内容
1.参院行財政改革・税制特別委員会締めくくり総括質疑2日目 1
2.地方分権一括法案に対する共産党の修正案提案 6
3.地方分権一括法案に対する各党討論 7
4.中央省庁再編法案に対する各党討論 8
5.中央省庁再編法に対する付帯決議 9
6.地方分権一括法に対する付帯決議 11
中央省庁再編法案、参院行財政改革・税制特別委員会での採決を強行
自、自、公、社民などが賛成、民主、共産は反対
中央省庁再編法案は、8日昼の参院行財政改革・税制特別委委員会で可決されました。自民、自由、公明、社民、参院の会、二院クラブ自由連合は賛成、民主、共産は反対しました。なお、19項目の付帯決議(別添)がされています。また、省庁再編法の採決に先立ち、地方分権一括法案の採決が行われ、自民、自由、民主、社民、参院の会、二院クラブ自由連合の賛成、共産の反対で可決されました。分権一括法案にたいしても付帯決議がされています。
参院行財政改革・税制特別委員会
−7月8日の審議(締めくくり総括質疑2日目)
<共産党・富樫練三議員の質疑>
富樫議員:自治体への是正要求は、過去どのくらい行われたか。
自治省鈴木行政局長:昭和30年代に8件、都道府県から市町村に対して行われた。1つは、新市町村法に関するもので福島県の例、その他は生活保護に関する例で、いずれも兵庫県。
富樫議員:40年間は例がない。そういうものをなぜ継承するのか。総理は、国と自治体の関係を、上下、主従の関係から、対等、横の関係にするといっている。しかし、自治事務への是正要求は、分権への逆流ではないか。削除すべきだ。
野田自治大臣:自治事務について、法令の規定に違反する場合、または著しく適性を欠きかつ明らかに公益を害するものについて是正要求を規定している。その際もまず、地元自治体、住民が是正するようにするのが大原則。残念ながら改善がなく、自治体の行財政が混乱したときに国(各大臣)が是正要求できる。強権的でも何でもない。不服あれば係争処理委員会にかけることが可能。改正前から是正要求はあり、新たに設けたのではない。万万が一の場合の措置。
小渕総理大臣:今回の改正は、関与の見直しであり、是正要求の規定は、分権に逆行していない。
富樫議員:万万が一といっても、40年前の例でも重大な混乱は招いていない。もし間違いがあれば、議会や、住民監査請求、住民投票、選挙等で自ら改善するのが原則だ。そういうことが信頼できないという考えが出ている。総理も、自治体自らの手で是正すべきと言っていることと両立しない。自治事務については、代執行は将来もない。それに変わるものとして平衡権限による是正指示を新たに設けた。いくつか。
鈴木局長:法律数で言うと従来からのものが20本、今回新たに出来たものが15本。大気汚染防止法、水質汚濁防止法などだ。
富樫議員:建築基準法の改正の中心点は何か。
関谷建設大臣:建築基準法の事務は住民に身近なもの。できる限り身近な地方公共団体が行う。ごく一部の法定受託事務を除き、自治事務にする。
富樫議員:建築確認を自治事務にしている。関与は新しい基準を設け、1.多数のものの生命、身体に重大な危害をもたらすもの、2.国の利害に重大な関係を持つもの、の処理について建築基準法17条に規定した。1.は指示までか、直接執行を含むか。2.は指示までか、直接執行を含むか。
関谷大臣:多数のものの生命身体に重大な危害をもたらすものは、適切な処分をするよう指示が出来る。国の利害に重大な関係を持つものは、従わない場合、審議会の確認を経て、大臣が建築確認が出来る。間、間にストッパーを入れて慎重に行うようになっている。
富樫議員:国民の生命身体に関わるものは指示までで、国の利害に関わるものは直接執行まで出来る。建設大臣の衆院での答弁では、原発や防衛施設がそれに当たるとしている。その方が国民の命より重要ということになる。こうした施設は、住民の納得が必要であり、いわんや自治事務。これが何で対等の関係と言えるのか。
関谷大臣:あらゆる歯止めがかかっており、また、度々おこるわけではない。
富樫議員:行政上の上下関係が前提になっている。合併については、今後、特例法で、知事が合併協議会の設置を勧告できる。これについての総理の認識は。
小渕総理:今後、地域のあり方、地域の状況は、住民生活に大きな影響をもつ。広域団体である都道府県が、積極的役割を果たしていくことはよいこと。都道府県の広域行政、市町村の調整としての役目だ。
富樫議員:わざわざ勧告するというのは、どういう事態を想定しているのか。
野田大臣:法定の協議会は、1.市町村の合意、2.住民発議、3.知事の勧告で設置される。知事の勧告は、広域団体としての性格、市町村の連絡調整の役割に基づく。想定しているのは、市町村のまとまりがあり、取り組みがなされていて、市町村から要請された場合、また、地域住民の気運が盛り上がっているが、市町村が行動を起こさない場合だ。都道府県は地域の実情を熟知している。地元が主役で、これが一番大事である。知事の勧告は、現行法でも公益上必要な場合に出来る。法案は、勧告に際し、関係市町村の意見を聴取するのであり、分権にそったもの。
富樫議員:機運があるなら自ら協議会を作る。実態として、あまり盛り上がっていないのに、上から合併させることにならないか。
野田大臣:住民サイドで機運がある場合、住民の要望で勧告することは大いにあり得る。
富樫議員:機運があるならいずれそういう方向になる。焦ってやらせるのは考えからの基本がずれている。全国町村会は、町村の意見を聞くことなく国会で将来の自治対数を財政と絡め議論することは不適切と意見書を出している。特例法に極めて警戒が強い。分権推進委員会2次勧告にこの協議会設置の問題が入っているか。
鈴木局長:2次勧告では、必要な助言、調整を行うこととなっている。一方、地方制度調査会は、知事の勧告を提言している。
富樫議員:2次勧告には協議会設置勧告が入っていない。助言、調整とはかなり違う。分権推進計画ではじめて入った。諸井参考人は、「自主的に進められるのが委員会としての見解」と答弁している。政府案は上からの押しつけ。町村会も、分権委の勧告も、参議院での参考人4人も自主性を協調している。政府案は、独断で進めようとするもので、分権、自治と反対のもの。
小渕総理:今回の法案は、市町村合併を自主的に進めてもらうもの。国として強制しないが、それぞれの地域が、大きな方向性を国が示すことで、3000市町村の合併で自治を守っていこうとするものだ。
<社民党・日下部禧代子議員の質疑>
日下部議員:膨大な法案。行政システムの転換であり、国民の納得と理解を得るにはほど遠い。自治事務に対する国の関与について、是正要求は、違法な事務処理で、自治体の行財政に著しい支障を来す場合に行うというが、著しい支障とは、国にとってか、住民にとってか。
野田大臣:法令違反、または著しく適正を欠き、公益を害している場合に、必要な是正措置が出来る。本来、議会、自治体が、住民のチェックの元自律的に是正すべきだが、放置し、行財政の混乱、停滞が著しく支障を来すという場合、住民にとっても支障がある。法律の適用にとっても支障を来す。どちらでもある。
日下部議員:重みは同じか。
野田大臣:対立でなく、ケースバイケース。住民に支障がある場合は、住民にとどまらず国の公益に大きな支障が来す。
日下部議員:住民のとっての支障の観点に立つべき。地域によって是正を図るのが地方自治の本旨。分権推進委員会勧告、分権推進計画にも関わる。是正要求は、各省庁の自治体への不信の現れであり、削除すべき。
野田大臣:法の適用が地域によって異なるのは困る。それが自治事務だからといっても具合が悪い。法の適正な運用は、法治国家として大事。住民への支障だけが判断基準ではない。それは分権に反しない。是正義務を書き込んでいるからこそ、係争処理委員会の対象になる。
日下部議員:係争処理委員会の勧告は尊重義務があると考えるか。
野田大臣:義務づけられている。
日下部議員:係争処理委員会は、国家行政組織法の8条機関であり、審議会。確かに委員は総理の任命で、国会承認であるが、第3者機関としての独立性を保障するために、3条機関(省庁と同格の委員会)にすべき。
野田大臣:政治的中立性、公平性の保障は十分に確保。3条委員会では、行政の肥大化につながる。また、事案がしょっちゅう出てくるのは困ったこと。
日下部議員:法定受託事務は、分権推進委の中間報告、指針勧告、推進計画、法案で定義が変化。政令により設けられる新たな受託事務の性格は、立法に当たり、事務振り分けの基準が必要。
野田大臣:法定受託事務は、将来にわたり厳に抑制する。法案は、衆院で修正され、できる限り新たに設けず、適宜適切な見直しを行うこととされた。8つのメルクマールがある。今後においても政府内で基準として機能。国会で法案審議がされる場合、法定受託事務とすべきかどうか、チェックもされる。地方公共団体の処理すべき事務は、なるべく自治事務にする。
日下部議員:地方を、権限、金、人でコントロールしてきた。これまで通り、天下りで上下関係を維持しようとするのはやめるべき。
小渕総理:国と地方の人事交流は、相互理解と人材育成、組織活性化に役立つ。分権を踏まえつつ、対等の交流のため、協議に基づいて行うべき。両方相まって、意思の疎通が図られる。
日下部議員:市町村の都市計画審議会について。まち作りは市民自治の要。構成を政令で拘束するのは問題だ。
関谷大臣:市町村の審議会を今回法定した。これは大きな前進。市町村の独自性尊重は基本認識。審議会のあり方については、実態、市町村の移行調査、これを踏まえ適切に対処。公募については、前向きに対処。
日下部議員:職安行政と都道府県の連携が大事。都道府県の役割の位置づけを。地方財政危機の折から、国がすべてやるということになると、地方が雇用対策から引き上げてしまう。都道府県で、職安の求人情報を活用できるようにするとか、独自の職業紹介が出来るようにするとか、を認めるべき。
甘利労働大臣:雇用対策は、国の施策と相まって、地方が対策をとるという連携が必要。今回、行政事務の区分の整理として、県の組織に入っていた国の職員を、都道府県ごとに作る労働局に移す。生活情報の面などで連携していく。都道府県の自主的雇用対策も充実していただけると思う。常設機関を作り連携する。
日下部議員:大蔵大臣にお聞きする。大臣は、税財源の以上問題で、2%の成長軌道に乗ったら見直す、2%未満の時は手をつけない、と言われたが、条件、前提を課すべきではない。分権の根本は、税財源の充実確保だ。
宮澤大蔵大臣:税収は、昭和62年の水準まで落ち込んでいる。公共事業は減っても、福祉は減ることはない。2%成長になったとしても、税収増は1兆円に満たない。地方財政も悪化している。避けて通れない課題。国と地方で今分け合っても永続性がない。
日下部議員:構造変えることが問題。ただちに変えていくためのスタートがこの法案。あらゆる人が、税財源の配分見直しが重要といっている。2%に達した際に見直すプログラムはどのようなものか。
宮澤大臣:国と地方の税収をどう分けるかは逃げられない課題。税目のやりとりになるだろう。所得税、住民税、消費税、法人税(外形標準課税の検討含め)、先延ばしすればいいとは考えていない。
日下部議員:どういう形でやるのか。プロジェクトチームを組むのか。
宮澤大臣:プロジェクトチームか審議会、いずれにしても端的に言えば、国と地方のやりとり。今年度予算については、私と自治大臣は異常なやりとりをした。これは長くやってられない。今後の予算編成ですぐにぶつかる問題。
日下部議員:総理は、今回の法案が第1歩と言われるが、税財源の見直しが第2歩。決意をどう具体的に示すのか。
小渕総理:分権は実行段階に入った。そのために法案の成立をお願いする。これをもって完成したとは思っていない。国から地方への事務権限、税財源の移譲、補助金負担金の整理合理化の課題もある。内閣をあげて取り組む。
<自由党・田村秀明議員の質疑>
田村議員:行政改革の理念は、肥大化、硬直化した行政を見直し、簡素、効率的、透明な行政を、規制緩和・撤廃、地方分権を通じ実現すること。21世紀の主要な行政課題のトップは、国際社会への貢献、平和の維持。防衛庁は、行革会議最終報告で、防衛の基本問題は、政治の場で議論することが求められている。防衛庁は、他の省より一段格下とされている。国防省へ昇格させるべき。
小渕総理:防衛は、国家存立の基本。防衛庁の省への昇格は、行革会議の中で様々な議論があり、新たな業務の追加がないということで、現状通りとされた。そして、防衛の基本問題は、別途、政治の場で論議すべきとされた。主要国の国防担当部門は、調査によれば、名称は様々あるが、日本の省であるものがほとんど。すでに行革会議で真剣な議論がされた結果であり、是非ご理解を。
田村議員:自民党は、30年前から省への昇格の閣議決定をしている。しかし、30年間実現していない。アジア諸国の反発とか、軍事大国になるという誤解を与えるなどの懸念が言われる。新たな業務の付加がないと言うが、PKOなど、非常に新しい業務が付加されている。法律上軍隊ではないが、国際法上は軍隊とされるという詭弁を使っている。国の安全保障に関わる部門を、庁のまま放置する国がどこにあるか。なぜいけないのか。まず、危機管理が完璧にならない。閣議請求権がない。次に、予算要求権限がない。さらに、一番大きな点だが、省令制定権がない。自分の制服すら決められない。最後に、名は体を表す。いま出席の各大臣に考えを聞きたい。
太田総務庁長官:私は、先頃も不適切発言をしたが、国民が自分の国を守る気概を持つことは国家存立の基盤。行革会議最終報告が言うように、政党内、政党間、国会で議論されるべき。
高村外務大臣:小渕内閣の閣僚として、当面、総理と同じように考えている。勉強させてもらう。
与謝野通産大臣:行革会議では色々な議論があった。政府が提出している方向で、政府も、自民党もまとまっている。
堺屋経企庁長官:防衛問題への常識、知識もないので、見解は差し控える。
宮下厚生大臣:委員のおっしゃった点は重要な視点。小渕内閣の一員であり、その方針に従っていく。政治の場で、早く決着し、国民の理解が得られるよう希望。
野田郵政大臣:庁の問題は、真摯な議論を別途政治の場で行い、議員、国民が真剣に考えるよう取り組む。
有馬文部大臣:防衛は、国家存続の基本。行革会議のメンバーとして議論した。最終報告では、現状の通りとされた。防衛に関する基本問題は、別途政治の場で議論することとされた。国民の十分な理解が得られるようにすべきだ。
宮沢大臣:政府決定を支持する。個人意見を申し述べるのは適当でないと考える。
小渕総理:先ほどの答弁の通りだが、変貌する国際情勢の中で、国民が自分の国を守る気概を持つことは、国家存立の基礎。基本問題は、別途、政治の場で議論する。国民の理解を得られるようにしていく。最高指揮官の任にあるが、隊員は、志気を持ち対応している。懸命な努力をしている、その気持ちをくみ取りながら役目を果たしていく。
田村議員:自衛隊の航空機は、雨が降ると飛ばない。それは事故を起こしてはいけないから。普通の軍隊にすべき。
<参院の会・菅川健二議員の質疑>
菅川議員:地方分権について、諸井参考人は、分権一括法案は、出発点にすぎないと発言されている。
小渕総理:新時代にふさわしい行政のあり方をふまえ、地方分権を推進する。法案を過小評価するべきではない。明治以来の中央集権的行政が、対等協力の関係に変わる。平成5年の両院決議以来の一つの到達点。力強い第1歩であり、諸井委員の言葉を拝読したが、啓蒙により、いっそうの理解を得て、住民自治への盛り上がりを期待する。
菅川議員:これから本番。税財源がまだ欠落している。充実強化や、補助金交付金の条件緩和や一括交付金化が必要。法定受託事務を、自治事務に帰ることが必要。今後の見通しは。
野田自治大臣:地方分権を名実ともにするためには、財源措置が必要。地方公共団体の歳出と税収の乖離がある。財政自主権確立のためには、まず、地方税、次に地方交付金で、一般財源の充実を図らなければならない。国、地方を通じた見直しでないと、根本解決にならない。今の日本経済は、あまりに異常。確実な見通しが立たない。今見直しをしても、再度の見直しが必要になる。補助金等についても、国と地方の仕事を見直し、統合化、一般財源化を進めたい。
菅川議員:自治省が、総務省の一つのパートになってしまって、分権推進委員会も来年7月で幕を閉じる。総務大臣が強力に推進すればよいが、個人の能力でなく、システムとして推進する体制を作るべき。
小渕総理:このたびの法律は、終わりの終わりではない。新たなスタートの大前提。全力をあげて目的達成へ努力する。総務省は、大臣のリーダーシップで、役割を果たすだろうし、総理大臣として、内閣をあげて遂行していく。
菅川議員:受益と負担の原則が一番の基礎。お上に頼るのではなく、構造改革をして、税財源について、交付税、地方税、それぞれの役割のバランスがある。ナショナルミニマムは、交付税交付金で、それ以外は、需要に応じた受益と負担を仕分けをする必要がある。
野田大臣:ご指摘の通り。地方公共団体の業務は、身近な業務。景気変動の影響をなるべく少なくし、税収を安定させ、税源の偏在を少なくする税、こういうことを基本にする。受益と負担、応益性は、地方税を考える際に念頭に置く。アンバランス是正は、交付税で行うが、恩恵ではなく、これは地方の財源。現在不交付団体は東京都のみ。平成4年時には、神奈川県、大阪府、愛知県が不交付団体だったが、財政が悪化している。地方税が今のままでよいか見直すとき。
菅川議員:省庁再編は枠組みだけを決めたもの。分権と規制緩和を進めていく決意を。
小渕総理:規制の撤廃緩和、地方の役割を高め、国の機関を減量化、効率化するという基本方針の下進めていく。
<二院クラブ自由連合・石井一二議員の質疑>
石井議員:屋山太郎氏によれば、特殊法人88法人に対して、4.5兆円が支出され、公益法人には0.4兆円が支出されている。これは、消費税2%と同じ。国家公務員は、82〜83万人いるが、3万人が50歳以下で退職。定年まで勤める人は7000人。50歳以上のひとを15年面倒見ると45万人のポストが必要。定年の人を20年面倒見るときには、1万2400人のポストが必要。天下り先は、営業努力せずに大儲けしている。天下り防止のためには、65歳定年制は一つの案だ。
小渕総理:世界にまれな高齢化が進んでいる。定年以降の生き甲斐ある生活のためには、当然働ける年齢も高くなっていることもあり、定年延長も課題。しかし、伝統的給与体系があり、年金支給額にも関わる。定年延長と同時に社会全体の仕組みの見直しも必要。
共産党が分権一括法案に対して修正案を提出
<富樫練三議員の趣旨説明>
1.自治事務への是正要求の削除。
2.自治事務と法定受託事務の見直しを3年ごとにする。
3.米軍用地特措法についての緊急代理採決の削除。
4.税配分の見直し。
5.必置規制廃止の削除。
など
分権一括法案に対する各党の討論
<共産党・八田ひろ子議員>
修正案に賛成、原案に反対。原案反対理由は、1.国の統制が、まち作り、くらし、福祉などに及ぶ。自治事務への関与がすべての大臣が出来る。2.米軍用地特措法の改悪である。3.市町村議員定数の上限規制や必置規制廃止により自治体リストラをしようとするものである。修正案は抜本的改革である。
<自民自由・星野朋市議員>
原案賛成。1.機関委任事務の廃止をし、自治事務、法定受託事務で対応。2.権限移譲が進められる。3.国の関与の見直しが、必置規制の見直しなどで行われる。4.地方公共団体の体制強化にとって、合併が重要であることが確認された。修正案には反対。
<民主党・藤井俊男議員>
原案賛成。修正案反対。中央集権的システムが、機関委任事務の廃止で変えられる。それにより、自治体に対する包括的監督権限がなくなる。係争処理委員会は、枠組みは評価に値する。自治事務とすべき法定受託事務もある。国の直接執行とされ、社会保険や職業安定の職員が国家公務員にされるのは問題。税財源の見直しは先送り。衆院でこうした点の修正が行われ、改善が図られた。是正要求は、自律性に極力配慮すべきであり、自治事務への権力的介入は限定的抑制的に行うべき。係争処理、職業安定、市町村のまちづくり等についても付帯決議に盛り込まれた。共産党の修正案は、問題意識が共通するところもあるが、地方統制法と評価しており、賛成できない。
<公明党・魚住裕一郎議員>
原案賛成。1.包括的監督権限の根拠となっていた機関委任事務が廃止される。2.法定主義となって、自治事務への是正要求も例外的なもの。3.財源の裏付けとなる課税自主権が確保された。4.社会保険職員問題や、行政書士報酬規定問題が修正された。
<社民党・日下部禧代子議員>
原案に賛成。自治事務への関与、議員定数、住民投票への消極姿勢など問題点はあり、米軍用地特措法、地方事務官廃止、建築基準法改正などには反対だ。しかし、1.機関委任事務の廃止。2.係争処理の仕組みにより、対等な関係に大きく前進。新たな1歩。今後、税財源の分権などの推進を不断に取り組む必要。
<参院の会・菅川健二議員>
原案賛成。中央主権から分権へ、システムを変える。機関委任事務廃止、法定主義、係争処理、により、国と地方のあるべき姿が生まれる。財源問題は、経済回復後速やかに取りかかる必要がある。補助金の一般財源化はただちに進めるべき。
<朝日俊弘議員(民主)の付帯決議提案・自民、自由、公明、民主、社民、参院の会、二院クラブ自由連合提出>
*別紙2
省庁再編法案に対する各党の討論
<民主党・川橋幸子議員>
反対。国民は、官僚主導から、主権在民への行政システムの改革を期待した。内閣機能の強化、省庁再編、政策評価、独立行政法人、いずれも中途半端。巨大官庁作りであり、形式的。民主党は、内閣機能強化として、人権行政、公取委、金融庁、行革推進質を内閣府におくことを提言した。今回の政府案は、官僚によって、作られたもの。
<自民自由・星野朋市議員>
賛成。21世紀に向かっての構造改革。1.内閣機能を強化。総理の発議権を明確にしたことなど。2.省庁再編。地方支分部局、独立行政法人によるスリム化が明確になった。3.政策評価。事前、事後に公表し、透明性が高まる。
<共産党・池田幹幸議員>
反対。1.内閣機能の強化は、ガイドラインと一体。2.経済財政諮問会議により、財界との一体化が歯止めない。3.副大臣、政務官の設置は、国会の行政監視機能を弱める。4.ムダが指摘される公共事業の8割を占める巨大官庁が出現。5.独立行政法人化で、国立研の基礎研究など、国民に不可欠なサービスが低下。6.公務員の25%削減は、サービス低下をもたらす。
<公明党・渡辺孝男議員>
賛成。1.内閣府が各省の上に立つ総合調整機関であり、内閣官房が最高最終の調整機関であることが明確になり、縦割りの弊害が大幅に改善。2.環境省が設置され、充実強化が図られること。3.政策評価が導入され、国民ニーズに適応するようになる。4.独立行政法人について、スリム化が明確になった。
<社民党・三重野栄子議員>
賛成。定員削減、副大臣、水道行政が環境行政に移管されないこと、公取委が総務省に置かれること、独立行政法人のあり方など、国民の理解を得るためには、審議が不十分。適宜見直しすることが必要。
<弘友和夫議員(公明)の付帯決議提案・自民、自由、公明、社民、参院の会、二院クラブ自由連合提出>
*別紙1を参照。
<別紙1>
内閣法の一部を改正する法律案等中央省庁等改革関連17法律案に対する附帯決議
政府は、中央省庁等改革関連法律の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一 中央省庁の在り方については、国際情勢、環境や福祉などの国民の行政ニーズの変化 等を踏まえ、組織の在り方、所掌事務、定員配分等について、迅速かつ適確に政治主導 で見直すものとすること。
一 内閣府の総合調整機能は各省の上に立つものであるとともに、内閣官房の総合調整機 能は内閣としての最高かつ最終のものであると位置付けた総合調整機能の運用を図るこ と。
一 内閣府に置かれる重要政策に関する会議の審議結果等は、最大限に尊重すべきものと するとともに、会議内容は可能な限り公表すること。
また、経済財政諮問会議において調査審議された経済全般の運営の基本方針、財政運 営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項の内容を予算編 成に反映させるため、財務省は予算編成過程において当会議の意見を尊重し予算の原案 の作成等を行うこと。
一 経済研究所については、内閣府のシンクタンクとしてその機能を十全に発揮できるよ う、民間シンクタンク等の活用も含め、その拡充・強化を図ること。
一 府省再編成の趣旨を踏まえ、「縦割り行政の弊害」の実質的解消を図るとともに、い わゆる「巨大官庁の弊害」の発生の防止に十全を期すこと。
一 内閣府及び各省設置法の所掌事務規定は、内閣府及び各省の任務を達成するため必要 となる所掌事務の明確な範囲を定めたものであることにかんがみ、所掌事務を根拠とし た裁量行政は行わないこと。
一 内閣府及び各省に置かれる分掌職は必要最小限とするとともに、その機能的かつ弾力 的活用を図ること。
一 省庁再編に伴う人事については、適材適所を旨として行うとともに、将来の人事に影 響を与えるような既存省庁間の合意等は一切行わないこと。
一 公正取引委員会について、行政の関与が事前監視型から事後監視型へ移行している現 状及び独占禁止法の厳正かつ公正な運用を確保することの重要性にかんがみ、中立性・ 独立性の維持に万全を期するとともに、その体制を充実・強化すること。
一 行政評価の実効性を確保するため、行政評価法(仮称)の制定について早急に検討を 進めること。
一 国家公務員数の削減については、定員削減計画の策定等により、計画的かつ着実に進 めることにより、25%削減目標の達成を期すること。
また、その際雇用問題に十分配慮して対応すること。
一 独立行政法人の中期計画の期間の終了時において、主務大臣が行うとされている「当 該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全 般にわたる検討」については、そのための客観的な基準を遅くとも平成15年度までに 検討し、独立行政法人の存廃・民営化はこの基準を踏まえて決定すること。
一 独立行政法人の形態については、行政改革会議最終報告の趣旨にかんがみ、今後の見 直しにおいて、社会経済情勢の変化等を踏まえて、できる限り特定独立行政法人以外の 法人とするよう努めること。
一 独立行政法人における情報公開制度については、特殊法人の情報公開法制と併せて速 やかに検討し、結論を得て、必要な措置を講ずること。
一 特殊法人の整理合理化を積極的に推進すること。整理合理化の検討に当たっては、各 特殊法人の業務の見直し等のほか、独立行政法人化・民営化・国の機関への編入等その 経営形態の選択及びその存廃を含めて行うこと。
なお、検討に当たっては、第三者機関に提言を行わせることとし、政府はその提言を 尊重するものとすること。
一 独立行政法人化、事務・事業の廃止、民営化、民間委託の実施及び特殊法人の改革等 の実施に当たっては、職員の雇用問題、労働条件等に配慮して対応するとともに、関係 職員団体の理解も求めつつ行うこと。
特に、独立行政法人化対象事務・事業の決定、独立行政法人個別法案の策定に当たっ ては、中央省庁等改革基本法第41条を遵守し、関係職員団体等、各方面の十分な理解 を求めつつ行うこと。
一 中央省庁等改革関連法律の政令については、中央省庁等改革推進本部の顧問会議の意 見を聴し、適宜国会に報告すること。
一 循環型社会への転換及び自然との共生を図る観点から、環境省の体制強化を図り、環 境関係行政の統合一元化を積極的に進めること。
一 「人権の21世紀」実現に向けて、日本における人権政策確立の取組は、政治の根底 ・基本に置くべき課題であり、政府・内閣全体での課題として明確にするべきであるこ と。
また、男女共同参画会議においては、男女共同参画社会の形成の促進に関する重要事 項の調査審議に際し、人権教育・啓発の推進の観点にも留意すること。
右決議する。
<別紙2>
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議
政府は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に当たっては、住民に身近な行政は地方公共団体に委ねるという本法の趣旨を広く実現するよう努めるとともに、特に次の諸点に留意し、その適用に遺憾なきを期すべきである。
1 本法附則による法定受託事務の事務区分の見直しについては、地方分権の推進、地方自治の確立、住民自治の充実の観点に立って、適宜、適切にこれを行うこと。
1 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与について、今後、地方自治法に定める関与の基本原則、国・都道府県・市町村間の対等協力の原則に照らして検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。
また、自治事務に対する是正の要求については、地方公共団体の自主性及び自立性に極力配慮し、当該事務の処理が明らかに公益を侵害しており、かつ、地方公共団体が自らこれを是正せず、その結果、当該地方公共団体の運営が混乱・停滞し、著しい障害が生じている場合など、限定的・抑制的にこれを発動すること。
なお、是正改善のための具体的な措置の内容は地方公共団体の裁量に委ねられているものであり、国はこの地方公共団体の判断を尊重すること。
自治事務に関わる国の直接執行についても、地方公共団体の自主性及び自立性に極力配慮し、国民の利益を保護する緊急の必要があり、かつ、国がこれを行うことが不可欠である場合など、限定的・抑制的にこれを発動すること。
1 既に発出している通達は、今回の改正の趣旨に則り適切に整理することとし、いわゆる通達行政が継続されることのないようにすること。
1 本法に定める係争処理のための第三者機関については、運営の中立性・公平性の確保に特に留意するとともに、その任務を遂行するために必要十分な事務処理体制を確立すること。
特に、自治紛争処理委員会については、委員による運営の独立性を確保するとともに、関係地方公共団体に対する審査のための証拠調べ等については、当該地方公共団体の負担の軽減に配慮すること。
1 本法の附則による地方税財源充実確保策の検討・措置につては、地方における歳出規模と地方税収との乖離を縮小する観点から、国・地方を通じる税体系の在り方について抜本的な検討を行うこと。 また、各地域の実情に応じた事業を進めるため、国庫補助負担金のさらなる整理・統合化を早急に推進するとともに、存続する国庫補助負担金については、統合・メニュー化を一層推進し、運用・関与の改革を図ること。
1 自治体議会の議員定数の上限制については、改正後の制度の運用状況を踏まえ、自治体議会の運営をできる限り自己責任のもとで行うという観点に立って、必要に応じ見直しを行うこと。
1 住民の意思を積極的に行政に反映させるため、住民投票制度など住民参加の方策について検討すること。
1 地方公共団体が地域における行政を一貫して自主的・自立的に企画、立案、調整ができるようにするため、市町村の自主性を尊重しつつ、市町村合併の一層の促進に努めること。
1 市町村都市計画審議会の組織及び運営に関する政令による基準を定めるに当たっては、地方公共団体による地域特性に応じた自主的・自立的なまちづくり、住民参加の促進等を妨げることのないよう特に配慮すること。
1 職業安定事務が国の直接執行になることに伴い、地方公共団体の雇用対策が支障をきたすことのないよう、相互の連絡調整の場を設けるなど、密接な連絡協力体制を整備すること。
また、地方事務官の身分切り替えに当たっては、職員の処遇等に十分に配慮すること。
1 行政書士制度に関する報酬規定の取り扱いは、今後、他の公的資格制度の規制緩和と併せて、そのあり方について検討し、必要に応じ見直しを行うこと。
1 地方税財源の充実確保や権限の移譲など地方分権を一層推進する必要を踏まえ、地方分権推進法失効後の地方分権を推進する体制を検討すること。
右決議する。
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