12/3 参議院行革・税制特別委員会で
独立行政法人個別法等の審議始まる

(国公労連「行革闘争ニュース」1999年12月6日付)

 12月3日午前10時30分より、12時20分まで、参議院行革・税制特別委員会が開催され、独立行政法人個別法等の審議が行われました。以下は、その審議内容です。

<自民党・三浦一水議員の質問>
三浦一水議員(自民) 省庁改革は、行革の4本柱。続長官は、鈴木都政時代に行革を担当された。まず、行革に対する基本的な考え方を聞きたい。
続総務庁長官 日本は現在、600兆円もの借金を抱え、大変な事態にある。国際社会の中で生きて延びていくためには、何としてもこの行革はやり遂げていかなければならない。それが国民の期待に応えていくことだ。
三浦議員(自民) 今国会が終了すれば、独立行政法人を始め、たくさんの法律の整備もあるし、省庁再編に伴う引っ越しもある。今後どのような日程で進めようと考えているのか。
続総務庁長官 ご指摘の通り、法律関係では1300もの整備もあり、引っ越しもある。大変な事業であるが、国民の期待を裏切らないようにがんばっていきたい。
三浦議員(自民) 縦割り行政の問題が議論されるようになって久しい。各省庁は、まるで独立国のようだ。国民としては当然と思っている情報の共有もままならない。省庁再編により縦割り行政の弊害はなくなるのか。
続総務庁長官 省庁再編は明治維新以来の大改革だ。今までは総理や内閣に権限の明記がなかったが、今後は、総理のリーダーシップも明確にして、縦割り行政をなくしていきたい。
三浦議員(自民) 独法を導入する意義について聞きたい。
続総務庁長官 独法の導入によって業務の機能的な推進が図れるし、国民込へのサービスも向上するし、国民のニーズにこたえるものだ。
三浦議員(自民) 独法の導入によって業務の効果的な運営が進むと思います。しかも、業務に携わる者の創意や工夫も凝らされていくことになると思うが、その場合、職員の意識改革が重要。その点で、これについてはどう考えているのか。
続総務庁長官 それについて、私自身の経験を踏まえてお話ししたい。私は鈴木都政時代、東京都の老人総合研究所の理事をやっていたが、この研究所を財団法人に変えたことにより、予算も都の援助を得ないで済むようになったし、研究者も立派な方が参加するようになり、研究成果もあがるようになった。独法の法案が成立すれば、そのような方向をめざしたい。
三浦議員(自民) 次に特殊法人について聞きたい。今回の独法は、従来、国が実施していた業務を独法が実施することになるが、特殊法人についても、整理すべきはして、独法と同様にすべきではないか。
続総務庁長官 特殊法人については、天下りの温床といわれたり、機能が非能率などと様々な批判があることは承知している。特殊法人についても、整理すべきはして、国民のニーズにあうものにしていきたい。

<自民党・畑恵議員の質問>
畑恵議員(自民) 独法の理念について大枠の確認をしたい。今回の独法は、英国のエージェンシーが見本になっていると思うが、日本の独法も英国のそれと同じだと思う。英国のエージェンシーは、企画部門と実施部門とを完全に分離しているが、日本の独法も同じ方向をめざすのか。 続総務庁長官 日本と英国では行政制度が違うし、英国のそれは日本の実状にそぐわない。国民の期待に答えるという立場で独法化を選んだ。
畑議員(自民) 他国の制度そのものが日本の実状に合わないと言うことはわかった。日本の実状に合致するものとして独法化になったわけですね。各省庁に政策評価の担当を作ると言うことだが、自分の省庁のパフォーマンスを評価すると言うことはお手盛りという批判を受けることにならないか。アメリカも大統領府において厳しくやっていると聞いているが、
続総務庁長官 ご指摘の政策評価は極めて重要な問題であるので、民間の人に研究をしていただいており、来年の7月に完成する。自分のことを自分で評価するのは問題ではないかというご指摘であると思うが、その点は衆議院でも出ていた。今、考えている各省庁で評価した後、総務庁で二重にチエックするといったら、それはだめだといわれた。行政評価法を前倒しでやりたい。
持永総務庁政務次官 英国ではGTR法というので、政策評価をしているが、我が国の場合は、行政評価法でやることになる。業績評価には様々な類型があるので、総務庁に研究会を置き、その中で検討を進め、来年7月には結果を出したい。
畑議員(自民) 一通りのマニュアルが作られ、ただたんたんと政策評価が実施されると言うことには危惧がある。それだけに様々な類型をつくって適材適所主義でやって欲しい。
続総務庁長官 アメリカの方法は大統領府のもとにある会計検査院でやっている。しかし、このやり方は日本の実状に合わない。
畑議員(自民) アメリカの方法を持って来てやるというのは、英国以上に難しいと言うことはわかった。自治体での行革を推進された大臣に聞きたい。アメリカや英国ではなく、日本なりにやる示唆があればお聞きしたい。入札制度など。
続総務庁長官 今の英国の強制入札制度は、サッチャーのときにやったものだ。しかし、アメリカや英国でやったものが、日本の実状になじむとは思えない。諸外国の制度についても研究して、それなりに成果を上げている。とにかく、国民の期待に応えるものにしたい。
畑議員(自民) 政策評価については、国民にどのように公表していくのか。通信簿的なものになるのか。 続総務庁長官 通信簿的なものとして、国民の皆さんの批判を仰がなければならない。行政も、独法も一番良い方向でできるようにしたい。

<民主党・佐藤泰介議員の質問>
佐藤泰介議員(民主) 私は今回の法案について、地元の選挙民から非常にわかりにくいものだという批判が出ている。今回の行革によって行政がどれだけリストラされ、何が変わり、予算がどれだけ削減されるのか。全体像が見えてこない。今までの政府答弁も「とりあえず」とか、「見直します」という答弁しか聞かれない。独法化の意義についてわかるように説明して欲しい。
続総務庁長官 特殊法人では、様々な問題もあり、独法化に踏み切った。21世紀に向けてのあり様の一つだ。
佐藤議員(民主) 私は「とりあえず」とか、「見直します」という答弁の意味を聞きたかった。独法に踏みきる前に、現在の行政をもっと整理し、廃止することができたのではないかと思っている。民間に移すことができたのではないかと考える。この点はどうか。
続総務庁長官 独法の法律には、3〜5年の見直し期間を設けている。その中で独法について評価し、国民の期待に応えていないとか、成果を上げていないと言うことになれば廃止の対象になる。しかし、独法化は、国の行政を独自に推進するために作るもにだ。評価に値しなければ、廃止もあれば、民間に移すこともある。
佐藤議員(民主) それは独法の制度がスタートして以降の問題だ。しかし、その前にもっと整理すべきは整理すべきではないか。このことをやってこなかったからこそ行革が進まなかったのではないか。今まで整理、検討はしてこなかったのか。
続総務庁長官 私は10月5日に今、ご指摘頂いた点について事務当局に整理すべきは整理せよと指示してきた。
佐藤議員(民主) それでは独法について具体的に聞きたい。独法対象機関は当初89機関であったのが、現在の59機関になった。現在、提案されている独法は政策評価によって見直しもあり得るといったが、矛盾が生じてこないか。例えば、独法を廃止する場合は、59機関の一つ一つについて国会で審議することになるのか。
持永総務庁政務次官 それぞれの特殊法人の条文に照らしてやることになる。特殊法人を見直していく場合、民営に移した方が良いと言うことになれば、民営にするし、独法の方が良いと言うものがあれば、独法化する。
佐藤議員(民主) 私が聞いたのは59の独法を民営化する場合、どうなるのかを聞いた。
持永総務庁政務次官 一つ一つを国会で見直し、廃止の法案の審議となる。
佐藤議員(民主) 中央省庁改革法第40条によれば公務員型の独法は、国民生活、社会経済の安定のために独法化されたとあるが、それであるならば国の機関として残した方がよいのではないか。何か問題が生じた場合、どこが責任を取るのか。
続総務庁長官 それは主務大臣が取ることになる。例えば、試験研究機関の場合、それぞれの省庁の主務大臣が責任を取ることになる。主務大臣は、独法が3年〜5年で計画を立てさせて、それを遂行させていくことになる。
佐藤議員(民主) 独法に何か問題が生じたとき各省か、国かどこが責任を取るのか聞いているのだ。特定独法は、国とは別の責任が担わされている。しかも、そこの職員は国家公務員になると言うことだが、いざというときは国が責任をとるのか。
続総務庁長官 特定独法の職員は国家公務員であるが、特定独法の場合も主務大臣が所管し、その主務大臣が任命した理事長が業務計画の策定や人事などの責任を持つ。しかし、最終的には国が責任を持つことになる。
佐藤議員(民主) 今の説明だと、国家公務員が業務を行った場合、国が責任をとるとのことだが、独法の場合はどうなるのか。
続総務庁長官 ただいまの説明は専門的な要素も入るので、行革推進本部事務局長から答弁させたい。
佐藤議員(民主) 総務長官が答えろ。
続総務庁長官 行政の場合は、国が責任をとるが、独法の場合はそこの理事長が責任をとることになる。国家公務員であるから国公法や倫理法の準用はある。
佐藤議員(民主) わかりにくいですね。独法の職員は準用になるのですね。国家賠償の場合はどこが責任を負うのか。独法に責任があるといい、国が最終的に責任を取るという。一体、この辺はどうなっているのか。
持永総務庁政務次官 法人格としては独法は別のものだ。国家賠償は公権力の行使であるかどうかで変わってくる。
佐藤議員(民主) そうなると独法も行政機関と同じと言うことにならないのか。
持永総務庁政務次官 独法は企画調整部門と実施部門を分離する。一般的に公権力がどのようになるか整理させてほしい。
佐藤議員(民主) またの機会に質問をさせていただく。何か問題があったときは、独法の長が判断するのか。
持永総務庁政務次官 行政不服審査は法務省の所管であるが、一時的には独法の長、次に主務大臣となる。
佐藤議員(民主) 独法の長が最初で、次が主務大臣、最後は法務大臣が責任を取るのか。
持永総務庁政務次官 法務大臣は主務大臣と横並びの大臣なので、最後は司法が責任をとる。
佐藤議員(民主) なんだかよくわからない。結局、この独法はわかりにくい。もっとわかりやすいものにすべきではないか。中央省庁改革法では、独法の予算は国が確保するとなっているが、独法の定員は、そこの長がやることになっている。定員管理がそこでやられるようになれば、行政コストの削減にはならないのではないか。
続総務庁長官 特別権力関係というか、独法は権力関係ならないような仕組みにした。独法化したことによって経費削減がどれほどあがるのかというご指摘だが、予算や人員、独法自体が相当な削減になるような仕組みにした。ある意味では期待できるようなものにした。
佐藤議員(民主) 結果として行政コストの削減になると言ったが、どのくらいの削減効果を期待しているのか。また、どのくらい予測しているのか。判断は難しいとは思うが、明らかにしてほしい。
続総務庁長官 せっかくのご質問だが、具体的な数字は持っていない。しかし、独法化されれば、国民のみなさんには、これまでとは違った。例えば、試験研究機関では、業績評価が国民の前に明らかになるわけだから、国民の期待に応えられるものになっていくし、そこが成果をあげられないと言うことであれば、整理する事もできる。
佐藤議員(民主) これは行革の一環として行われるわけだから、行政コストの削減が重要だ。独法では、職員の身分も変わらない、業務も変わらないと言うことで、行革といえるのか。中期目標を出す上で、その中に削減目標は入るのか。
続総務庁長官 中期計画をすすめるに当たって、時代も変わっていく訳だから、従来必要と思ったところでも時代の変化で不要になる。それらは見直し、無駄なところは削るということを計画の中にいれることはできる。同時に、主務大臣もそういう思想を持って臨むことになる。
持永総務庁政務次官 今回の独法通則法29条の中には業務運営、30条の中期計画の中にも業務運営を進めるに当たって、何を取り、何を削減するかを明示している。
佐藤議員(民主) 行政コストの削減につながっていくことが、国民のニーズに応えることだ。従って、独法の法案が成立し、これがスタートする段階で削減目標が盛り込まれるよう見させていただく。次に、特殊法人について聞きたい。現在、特殊法人は様々な批判が多い。この特殊法人を見直した上で、独法を打ち出したのか。
続総務庁長官 その通りです。
佐藤議員(民主) 特殊法人を整理・合理化し、見直していくことが重要だ。不断の見直しをしていくということだが、どのような具体的な目標を持ち、洗い直しをしていくのか。
続総務庁長官 現在、特殊法人は78あり、限りなく国に近いものから、限りなく民間に近いものがあり、行革推進本部や国民のみなさんから、整理統合について指摘され、提言も出されている。この見直しのスケジュールは持ち合わせていないが、整理・合理化は不断にやらなければならないし、現にいくつかの統合も進めてきている。

(以上)

トップページへ   前のページへ