2000年度定員査定で総務庁行政管理局交渉
(国公労連「行革闘争ニュース」1999年9月28日付)
 国公労連は本日午後、総務庁行政管理局に対して、2000年度定員査定に関する交渉を行いました。交渉には国公労連から、小田川書記次長を責任者に、黒田行革対策部長、飯塚、津田両中執、全法務、全税関、全厚生、全医労、全通産、全運輸、全港建、全気象、全通信、全労働、全建労、全司法の代表者が出席、行政管理局からは、定員総括担当の横田副管理官外1名が出席しました。(25%定削反対要求書は別掲)

 冒頭、国公労連小田川書記次長は「行革=定削の観がある。また、定削のための独法化議論も広がっている。職場は怒っている。8月末で、2000年度の要求が出そろった。2001年1月1日の省庁再編に関わる査定も進められている。2000年度の定員査定の基本的考え方、2001年1月1日の査定ベースの考え方はどうなっているのか」とただしました。

 これに対して、横田副管理官は、次のように回答しました。
●8月末で各省庁から要求をいただいて、順次、各省庁から内容を聞いている。また、内閣の改造もされるので、新しい内閣の方針を受けて具体の作業に入る。一般論として、行革の流れの中で、例年以上に厳しくならざるを得ないのではないか。必要なところには要員を付けないといけない。一方で、厳しい行革の論調がある。政府として行革を取り組んでいることを、キッチリ示さないといけない。
 2001年の省庁再編では、基本的には今の省庁の定数を新省庁に割り振り直すが、スリム化の実を示すという、行革の流れをふまえて査定していく。

 この回答に対して、小田川書記次長は「1)新規採用の抑制が、4月27日に閣議決定されているが、基本的な考え方はあるのか。例えば、一律削減などの考えがあるのか。2)スリム化の実を示すと言ったが、全部洗い替えをするとは言わなかった。どこがポイントになるのか」とただしました。

 これに対して、横田副管理官は、次のように回答しました。
●1)採用抑制については、行管で直接やっていないので申し上げられないが、基本的には、一定率の削減とかをするとは聞いていない。行管は、全体的な定員をどうするかをやるのであって、その中で新規採用をどうするかだ。2)スリム化の実を示すことについて、具体的に言われているのは、例えば、大括り化の中でスリム化が図られるのではないか。特殊法人の合併でも同様な議論がなされている。

 この回答に対して、小田川書記次長は「各単組の職場の厳しい状況を聞いて欲しい」と述べ、以下各単組から次のような発言がありました。
  • (全税関)業務は倍になったのに、定員は5%しか増えていない。昨年からは純減である。7月に異動があったが、既に9月に補充するところもある。25%の定削に対して、職場は怒っている。
  • (全港建)
    1. この政策不況をどうするか。そのための要員は必要だ。最低、各省が要求している増員は、満額認めて欲しい。
    2. 人事院が360時間の残業上限規制の目安を出したが、公共事業職場の残業実態を見て欲しい。また、阪神大震災の教訓として、公共事業の安易な民間委託は慎むべきだ
  • (全法務)国家公務員の25%定削は、極めて政治的な目標であり、根拠がない。サービスの後退を招くだけだ。業務の執行さえできなくなると見ている。強く反対する。
  • (全通産)
    1. 削減が先にありきの現在のやり方は、止めて欲しい。新しい取り組みをやろうとしても、要員の削減ありきでは、先に進めない。
    2. 科学技術の役割が言われている中で、国研ではずっと純減である。人員の手当をして欲しい。中小企業庁では、次期国会に10本の法案を出すこともあって、連日徹夜である。キチンと要員を確保して欲しい。
  • (全厚生)先の通常国会で、小渕首相は「定削では、現在でも乾いたタオルを絞るように苦労している。サービスの低下は招かないようにしたい。職員の協力を求める」と答弁しているが、職場の実態とかけ離れている。社会保険の職場では、懸命になって、年金制度を維持しようと努力している。本省では、慢性的な超過勤務を強いられており、本年3月の調査では、月200時間を超える職員が8名もいた。定時退庁などできないとみんな言っている。職場の努力の限界にきている。過労死ギリギリという、多くの仲間がいる。
  • (全医労)国立病院は、他の公立病院に比べて、人員が少ない中で運営している。また、定員見合い職員が15%いことでやっと運営している。その上で、定削やられると、患者さんへのサービスに直接響く。270名の増員を要求しているがこれでも足りない。
  • (全気象)必要なところには増員すると言われたが、そのとおりだ。気象庁では、ピーク時の人員より413名少なくなっている。その上で25%削減どう減らすのか職場は不安である。土砂災害対策などは、是非要員を確保して欲しい。自然災害は、行革とは関係なくやってくる。
  • (全建労)阪神大震災での高速道路高架橋の崩壊は、監督する職員が少なく、手抜き工事が横行したからだ。定員の削減は、その反省がない。
  • (全司法)司法制度審議会で司法どうあるべきか審議されている。職場実態に見合った増員がなされていない。
  • (全通信)情報通信関係は、膨大な予算を要求しているが、要員の態勢が伴っていない。情報通信基盤はアメリカに遅れを取っている。要員を付けるところには付けるべきだ。
  • (全労働)複数の国会議員が、労働行政を充実すべきと言っている。放置してはならない。4月から労働局を立ち上げる、ふさわしい要員を確保して欲しい。高卒予定者の就職希望者に対して求人が全然足りない。この様なときに行政に携わる職員を減らして良いのか。
  • (全運輸)事業者や利用者に対しての行政サービスを行っている。スリム化が行政サービスの向上につながるのか。必要な要員は確保して欲しい。
 以上の発言を受けて、小田川書記次長から「1)人事院が出した超勤360時間の目安など、勤務時間に関わる問題を査定ではどう考えるのか。2)今回の要求を見ると内閣府本府と金融庁、総務省本省が増えているが、その他は±0か減である。直接行政サービスするところは減らすのが基本か。3)厳しい雇用情勢に対して、国の責任はどうなるのか」とただしました。

 これに対して、横田副管理官は、次のように回答しました。
●1)長時間過密労働の実態については、今ちょうど各省から話しを聞いている。それらをふまえて、実情に合わせて判断することになる。2)窓口サービスか国の役割の重点化かについては、どちらがどうだと考えている訳ではない。各省庁の話しを聞いて、積み上げていく話しになる。3)雇用情勢が厳しいことは理解している。一方で、定員をちゃんとしろという声の中でどうするのか、今後の査定でも検討課題だ。
 各省庁の状況を聞かせてもらった。我々としては、今の段階で全部付けるとは言えないが、必要なところには要員を確保していきたい。しかし、一方で、厳しい定員管理がきている。むやみやたらに減らしてよいとは思っていないが、厳しい状況にあることは理解して欲しい。

 この回答に対して、全港建から「我々の発言を真摯に受け止めるのか。憲法の立場で見て欲しい」と反論があり、続いて小田川書記次長から「21日に開かれた行革推進本部顧問会議の資料を見ると、今後のスケジュールが出されているが、行政管理局としても、そのスケジュールで進めていくのか」とただしました。

 これに対して、横田副管理官は、次のように回答しました。
●そこは、2001年1月1日の各省庁の定数を確定して、法律で総定員を確定し、その後各省の削減計画を策定するスケジュールで進めると事務的にも考えている。

 最後に、小田川書記次長から「昨年も今年も、要求ベースで純減である。職場の要求は受け止めて欲しい。削減ありきでは、先細りするだけだ」と指摘し、交渉を終わりました。

<別掲>

1999年 9月28日

総務庁長官 太 田 誠 一 殿

日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 藤 田 忠 弘 

行政サービスの切りすてをまねく「25%定員削減」の強行に反対する要求書

 政府は、本年4月27日に、2001年1月1日から2010年度の10年間で、国の機関に働く職員の定員を「1割削減する新たな計画」を策定すること、独立行政法人化への移行などによって、併せて25%、おおよそ13万7千人の国家公務員の定員削減を目指すことを閣議決定しました。私たちは、この決定が、職場実態はもとより、行政の第一線に寄せられる国民各層の行政ニーズさえふまえない、極めて不当なものだと考えます。
 わが国の公務員数が、他の先進諸国に比しても極めて少ないことは、国会審議の中でも、貴職が責任者をつとめる総務庁自身が認めています。そうした中で、行政の第一線で働く職員の献身的な努力によって、国民への行政サービスの水準が保たれているのが現状です。これ以上の人減らしは、行政サービスの水準を落とさないよう、日夜業務に励んでいる職員に過重な労働を強いるだけです。
 先の国会において、貴職は、行革に当たっては、単純な人減らしを行うものではないとの答弁をしています。そうであるならば、行政と労働の実態をふまえ、必要な要員を確保すべきです。
 今、行政に求められているのは、各種の世論調査でも明らかなように、長引く不況など、不安定な社会情勢のもとで、国民生活をささえる医療や福祉、雇用、教育あるいは安全、権利擁護など、安心して暮らせる行政サービスの充実です。そのために、国が積極的な役割を果たすことが今こそ必要です。
 現在進めようとしている「行政改革」は、行政の効率化やスリム化が目指され、行政サービスの著しい低下と、職員の労働条件の極度の悪化をもたらすものであり、到底受け入れることはできません。
 以上のことから、下記事項の実現に向けた、貴職の誠実な対応を要請するものです。

  1. 行政のスリム化計画である「25%削減」は強行しないこと。とりわけ、「定員削減目標の達成」を目的とする独立行政法人化や民間委託の拡大、押しつけは行わないこと。
  2. サービス後退、労働条件の悪化をもたらす定員削減計画をただちに中止するとともに、10年間で10%の定員削減を行う新たな計画の策定は行わないこと。
  3.  「計画」削減方式による一律の定員削減は行わず、行政ニーズ・実態の応じた定員確保を行うこと。

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