政府は、本日の閣議で東日本大震災の復興財源を捻出することを名目に、独立行政法人・国立大学法人などの公的機関についても、国家公務員の給与見直しを踏まえた「適切な対応」を要請するとともに、来年度予算では人件費削減に相当する運営費交付金を削減することを申し合わせた。
申し合わせでは、政府が各機関に対して給与削減に向けた労使交渉を急ぐよう要請することとされている。しかし、独立行政法人通則法第三条では「この法律及び個別法の運用に当たっては、独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」とされ、職員の賃金決定にあたっても、「自主的・自律的な労使関係の中で」決定することは当然である。ましてや、公務員の身分を持たない非特定独立行政法人においては労働基本権が保障されているにも関わらず、国家権力を振りかざして政府が労使自治に介入することは、憲法で保障された基本的人権を踏みにじる暴挙であると言わざるを得ない。
さらに、来年度の運営費交付金の算定にあたっても引き下げ後の給与水準をベースにするという考え方を示した。加えて、マスコミ報道によれば給与の引き下げに応じない法人があった場合でも、補助金のカットを強行する方針であることとされているが、そうであるなら独立行政法人の業務運営の命綱である運営費交付金をタテに自主性・自律性を縛り、「独立」とは全く正反対に「従属」させるものに他ならず、断じて認められるものではない。
財務大臣は人件費削減の対象について「公的部門全体で」とし、地方自治体等に対しても、国や独立行政法人が賃金削減を行っていることを踏まえた対応を求めることとしている。まさに、公務員賃金の引き下げが625万人労働者の賃金を引き下げることにつながるという国公労連の指摘どおりの結果を招いている。そもそも国家公務員の賃金引き下げは憲法を二重三重に蹂躙するルール違反であるとともに、「身を切る」として「社会保障・税一体改革」と称する消費税増税など国民犠牲の突破口を開こうとするものに他ならない。さらに独立行政法人をはじめとした「公的部門全体」に賃金切り下げを迫ることは、国民にいっそうの負担と苦しみを押しつけようとする野田政権の本性を端的に示したものといえる。
国公労連は、独立行政法人通則法の目的に掲げられている「国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」を実現するためにも、同日に閣議決定された独立行政法人見直し法案の問題点を明らかにしながら運営費交付金の拡充を求めてとりくみを展開していく。同時に、政府や財界・大企業による賃金・雇用破壊にストップをかけるためにも、国家公務員労働者や独立行政法人で働く労働者にかけられた、憲法違反の一方的な賃金引き下げ攻撃をはね返すため、広範な労働者・国民との共同を広げ、全力で奮闘する。
以上