委員会採決ねらい独立行政法人個別法の審議がつづく −
−24日午前中は農林水産省関連の質疑で3名が質問

(国公労連「行革闘争ニュース」1999年11月24日付)

 衆議院行革特別委員会は24日、委員会での採決がねらわれるなか、ひきつづき独立行政法個別法にかかわって、農林水産省関係を中心に審議されました。
 午前の質問に立ったのは、民主党の石橋大吉氏、共産党の松本善明氏、社民党の畠山健次郎氏の3人でした。午前中の傍聴行動には、筑波からかけつけた3名をふくめ、8名が参加しました。
 以下、質疑の特徴的な点にかぎって報告します。

■長期の研究は、段階的に分けて業績を評価する
○石橋大吉(民主)
 独立行政法人の労働条件は、団体交渉で方向が決まるが、独法移行後には、賃金など労働条件の後退はあってはならないのが大原則だ。その手だては考えているか。
●続 総務庁長官
 労働条件は独法成立後の労使間の労働協約で定める。労働条件が維持されるように、独法設立前でも関係者間で交渉することが可能だ。
○石橋
 研究所の業績評価について、農業には息がながい研究もあるなかで、3年から5年という短い期間で業績評価ができるのか。特別に配慮すべきだ。
●谷津・農業政務次官
 30年以上かかる研究もある。長期のプロジェクトを、いくつかの段階に分け、そのつど業績を評価していくこととする。そのなかで研究の効率化をはかる。
○石橋
 成果あがるまでに時間がかかる。効率性の確保はわかるが、そのために、基礎的研究がおろそかになってはならない。
●谷津
 独立行政法人の特長をいかしながらも、そうした研究には、今後とも配慮してやっていく。
○石橋
 定員削減について、農林水産省は、他省庁とくらべても、第9次までの数字をみても、削減率が飛び抜けて高い。林野庁は10分の1に減ったくらいだ。この実績からすれば、鼻血もでない。
●谷津
 たしかに状況はきびしいが、農林水産行政の役割と使命を発揮できるよう、必要な定員は、今後とも確保していきたい。

■お手本のイギリスでは研究機関のエージェンシー化がすでに破綻
○松本善明(共産党)
 独立行政法人は、減量化の検討のなかで、その方策のひとつとして出てきたものである。したがって、研究機関の独法化は、研究を発展させることが目的ではなく、行政と切り離すことによって減量化をすすめることが主たる目的ではないのか。
●続
 研究機関は、むしろ行政と切り離したほうが、自主性などが確保されて、研究が促進される場合もある。
○松本
 行革会議の最終報告では、明らかに減量化の方策として位置づけている。研究充実などの文言は一言もでてこない。
●続
 最終報告には、減量化とあわせて、「質の向上」があげられている。サービスの向上は、独法としても義務づけられている。
○松本
 長期間の基礎的研究には、十分な研究費用が必要だ。独法になっても、基礎的研究を重視すべきだ。しかし、政府がお手本としてきたイギリスでは、農業研究所がエージェンシーになったとたんに組織が小さくなり、人材も国外へ流れ、研究の質も低下した。その事実は知っているか。
●続
 知らないが、独法化は、人材確保や、民間の研究者を含めて広く門戸をあけることを目標としている。研究は充実する。 ○松本 それならば、研究現場から賛成の声があがってもしかるべきだが、実際には、研究所の職員はみんな反対しているではないか。それでは人材があつまるわけがない。そもそも、国がやるべきことを行政から切り離す必要はない。農業の振興という国策は、絵に描いたモチだ。国の責任放棄であり、かならず歴史の審判をうける。

■生き物を相手にした研究は短期の業績評価になじまない
○畠山健次郎(社民)
 3年から5年の業績評価は、中長期的な研究にはなじまない。
●谷津
 長期にわたる研究があることは事実であり、そのためリスクもともなう。だから3年から5年でそのつど見直し、強化して、次の研究のステップにしていく。
○畠山
 途中でどんな評価ができるというのか。10年程度の研究を3年や5年で評価できるものではない。
●続
 10年かかりそうな研究があったとして、5年間で中間の目標をつくれば、どこまでいったかを評価できる。
○畠山
 農業研究は違う。相手は生き物だ。ある日突然変化がある場合もある。
●谷津
 長期にわたる農業研究プロジェクトでも、フェーズにくぎってやれば、いっそうの効率的な運営が可能となる。
○畠山
 相手は生き物であり、計画通りいくとは限らない。特殊な中身を持っている。業績評価にあたっては、その事情を認めよ。
●続
 統一的でないことは理解する。それぞれに対応した柔軟な評価も必要かと考える。
○畠山
 独法対象となった職場では、職員の一定の動揺もある。労働組合と話し合っているとは思うが、問題点はないのか。
●谷津
 節目節目で職員団体に説明してきた。誠意をもって対応してきたつもりだ。職員団体にも、理解してもらっていると判断している。今後とも、良好な労使関係を築いていきたい。

(以 上)


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