2012年3月28日
日本国家公務員労働組合連合会
中央闘争委員会
政府は、「社会保障・税一体改革において国民に負担をお願いする中、政府としても公務員総人件費削減などの行政改革を実施する必要」があるとする一方で、超過勤務縮減について何ら具体的な対策を打ち出さないばかりか「コスト意識を持った抑制策に努める」と職場の実態を全く顧みない認識を示した。今求められているのは東日本大震災からの早期復興や国民の安心・安全を守るための国の役割発揮であり、そのための体制確立である。
賃金については、月額1万円の引き上げ要求に対してまともに応えないばかりか、議員立法による賃下げには一言も触れることなく、「人勧尊重」という従来回答にとどまったことは、政府の使用者責任を放棄したものと言わざるを得ない。労働基本権についても「公務員制度改革関連4法案」早期成立の努力姿勢を示したに過ぎず、「先取り」と称して賃下げを提案した経過からしても、国公労連の抜本修正要求にもとづく法案の修正成立に向けた最大限の努力を求める。
人事院は、昨年自らが出した勧告を無視した「賃下げ特例法」が強行されたにもかかわらず、「例年と同様、必要な勧告を行う」と従来の域を出ない回答を行った。4月以降、平均7.8%の賃下げによる官民較差が生じることから、情勢適応の原則に基づき臨時勧告を行うことを含め役割発揮を強く求める。
高齢期雇用についても「意見の申出」とは全く異なる「再任用の義務化」方針が政府によって決定されたことに対し、「その検討状況を見守る」のではなく、誰もが安心して働き続けられる職場の実現に向けて、政府に強く働きかけることが必要である。
非常勤職員の処遇改善や健康・安全確保、東日本大震災・原発事故に伴う労働条件改善などその他の要求についても具体的な対応策を示さなかったが、いずれの課題も職場の切実な要求であり、一刻も早い実現にむけた努力を求める。
政府は、「社会保障・税一体改革」や消費税の大幅増税の露払いとして憲法を二重三重にも蹂躙する公務員賃金の大幅引き下げにとどまらず、「国家公務員総人件費2割削減」を旗印に行政改革実行本部を立ち上げ、あらゆる面での「行政削減」に血道を上げている。
しかし、これらの施策は、多くの国民が願う東日本大震災からの一刻も早い復興や原発事故の早期収束、若者の就職難解消、雇用と年金の確実な接続などの要求に逆行するものである。公務員バッシングを利用して、「身を切る」といいながら国民の生活と権利を切り捨てるものであり、国民との矛盾の激化は避けられない。
国公労連は、東日本大震災からの復旧・復興業務をはじめ、連年の定員削減のもとでの長時間過密労働の蔓延やメンタル不全による休職者が後を絶たない職場実態を踏まえ、人勧にもとづかない憲法違反の賃下げに反対するとともに、月額1万円の賃金改善や行政体制の拡充、非常勤職員の処遇改善等を求めて職場からのたたかいを展開してきた。
ひきつづき全労連・国民春闘共闘に結集する公務・民間労働者と連帯し、最賃時給1,000円の実現や非正規労働者の雇用の安定と均等待遇の実現などをめざして奮闘する。同時に、人間らしくまともに働けば安心してくらせるという、あたりまえの要求実現を願う多くの労働者・国民との共同を広げ、国民本位の行政・司法体制の確立や民主的な公務員制度確立をめざすとともに、職場とくらしに憲法が生かされる社会の実現にむけ奮闘するものである。
以上