国公労連は3日、行革闘争中央行動の一環としてとりくまれた総務庁前要求行動終了後、全国の職場・地域から集まった「25%定削反対署名」の合計284,271筆分を総務庁長官に提出するとともに、2000年度定員査定にむけた増員要求の実現を求めて、総務庁行政管理局と交渉しました。
交渉には、国公労連から黒田行革対策部長を責任者に、各単組の代表14名が参加、行政管理局からは定員総括担当の横田副管理官ほか1名が対応しました。
交渉では、うずたかく積み上げられた署名を前にして、冒頭、黒田行革対策部長は、「本日の中央行動には、全国から職場の代表が結集している。25%定削反対の署名約28万筆を提出する。これらは、職員の声であると同時に、地域住民の要望でもある。切実な声をしっかり受け止め、総務庁としての責任ある対応を求める」とし、来年度の定数査定の状況をただすとともに、業務に見合った増員の実現と、定員削減計画の中止を要求しました。
これに対し、横田副管理官は、次のように回答しました。
● 現在は査定作業中、今年は、2001年1月の省庁再編の関係で、9か月の現省庁分と3か月の新省庁分があり、査定が複雑で苦労している。従来から厳しくやっているが、本年については、国会の議論もあり省庁再編に当たり、スリム化を形にして示す必要が迫られている。また、今後は、10年10%の計画的削減計画と独法化をすすめ、25%達成の目標が与えられている。
この回答に対し黒田行革対策部長は、「スルム化で省庁再編を具体化するというが、スリム化イコール行革ではない。必要なところには十分な人の配置をするのが国民の願う行革だ。現在の職場実態からいって、10%や25%削減はどう転んでもできる数字ではない」とのべ、それにつづいて各単組からおおむね次のような発言がありました。
(全運輸)これ以上の規制緩和はやめるべき。トラックなどによる重大事故が多発している。過日の毎日新聞に元長官の武藤さんの「規制緩和は見直すべき、緩和は失敗である」旨の発言記事を掲載している。安全確保を最重点にした要員の配置が必要だ。
(全労働)雇用情勢の悪化により、職業安定所には人があふれている。雇用対策は国の重要施策、このままでは十分な労働行政が果たせない。窓口で人と接する中での実感だ。
(全法務)バブル崩壊後、金融機関の破綻処理、成年後見制度等新規事業が法務局に付加されてきている。現在でも対応が困難、とても削減ができる状況にはない。
(全港建)補正予算で3割の増、いっぽう人員は270名を超える減。トンネルのコンクリート崩落事故などにみられるように、安全確保のためには工事途中の監督・検査が重要で当然必要な人の配置が不可欠だ。
(全建労)公共事業発注官庁としては、監督・検査体制の強化が何よりも求められている。この業務に従事するのは事務所の出張所で3〜4名体制のところだ。ところがそこでは年間30〜40本の工事を担当しており良質な構造物の保証が困難になっている。
●死人が4、5人でてもいいから早く法案をつくれ
(全気象)全国の事業者、団体から意見を聞くと、スリム化ではなく災害から身を守ってくれる行政の拡充を必要としている。総務庁は、この国民の声に応えてもらいたい。
(全医労)「2・8判定」から34年が経過するが、いまだに3割の施設で未達成となっている。特にセンター病院では4割である。2人で50人の患者を見ているのが実態だ。
(全税関)規制緩和、機械化で通関部門は大幅に定員削減された。チェック機能の強化こそが国民の願いなのに現状は逆行している。また、機械化の影響で関連企業は連日残業だ。
(全通産)本省では深夜残業が常態化している。今回の中小企業基本法改正では、自民党の幹部から死人が4〜5人でてもいいから早く法案を作れとまで言われてきた。この異常な実態をただすことが総務庁の責任だ。
(全司法)この不況で自己破産等の調停が増え現場は大変な状況になっている。これ以上の削減は国民の信頼を損なう恐れがある。
これら職場に実態等を受け、横田副管理官は、再度以下のように回答しました。
● 我々も各省から職場の実態を聞き査定してきている。新しい需要の増で苦労している事情はよく承知している。それを踏まえてどうするかが毎年の課題だが、いっぽうでスリム化を求める声も強く、その辺の調和が重要となっている。また、決して人減らしが先にありきではない。人、組織がまず先にあるというのは我々も同じ考えだ。それを踏まえ当面の査定作業を行っており、今後の計画についても同様に考えて行く。
最後に、黒田行革対策部長は、「国民の間にありスリム化を求める声も承知しているが、スリム化と称して、地域住民に密着する部門から真っ先に削られるところに大きな問題がある。これでは住民の不安がつのるばかりだ。その声の一部が28万の署名に示されている。その点を十分に考えてほしい。また、25%削減については、その数字に全く根拠がないことが今国会の審議を通じても明らかになっている」と発言し、改めて職員・住民の声を尊重し、根拠のない削減を行わないことを強く要求し、交渉を終えました。
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