計上されていない、しかし本省では重量税が計上されているが、自賠責は計上されていない。国土庁も同じだ。 ●甘利建設大臣 本省の車両を使っている関係から、一括計上している。指摘を受けてマニュアルどおり直していきたい。 ○日笠委員 厚生労働省になるが、予算を見ると同じ本省の旅費でも項目が違う。これで一緒になれるのか。良い機会だから、マニュアルをきちんと作って記述に疑問が出ないように、わかりやすくするべきだ。 ●宮澤大蔵大臣 マニュアルに沿うよう各省にはご協力いただいている。この際、徹底をしていきたい。 ○日笠委員 環境庁は省に昇格する。この際それにふさわし職員や組織の充実を図るべきだ。8月に予算定員を出さなければいけないが、職員数は幾つになるのか。いつまでにはっきりするのか。 ●河野内閣審議官 現在、各省のベースを積算している。8月の概算要求に向けて各省が要求してくることになる。 ○日笠委員 例えば、瀬戸内海国立公園は、あんな広い地域を職員15人でやっている。組織と人員の充実を求める。 ●真鍋環境庁長官 現在の環境行政は、ダイオキシンや地球環境など様々な対応が求められている。省になればゴミ処理も一元化されてくる。リサイクルや化学物質など様々な問題に対処するため必要な人員は確保したい。大切な省への昇格でもあり、自覚をもって対応する。 ○日笠委員 省庁再編に当たり、政策調整についてどうなっているのか聞きたい。例えば海岸事業については現在2省3庁にまたがってるが、今後どうす調整するのか。 ●甘利建設大臣 国土庁部分、水産庁部分等、内容がすべて一致するわけではないので、分けていかざるを得ない。今までの経緯を踏まえて検討しているところだ。現在も4省庁での連絡会議で円滑に進められている。再編後も社会資本整備の円滑な運営に努める。 ○日笠委員 折角再編するにも拘わらず、河川局でやる、港湾局でやるでは、削減に繋がらない。担当する課にはそれぞれ建設省に53人、運輸省に23人いる。これを統合してスリムにすることが行政改革ではないか。政策調整も必要であり、効率的にするべき。ただ合体するのではない。この分野では1,032億も使っている。 ●甘利建設大臣 実際に海岸事業を担当しているのは、建設省で15人、運輸省で13人である。海という視点をどう見るかが問題である。今後どうするか検討していきたい。 ●中川農林水産大臣 漁港は水産振興、干拓地では農地確保という観点でやっている。 ○日笠委員 通達行政をどう改めるかも問題だ。146もの通達全集が出されている。地方分権に沿って改善すべきだ。生ゴミを肥料にする施設は大きさで、学校にエレベーターをつけようとしても額が少ないため補助金交付の対象にならない。 ●有馬文部大臣 エレベーターは障害児への配慮である。国庫補助しているのは大規模改修に対してである。1,000万以下の場合でも、地方交付税など、地方単独事業で補助している。 <公明党・益田洋介委員の質疑> ○増田委員 今回のアメリカFRBが0.5%の金利を上げた。世界市場は好意的に受け止めているが、日銀としてどう評価するか。 ●速水日銀総裁 タイミング、内容ともに、誠に妥当な引き上げである。 ○増田委員 アメリカが軟着陸しようとしているときに、日本は離陸できるのかだ。株価が急騰すれば、様々な弊害が出てくる。株価と金利、離れず逆転せずがよい。18000円なら1.8%、20000円なら2.0%というように。巧みな裁きを求める。 ●速水日銀総裁 2月からの0金利の効果が出てきた。デフレ懸念が解消されるまで続けていきたい。 ○増田委員 30日の大蔵委員会での、「0金利は異常な状態」という総裁の発言に、市場が反発した、油に火を注ぐようなものだ。 ●速水日銀総裁 一昨日、半期報告をやった。金利政策の説明の中でのこと。鈴木氏の質問は異常ではないかと。それに対して、今までない内容といっただけ。先行きの意図を含めた発言ではない。 ○増田委員 慎重な判断を求める。50年前カール・シャウプ博士が来日し、49年、50年にシャウプ勧告が出た。その時の日本の交渉相手が宮沢氏である。現在の直間比率を見直していくべきではないか。 ●宮澤大蔵大臣 昭和24年、国の状況も大量生産、大量消費の時代ではなかった。当時総選挙で、取引税、所得税の減税が吉田内閣の公約だった。その後ドッジ勧告。税は国が一方的に取るものから、申告納税制へ。直間比率も昭和25年で55:45、昭和60年で73:27、これは余りにも直接費に行き過ぎなので時消費税を導入した。現在平成11年では57:42、皮肉にも当時に近くなっている。正常な姿ではない。しかし消費税を上げるというのではなく、景気の回復を待ち、直間比率を上げることが必要だ。 ○増田委員 付加価値税は。 ●宮澤大蔵大臣 消費税もそれに到達していない。法人の60%以上が赤字。赤字のところにも税がかかるので増税になるのでは。 ○増田委員 人員、面積に応じた、財源の安定につながる税ではないか。 ●野田自治大臣 税制を変える前と後で、増税か減税かが問題。いろんな形の地方税があるのでは。税源の変動が少なく、景気に左右されないものがよい。加算型など、いつできるのかは足もとを見て。国からもってこいではなく、地方の中で考えるべき。 ○増田委員 今回の行政改革はいわば革命だ。ジャンヌダルクは、勝という信念を持っていた。行革もやるという信念を持たないと駄目だ。 ●野田自治大臣 明治維新、終戦に大きく変わった。後おいではなく思いきったシステム見直し、あわせて国民の意識改革を含めて、国家全体で行わないと駄目だ。 ○増田委員 1975からのサッチャー政権の行革に対する姿勢についてどう評価するのか。 ●野田自治大臣 鉄の宰相と言われたことだけはある。強烈な意志力である。 <共産党・小泉親司委員の質疑> ○小泉委員 国家公務員を10年間で25%削減する。長期不況の中で雇用が大切な中で、このリストラである。国民生活に大変な影響が出るだろう。太田総務庁長官は、衆議院で国民生活部門には配慮すると答弁しているが確認したい。 ●太田総務庁長官 配慮するということだ。 ○小泉委員 サミット諸国に比べても、公務員の数が少ないのは周知の事実だ。アメリカ、イギリスは日本の2倍、フランスは3倍である。太田総務庁長官は、衆議院の審議で公務員の削減により、職場の機能への影響は避けられないと答弁している。国民サービスが一層低下する。 ●太田総務庁長官 他の国と比べると確かにそうだが。我が国は、事前の調整に人員を配置している。これを事後にまわす。要は、規制のところの人員を、事後調整にまわしていくことである。 ○小泉委員 1府12省に減るが、事務次官ポストは減るのか。 ●太田総務庁長官 大括り化で20人から12人に、局・官房も96になる。次官より一格下の総括整理職は11名が18名になる。局長級の分掌職についても、必要最小限にしていく。 ○小泉委員 次官級は、総務省も文部科学省も変わらない、国土交通省が1名減るだけだ。31ポストもあるものが、たったの1つしか減らない。官僚ポストは、色んな策を講じて温存している。 ●太田総務庁長官 局長は、その下に課や部が固定されている。分掌職は弾力的な組織の運営をするのであって、数が減ってないわけではない。 ○小泉委員 内閣府は、10の局長級ポストが置かれるが、分掌職は何名置くのか。 ●河野内閣審議官 1官房4局になるが、局長級のポストは、10名から12名に増える。単純に増えるのではなく、経済財政諮問会議の事務局など重要な仕事も増える。 ○小泉委員 衆議院の附帯決議でも、分掌職は必要最小限に止めるようにと決議している。各省庁も必要最小限にすると答弁しているが、実際各省庁はどれくらいにしようとしているのか。資料提供すべきだ。 ●河野内閣審議官 次官級と言われたが、これは次官級ではなく、次官に準ずるということで、格が一つ下だ。局を削減しても企画立案は残る。次官一人で仕事をやれるわけではないので、職務を全うするため分掌職を置いた。必要最小限に止めることと決議されていいることを十分配慮しながら行っていきたい。 ○小泉委員 職務の全うというならば、公務員の25%削減と矛盾する。次官級・局長級は職務を全うするために残すが、一般公務員は減らすでは困る。しかも、総務庁長官は衆議院で、独立行政法人に移行する機関の定削は、25%程度では駄目だ。もっとハイピッチで行ってもらわないと困ると答弁している。これが行革なのか。マスコミは、高級官僚の特権温存だと批評している。人事院の白書でも、この間の官僚の汚職など、行政官と政治家の在り方の見直しが求められると書いている。一般公務員と国民に犠牲を強いる、25%定員削減は止めるべきだ。 ●太田総務庁長官 公務員が1%でも減ったらサービスの低下だと言っているようだが、国民が自らの責任でやる自由主義で行こうというのが、世界の方向だ。 ○小泉委員 政官財のゆ着が問題なのだ。公務員は、行政サービスを提供するのが、主たる任務のはずだ。 次に内閣機能、首相権限の強化について、機能強化する理由として、国防と大規模災害対応のためと答弁しているが。ガイドラインの実効性の確保を図るとあるが、これ以上何をやるのか。 ●柳澤運用局長 周辺事態法そのものが、日米協力の実効性を上げるものだ。関係省庁との在り方について協議を始めている。 ○小泉委員 実効性を上げるために、既に関係省庁会議が設置されている。 ●野中官房長官 包括的なメカニズムとは、米軍や自衛隊のみならず、関係省庁も周辺事態に対応するようになっている。そのため、関係省庁等の局長からなる連絡会議を開いて、必要な国内整備の検討をしている。 ○小泉委員 関係省庁会議が、包括的メカニズムだと言ったが、周辺事態法では、2つのメカニズムを構築するとなっている。これらはどう構築するのか。 ●柳澤運用局長 包括的メカニズムは、平素から設置しておくものだ。調整メカニズムは、まだ設置していないが、周辺事態になったとき、具体に調整する機構だ。 ○小泉委員 包括的メカニズムは、総理を筆頭に防衛庁長官や関係各大臣が入る、大変包括的な機構が作られる。いつから関係省庁が入るようになったのか。 ●柳澤運用局長 自衛隊もそうだが、法律で定められた固有の権限でそれぞれの省庁が協力することになる。円滑な協力を得るための機構だ。行政組織とは性格を異にするものである。関係省庁が入ることで、実効性を確保することとなる。どう担保するかはまだ、全部を決めていないが、一昨年立ち上げたものである。 ○小泉委員 17省庁が会議に入っていることで明確である。国民の総力を挙げるメカニズムということか。 ●柳澤運用局長 当初は、法律を作るための会議だったが、その後法案成立後は、実を上げるための会議だ。 ○小泉委員 17省庁の中には、労働省の職業安定局長や厚生省の健康政策局長が出席しているが、各省から選ばれて出席している。例えば、厚生省の健康政策局長はどのような目的で出席しているのか。 ●宮下厚生大臣 今までに6回の会議が行われているが、5回目までは法案作成のための会議で、6回目が実効性を上げるための会議だと聞いている。周辺事態の協力では、医療や水道などが関係するだろうが、中心として健康政策局長を出している。 ●甘利労働大臣 民間企業が契約に沿って協力するなどの際、人を募集する際に職安で求人することが考えられるので、職業安定局長が参加している。 ●有馬文部大臣 必要に応じて参加している。何らかの具体的なことを求められているものではない。 ○小泉委員 労働大臣は、職安で求人もあると答弁したが、なぜ職安が、周辺事態のための労務斡旋に当たるのか。職業安定法は、戦時中の戦争のための労務提供を改めるとある。 ●甘利労働大臣 別に戦争に労務を提供するのではない。企業が必要とする求人を、無料で提供するだけだ。 ○小泉委員 法的に権限がないはずだ。軍事的に対米支援をするのは問題だ。昔は、国民徴用令があった。初めは職安で兵隊を募集していたが集まらず、斡旋に切り替えたがそれでも駄目で、徴兵制に変わった。今回、斡旋に近いものであり、大変問題である。関係省庁会議で、重要問題を法的権限も無しにやるのは問題である。また、関係省庁会議の検討事項に、法的側面を含めた検討とは、法改正を検討しているのか。 ●野呂田防衛庁長官 関係省庁会議は、平成9年11月から開催している。指針を実行するとは、ガイドラインのことだ。 ○小泉委員 指針の実効性の中に、各種法律を含めて検討とある。局長クラスが検討しているのは、現行法の権限に基づく協力にとどまらないのではないか。また、包括的メカニズムにこの17省庁会議が、監督下に置かれる。総理が各省庁を直接指揮監督することができる、弾力的な運営ができるようになっている。 ●野呂田防衛庁長官 包括的メカニズムとは、関係省庁として協力いただく、相談のメカニズムだ。総理が直接指揮することを前提としたものではない。 ○小泉委員 中央省庁の再編成が進む一方で、ガイドラインの推進機構づくりは、重大な問題であると指摘しておく。 <社民党・大脇雅子委員の質疑> ○大脇委員 公務員25%カットについて、根拠はどこにあるのか。シミュレーションはしたのか。職安とか、福祉関係を見た場合、一律の削減ではかえって行政の硬直化を招くのではないか。 ●野中官房長官 25%削減は、仕事の見直しや組織の再配置など様々な努力によって削減するものであって、一律で削減するものではない。 ○大脇委員 予算編成の問題について、内閣府の経済財政諮問会議で方針を決めるようだが、財務省の予算編成作業は、従来とどう違うのか。 ●野中官房長官 経済財政諮問会議は、総理の諮問で編成方針を審議し答申する。委員は、総理大臣が、各大臣の中から指定する。また、優れた識見を持った者を指定するもので、総理のリーダーシップが発揮される。それに基づき財務省で編成作業を行う。 ○大脇委員 経済諮問会議の事務局の在り方については、各省庁からの出向では駄目だ。 ●野中官房長官 総理の諮問により、財政、予算など全般に渡って重要事項を調査、審査をする。総理を筆頭に各大臣や有識者で構成する。 ○大脇委員 財務省が具体の予算編成するというが、編成方針を閣議決定後に具体化するのか。これまでと、やり方やプロセスは違ったものになると思うが。 ●宮澤大蔵大臣 大蔵が書いた編成方針を会議で確認するのでは、官僚主導になってしまう。官僚主導ではないものにするには、会議は1回きりではなく、ちょくちょく話しをして決める。その方針を大蔵が頂いて具体の編成作業をするのではないか。官僚が作ったのでよしでは総理のリーダーシップはとれない。 ○大脇委員 時代にあった配分を考えられるよう連係してほしい。 次に、スリム化、効率化等、将来世代に対する負担の軽減、行政サービスの向上のために、現在でも定員外職員が従事している現実がある。定員外職員は何人がどのように配置されているか。 ●中川人事局長 多種多様の業務、配置がなされている。平成10年7月1日で23万6915名。その内事務補助は3万304名である。 ●鈴木行政局長 職種が多岐にわたっており把握していない。 ○大脇委員 労働委員会でも同じ答弁をしていた。その後調べていないのか。自治労に組織されているだけでも23万人いる。 ●鈴木行政局長 把握に努めたが採用根拠が同一ではないなど、範囲が異なるので有意なデーターが把握できなかった。いわゆる常勤的非常勤については、5720名である。 ○大脇委員 更なる調査をお願いしたい。定員を減らしても、定員外職員を使っては何の意味もない。不安定雇用を増やすだけだ。 ●大田総務庁長官 25%削減の見返りに、定員外職員を増やすべきでないと言われたが、事務・事業の見直し効率化で減らす。つまり仕事の方を減らしていこうというものだ。臨時的な変動する業務もあって、確かに定員外職員が採用されている。 ○大脇委員 正規職員に比べ大変劣悪な労働条件に置かれている。労働条件を改善すべきだ。 ●中島人事院総裁 勤務時間等は法律で人事院規則に委ねられており、作っている。給与は法律範囲内で任命権者が定員職員との均衡を見て決定してる。 ○大脇委員 真っ先にリストラされることのないように配慮をお願いしたい。 ●野田自治大臣 優位な数字を把握は難しい。自治労の調査の23万人どの範囲まで取るかである。なお一層きちんと把握するよう努力したい。次に、不安定雇用ではないかの指摘に対しては、必ずしも常勤を当てる必要のないところあるはずだ。行政ニーズの多様化にあわせて様々形態がある。地方制度調査会の報告でも、地方自治体が簡素な組織を維持しつつ、弾力的な運用を図るための、非常勤職員の活用が歌われている。一方、任用や給与について一般職と著しい差があることも指摘されている。国家公務員とのバランスなど報告を求めていく。 ●太田総務庁長官 幾つかの例を上げられたが、それらの方々の有効な貢献に報いていないということもあると思う。そのことは念頭において、配慮していきたい。 ○大脇委員 政策評価制度について、大きな公共工事だけでなく評価をすべき。これまでの行政監察とどう違うのか。 ●東田行政監察局長 行政監察は主として、適正や効率性をみる。政策評価は事務・事業の効果を見る。評価結果を各省に勧告するし、その後報告を求める。総理大臣に意見の具申もできる。 ○大脇委員 各省が先に評価するのに、イニシアチブをとれるのか。 ●東田行政監察局長 府省の評価状況が仮にやられてなくてもできる。地方に対しても、補助金が関わるし、法定事務であれば調査させていただく。 ○大脇委員 住民投票こそが最大の政策評価である。次に、女性と子供の問題について、厚生省と労働省の統合で制度・システムはどうなるのか。 ●甘利労働大臣 労働省の女性局と厚生省の児童家庭局が統合される。今までも連携してきたが、性差別や保育など仕事と家庭の両立がうまく行くと思う。 ●宮下厚生大臣 子育てや女性の自立や小子化対策などに対して、一体でやることは有効に働く。 <自由党・入澤肇委員の質疑> ○入澤委員 地方に分権したものは幾つか。一覧はあるのか。点検したのか。 ●鈴木行政局長 全部で35本の法律に基づいたものが、権限移譲される。地方分権推進委員会の確認に基づいている。 ○入澤委員 概算要求の定員に関して、各省庁に対し、移譲された業務について反映するように指導しているのか。 ●河野内閣審議官 総務庁の行政管理局において、このようなことも配慮しながら、削減理由、増員理由をヒアリングして査定していく。 ○入澤委員 法定受託事務で、「承認を得なければならない」という項目が「同意を得なければならない」に変わっているものもあるが、同じ意味ではないか。また、得なかった場合の罰則の検討は。 ●鈴木行政局長 自治事務は承認、同意など4分類に、法定受託事務は、7分類にした。個別法もこの類型に従うようにした。地方分権推進委員会の勧告にしたがって整理し、今回法案として提出した。あくまでも、国と地方は対等、協力の関係である。 ○入澤委員 分権を実行あらしめるには、事務量を減らすこととその受け皿の強化が求められている。1716本の法律の削減で業務量を減らせないか。この際眠っている法律をなくすなど、法律もスリム化することが、地方分権、行政改革の起爆剤になるのではないか。 ●野田自治大臣 指摘のとおり眠っている法律もある。この機会に棚卸しをして見直していくことあっても良いと思う。法律だけでなく、国会決議も古いものがあり、整理する時期にきている。 ●太田総務庁長官 1716本もの法律案であり、大作業になる。腹をくくってやることになるだろう。どこかで決断しないといけない。 ○入澤委員 通達に基づく計画書の策定が相当な件数がある。総点検しては。 ●野田自治大臣 現在、地方公共団体に通達で、様々な計画書を作るように義務づけているが、今後は処理基準は一定作るが、地方公共団体への報告を義務付けることができなくなる。従来のものはなくなるはず。 ○入澤委員 補助金申請のたびに様々な計画書を作らされている、これも簡素化できないのか。次に人事について、人事交流によって行政の質を高めることができるのではないか。自治省の出向もたくさん受け入れているが、出向のルールづくりをするつもりはあるのか。 ●野田自治大臣 人事交流のルール努力しているが100点ではない。各地方の任命権者が、出向の受け入れは最小限に止めるように努力すべきだ。また、自前の人材育成をするよう指導している。 ●太田総務庁長官 人事管理運営方針で、出向のルールを定めている。出向者の年齢を勘案するように追加した。特権意識のでないように配慮する。 ○入澤委員 地方公共団体の研究機関の独立行政法人化はできないのか。 ●野田自治大臣 公共企業体もあるので一律には難しい。トータルに検討したい。 ○入澤委員 行政委員会の中で公選制が残っているのは、農業委員会だけだ。他は任命制である。農地制度運営に当たり、農業委員はどのようにしていくのか。 ●渡辺構造改善局長 農地の流動化と集積を図らないといけない。農業委員会の活性化のためにも検討していきたい。 <改革クラブ・菅川健二委員の質疑> ○菅川健二委員 公共事業の直轄事業の縮減と統合補助金化を図ると地方分権推進計画で決めている。港湾に関して港湾法では、その他港湾管理者がやれない事業は国でできるとあるが、これでは何でも国でできるではないか。具体の直轄事業をどのように縮減するのか。 ●川崎運輸大臣 直轄事業は基本的に範囲を限定している。言われるとおり現実の問題として、第二次計画に沿ってこれから詰めていく作業が待っている。港湾事業の集中化について審議会で審議いただいている。 ○菅川健二委員 港湾事業そのものを縮小しろと言っているのではない。直轄で技術者を抱えているので事業をやるというような逆転した考え方にならないようにしていただきたい。 ●川崎運輸大臣 具体の見直しの作業が、進められているのは事実だ。 ○菅川健二委員 公共事業の統合化が進められるが、道路事業と河川事業の統合化などは、余り意味がない。一括補助金化について、早くカジ切りをしてほしい。 ●野田自治大臣 個別の箇所付けはやらないで、自治体に自由に任せる思いは変わらない。 ○菅川健二委員 残る国庫負担金が大きな国の関与になる。思い切って整理してはどうか。個別法の所管大臣に指示してもらいたい。 ●野田自治大臣 存続する補助金も統合メニュー化や一括補助金化等々、図るようにしている。 ○菅川健二委員 地方自治体に対する国の関与について、自治事務に対する代執行はできる限りと書いてある。どう解釈するのか。 ●野田自治大臣 現在も自治事務に対する代執行はないし、将来も作らない。できる限りと書いたのは、立法技術として、法定受託事務と自治事務を共通して書いている。 ○菅川健二委員 しかし、代執行に変わる直接執行がある。自治体の行為を覆すものである。 ●野田自治大臣 国民の利益を緊急的に確保するために、個別法において直接執行を行えることができるようにした。厳しい基準で運用すべきだと考えている。 ○菅川健二委員 合併について、今後大きな問題になる。関係者だけでは難しい。住民も巻き込まないとできない。そのために、今回の介護保険在り方によって、合併について住民を説得するのも一つの方法であると思うが。 ●野田自治大臣 共通コストが削減できるから合併するではなく。合併することでサービスが向上するとかないと駄目だ。介護など対応能力を向上させるために、合併は大事なことなんだと理解していただけるように努力する。 (以 上)
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